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神社にいた「四人」
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髑髏の顔を見た話をした後
母と祖母が小さな声で話していた理由。
今思えば――
この出来事も関係していたのかもしれない。
私は家庭の事情で、
子どもの頃に何度も転校している。
けれど、最後の学校を除けば
友達関係で困ったことはほとんどなかった。
子供の頃の自分を例えるなら
『ちびまる子ちゃん』に出てくる山田くんを
女の子にしたような性格だった。
さすがに、あそこまでではないが
良くも悪くも周りから
浮くようなタイプではなかったと思う。
とある小学校で
それまで仲良くしてくれていた友達に
だんだん避けられるようになった。
少し悲しくはあった。
けれど山田くんタイプの私は
それほど深く考えてはいなかった。
そんな中でも
離れずにいてくれる友達が三人いた。
皆あだ名で呼び合っていたはずなのに
二人のことは……思い出せない。
けれど――
一人だけは今でも覚えている
あだ名で呼んでいたその子は
確か「タッテー」だった。
放課後は家に帰らず
そのまま四人で神社へ行って遊んでいた
今思えば罰当たりだったと思うが
水風船を神社の境内に投げつけて遊び
片付けもせず帰る、そんなこともあった。
ある日の体育の時間、50メートル走だった。
スタートラインに立つ苦手な男の子を見た瞬間
なぜか思った。
〘あ、アイツ転ぶ〙
「位置について……よーい、ドン!」
その子は、本当に転んだ。
そして次にスタートラインに立った子を見たとき
また思った。
〘あ、あの子も転ぶ〙
そして、その子も本当に転んだ
二回目ともなるとさすがに驚き
それ以上は見ないようにした。
放課後、いつものように四人で神社へ行った
私はふと思い出し
さっきのことをタッテーたちに話した。
二人の子は笑って言った。
「気のせいだよ」
でも、タッテーだけは
なぜか顔をこわばらせていた。
「タッテー……どうしたの?」
そう聞こうとした瞬間――
後ろから姉の怒った声が飛んできた。
「こらっ!
一回家に帰りなさいって言ったでしょー!?」
兄弟や姉妹のいる人なら分かると思うが
小学生くらいの頃は
母より姉に怒られるほうが怖い時期がある…
当時の私も例外ではなかった。
〘げぇっ……見つかっちゃった!〙
そう思った瞬間、ランドセルをひっ掴んで
「みんな、またね~!」
と言いながら姉からダッシュで逃げた。
だがもちろん…姉のほうが足は速く
すぐに捕まって、しっかり怒られた。
歩きながら言い訳をしていると、姉が言った。
「は?誰と誰だって?」
「だからぁ……タッテーとさ、▽⬛とさ……」
そう言いかけたとき、姉は不思議そうな顔をした。
「アンタ、何言ってんの?
タッテーとアンタの二人だけだったじゃん」
〘お姉ちゃんこそ何言ってんの?〙
そう思ったけれど
また怒られそうだったのでそこで黙っておいた。
次の日、学校に行くとタッテーは欠席だった
先生の話によると熱が出たらしい。
そしてそのまま
【家庭の事情】で転校してしまい
あの日以来――
学校に来ることはなかった。
他の二人を探したが……
同じクラスだったのかどうかも
あだ名も
名前も
顔さえも
なぜか思い出せなかった。
それからしばらくして――
私を避けていた子たちが
また普通に話しかけてくれるようになった。
ある日、そのうちの一人が言った
「前さ、一人で話してたりする時あって
ちょっと気味悪い子だなって思ってた」
私は思わず聞き返した。
「え?一人で?」
「うん。廊下とか神社とかで。
誰もいないところに話しかけたりしてたよ。
あ、でもタッテーもたまにそんな時あったなー」
私は、しばらく何も言えなかった
だって――
あの頃、神社で遊んでいたのは
タッテーと、もう二人…
確かに四人だったはずなのだ。
あの日の姉の言葉が頭をよぎった。
〘アンタ、何言ってんの?
