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泣き虫悪女の裏側
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昔から姉は特別だった。
お母様に愛され、お父様にも可愛がられ周りの人とも仲が良く、まるでおとぎ話に出てくるお姫の様な存在。
だけど、私は真逆の体質で親に真っ直ぐ、曲がらずにあれと厳しく育てられた。
そのせいか、私のあだ名は氷の女王、悪女などと心無い呼ばれ方をしていた。
それにはもう慣れたのだが、メンタルの弱い私はある衝動に駆られるのだ。
「ちょっとあなた、ぶつかったのだけれど。謝るのが常識ではなくて?」
「ひぃ、氷の女王様!?」
「顔を見るなり、人を貶める様な呼び方、失礼ね。貴女、謝ることを知らないのかしら?」
「す、すいません」
「廊下を走って他の生徒が怪我でもしたらどうするのかしら?」
「あの、わた、私っ、ひくっ」
「ちょっと!なぜ泣くの?私は注意をしているだけなのよ」
「すいません、すいません」
女子生徒が泣き始めると周りに人が集まりヒソヒソと声が聞こえる。
事情も知らないくせに「また問題児の氷の女王かよ」だの「相変わらず、高飛車」など聞こえる声でケラケラ笑いながら話していく。
私はグッと力を入れて話にならない女子生徒から離れようとした。
「この騒ぎの張本人はまたお前か?笹枝」
「あら、ごきげんよう。生徒会長様がこんなところに現れるなんて生徒会は暇なのですか?」
「毎回毎回騒ぎを起こすなとあれほど言っているのになぜお前はそれが聞けない?」
「ふんっ、私はその女子生徒に注意をしただけですの。それ以外なにもしていませんわよ」
「その女子生徒は泣いている。と言う事はお前の過度な注意が問題なんじゃないのか?」
「それはこっちのセリフです。貴方こそ毎日出てきては私に文句を言う。私でストレス発散しているのではないのですか?迷惑千万極まりありませんわ」
「誰がストレス発散だ。被害妄想も甚だしい。それで、全く改める気がないのか?」
「私は悪いことをしていませんから」
「はぁ~、お前はもういい。彼女に事情聴取したほうが早いな」
「そうですか。でしたら私は失礼しますわ」
(急げ、急いで私)
「それでは、ご機嫌様」
(急がないと私…)
私は逸る気持ちを抑えて群がる人の輪から出ていくとある場所に向かった。
そこは人気のない屋上。
よっぽどじゃ無いとここには人が来ない。私はゆっくりドアをノブに手をかけて開けた瞬間、涙がポツリと地面に落ちていった。
「ふぇっ、ひく…ぐすっ」
気持ちが収まらずに嗚咽をしながら屋上に入っていきその場に座り込んだ。
「なに、よ…ひくっ、私は、危ないって、注意した、かったのに」
「そうだよな。注意するって事は危なかったって事だよな」
「うん、…て、また来たの?」
突然の声に反応して振り返ると幼馴染の霜月大河が立っていた。
茶髪に耳には赤いピアス、制服の前は開けている。身長も高く、見た目は麗しいがヤンキーの様にも見える。
「勝手にはいって、こないでよ」
「氷の女王様が出たって噂で持ちきりだったからここに来たんだよ」
「だから何?笑いに来たの?」
「愛しの幼馴染に冷たいな。これだから姫乃の方が可愛いって言われんだぞ」
姉の名前を言われて私はカッとなった。
涙を流しながら大河を睨みつけると彼は少しだけ口角を上げて笑う。
「本当に姫乃は品位が良くて愛嬌も良いのに、それに比べて亜姫は無愛想で冷たい氷の女王だよな?」
「うるさい!うるさい!うるさい!」
「おっと、そうやってすぐに癇癪を起こす」
「アンタに何がわかるのよ!」
「そんなに泣くくらいなら俺に助けをこえばいいだろ?」
「誰がアンタなんかに」
「あ~ぁ、これだから氷の女王様は」
「うるさい!どっか行って」
「はいはい。じゃ、バイチャ~」
ケラケラ笑いながら屋上から出ていく大河に私は姉と比べられ傷が深くなり涙が溢れた。
