24 / 83
第2殿 急ごしらえの救助隊
第22洞 溶け合うマナは蜜の味
しおりを挟む
俺たちは早速、袴の女性と共にセパレータで区切られた打ち合わせスペースへ移動した。
「――私、マイナ・ラクナーシャと申します。クラスは法術師」
「あたしはベルと申します。クラスは、ええと、錬金医術師、です」
「えーと。俺はディグラッド。クラスは……」
こういう場合、どう言ったらいいんだろう。
マイナ姉さんはそもそもギルドカードを持ってるからそれでいいけど、俺やベルがクラスをでっちあげるなんてのはなんとなく騙す感じになるのが引っかかる。
……まあいいか。素直にそのまま言うほうが相手も安心するだろう。
「クラスはないです」
「ない? そなたは探索者ではないということなのか?」
「ええ。どちらかというとマイナ…… さんの付き添いというか」
「そなたらは某を謀っておるのか?」
「大丈夫。――彼らは信用に足るメンバーです」
静かに声をあげるマイナ姉さんの迫力に、女性は一瞬反論しそうになった意見をぐっと飲み込んだ。
「……某はロレンシナ領にある探索者ギルドを拠点に活動する探索者。名をミサオ・タケミツを申す」
銀髪の女性、ミサオは小さく会釈する。
「クラスはローニン。ジッポン特有の武器であるカタナを用いた特殊剣術を主軸に戦う、物理系の近接職を生業としている」
「その格好で近接剣術ができるんですか?」
俺は思わず突っ込んだ。
近接職とは主に手持ち武器でモンスターに戦いを挑む職業で、アンカー教授の刺突剣士などが分類される。
だがそのどれも身にまとう装備は軽いもの、動きを制限されないものがほとんどである。
彼女が来ている袴という服装はぼてっとしていて体のラインすらわからず、足元に至っては履物がギリギリ見える程度まで裾が広がり、自分ですぐ下の地面が見れないほどだ。
「全く問題ない。むしろローニンの正装でもある」
「それは、失礼しました」
どうやら浅慮だったようだ。異国の戦闘服は見た目では分からないということか。
いや、分からない、がこの服の真骨頂なのかもしれない。
「で、マイナ殿の付き添いというのは?」
「――私が彼らの依頼を受けようと思ったんですが、少し遠方の話で。土地勘のある人を探しているのです」
うまい。
それなら俺たちが付き添いという表現も無理はないし、相手の情報も引き出しやすい。
「ギルドにロレンシナ領の案内人を探してもらおうと―― そこに、あなたが」
「これは巡り合わせ! 実は助けていただきたい方がおられるのです!」
「あっ、あたしたちも人探しに行くんです」
「なんと、もしかして…… ケイブリッチ学園に縁ある人物であられるか?」
ミサオさんはそう言うと、懐から銀色の塊を取り出し、テーブルに置いた。
「これ、教授の『身代わりのアミュレット』じゃないですか!」
「なんと!? アンカー殿をご存知か!」
出来すぎてる。
だが渡りに船とはこの事だ。こちらも話に乗るしかない。
「これをどこで?」
「ロレンシナの南部、ジッポンにほど近いフジタカ山脈にある迷宮で渡され申した。某らが謎の集団に襲われておるところを助けていただいたまではよかったのですが、追っ手を巻けず、かの方が代わりに囮を買って出て……」
「某『ら』ってことは、パーティで動いてたんですか?」
「左様。フジタカ山脈に点在する迷宮の探索依頼を受けた故に、四名の人員を率いておりました。その際に一人がアンカー殿と一緒に……」
「でも、――今あなた一人なのはなぜ?」
マイナ姉さんが人数を指摘すると、ミサオさんはバツが悪そうに俯きつつ続けた。
「実は…… 某らはまだ未熟故、路銀を全員分捻出することが難しく、某のみが馳せ参じた次第でござる」
「え? 転送円とかは?」
「恥ずかしながら、某らの団員に魔術師は不在でござって……」
姉妹がそれぞれ質問するたびに彼女はどんどん小さくなっていく。なんというか、不運に不運が重なったとでも言うんだろうか。
「で、教授と別れてからどれぐらい経ってるんですか?」
「ふむ、列車に揺られること丸二日は経ってる計算でござる」
ということは、ギリギリ研修旅行の帰りで合流できたかもしれない、ってところか?
