超レア消費アイテム生産者の異世界つえー物語~今ならもれなく全紛失したら死ぬ特典付きです~

安居 飽人

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第1章 異種族交流編

19. ボスバトルはフラグ

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「あれは、黒竜ブラックドラゴン!?」

 今、俺達の前に凶暴化した黒竜ブラックドラゴンがいる。魔物特有の禍々しい魔力を纏い、白目の部分まで真っ赤な目をし、何かを見つめていた。おかしい、ここはログハウス付近で魔族領ではないはず。
 どうしてここに?まさか、山脈を超えて活動範囲を広げたのか?
 そして、対峙しているのは……

「あの子は…?」

 黒竜ブラックドラゴンが見つめる先、そこには俺達とそこまで年の差がない女性がいた。
 しかし人間の女性ではない。その背中には黒竜ブラックドラゴンとよく似ている…もとい同じ翼を持ち、頭から二対の悪魔のような角が生えている。

 間違いない、黒竜ブラックドラゴンだ…!
 "アウェイクスピリットオンライン"のモンスターでは、魔力を使って人間態に擬態できる種族も存在する。黒竜ブラックドラゴンもそのうちの一種だ。
 しかしそうなってくると余計に混乱する。何故同族を襲っているのだ?イベントや図鑑などを色々思い出すが、義理堅い種族の彼らには到底考えられない行為だ。

 手っ取り早いのは、襲われている黒竜ブラックドラゴン族の女性を助けること。そしてその理由を問えばいい。怒り出したら凶暴だが、幸い黒竜ブラックドラゴンのレベルは30~50辺りの、物語中盤で登場するモンスターだ。アルナは兎も角、今の俺のレベルでも撃破する事は容易い。

「アルナ、あの子を助けるぞ!」
「えっ!どうやってです!?」
「俺が不意打ちで気を逸らしているうちに、あの子を引っ張ってでも避難させるんだ」

 俺はそう言って駆け出す。丁度凶暴化した黒竜ブラックドラゴンが女性に向かって、火球ファイアーボールを放ったところをギリギリのところで弾き返す。

「お、お前は…人間!?」
「お前は逃げろ!ここは俺が引き受ける!」

 問題はコイツをどうするかだな……女性が何かを言ってくるが、それは聞けない。

「コイツはここで食い止めないと、帝国に来るかもしれねぇ。放置は無理だ」
「無理だ!人間では勝てない!」
「負けている奴が何言ってんだ!!」

 女性には悪いが、ここは避難してもらわないと。結界魔術で女性を囲み、風魔術でアルナの元へ送り届ける。余りの速さに女性は混乱していたが。

「アルナ、後は頼めるか?」
「はい、兄様」

 そして俺は、黒竜ブラックドラゴンと対峙する。さあ、この世界に来て初めてのボスバトルだ。今までのモンスターと違ってかなり手強い部類。間違ってもレインボーオーブの没収フラグは避けたいところだ。

「そろそろ行くぞ。黒竜ブラックドラゴン!!」
「ゴアァァァァァ!!!!!」

 黒竜ブラックドラゴンは魔力を放出しながらこちらへと向かって来る。突進攻撃!俺は突っ込んで来る黒竜ブラックドラゴンに氷の弾丸を撃ち込む。
 氷の弾丸が着弾した後、俺は結果を確認する事なく後ろへ回り、煉獄紅刀れんごくこうとうを真横に向け翼を狙って切り裂く。飛行系のモンスターはまず逃げないよう、翼などを狙うのが常套手段だ。

 ザシュッ!と切り裂きエフェクトが発生する。
 炎属性ではダメージが半減されるが、雷属性が付与されているおかげで手応えを感じた。一旦離れると、腹に氷の弾丸によるダメージを受け、翼を切断されたが躊躇いなしに襲ってくる。

「ガアァァァァァァァァ!!!」

 その時、俺は違和感を感じた。それは、黒竜ブラックドラゴンを纏っているだ。
 確かに、"アウェイクスピリットオンライン"ではモンスターを更に凶暴化させるシステムは存在する。しかし、それはを纏いながらだ。だったら、目の前にいる黒竜ブラックドラゴンを纏っているのは何だ?

