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15話
数日後。
私は2年ぶりに実家へと足を運んだ。
馬車に揺られながら父の統治する領地へと足を運ぶ。
村へと続く道に人陰はなかった。
1年前に見たあの発展ぶりがウソのようだ。
工場が見えてくる。
工場は稼働している様子はなかった。
私達に多くの優秀な労働者とシェアを奪われた末路だ。
父にお金を供給していた資金源。
最初に潰しておいて本当に良かったと思う。
実家の前に馬車が止まる。
降りて実家を見つめてみると、それはひどいモノだった。
まるで廃墟だ。
窓や扉などがすべてない。
売れそうなものはすべて取られてしまったらしい。
そうなるくらいなら家ごと売ればいいものを。
代々継いできた家を売りたくないという意地を張った結果、このざまだ。
歩き、屋敷の中へと入る。
数名の護衛とメイドさんとともに。
「お金なら、ないですよ」
すぐに女の子の声が聞こえてきた。
声の方を向く。
するとそこには妹のアイリスがいた。
2年ぶりの再会だ。
かなり彼女は大きくなっていた。
腕には赤ちゃんが抱えられていた。
アイリスはこちらをにらみつけている。
私達を借金取りだと思っているようだ。
(まあ、違わないけどね)
「ひさしぶり、大きくなったね、アイリス」
「・・・姉さん?」
私が声を掛ける。
するとアイリスはすぐに気づいたようだ。
じわりと目に涙が浮かぶ。
顔には悲しみ、怒り、苦痛といった様々な感情が交じっていた。
でも、それでも、彼女は私のもとに駆け寄ってくる。
「会いたかった、会いたかったよお」
「・・・・・・」
泣きじゃくりながらアイリスはひざまずく。
そして片手でアルトを抱え、もう片方の手で私の足を掴んだ。
アルトはスヤスヤと眠っている。
私はそんな二人を、ただ静かに見つめていた。
(さて、どうしてやろうか)
この二人に対しての感情は複雑だ。
二人は私の代わりに両親にたくさんかわいがられた。
そのことについての嫉妬はある。
だが、アルトには何もするつもりはない。
憎いという感情は確かにあるが、彼は無実だ。
産まれてきたことを、罪とはしたくなかった。
アイリスについては、迷っている。
彼女は状況を理解しながら、両親に従った。
まだ反抗できる年齢ではなかったのは確か。
でも、到底私の味方だとは思うことはできない。
ギュルギュルとアイリスのお腹が鳴った。
どうやらしばらく何も食べていないようだ。
顔色も悪い。
頬も明らかにこけていた。
「姉さん?」
「あなたには、チャンスをあげる」
「な、何の話?」
「私の元で働いて。そしてその働きで、今後の処分を決めてあげる。どう?」
私はアイリスに提案した。
処分をしても、許しても納得はできない。
ならどちらを選ぶか彼女に選ばせてやる。
しっかりと心を入れ替えれば許す。
そうでないなら両親と同じ末路を迎えさせてやる。
それが、私の決定だった。
アイリスは私の提案にコクコクと頭を縦に振った。
交渉成立のようだ。
「二人を馬車に。父様と母様は?」
「こ、この先の部屋に」
「わかった。ありがとう」
私は二人のことをメイドさん達に任せて前に進む。
護衛には待機を命じた。
一人で部屋の中に入る。
「おひさしぶりです、ただいま帰りました」
そして笑顔で部屋の中の人物達に挨拶をした。
「・・・どの面をさげて、ここに来た」
部屋の中の人物は、こちらをにらみつけている。
すでに私が来ているのには気づいていたようだ。
低い声で私に向かって告げてきた。
彼はボロボロの衣服を身にまとい。
何も無い下手の地べたに座り。
安い酒をあおって酔っている。
私はそんな人に対して満面な笑みを浮かべる。
そして精一杯の明るい声で言ってやるのだ。
「この面ですよ。お元気そうでなによりです、お父様」
私を裏切った、父に向かって。