なにやってんだよ教授……
「でも―― どうやってそこまで行こう?」
「え? 列車で行けばいいんじゃないかしら」
「ベル、あの距離に追加で乗るとなるとこれくらい掛かるんだけど……」
俺は両手で数字を作る。
「え!? ディグの一週間分の給料じゃない!」
俺も教授から聞いて驚いたのを思い出した。
列車の稼働に必要な魔導結晶は結構高価なんだよな。
「ねえお姉ちゃん、ディグの部屋を繋いだみたいにロレンシナの何処かへ転送円を繋ぐことってできないの?」
「知らない場所へ繋ぐのは無理―― 少なくとも一度は見る必要がある」
「某が転送円を作れれば一番良いのでござるが……」
そういえば。
「こっちの迷宮で、既にロレンシナの何処かに繋がった転送円があればいいんだよな?」
「心当たりがあるでござるか!?」
「どうかな、望み薄だけど……」
◇
『ないよ』
「……ないか」
俺達は教授の家に来た。
そこは元迷宮で、核として住み着いている迷宮くらいのゼツリンに、ロレンシナへ繋がる転送円を持ってないか聞きに来たのだが、答えは予想通りというか。
『着眼点はいいけど、ボクもそこまで守備範囲は広くないよ』
「クソ、振り出しに戻ったか」
『……そうだね、その子の知ってる迷宮は魅力的なのかな』
相変わらずの猫なで声で新顔のミサオさんに迫る。
「たまたま『採集素材の調査』を請け負っただけで小さい洞窟型でござるゆえ、特に魅力が、とは」
『ふむ、素朴で小さく可愛らしい、と』
「……!?」
「あ、こいつは『そういう』癖の存在なんだ」
『失敬だな。キミもおいしそうなご飯があったら味見くらいはしたいと思うだろ?』
「お前の場合は正しいんだけど、対象がなぁ」
『あーあ、いいのかな? ボクがその迷宮とココを繋ぐことだって不可能じゃないのに』
……なんだって!?
「――詳しく」
『キミは?』
「私は法術士。――転送円に精通もしてる」
『へえ、じゃあキミが魔術式を構築してくれる?』
「でも私には、転送先のことが分からない――」
『そこで』
ゼツリンはミサオ肩を叩く。
『彼女の中にある記憶を使う』
「そ、某の!?」
なーんか嫌な予感がしてきた。
少し前、教授転送円について聞いたことがあったな。
なんだったけ?
迷宮同士の、何かの跡だったはず……
『あ、でこの子は魔術師じゃないのか。マナが少し足りないな』
「じゃあ、あたしがマナを足すわ」
ベルが声を上げる。彼女錬金術も造詣が深いから問題ないだろう。
『いいねいいね。じゃあ転送円を作る準備をしよう』
そう言うとゼツリンは自身の迷宮の奥へと入っていく。
その先の何も無い壁に手を置くと、壁は音もなく小さな祭壇を持つ小部屋に変わった。
「迷宮の核はこんな事もできるのか?」
『まさか。ボク専用のベッドをここに繋いだだけだよ』
あ、思い出した。転送円って確か……
『ちなみに、キミたちは迷宮同士を繋ぐ転送円がどういう意味を持つか知ってるかい?』
「待てゼツリン! やっぱりヤバい気がする」
「何を仰るか! 某らは早々に彼の地へ向かわねばなりませぬ!」
『そうだよ、さ。キミとキミは祭壇に立って』
ゼツリンは石でできた台の上にベルとミサオさんを立たせた。どこの迷宮でも見る、転送円が置かれた台座だ。
『いいね。美女二人、絵になってる』
「何を始めるの――?」
『儀式さ。転送円はいわば迷宮同士、その身を繋ぐ行為だ。ボクらはそれの出会いを助けてあげるんだ』
「ふむ――」
『お二人さんはもうちょっとくっついて』
ゼツリンは祭壇の二人をさらにくっつけさせる。
……最悪の事態だけは止めなければ。
『んー、やっぱりここは…… キミかな』
「え?」
ゼツリンニコッと俺に笑いかける。
『キミもベッドに上がってよ』
「は? なんで?」
するとゼツリン俺の耳元で、他の人に聞こえないよう慎重に囁いた。
『好きな子を、誰かに犯されたくないでしょ』
「!!!」
俺は迷いなく祭壇に立った。
「ど、どうしたのディグ?」
「何でもない。大丈夫」
「――??」
もしかして二人は知らない?
