超レア消費アイテム生産者の異世界つえー物語~今ならもれなく全紛失したら死ぬ特典付きです~

安居 飽人

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第2章 学園下克上編

35. ポータルと気になる心

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「よし、今日はここまでにしよう」

 今日も今日とて、合同訓練に向けて練習を重ねるDクラス。
 魔力貯蔵量MPの上限と魔力制御は最初の時と比べ、異常なスピードでみんな上達していった。時折、俺の知識を織り交ぜながら、皆も納得する形で勉強をしているのが良かった。

「それにしても…今まで魔術の練習はしてきたけど、なんだか人生で一番強くなったって感じするな?」
「気のせいなのかしら?私もそう思ったわ」
「俺もっスよ」

 みんなの上達を実感している姿…それ、俺の経験値スキルのおかげでレベルも上がってるんですよ。真実を知ったときに俺に感謝してくる姿が容易に想像できる。
 それでもこの学園で練習するにも制限がある。学園内の道具や場所は共通だし、こちらが猛練習したらAクラスだって必死に練習するだろう。どうせならぶっつけ本番であっと驚かせたいな。何か良い案はないか…。
 さて、下校時間にもなったし帰るか……

「あぁオルタ君、良かったら今日も一緒に帰らない?」
「ん??」

 下校しようと荷物を纏めていたところ、声を掛けられる。
 顔を上げると、マリーとメリューが俺に下校の誘いが来たのだ…!まさか、前世では男友達とでしか帰ったことがないというのに。これぞ異世界での青春、満喫中でごわすよ!あ、口癖がライトになっとる。

「別にいいぜ。もしかして、この間の事が心配なのか…?」

 この間、タケシと一緒に下校していたところ…偶然にもマリーとメリューがガラの悪い男達に絡まれていたことを思い出す。彼女達には魔術があるが、学園と国外、指定区域以外の魔術発動は法律によって禁止されているのだ。
 発動してしまえば、その場と周りの被害がどれ程影響が出てしまうか。もし自衛目的で発動させたとしても、相手に必要以上痛めつけたと判断され、裁判で不利になる可能性が高い。

 当然クラスメイトとして見過ごすわけにもいかず、森で鍛えた体術をガラの悪い男達に叩きこんでやった。
 石壁に叩きつけてからの膝蹴りでもう一回、そこから回り込んで両腕で作ったハンマーで首辺りを殴打。飛び込んできた相手を地面に誘い込んで、相手の肩と腕の関節を脱臼させる逮捕術。極めつけは最後に残った奴を、格ゲーの10連コンボの如くトドメのアッパーで思いっきり水路へ吹っ飛ばした事が快感であった。タケシも喧嘩に参加してくれたおかげで、警官隊に到着する前より退散することが出来たし。

 そんなこんなで、今回もボディーガードを頼みたいといったところか。だがもしナンパ男たちが、帰り道でまた待ち伏せしてたらたまったものじゃない。

「ん~、この前みたいな事もあったからな。だったら今日は違うルートで帰ろうぜ」
「遠回りになるって事?」
「いやいやものの5秒で着くさ」
「おっ?ひょっとして、か?」

 俺達4人以外いなくなった教室で、これからどんな魔術を発動するかを察するタケシ。対する二人は頭にクエスチョンマークを浮かべている。当然、まだは皆に見せてない。まぁどっちにしろ見てもらうかもしれないけど…。

「それじゃあ移動するぜ、『ポータル』!」

 俺が移動スキルを発動させ、転移先をエバーライフ邸に設定する。すると、4人の身体が頭上に出来た穴に吸い込まれていく。

「うぉ!?」
「えっ!?」

――――――――――――――――――――――――

「あれ?お兄様、お帰りなさい」
「あら?今日は"ポータル"で帰って来たの?」

 転移先のロビーで、母上とアルナがキョトンとした顔でこちらを見ていた。

「ただいまー。突然で御免だけど、友達も連れて来たよー」
「あれ!?学園は!?教室は!?」
「ど、どうなっているんですか…???」
「ま、最初はそんな感じよな…」

 ポータルの初体験に、マリーとメリューが慌てふためく。一方の母上とアルナは、ポータルが既に見慣れているので二人の様子を可笑しく見ていた。

「いらっしゃい、すぐにでもお茶を用意するからね……あれ、貴方は?」
「…はっ!りょ、両親共々お世話になっています、メリュー=フォン=ジーヌです!」
「やっぱり。一緒に来たという事は同じDクラスね!こちらもジーヌ家にお世話になってます」
「いえいえとんでもありませんっ!」

 友達の中に親しいジーヌ家のメリューに、母が丁重に挨拶をする。それを見たメリューはオドオドしながら顔を上げるよう言った。

「それにしても、あのオルタが女の子と一緒にね…もうそんな仲に」
「ぶっ!?何言ってるんだ母さん!?」
「そ、そんな…お付き合いなんて…」
「メリューさんも何言ってるの!?」

 これ以上変な空気になる前に談話室に通すと、どうしてポータルで帰って来たのかを一通り説明する。

「そうなの、【クラス合同訓練】の練習をしているわけね」
「そうなんだよ、それで手っ取り早くAクラスよりも強くなるために協力してもらってるってわけ」
「それよりオルタ、さっきの魔術は何?さっきまで学園の教室に居たと思ったら、いつの間にかエバーライフ邸にいるし!」

 ここでマリーから説明を要求される。彼らは一瞬別世界でもやってきたかと思っていたが、エバーライフ邸の窓から僅かに見えている高等魔術学園の塔を見て、本当に別の場所に移動したことを信じられないと思っていた。

「何故ここに着くことが出来たのですか?歩きも馬車もなし、そんなに時間も経ってないし…」
「ポータルを使ったからな」
「そのポータルって何よ?」
「今いる場所と行きたい場所を直接繋げる魔術だよ」
「まさか……転移……?」

 2人は驚く。転移とは少し違う気がするが、まあワープ機能であって異空間収納アイテムボックスの応用だと思ってくれればいい。流石に一回だと信じられないとマリーが言ってきたので、少し休憩した後に前に住んでいたログハウスにポータルで行くことになった。今度はアルナも一緒にだ。

 戸惑う皆を尻目に全員が吸い込まれていく。着いた先には懐かしい家。2年ぶりの帰宅だ。

「相変わらず、この魔術は便利やな」
「ここが、俺がちょっと前まで住んでた家だよ」
「ちょっと待て、確か森の奥に住んでたって言ってましたよね?」
「そうだよ。ここがその森の奥だよ」

 またもや信じられない顔をするが、こうも信じられないことが立て続けに現実に起きている事に、いい加減現実で起きているんだと認めざるを得なかった。

「ここがオルタ君の住んでいたログハウスですか…なんだか、別荘みたいで羨ましいです」
「でも森の奥なんでしょ?今の時間帯って、魔物なんかわんさか出るんだけど…」
「あぁ大丈夫、モンスター除けの結界とか罠とかを張ってるから。それに、俺が強者だって認めているのかこの辺り一帯は全然近づかないよ?」

 そりゃ3年も強力な結界なんて張っていたら、モンスターでも近づくのは本能的に容易ではない。
 この場所であれば、帝国から離れてるし何をしても自由…………………あっ。





「ここ、特訓場にするか」

 この言葉に俺以外全員が凍りついてしまったのは、言うまでもなかった。
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