「コロス!コロシテヤルゾ!!!!」
「!?」

 黒竜ブラックドラゴンがそう叫びながら、今度はデカすぎる大火球ファイアーボムを連続で撃ちだしてきた!

「クッ!」

 魔力障壁を張り、それを阻止するが…

「うわっちゃ!」

 くそ!攻撃を防げても熱は防げないな!あっつ!

「ガアァァァァァァァァ!!!」
「ぐわぁああ!!」

 その直後、不意に殴る攻撃を魔力障壁が消えたタイミングで食らってしまった。衝撃で1万ほどのレインボーオーブを落とされる。初めてモンスターからの攻撃でオーブを落とされた!しかし、レベルが低かったおかげか、こちらはまだ300万程のオーブが残っている。後はHPと攻撃モーションに気を付ければいける。
 武器を<ライジング・ノワール>に切り替え、隙間ない銃撃戦で頭を狙い始める。大抵のモンスターは頭が弱点だから、ちまちまとHPを削っていこう!


 一方その頃、助けられた黒竜ブラックドラゴンの女性は目の前の光景に驚いていた。
 人間と黒竜ブラックドラゴンの戦闘力は火を見るより明らか。それも、魔族の中では高位に強い種族である為、敵うはずがないと思っていた。
 しかし目の前の男はどうだ?武器を使いながらも、勇猛果敢に同族を攻めている。しかも傍から見れば、人間の男が優勢だった。

「あの、大丈夫ですか?今治療しますね」
「お前たちは何者だ?なぜこんなところに人間がいる?」
「えーっと話せば長くなるんですが…それよりも、貴方が黒竜ブラックドラゴンって本当ですか?それでしたら、何故同族に襲われているんです?」
「私でも混乱している!久しぶりにが戻ってきたらあの様子だった!おかげで同族にも手を出し、住んでいる里も大変な目にあった!」
「えっ…家族って…」
「あの黒竜ブラックドラゴンは私の兄なんだ!」
「えぇー!?」

 信じられない事実がオルタの耳にも届いていた。
 だったら何故こんなにも暴走をしているんだ!実の妹を襲っている、物理的なモンスターペアレントなんて!

「アァアァアァアアああぁぁぁ!!!」

 ッ!これはマズイ!魔力をさらに高めやがった!!
 それに、魔力が黒竜ブラックドラゴンの体内に渦巻き始める。これは…自爆するつもりか!?こんな魔力を暴発させたら…

「マズい!コイツ自爆する気だ!」
「なんだって!?」
「兄様!!」

 この辺り一帯吹き飛んでしまう!!ここで止めないと……マズイ!

「もう時間がない!殺してでも止めるぞ!いいな!?」
「ッ!………グッ!」

 女性は諦めたように握り拳を作り、こくっと頷く。その黒竜ブラックドラゴンに突っ込みながら、魔力が集まっている箇所に向けて煉獄紅刀れんごくこうとうを突き刺す…!

 グサッ!

 突き刺した後、暴発に備えて距離を取る。大半の魔力は煉獄紅刀れんごくこうとうが奪ったため、爆発の威力は弱まったはず。


 ドサァアアアッーーーー

 黒竜ブラックドラゴンの巨体が力尽きるように、地面に伏せ倒れた。
 高まっていた魔力が霧散しているのが見える。これでもう、爆発することは……


バサバサッ…!

「ッ!」

 ふと、何かの羽ばたく音が聞こえた。そして…不思議な複数の影が目の前に現れ、それが段々と大きくなっていく。俺は咄嗟に上空を見て、息を呑んだ。
 俺は人生で最大の死亡フラグを覚悟したかもしれない…。

 そこには…数体の黒竜ブラックドラゴンが翼を羽ばたかせながら、こちらに降りてくるのが見えたからだ。
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