『じゃあ、法術士のキミ、術式の序文をお願いするよ』
「――わかった」
マイナ姉さんが魔法を唱え始める。言霊が祭壇を囲うようにたゆたい始めると、周囲のマナがほのかに紫の光を放ち始めた。
『じゃあ、キミは行きたい迷宮のことを思い出して』
「こ、心得た」
ミサオさんは目をつぶって瞑想状態に入る。生まれついての所作なのかその姿が堂に入ったように見えて少しかっこいいなと思ってしまった。
『じゃあ、まずキミたちのマナをシンクロさせよう』
ゼツリンがそういうと、俺の視界がぐねっと歪んだ。
「きゃぁあっ! なに、なにこれ!」
「これ…… あの時のやつか」
体が不安定になった状態。始めてゼツリンに会ったときもこうなった。今思うと転送円に乗ってすぐの状態と同じな気がする。
違いは、この状態で留まってしまうことだ。
「ベル! 自分の体を思い浮かべろ!」
「え? え? ディグ? そこにいるの??」
「多分、転送円の設置が始まったんだ。マナの中に混ざらないように自分を強く持つんだ!」
「え、えっと……」
早々に体を取り戻した俺は、ベルのマナが収束していくのを見守った。
「いいぞ、その調子」
腕が、上半身が、頭が形になって整う。徐々に下半身も伸びて足が作られると、ほぼ普段通りの彼女がマナの奔流に浮かび上がった。
ただし、裸で。
「あのバカ……」
「ねえ、なんであんた裸なの?」
「ここはマナだけの世界だから、物理的なものは作り出せないんだよ…… って、見えてる?」
「あんたね、自分だけがマナ操作得意と思わないでくれる?」
「そういうお前も裸なんだけ、ど……」
あれおかしいな。
こいつ、普段よりプロポーションよくないか?
いや、別に普段からベルの裸を見てるわけじゃないけど、どこか胸も尻も大きいし、腰やお腹周りがスラッとしてる。
「なに? どこかおかしい?」
「いや、変というか……」
『お、準備いいみたいだね』
そこへ空気を読まず乱入するゼツリン。
『きゃっ! と、突然出てこないでよ』
「ふふふ。初々しいキミたちを見てたら出てくるタイミングがわかんなくって」
嘘だ絶対おっ始まるまで待ってたぞ。
「で、あたし達は何をすればいいの?」
『言ったろ? キミらのマナを同調させてくれればいいのさ』
「それはやったことないな…… コツとかあるのか?」
『キミらは今マナの塊なんだ。触れ合ったり、キスしたり、思うまま求め合えばいいさ』
「も、求めあっ!?」
ベルの顔が真っ赤に染まる。
俺もこの間のことを思い出すと、体が熱くなるのを感じる。
『おお、いいね。その心の高ぶり。ボクもゾクゾクするよ』
「う、うるさい! ディグ、とっとと合わせて!」
「お、おう」
俺はベルが差し出した手を握る。実体はないはずなのに仄かな汗すら感じる温かな手を――
「あ、あれ!?」
「ちょ、何? どうなってるの!?」
『あら、キミたち体の相性すごくいいね。初めてなのにまるで長年連れ添った夫婦みたいだよ』
ずぶぶ、と俺の手とベルの手が重なった。言葉の通り融合したかのように一つになり、その部分を通して彼女の鼓動が伝わるかのようだ。
何より、気持ちいい。
「え、ディグの、大きい……」
「ベルの中すごく、熱い」
もっと奥へ。もっと深く重なりたい。
俺は一歩、また一歩彼女に近づく。
ないはずの心臓が強く鼓動する。血液が体を巡り、さらに彼女を求める。
「うそ、ほとんど入った……?」
俺の体はどんどん彼女の中に吸い込まれていく。気が付くと右腕と右足はほぼ彼女と同化してしまっていた。
『ああその辺でいいよ。次はこっちだ』
ゼツリンは俺の首を掴むと、それをやはりマナの塊になったミサオさんの胸に押し付けた。
「ふぐっ!?」
『ああ、大丈夫だよ。キミはそこから彼女の記憶を手繰って、目的の迷宮がある場所を特定するんだ』
「か、簡単に言いやがっ……」