私は2年ぶりに実家へと足を運んだ。
馬車に揺られながら父の統治する領地へと足を運ぶ。
村へと続く道に人陰はなかった。
1年前に見たあの発展ぶりがウソのようだ。
工場が見えてくる。
工場は稼働している様子はなかった。
私達に多くの優秀な労働者とシェアを奪われた末路だ。
父にお金を供給していた資金源。
最初に潰しておいて本当に良かったと思う。
実家の前に馬車が止まる。
降りて実家を見つめてみると、それはひどいモノだった。
まるで廃墟だ。
窓や扉などがすべてない。
売れそうなものはすべて取られてしまったらしい。
そうなるくらいなら家ごと売ればいいものを。
代々継いできた家を売りたくないという意地を張った結果、このざまだ。
歩き、屋敷の中へと入る。
数名の護衛とメイドさんとともに。
「お金なら、ないですよ」
すぐに女の子の声が聞こえてきた。
声の方を向く。
するとそこには妹のアイリスがいた。
2年ぶりの再会だ。
かなり彼女は大きくなっていた。
腕には赤ちゃんが抱えられていた。
アイリスはこちらをにらみつけている。
私達を借金取りだと思っているようだ。
(まあ、違わないけどね)
「ひさしぶり、大きくなったね、アイリス」
「・・・姉さん?」
私が声を掛ける。
するとアイリスはすぐに気づいたようだ。
じわりと目に涙が浮かぶ。
顔には悲しみ、怒り、苦痛といった様々な感情が交じっていた。
でも、それでも、彼女は私のもとに駆け寄ってくる。
「会いたかった、会いたかったよお」
「・・・・・・」
泣きじゃくりながらアイリスはひざまずく。
そして片手でアルトを抱え、もう片方の手で私の足を掴んだ。
アルトはスヤスヤと眠っている。
私はそんな二人を、ただ静かに見つめていた。
(さて、どうしてやろうか)
この二人に対しての感情は複雑だ。
二人は私の代わりに両親にたくさんかわいがられた。
そのことについての嫉妬はある。
だが、アルトには何もするつもりはない。
憎いという感情は確かにあるが、彼は無実だ。
産まれてきたことを、罪とはしたくなかった。
アイリスについては、迷っている。
彼女は状況を理解しながら、両親に従った。
まだ反抗できる年齢ではなかったのは確か。
でも、到底私の味方だとは思うことはできない。
ギュルギュルとアイリスのお腹が鳴った。
どうやらしばらく何も食べていないようだ。
顔色も悪い。
頬も明らかにこけていた。
「姉さん?」
「あなたには、チャンスをあげる」
「な、何の話?」
「私の元で働いて。そしてその働きで、今後の処分を決めてあげる。どう?」
私はアイリスに提案した。
処分をしても、許しても納得はできない。
ならどちらを選ぶか彼女に選ばせてやる。
しっかりと心を入れ替えれば許す。
そうでないなら両親と同じ末路を迎えさせてやる。
それが、私の決定だった。
アイリスは私の提案にコクコクと頭を縦に振った。
交渉成立のようだ。
「二人を馬車に。父様と母様は?」
「こ、この先の部屋に」
「わかった。ありがとう」
私は二人のことをメイドさん達に任せて前に進む。
護衛には待機を命じた。
一人で部屋の中に入る。
「おひさしぶりです、ただいま帰りました」
そして笑顔で部屋の中の人物達に挨拶をした。
「・・・どの面をさげて、ここに来た」
部屋の中の人物は、こちらをにらみつけている。
すでに私が来ているのには気づいていたようだ。
低い声で私に向かって告げてきた。
彼はボロボロの衣服を身にまとい。
何も無い下手の地べたに座り。
安い酒をあおって酔っている。
私はそんな人に対して満面な笑みを浮かべる。
そして精一杯の明るい声で言ってやるのだ。
「この面ですよ。お元気そうでなによりです、お父様」
私を裏切った、父に向かって。
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