(どうせ私は、姉さんみたいに凄く、無いわよ。悪女なんだから)
卑屈になりながら涙を流しながし、数時間屋上で過ごした。
もちろん、目が腫れない様にするのは熟練の技でなんとかなったのだ。
お母様に愛され、お父様にも可愛がられ周りの人とも仲が良く、まるでおとぎ話に出てくるお姫の様な存在。
だけど、私は真逆の体質で親に真っ直ぐ、曲がらずにあれと厳しく育てられた。
そのせいか、私のあだ名は氷の女王、悪女などと心無い呼ばれ方をしていた。
それにはもう慣れたのだが、メンタルの弱い私はある衝動に駆られるのだ。
「ちょっとあなた、ぶつかったのだけれど。謝るのが常識ではなくて?」
「ひぃ、氷の女王様!?」
「顔を見るなり、人を貶める様な呼び方、失礼ね。貴女、謝ることを知らないのかしら?」
「す、すいません」
「廊下を走って他の生徒が怪我でもしたらどうするのかしら?」
「あの、わた、私っ、ひくっ」
「ちょっと!なぜ泣くの?私は注意をしているだけなのよ」
「すいません、すいません」
女子生徒が泣き始めると周りに人が集まりヒソヒソと声が聞こえる。
事情も知らないくせに「また問題児の氷の女王かよ」だの「相変わらず、高飛車」など聞こえる声でケラケラ笑いながら話していく。
私はグッと力を入れて話にならない女子生徒から離れようとした。
「この騒ぎの張本人はまたお前か?笹枝」
「あら、ごきげんよう。生徒会長様がこんなところに現れるなんて生徒会は暇なのですか?」
「毎回毎回騒ぎを起こすなとあれほど言っているのになぜお前はそれが聞けない?」
「ふんっ、私はその女子生徒に注意をしただけですの。それ以外なにもしていませんわよ」
「その女子生徒は泣いている。と言う事はお前の過度な注意が問題なんじゃないのか?」
「それはこっちのセリフです。貴方こそ毎日出てきては私に文句を言う。私でストレス発散しているのではないのですか?迷惑千万極まりありませんわ」
「誰がストレス発散だ。被害妄想も甚だしい。それで、全く改める気がないのか?」
「私は悪いことをしていませんから」
「はぁ~、お前はもういい。彼女に事情聴取したほうが早いな」
「そうですか。でしたら私は失礼しますわ」
(急げ、急いで私)
「それでは、ご機嫌様」
(急がないと私…)
私は逸る気持ちを抑えて群がる人の輪から出ていくとある場所に向かった。
そこは人気のない屋上。
よっぽどじゃ無いとここには人が来ない。私はゆっくりドアをノブに手をかけて開けた瞬間、涙がポツリと地面に落ちていった。
「ふぇっ、ひく…ぐすっ」
気持ちが収まらずに嗚咽をしながら屋上に入っていきその場に座り込んだ。
「なに、よ…ひくっ、私は、危ないって、注意した、かったのに」
「そうだよな。注意するって事は危なかったって事だよな」
「うん、…て、また来たの?」
突然の声に反応して振り返ると幼馴染の霜月大河が立っていた。
茶髪に耳には赤いピアス、制服の前は開けている。身長も高く、見た目は麗しいがヤンキーの様にも見える。
「勝手にはいって、こないでよ」
「氷の女王様が出たって噂で持ちきりだったからここに来たんだよ」
「だから何?笑いに来たの?」
「愛しの幼馴染に冷たいな。これだから姫乃の方が可愛いって言われんだぞ」
姉の名前を言われて私はカッとなった。
涙を流しながら大河を睨みつけると彼は少しだけ口角を上げて笑う。
「本当に姫乃は品位が良くて愛嬌も良いのに、それに比べて亜姫は無愛想で冷たい氷の女王だよな?」
「うるさい!うるさい!うるさい!」
「おっと、そうやってすぐに癇癪を起こす」
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「誰がアンタなんかに」
「あ~ぁ、これだから氷の女王様は」
「うるさい!どっか行って」
「はいはい。じゃ、バイチャ~」
ケラケラ笑いながら屋上から出ていく大河に私は姉と比べられ傷が深くなり涙が溢れた。
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