悪態をつぶやく口が唐突に途切れた。何故なら、言うが早いかミサオさんの記憶が俺の脳裏を占領し始めたからだ。
「う、あ、これ、なんだぁ!?」
『同調の効果だよ。キミは二人の女性と繋がってるのさ』
やばい、記憶と同時に快感も溢れてきている。
人と繋がる快楽が目的を忘れそうになる。抗いがたい気持ちよさに体が持っていかれそうだ。
「く、そっ! どこだ!」
気持ちよさが苦しいという謎の状況の中、ミサオさんの記憶からアンカー教授の断片を唐突に発見した。
「あった、ここだ!」
『よし、外のキミ、転送円を繋いで』
「――了解」
ぶわっ、と体が浮き上がる感覚に襲われる。
魂が肉体を得て重力を獲得した時の感覚だ。
「っぷはぁ! 戻ったのか?」
「ったい! ……あら、元の部屋?」
「ここは、あれ? 一瞬あの場所に居たような気がしたんでござるが」
『よし、ここからはボクの仕事だな』
ウキウキ顔でとぷん、とゼツリンは転送円の中に入る。
直後、『えぇ!?』とか『久しぶりの……』とか『つ、繋ぐだけ! それ以上はぁぁ!』とか聞こえてきた。主にゼツリンの声で。もう一つ聞こえた声は…… あえて想像したくない。
「……何しに行ったのかしら」
「多分聞かないほうがいいと思う」
数分後、ひどく疲れ切ったゼツリンが戻ってきた。
『なんとか終わったよ』
「助かったぜ、ゼツリン! って、ヘトヘトそうだな」
『ああ、向こうも歴戦の猛者だったよ。少し休ませてくれ』
そう言うとゼツリンは迷宮の中へと消えていった。
何があったかは、あえて聞くまい。
「――私、マイナ・ラクナーシャと申します。クラスは法術師」
「あたしはベルと申します。クラスは、ええと、錬金医術師、です」
「えーと。俺はディグラッド。クラスは……」
こういう場合、どう言ったらいいんだろう。
マイナ姉さんはそもそもギルドカードを持ってるからそれでいいけど、俺やベルがクラスをでっちあげるなんてのはなんとなく騙す感じになるのが引っかかる。
……まあいいか。素直にそのまま言うほうが相手も安心するだろう。
「クラスはないです」
「ない? そなたは探索者ではないということなのか?」
「ええ。どちらかというとマイナ…… さんの付き添いというか」
「そなたらは某を謀っておるのか?」
「大丈夫。――彼らは信用に足るメンバーです」
静かに声をあげるマイナ姉さんの迫力に、女性は一瞬反論しそうになった意見をぐっと飲み込んだ。
「……某はロレンシナ領にある探索者ギルドを拠点に活動する探索者。名をミサオ・タケミツを申す」
銀髪の女性、ミサオは小さく会釈する。
「クラスはローニン。ジッポン特有の武器であるカタナを用いた特殊剣術を主軸に戦う、物理系の近接職を生業としている」
「その格好で近接剣術ができるんですか?」
俺は思わず突っ込んだ。
近接職とは主に手持ち武器でモンスターに戦いを挑む職業で、アンカー教授の刺突剣士などが分類される。
だがそのどれも身にまとう装備は軽いもの、動きを制限されないものがほとんどである。
彼女が来ている袴という服装はぼてっとしていて体のラインすらわからず、足元に至っては履物がギリギリ見える程度まで裾が広がり、自分ですぐ下の地面が見れないほどだ。
「全く問題ない。むしろローニンの正装でもある」
「それは、失礼しました」
どうやら浅慮だったようだ。異国の戦闘服は見た目では分からないということか。
いや、分からない、がこの服の真骨頂なのかもしれない。
「で、マイナ殿の付き添いというのは?」
「――私が彼らの依頼を受けようと思ったんですが、少し遠方の話で。土地勘のある人を探しているのです」
うまい。
それなら俺たちが付き添いという表現も無理はないし、相手の情報も引き出しやすい。
「ギルドにロレンシナ領の案内人を探してもらおうと―― そこに、あなたが」
「これは巡り合わせ! 実は助けていただきたい方がおられるのです!」