タッテーとアンタの二人だけだったじゃん〙
……もし、本当にそうだったとしたら。
神社で遊んでいたのは
本当は私とタッテーの二人だけだった。
それなら――
あのとき顔をこわばらせていたタッテーは
いったい何を見ていたのだろう。
あの日以来、来なかったタッテー。
あれは本当に
ただの
【家庭の事情の引っ越し】
だったのだろうか。
………今も分からない
母と祖母が小さな声で話していた理由。
今思えば――
この出来事も関係していたのかもしれない。
私は家庭の事情で、
子どもの頃に何度も転校している。
けれど、最後の学校を除けば
友達関係で困ったことはほとんどなかった。
子供の頃の自分を例えるなら
『ちびまる子ちゃん』に出てくる山田くんを
女の子にしたような性格だった。
さすがに、あそこまでではないが
良くも悪くも周りから
浮くようなタイプではなかったと思う。
とある小学校で
それまで仲良くしてくれていた友達に
だんだん避けられるようになった。
少し悲しくはあった。
けれど山田くんタイプの私は
それほど深く考えてはいなかった。
そんな中でも
離れずにいてくれる友達が三人いた。
皆あだ名で呼び合っていたはずなのに
二人のことは……思い出せない。
けれど――
一人だけは今でも覚えている
あだ名で呼んでいたその子は
確か「タッテー」だった。
放課後は家に帰らず
そのまま四人で神社へ行って遊んでいた
今思えば罰当たりだったと思うが
水風船を神社の境内に投げつけて遊び
片付けもせず帰る、そんなこともあった。
ある日の体育の時間、50メートル走だった。
スタートラインに立つ苦手な男の子を見た瞬間
なぜか思った。
〘あ、アイツ転ぶ〙
「位置について……よーい、ドン!」
その子は、本当に転んだ。
そして次にスタートラインに立った子を見たとき
また思った。
〘あ、あの子も転ぶ〙
そして、その子も本当に転んだ
二回目ともなるとさすがに驚き
それ以上は見ないようにした。
放課後、いつものように四人で神社へ行った
私はふと思い出し
さっきのことをタッテーたちに話した。
二人の子は笑って言った。
「気のせいだよ」
でも、タッテーだけは
なぜか顔をこわばらせていた。
「タッテー……どうしたの?」
そう聞こうとした瞬間――
後ろから姉の怒った声が飛んできた。
「こらっ!
一回家に帰りなさいって言ったでしょー!?」
兄弟や姉妹のいる人なら分かると思うが
小学生くらいの頃は
母より姉に怒られるほうが怖い時期がある…
当時の私も例外ではなかった。
〘げぇっ……見つかっちゃった!〙
そう思った瞬間、ランドセルをひっ掴んで
「みんな、またね~!」
と言いながら姉からダッシュで逃げた。
だがもちろん…姉のほうが足は速く
すぐに捕まって、しっかり怒られた。
歩きながら言い訳をしていると、姉が言った。
「は?誰と誰だって?」
「だからぁ……タッテーとさ、▽⬛とさ……」
そう言いかけたとき、姉は不思議そうな顔をした。
「アンタ、何言ってんの?
タッテーとアンタの二人だけだったじゃん」
〘お姉ちゃんこそ何言ってんの?〙
そう思ったけれど
また怒られそうだったのでそこで黙っておいた。
次の日、学校に行くとタッテーは欠席だった
先生の話によると熱が出たらしい。
そしてそのまま
【家庭の事情】で転校してしまい
あの日以来――
学校に来ることはなかった。
他の二人を探したが……
同じクラスだったのかどうかも
あだ名も
名前も
顔さえも
なぜか思い出せなかった。
それからしばらくして――
私を避けていた子たちが
また普通に話しかけてくれるようになった。
ある日、そのうちの一人が言った
「前さ、一人で話してたりする時あって
ちょっと気味悪い子だなって思ってた」
私は思わず聞き返した。
「え?一人で?」
「うん。廊下とか神社とかで。
誰もいないところに話しかけたりしてたよ。
あ、でもタッテーもたまにそんな時あったなー」
私は、しばらく何も言えなかった
だって――
あの頃、神社で遊んでいたのは
タッテーと、もう二人…
確かに四人だったはずなのだ。
あの日の姉の言葉が頭をよぎった。
〘アンタ、何言ってんの?
タッテーとアンタの二人だけだったじゃん〙
……もし、本当にそうだったとしたら。
神社で遊んでいたのは
本当は私とタッテーの二人だけだった。
それなら――
あのとき顔をこわばらせていたタッテーは
いったい何を見ていたのだろう。
あの日以来、来なかったタッテー。
あれは本当に
ただの
【家庭の事情の引っ越し】
だったのだろうか。
………今も分からない
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