【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命

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勇者祭編

その72 集まる注目

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 俺達の教室クラスルームはあの日の翌日には完全に元通りとなった。

 流石はゼルトル勇者学園。
 王国がすぐに資金を提供し、円滑スムーズに工事が行われた、ということだ。今の教室には、昨日の事件を思い出させるものは何もない。

 噂によると、天王寺てんのうじはあの後こっぴどく叱られ、一週間の謹慎処分を受けたらしい。

 学園の破壊行為と後輩への恐喝行為に対する処罰としては軽い気もするが、勇者祭が二週間後であることを考えれば納得できなくもない。

 ちなみに、今回の一番の被害者である俺は。
 勇者祭前に「かっこよさそう」な強者演出ができたことに感謝している。

「オスカーしゃま、この剣ちょっとおもいのです!」

 俺の目の前には、明らかに体格に合っていない剣に振り回されるクルリンの姿が。

 あの一件の後、俺達のクラスは緊急の休暇となり、全員が寮に返された。
 つまり、この〈剣術〉の授業こそ、あれ以来初めての授業である。

 今回の模擬戦のペアはクルリンだった。

 いつもはセレナと組んでいるのだが、いろいろあってクルリンとミクリン、そしてグレイソンも含め、授業ごとに交代で組むことにしたのだ。

 クルリンは張り切って剣をブンブン振り回しているが、その小さな体には不釣り合いなのか、彼女の方がブンブン振り回されている、といった印象を受ける。
 一振りした後、満面の笑みで、できてたです?と聞いてくる無邪気な可愛さには、どこか癒されるものがあった。

「マスター・桐生きりゅうに頼んで剣を調整してもらった方がいいだろう。少し聞いてくるから待っていてくれ」



 白髪オールバックが似合う剣術教師イケオジ、桐生レイヴンは俺が近づくなり、何か悪いことでも企むかのようにニヤッとした。
 いつもの様子からは考えられない少年のような表情に、不意を突かれて困惑する俺。

「マスター・桐生、どうされました?」

 気づいたら尋ねていた。

「いや、少し……」

 顎に手を当て、何かを考える桐生。
 嫌な予感がした。

「君には悪いかもしれないが、私もずっと気になっているんだ」

「何のことでしょう?」

「よし、みんな、集まってくれ! 今から西園寺さいおんじオスカー君と模擬試合をしたいと思う!」

 声を張り上げ、クラスメイト全員を呼び集める桐生。

 そういうことか。
 全員の前でデモンストレーションすることで、俺の本来の実力を引き出す。何かある・・・・と感じている西園寺オスカーの実力。

 桐生はここで仕掛けてきた。

 俺としては、勇者祭前だからほどほどに・・・・・実力の片鱗を見せておきたいところ。ちょうどいい機会ステージを用意してくれたようで何よりだ。

「なるほど……この力は使わないと誓ったのだが……少しくらいは見せてもいいか」

 桐生だけに聞こえるよう、音量を調整して呟く。

 何かとんでもない誓約を背負っているような、そんな雰囲気を醸し出す。
 桐生の顔に期待の色が浮かんだ。

 生徒が全員俺と桐生の周囲に集まる。

 昨日の今日で俺の注目度は高い。
 少し前まではパッとしない生徒だったのが、今では生徒会幹部に目をつけられている、魔王セトを倒したのかもしれない、頭のいい不思議な生徒、という数多くの補足説明がついていた。

 緋色のツインテールを揺らし、栗色の瞳で俺を見つめる少女、東雲しののめルビー。
 実は毒舌だと判明してから、男子の間で評判となり、なんと以前より男子人気が上がったらしい。

 だが、忘れてはならないのが、女子からの評判だ。
 セレナをはじめ、あらゆる女子から嫌われているという。当然その二面的な性格に対する非難もあるが、彼女の容姿がいいことも、妬みとして嫌われる要素に入っている。

 それが女子の宿命なんだろうか。
 複雑な表情の東雲を見て、そんなことを考える。

「むぅ。オスカーしゃまはあたちのペアなのです!」

「すまない、少し借りるだけだよ」

 教師に対してぷりぷりと怒るクルリン。
 それと連動して持っている剣があらゆる方向に振り回される。危険極まりない行為だ。

 桐生は注意せずにただ苦笑いし、両手を合わせて軽く謝った。

 そして、自分勝手なクルリンを、隣のミクリンが注意している。彼女はいつも双子の妹に疲れさせられているようだ。そういう役回りも大変だろうに。

「それでは、オスカー、剣を構えて。今回行うのはただの基礎だ。派手に戦い合うわけではなく、純粋に剣技の美しさを見たい」

 注目されていた勝負なだけに、桐生の言葉にげんなりする生徒もいた。

 ただの基礎。
 最も重要なものだが、最も人気はなく、パッとしない。

 彼らが期待していたのは、きっと派手な剣術の戦いバトルだ。

 だが、その態度こそが、彼らの実力を投影している。
 基礎の剣術には深みがある。構えから剣の捌き方を見るだけでその人の実力は断定できるし、基礎の美学こそ剣術の至高だ。

 グレイソンやセレナをはじめ、十名ほどの生徒にはそれがわかっているように見えた。

 俺はそれを確認し、薄く笑みを浮かべる。
 何度も細かく頷き、そして呟いた。

「剣術の高みを見せてやろう。わかる者・・・・にはわかるが、わからない者・・・・・・には理解できない。君達には、見極められるかな?」
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