「あっ、あたしたちも人探しに行くんです」
「なんと、もしかして…… ケイブリッチ学園に縁ある人物であられるか?」
ミサオさんはそう言うと、懐から銀色の塊を取り出し、テーブルに置いた。
「これ、教授の『身代わりのアミュレット』じゃないですか!」
「なんと!? アンカー殿をご存知か!」
出来すぎてる。
だが渡りに船とはこの事だ。こちらも話に乗るしかない。
「これをどこで?」
「ロレンシナの南部、ジッポンにほど近いフジタカ山脈にある迷宮で渡され申した。某らが謎の集団に襲われておるところを助けていただいたまではよかったのですが、追っ手を巻けず、かの方が代わりに囮を買って出て……」
「某『ら』ってことは、パーティで動いてたんですか?」
「左様。フジタカ山脈に点在する迷宮の探索依頼を受けた故に、四名の人員を率いておりました。その際に一人がアンカー殿と一緒に……」
「でも、――今あなた一人なのはなぜ?」
マイナ姉さんが人数を指摘すると、ミサオさんはバツが悪そうに俯きつつ続けた。
「実は…… 某らはまだ未熟故、路銀を全員分捻出することが難しく、某のみが馳せ参じた次第でござる」
「え? 転送円とかは?」
「恥ずかしながら、某らの団員に魔術師は不在でござって……」
姉妹がそれぞれ質問するたびに彼女はどんどん小さくなっていく。なんというか、不運に不運が重なったとでも言うんだろうか。
「で、教授と別れてからどれぐらい経ってるんですか?」
「ふむ、列車に揺られること丸二日は経ってる計算でござる」
ということは、ギリギリ研修旅行の帰りで合流できたかもしれない、ってところか?
なにやってんだよ教授……
「でも―― どうやってそこまで行こう?」
「え? 列車で行けばいいんじゃないかしら」
「ベル、あの距離に追加で乗るとなるとこれくらい掛かるんだけど……」
俺は両手で数字を作る。
「え!? ディグの一週間分の給料じゃない!」
俺も教授から聞いて驚いたのを思い出した。
列車の稼働に必要な魔導結晶は結構高価なんだよな。
「ねえお姉ちゃん、ディグの部屋を繋いだみたいにロレンシナの何処かへ転送円を繋ぐことってできないの?」
「知らない場所へ繋ぐのは無理―― 少なくとも一度は見る必要がある」
「某が転送円を作れれば一番良いのでござるが……」
そういえば。
「こっちの迷宮で、既にロレンシナの何処かに繋がった転送円があればいいんだよな?」
「心当たりがあるでござるか!?」
「どうかな、望み薄だけど……」
◇
『ないよ』
「……ないか」
俺達は教授の家に来た。
そこは元迷宮で、核として住み着いている迷宮くらいのゼツリンに、ロレンシナへ繋がる転送円を持ってないか聞きに来たのだが、答えは予想通りというか。
『着眼点はいいけど、ボクもそこまで守備範囲は広くないよ』
「クソ、振り出しに戻ったか」
『……そうだね、その子の知ってる迷宮は魅力的なのかな』
相変わらずの猫なで声で新顔のミサオさんに迫る。
「たまたま『採集素材の調査』を請け負っただけで小さい洞窟型でござるゆえ、特に魅力が、とは」
『ふむ、素朴で小さく可愛らしい、と』
「……!?」
「あ、こいつは『そういう』癖の存在なんだ」
『失敬だな。キミもおいしそうなご飯があったら味見くらいはしたいと思うだろ?』
「お前の場合は正しいんだけど、対象がなぁ」
『あーあ、いいのかな? ボクがその迷宮とココを繋ぐことだって不可能じゃないのに』
……なんだって!?
「――詳しく」
『キミは?』
「私は法術士。――転送円に精通もしてる」
『へえ、じゃあキミが魔術式を構築してくれる?』
「でも私には、転送先のことが分からない――」
『そこで』
ゼツリンはミサオ肩を叩く。
『彼女の中にある記憶を使う』
「そ、某の!?」
なーんか嫌な予感がしてきた。
少し前、教授転送円について聞いたことがあったな。
なんだったけ?
