【完結】慰謝料？あるわけないでしょ。 あなたが妹と浮気したのが原因なのですから。

６話

「ねえ！話と全然違うじゃん！」


「知らねえよ！俺だってこうなるなんて知らなかったんだよ！」


ルディの家。
ガルシアとリリィは罵り合う。


お互いの髪を掴む。
まるで猿のケンカのようであった。


数日前まであった愛は、すでにない。
存在するのは醜い憎悪だけであった。


「あなたのせいで借金まで出来ちゃったんだよ！どうしてくれんのよ！」


「それは俺も同じだよ！テメエのみてえなブスと関わったせいでな！」


「ブス！？ブスって言った！？」


ケンカはさらにひどくなる。
花瓶が割れ、家具が崩れる。


家はみるみる傷ついていった。


お互い被害者ずらをしている、
だが一番の被害者はこの家の持ち主であった。


数日後。


彼らは家を強制的に退去させられた。


リリィは実家へ帰るといって、ガルシアと別れる。


ガルシアは無一文になっていた。


あるのはルディへの借金だけだ。


「クソ！」


感情の整理が付かない。
地団駄を踏んだ。


だが、何も起こらない。
起こるはずもない。


「チクショウ！チクショウ！チクショウ！」


ガルシアは決意する。
復讐をしてやると。


自身からすべてを奪ったあの女に。


必ず見つけ出してやる。
そして後悔させてやるのだと。


「金だ！金がいる！」


ガルシアは叫んだ。


ルディを探す。
そのためにはまずは金が必要だ。


まともに仕事になど就けない。
気力もないし、経歴もボロボロで雇ってもらえないだろう。


町中を歩く。


そして目を付けた。
お金をもっていそうな人間に。


体中に装飾品を付け。
のんきにあるいている男性を。


しかも人気のない裏路地にまで入って行くではないか。
絶好のチャンスだ。


奪って、お金に変えてしまおう。
そう思いながら男の後を付いて行く。


「おい、持ってきたか？」


「ああ、約束通り用意したぜ」


裏路地では男達が何かしていた。
鞄を開ける。


中には大金が入っていた。


一生遊んでいけるほどの金額だ。


（あれだ！あれさえあれば！）


ガルシアは目がくらむ。
そして気づいたときには男を突き飛ばし、バッグをもって逃げているのであった。
自身がバックを奪った相手が、どんな存在であるかも、知らずに。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

数時間後。


ガルシアは埋められていた。


頭だけ地面から出して。
口を布で塞がれながら。


「ムー！ムー！」


周りには怖いお兄さん達がいる。
ガルシアを取り囲んでいた。


「よお、兄ちゃん。いい度胸いしてんねえ」


サングラスをかけた男が告げる。
どこからどう見て、まともな人間ではなかった。


ガルシアは震え上がる。


「兄貴。これ見てください」


「あん？」


男に部下が紙を渡す。
慰謝料の請求の紙だ。


「ははは！なんだ、お前借金あるのか。通りで金に飛びつくわけだ」


男は高らかに笑う。


「いいぜ。代わりに払ってやるよ」


男はガルシアを見下ろしながら言った。


「だが、金利は高いぜ。今日の分もある。一生働いて返すんだな。」