【完結】もう二度と、あなた達のことは愛しませんから。

不死じゃない不死鳥(ただのニワトリ)

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9話

「どうだい?久々の外は」


「・・・・・・」


馬車に揺られ私は外出している。
隣ではポルコが楽しそうにしていた。


行き先は私の故郷。
父様が統治する領土だ。


私の心を砕くために見せたいモノがあるらしい。


本当に性格の悪い人間だとおもった。


「ほら、見えてきたよ」


父の統治する領土の近づいていく。
私は窓に張り付いて、外を見つめた。


「なに、これ?」


「借金が増えていた理由さ。娘を担保に借りた金で、作ったんだよ」


見えてきたのは大きな工場であった。
1年前までは見たこともなかった生産工場。


何かを作っているようだ。


父の領地にはたくさんの馬車や人々が行き交い始めている。
すでにそこには、私の知る故郷はなかった。


「最近、一気に大きくなっているらしいよ?」


ポルコは少し不満げだ。


彼の話によると、私がポルコの家で暮らし始めた後、父は工場を建設し始めたらしい。
最初うちはしっかり借金を返済していたのだが、時間がたつにつれて逆に借りるようになっていたとのことだ。



「君の父様は君より工場を選んだ。それだけさ。みてみみ」


ポルコが馬車の外を指さした。
指さした先を見る。


そこには父と、母と、妹がいた。
工場を視察していた。


高級なブランド品をきて、三人で仲良く工場をみつめていた。
まるで、担保にしている姉の存在など忘れてるかのように。


「ああ、あああああ!」


思わず悲鳴が出た。


「お父様!あたらしいドレスがほしいの!」


「構わんよ。そろそろアイリスもおねえちゃんになるんだ。そのくらいないとなあ」


「そうね。早く産まれてきてほしいわねえ」


母は自分のお腹をさすっていた。
とても大きくなったお腹を、さすっていた。
愛おしそうに見つめながら。


新しい、命があそこにいるのだ。
3人目の子どもの命が、母の中に。


「おもしろかったよ?子どもは一人増えるから、構わないと言ってきたときは」


ポルコが私の頭を優しくなでた。
私はその手を振りはらう気力もなかった。



「ウソだですこんなの、ウソです!何かの間違いですよ!」


涙で視界がゆがむ。
声が震えて、嗚咽が止まらない。


「父様!母様!アイリス!」


どうしてこんなことになるのだ。
私はみんながケンカをしないで、笑顔でいて欲しかっただけなのに。


そのために嫌な事にも耐えていたというのに。


それなのに。
それなのに!


私の声は届かない。
新しい家族を迎えよとしている、三人には。


「やだああああああああ!」


私の悲鳴は、工場の騒音に消えていった。


馬車が帰路に着く。


帰り道はただ横になっていた。
涙が勝手に流れてきた。


ポルコはそんな私を優しくなで続ける。
彼の思惑通り、私の心は完全に壊れてしまった。


もう、頑張れない。
何を目標に生きればいいのだ。


(アリス、ごめんね。約束、果たせそうにないや)


先に自由になった友達の顔を思い出す。
私も自由になったら、外で会おうと約束した同期の顔を。


彼女は、今どうしているのだろうか。


家族と再会できているのだろうか。
ただ、それがうらやましくてしかたがなかった。


「ああ!フレデリカ!」


屋敷に帰り、涙を枯らし人形になった私をみるとメイド長が駆け寄ってきた。
そして私を力一杯抱きしめてくれた。


「旦那様、これはあんまりです」


「ただ現実を見せただけだ。どうせいつかは知ることになったよ」


「大丈夫。大丈夫よ。私は、あなたの味方だからね」


メイド長はいつもの硬い表情を崩し、私のために泣いてくれていた。
私の事を気にもせず、笑っていた家族と違って。


どちらが本当の家族なのか。
私は疑問に思わずにはいられなかった。


夜。


ポルコの部屋に行く。


「どうした、フレデリカちゃん?」


ポルコはニヤニヤとしながら私の事を見つめていた。
本当に気色の悪い豚であった。


けれど、まだ豚であるだけ、コイツはマシだった。


だって、私の家族は、人の形をしただけの悪魔だったのだから。
豚よりもたちが悪くて、害である存在だ。


「ポルコ、契約を」


「契約?」


「私の、すべてを捧げます」


ポルコは私の顔を以外そうに見つめた。
そして驚いた様に駆け寄っていて私を抱きしめる。


「やっとか!やっと僕のものになってくれるんだね!」


くさい息に、いやらしい手。
近くにいるだけで、嫌悪感があふれ出てくる。


でも、今の私には、コイツが必要だった。
この豚が持つお金と権力が、必要なのだ。


「だから、お願いです」


「なんだい?」


「あの裏切り者達を、地獄に落として」
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