迷宮同士の、何かの跡だったはず……
『あ、でこの子は魔術師じゃないのか。マナが少し足りないな』
「じゃあ、あたしがマナを足すわ」
ベルが声を上げる。彼女錬金術も造詣が深いから問題ないだろう。
『いいねいいね。じゃあ転送円を作る準備をしよう』
そう言うとゼツリンは自身の迷宮の奥へと入っていく。
その先の何も無い壁に手を置くと、壁は音もなく小さな祭壇を持つ小部屋に変わった。
「迷宮の核はこんな事もできるのか?」
『まさか。ボク専用のベッドをここに繋いだだけだよ』
あ、思い出した。転送円って確か……
『ちなみに、キミたちは迷宮同士を繋ぐ転送円がどういう意味を持つか知ってるかい?』
「待てゼツリン! やっぱりヤバい気がする」
「何を仰るか! 某らは早々に彼の地へ向かわねばなりませぬ!」
『そうだよ、さ。キミとキミは祭壇に立って』
ゼツリンは石でできた台の上にベルとミサオさんを立たせた。どこの迷宮でも見る、転送円が置かれた台座だ。
『いいね。美女二人、絵になってる』
「何を始めるの――?」
『儀式さ。転送円はいわば迷宮同士、その身を繋ぐ行為だ。ボクらはそれの出会いを助けてあげるんだ』
「ふむ――」
『お二人さんはもうちょっとくっついて』
ゼツリンは祭壇の二人をさらにくっつけさせる。
……最悪の事態だけは止めなければ。
『んー、やっぱりここは…… キミかな』
「え?」
ゼツリンニコッと俺に笑いかける。
『キミもベッドに上がってよ』
「は? なんで?」
するとゼツリン俺の耳元で、他の人に聞こえないよう慎重に囁いた。
『好きな子を、誰かに犯されたくないでしょ』
「!!!」
俺は迷いなく祭壇に立った。
「ど、どうしたのディグ?」
「何でもない。大丈夫」
「――??」
もしかして二人は知らない?
『じゃあ、法術士のキミ、術式の序文をお願いするよ』
「――わかった」
マイナ姉さんが魔法を唱え始める。言霊が祭壇を囲うようにたゆたい始めると、周囲のマナがほのかに紫の光を放ち始めた。
『じゃあ、キミは行きたい迷宮のことを思い出して』
「こ、心得た」
ミサオさんは目をつぶって瞑想状態に入る。生まれついての所作なのかその姿が堂に入ったように見えて少しかっこいいなと思ってしまった。
『じゃあ、まずキミたちのマナをシンクロさせよう』
ゼツリンがそういうと、俺の視界がぐねっと歪んだ。
「きゃぁあっ! なに、なにこれ!」
「これ…… あの時のやつか」
体が不安定になった状態。始めてゼツリンに会ったときもこうなった。今思うと転送円に乗ってすぐの状態と同じな気がする。
違いは、この状態で留まってしまうことだ。
「ベル! 自分の体を思い浮かべろ!」
「え? え? ディグ? そこにいるの??」
「多分、転送円の設置が始まったんだ。マナの中に混ざらないように自分を強く持つんだ!」
「え、えっと……」
早々に体を取り戻した俺は、ベルのマナが収束していくのを見守った。
「いいぞ、その調子」
腕が、上半身が、頭が形になって整う。徐々に下半身も伸びて足が作られると、ほぼ普段通りの彼女がマナの奔流に浮かび上がった。
ただし、裸で。
「あのバカ……」
「ねえ、なんであんた裸なの?」
「ここはマナだけの世界だから、物理的なものは作り出せないんだよ…… って、見えてる?」
「あんたね、自分だけがマナ操作得意と思わないでくれる?」
「そういうお前も裸なんだけ、ど……」
あれおかしいな。
こいつ、普段よりプロポーションよくないか?
