【完結】もう二度と、あなた達のことは愛しませんから。

不死じゃない不死鳥(ただのニワトリ)

文字の大きさ
16 / 16

16話

「お前のせいで、すべてが台無しになった」


「私もお父様のせいで人生がめちゃくちゃになりました」


「だからなんだ!お前は家族の幸せをなんだと思っているんだ!」


「父様こそ、私の事をなんだと思っていたのですか?」


「黙れ!」


父が酒瓶を投げてきた。
首を傾けて避ける。


酒瓶は壁にぶつかって崩れた。
避けなければ顔面に直撃していただろう。


実の娘に、なんということをするのだ。


「お前さえ、お前さえ邪魔をしなければ」


「母様はどこに?」


「消えたよ。俺を裏切ってどこかに行ってしまった。領民の奴らの罵声に耐えれなかったんだ。あいつら調子がいいときはさんざんおだててたくせに。悪くなったとたんに手のひらを返しやがった。馬鹿だの、娘を売ったクズだの、俺の気持ちも知らないで、散々罵ってきやがる」


「そうですか」


「お前のせいだ」


父は言葉をつぶやく。


「あの変態に好き勝手やれていればよかったものを。それが一番お似合いだろう。いいや、今も好き勝手されてるんだろう?お前に工場が経営出来るわけないものな。汚れた売女め。消え失せろ」


「あら?お言葉には気をつけたほうがいいですよ?」


私は書類を父に見せつける。


「なんだよ、それ」


「借用書です。父様の借金は私がすべて買い上げました。だからあなたは今、私に借金をしているのですよ?」


「は!だからどうした」


「借りたモノは、返すのが鉄則です。だからあなたには、返していただきます。これからの時間、すべてを犠牲にしてでも」


お願いします、と護衛さんに告げます。
すると護衛さん達が部屋に入って来て父を捕まえました。


このまま体を壊されては困るのです。
だってまだお金を返していただいていないのですから。


「な、なにすんだ!?」


「あなたには私の所有する鉱山で働いていただきます。借金が返し終わるまで、ずっと。安心してください。母様も、必ず見つけ出して送りますので」


「やめろ!離せ!」


「連れていってください」


「母様も必ず見つけ出しましょう。


「フレデリカ!それが産んだ親に対する態度か!この悪魔!売女め!」


父はたくさんの罵声を吐いた。
散々私のことを罵ってくる。


これがもし、愛する人間の言葉であったのならば、辛かっただろう。
涙を流しながら、崩れ落ちていただろう。


でも、今は何も感じなかった。


だって、私はもう彼のことを愛していない。
父などとは思っていない。


ただの裏切り者だ。
人との約束を無下にし、自分だけ幸福を掴む愚か者だ。


そんな人間を、なぜ愛さねばいけないのか。


「頑張ってください。家族皆で。もう二度と、あなた達のことは愛しませんから」


こうして私は父を鉱山へと送った。
父はそこで借金を返し終わるまで働き続けてもらう。


その後、母もすぐに見つけて同じ鉱山に送り込んだ。
私の名前を散々叫んでいたが、容赦はしない。


父と共に仲良く働いてもらっている。


二人で働けば借金を返すスピードは2倍だ。
とても頑張ってほしいと思った。


空になった領地は私のものになった。
とはいえあまり統治している余裕もないので使用人さんにお願いする。


彼は快く引き受けてくれた。
もともとすごく優秀な方だ。


きっとうまくやってくれるだろう。


ただ領民には甘くしすぎないようにとだけ伝えておく。
父がこうなったのも、領民の影響が大きかったから。


同じ轍を踏まないように。
釘はしっかりとさしておく。


「お茶が入りましたよ。姉様」


「ありがとう。ここでの生活には慣れた?アイリス?」


「うん。まだまだ大変だけど、楽しいよ」


ジークを抱きかかえながら、お茶を飲む。
入れてくれたのはアイリスだ。


彼女はうちでメイドとして働いている。
この働き具合で彼女を鉱山送りにするかどうかは決める。


でも、一生懸命やっているようなので、たぶん送らなくて済むだろう。
アルトは私の腕の中でスヤスヤと眠っていた。


唯一の完全な被害者だ。
この子にはこんなドロドロな家族関係を送ってほしくない。


ここできちんと、育てようと思った。


赤ちゃんが珍しいのか、メイドさんの間でもう人気者になっている。
特にメイド長などはデレデレだ。


健やかに育ってほしいと思った。


「フレデリカちゃ~ん。僕にもいっぱいなでなでしてよ~」


・・・ポルコは相変わらずだ。
私がアルトを抱えているのに嫉妬して、自分も抱えて欲しいとせがんでくる。


コイツといたらアルトに悪影響がでそう。
できるだけ同じ部屋にはいさせないようにしようと思う。


「よ!フレデリカ!」


「アリスさん、お久しぶりです」


「おう!元気だったか?驚いたよ、あの豚を手なずけ手なずけちまうなんて」


「案外慣れると可愛いですよ?アリスさんもどうですか?」


「え!!やだやだ!お前もずいぶん毒されてんじゃねえの!」


「ふふふ、そうかもです」


こうして私の復讐は終わった。


お金とは怖いものだ。
よくも悪くもここまで人生を、人を変えてしまうのだから。


借金は計画的に。


みなさんもどうぞお気を付けくださいな。
感想 3

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(3件)

定吉8
2024.04.07 定吉8

面白かった!
ポルコ、根は悪い人ではなかったのね。
メイド長さんとか、ヒロインに救いの余地があって本当に良かった。

解除
Angie
2024.04.07 Angie

サクサク読めましたが、登場人物の名前を間違い過ぎです。

解除
夢駆
2024.04.06 夢駆

豚さん、きちんと筋は通してるし、良い人ですね!
最初はキモイと思ったけど、だんだん愛着が湧いてしました〜笑

解除

あなたにおすすめの小説

真実の愛の裏側

藍田ひびき
恋愛
アレックス・ロートン侯爵令息の第一夫人シェリルが療養のため領地へ居を移した。それは療養とは名ばかりの放逐。 男爵家出身でありながら侯爵令息に見初められ、「真実の愛」と持て囃された彼女の身に何があったのか。その裏に隠された事情とは――? ※ 他サイトにも投稿しています。

【完結】私の事は気にせずに、そのままイチャイチャお続け下さいませ ~私も婚約解消を目指して頑張りますから~

山葵
恋愛
ガルス侯爵家の令嬢である わたくしミモルザには、婚約者がいる。 この国の宰相である父を持つ、リブルート侯爵家嫡男レイライン様。 父同様、優秀…と期待されたが、顔は良いが頭はイマイチだった。 顔が良いから、女性にモテる。 わたくしはと言えば、頭は、まぁ優秀な方になるけれど、顔は中の上位!? 自分に釣り合わないと思っているレイラインは、ミモルザの見ているのを知っていて今日も美しい顔の令嬢とイチャイチャする。 *沢山の方に読んで頂き、ありがとうございます。m(_ _)m

最後に一つだけ。あなたの未来を壊す方法を教えてあげる

椿谷あずる
恋愛
婚約者カインの口から、一方的に別れを告げられたルーミア。 その隣では、彼が庇う女、アメリが怯える素振りを見せながら、こっそりと勝者の微笑みを浮かべていた。 ──ああ、なるほど。私は、最初から負ける役だったのね。 全てを悟ったルーミアは、静かに微笑み、淡々と婚約破棄を受け入れる。 だが、その背中を向ける間際、彼女はふと立ち止まり、振り返った。 「……ねえ、最後に一つだけ。教えてあげるわ」 その一言が、すべての運命を覆すとも知らずに。 裏切られた彼女は、微笑みながらすべてを奪い返す──これは、華麗なる逆転劇の始まり。

【完結】お飾り妃〜寵愛は聖女様のモノ〜

恋愛
今日、私はお飾りの妃となります。 ※実際の慣習等とは異なる場合があり、あくまでこの世界観での要素もございますので御了承ください。

報われない恋の行方〜いつかあなたは私だけを見てくれますか〜

矢野りと
恋愛
『少しだけ私に時間をくれないだろうか……』 彼はいつだって誠実な婚約者だった。 嘘はつかず私に自分の気持ちを打ち明け、学園にいる間だけ想い人のこともその目に映したいと告げた。 『想いを告げることはしない。ただ見ていたいんだ。どうか、許して欲しい』 『……分かりました、ロイド様』 私は彼に恋をしていた。だから、嫌われたくなくて……それを許した。 結婚後、彼は約束通りその瞳に私だけを映してくれ嬉しかった。彼は誠実な夫となり、私は幸せな妻になれた。 なのに、ある日――彼の瞳に映るのはまた二人になっていた……。 ※この作品の設定は架空のものです。 ※お話の内容があわないは時はそっと閉じてくださいませ。

貴方に私は相応しくない【完結】

迷い人
恋愛
私との将来を求める公爵令息エドウィン・フォスター。 彼は初恋の人で学園入学をきっかけに再会を果たした。 天使のような無邪気な笑みで愛を語り。 彼は私の心を踏みにじる。 私は貴方の都合の良い子にはなれません。 私は貴方に相応しい女にはなれません。

悪役令嬢の涙

拓海のり
恋愛
公爵令嬢グレイスは婚約者である王太子エドマンドに卒業パーティで婚約破棄される。王子の側には、癒しの魔法を使え聖女ではないかと噂される子爵家に引き取られたメアリ―がいた。13000字の短編です。他サイトにも投稿します。

条件は飼い犬と一緒に嫁ぐこと

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
恋愛
ダリヤ・ブベーニン伯爵令嬢は、姉のベリンダに虐げられる日々を送っていた。血の繋がらない、元平民のダリヤが父親に気に入られていたのが気に食わなかったからだ。その父親も、ベリンダによって、考えを変えてしまい、今では同じようにダリヤを虐げるように。 そんなある日、ベリンダの使いで宝石商へ荷物を受け取りに行くと、路地裏で蹲る大型犬を見つける。ダリヤは伯爵邸に連れて帰るのだが、ベリンダは大の犬嫌い。 さらに立場が悪くなるのだが、ダリヤはその犬を保護し、大事にする。けれど今度は婚姻で、犬と離れ離れにされそうになり……。 ※この作品はベリーズカフェ、テラーノベルにも投稿しています。