いや、別に普段からベルの裸を見てるわけじゃないけど、どこか胸も尻も大きいし、腰やお腹周りがスラッとしてる。
「なに? どこかおかしい?」
「いや、変というか……」
『お、準備いいみたいだね』
そこへ空気を読まず乱入するゼツリン。
『きゃっ! と、突然出てこないでよ』
「ふふふ。初々しいキミたちを見てたら出てくるタイミングがわかんなくって」
嘘だ絶対おっ始まるまで待ってたぞ。
「で、あたし達は何をすればいいの?」
『言ったろ? キミらのマナを同調させてくれればいいのさ』
「それはやったことないな…… コツとかあるのか?」
『キミらは今マナの塊なんだ。触れ合ったり、キスしたり、思うまま求め合えばいいさ』
「も、求めあっ!?」
ベルの顔が真っ赤に染まる。
俺もこの間のことを思い出すと、体が熱くなるのを感じる。
『おお、いいね。その心の高ぶり。ボクもゾクゾクするよ』
「う、うるさい! ディグ、とっとと合わせて!」
「お、おう」
俺はベルが差し出した手を握る。実体はないはずなのに仄かな汗すら感じる温かな手を――
「あ、あれ!?」
「ちょ、何? どうなってるの!?」
『あら、キミたち体の相性すごくいいね。初めてなのにまるで長年連れ添った夫婦みたいだよ』
ずぶぶ、と俺の手とベルの手が重なった。言葉の通り融合したかのように一つになり、その部分を通して彼女の鼓動が伝わるかのようだ。
何より、気持ちいい。
「え、ディグの、大きい……」
「ベルの中すごく、熱い」
もっと奥へ。もっと深く重なりたい。
俺は一歩、また一歩彼女に近づく。
ないはずの心臓が強く鼓動する。血液が体を巡り、さらに彼女を求める。
「うそ、ほとんど入った……?」
俺の体はどんどん彼女の中に吸い込まれていく。気が付くと右腕と右足はほぼ彼女と同化してしまっていた。
『ああその辺でいいよ。次はこっちだ』
ゼツリンは俺の首を掴むと、それをやはりマナの塊になったミサオさんの胸に押し付けた。
「ふぐっ!?」
『ああ、大丈夫だよ。キミはそこから彼女の記憶を手繰って、目的の迷宮がある場所を特定するんだ』
「か、簡単に言いやがっ……」
悪態をつぶやく口が唐突に途切れた。何故なら、言うが早いかミサオさんの記憶が俺の脳裏を占領し始めたからだ。
「う、あ、これ、なんだぁ!?」
『同調の効果だよ。キミは二人の女性と繋がってるのさ』
やばい、記憶と同時に快感も溢れてきている。
人と繋がる快楽が目的を忘れそうになる。抗いがたい気持ちよさに体が持っていかれそうだ。
「く、そっ! どこだ!」
気持ちよさが苦しいという謎の状況の中、ミサオさんの記憶からアンカー教授の断片を唐突に発見した。
「あった、ここだ!」
『よし、外のキミ、転送円を繋いで』
「――了解」
ぶわっ、と体が浮き上がる感覚に襲われる。
魂が肉体を得て重力を獲得した時の感覚だ。
「っぷはぁ! 戻ったのか?」
「ったい! ……あら、元の部屋?」
「ここは、あれ? 一瞬あの場所に居たような気がしたんでござるが」
『よし、ここからはボクの仕事だな』
ウキウキ顔でとぷん、とゼツリンは転送円の中に入る。
直後、『えぇ!?』とか『久しぶりの……』とか『つ、繋ぐだけ! それ以上はぁぁ!』とか聞こえてきた。主にゼツリンの声で。もう一つ聞こえた声は…… あえて想像したくない。
「……何しに行ったのかしら」
「多分聞かないほうがいいと思う」
数分後、ひどく疲れ切ったゼツリンが戻ってきた。
『なんとか終わったよ』
「助かったぜ、ゼツリン! って、ヘトヘトそうだな」
『ああ、向こうも歴戦の猛者だったよ。少し休ませてくれ』
そう言うとゼツリンは迷宮の中へと消えていった。
何があったかは、あえて聞くまい。
1
あなたにおすすめの小説
盾の間違った使い方
KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。
まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。
マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。
しかし、当たった次の瞬間。
気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。
周囲は白骨死体だらけ。
慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。
仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。
ここは――
多分、ボス部屋。
しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。
与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる
【異世界ショッピング】。
一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。
魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、
水一滴すら買えない。
ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。
そんな中、盾だけが違った。
傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。
両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。
盾で殴り
盾で守り
腹が減れば・・・盾で焼く。
フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。
ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。
――そんなある日。
聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。
盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。
【AIの使用について】
本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。
主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。
ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。
ESCAPE LOVE ―シブヤの海に浮かぶ城―(全文公開)
まゆり
青春
フミエは中高一貫の女子高の3年生。
長身で面倒見がよく、可愛いと言われたことがなくて、女子にはめちゃくちゃモテる。
学校帰りにシブヤで、超かわいいエリカちゃんの失恋話を聞いていたら、大学生の従兄であるヒロキに偶然会い、シブヤ探訪に繰り出し、予行練習にラブホに入ってみようということになり…。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる
静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】
【複数サイトでランキング入り】
追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語
主人公フライ。
仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。
フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。
外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。
しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。
そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。
「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」
最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。
仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。
そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。
そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。
一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。
イラスト 卯月凪沙様より
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる