80 / 103
勇者祭編
その80 マンネリ化してきた演出
しおりを挟む
――圧倒的な剣術を見せ、相手を感動させ、新たな高みを見せつける。
そういう演出もマンネリ化してきた。
日々様々な種類の演出を思い描き、その実現を目指してやっているわけだが、今回はあまり革命的な案が浮かばなかった、とだけ言い訳しておこう。
放課後、俺の指示通りテオは〈闘技場ネオ〉に現れた。
そこにはグレイソンと激しい剣舞を繰り広げる俺の姿。
それを見て拍手を送る青髪美少女。
テオが目にしたものは、それだけだ。
「キミが天王寺テオ君だね?」
ある程度の見世物が終わると、剣を鞘に戻したグレイソンがテオに近づいた。
昼休みの後、グレイソンとミクリンの二人にも話をつけてある。
「一ノ瀬くん……」
テオは至近距離で放たれる貴公子スマイルに動揺した素振りを見せた。
爽やかな金髪をなびかせる美少年は、テオに対して親しげに笑いかける。
「僕のことはグレイソンでいいよ。それで、オスカーから聞いたんだけど、キミもこの練習に参加するつもりかい?」
「う、うん」
話の飛躍に驚きつつも、覚悟を決めたような表情をして頷くテオ。
俺は待っていたと言わんばかりに、口を開いた。
「改めて聞こう。お前の目的は何だ?」
僅かな沈黙。
俺の放った低い真剣な声が闘技場を刺激し、テオの導き出した答えを待つ。
一呼吸置き、俺の目を見つめ返したテオは、声を張り上げた。
「おれは……西園寺くんより強くなりたいっ!」
「――ッ」
――挑戦状。
俺は今、それに似たものを確かに受け取った。
――他人を目標に置くな。
それは俺がテオに伝えた、目標設定で最も重要なこと。
エイダンより強くなる――そんな目的では、簡単に達成してしまう。そしたら、その後の成長が止まってしまう危険性がある。
だが――。
彼が挑戦する相手として選んだのは、俺だった。
「面白い答えだ。確かに俺は、天に輝く太陽のような存在。他人と呼ぶにはあまりに眩し過ぎる」
グレイソンも同じだ。
彼との闘技場での訓練を続ける中で、俺を倒そうとするような、俺に必死に対抗するような、決して消えることのない意志をずっと感じ取っていた。
グレイソンが追い抜こうと目指すのは俺の背中。
それは多くの神々の力を背負った、天にも等しい無慈悲な高み。
愚かな行為とも言えるが、彼はどこまでもあがき続ける。日を追うごとに上達していく彼の剣技は、その意志の集大成だ。
そして今。
グレイソンと同じくらいに愚かで、勇敢な挑戦者が現れた。
テオの決意を聞いた俺は、満足したように頬を緩め、グレイソンとテオを客席に促した。
ミクリンが静かに座っている観客席。そこに三人の男子が加わる。
雑談でもするのかという雰囲気をしっかりと醸し出し、俺はテオに向き直った。
「テオ、今更かもしれないが、どうしてもエイダンに勝ちたい理由、聞かせてくれ」
そういう演出もマンネリ化してきた。
日々様々な種類の演出を思い描き、その実現を目指してやっているわけだが、今回はあまり革命的な案が浮かばなかった、とだけ言い訳しておこう。
放課後、俺の指示通りテオは〈闘技場ネオ〉に現れた。
そこにはグレイソンと激しい剣舞を繰り広げる俺の姿。
それを見て拍手を送る青髪美少女。
テオが目にしたものは、それだけだ。
「キミが天王寺テオ君だね?」
ある程度の見世物が終わると、剣を鞘に戻したグレイソンがテオに近づいた。
昼休みの後、グレイソンとミクリンの二人にも話をつけてある。
「一ノ瀬くん……」
テオは至近距離で放たれる貴公子スマイルに動揺した素振りを見せた。
爽やかな金髪をなびかせる美少年は、テオに対して親しげに笑いかける。
「僕のことはグレイソンでいいよ。それで、オスカーから聞いたんだけど、キミもこの練習に参加するつもりかい?」
「う、うん」
話の飛躍に驚きつつも、覚悟を決めたような表情をして頷くテオ。
俺は待っていたと言わんばかりに、口を開いた。
「改めて聞こう。お前の目的は何だ?」
僅かな沈黙。
俺の放った低い真剣な声が闘技場を刺激し、テオの導き出した答えを待つ。
一呼吸置き、俺の目を見つめ返したテオは、声を張り上げた。
「おれは……西園寺くんより強くなりたいっ!」
「――ッ」
――挑戦状。
俺は今、それに似たものを確かに受け取った。
――他人を目標に置くな。
それは俺がテオに伝えた、目標設定で最も重要なこと。
エイダンより強くなる――そんな目的では、簡単に達成してしまう。そしたら、その後の成長が止まってしまう危険性がある。
だが――。
彼が挑戦する相手として選んだのは、俺だった。
「面白い答えだ。確かに俺は、天に輝く太陽のような存在。他人と呼ぶにはあまりに眩し過ぎる」
グレイソンも同じだ。
彼との闘技場での訓練を続ける中で、俺を倒そうとするような、俺に必死に対抗するような、決して消えることのない意志をずっと感じ取っていた。
グレイソンが追い抜こうと目指すのは俺の背中。
それは多くの神々の力を背負った、天にも等しい無慈悲な高み。
愚かな行為とも言えるが、彼はどこまでもあがき続ける。日を追うごとに上達していく彼の剣技は、その意志の集大成だ。
そして今。
グレイソンと同じくらいに愚かで、勇敢な挑戦者が現れた。
テオの決意を聞いた俺は、満足したように頬を緩め、グレイソンとテオを客席に促した。
ミクリンが静かに座っている観客席。そこに三人の男子が加わる。
雑談でもするのかという雰囲気をしっかりと醸し出し、俺はテオに向き直った。
「テオ、今更かもしれないが、どうしてもエイダンに勝ちたい理由、聞かせてくれ」
20
あなたにおすすめの小説
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
【薬師向けスキルで世界最強!】追放された闘神の息子は、戦闘能力マイナスのゴミスキル《植物王》を究極進化させて史上最強の英雄に成り上がる!
こはるんるん
ファンタジー
「アッシュ、お前には完全に失望した。もう俺の跡目を継ぐ資格は無い。追放だ!」
主人公アッシュは、世界最強の冒険者ギルド【神喰らう蛇】のギルドマスターの息子として活躍していた。しかし、筋力のステータスが80%も低下する外れスキル【植物王(ドルイドキング)】に覚醒したことから、理不尽にも父親から追放を宣言される。
しかし、アッシュは襲われていたエルフの王女を助けたことから、史上最強の武器【世界樹の剣】を手に入れる。この剣は天界にある世界樹から作られた武器であり、『植物を支配する神スキル』【植物王】を持つアッシュにしか使いこなすことができなかった。
「エルフの王女コレットは、掟により、こ、これよりアッシュ様のつ、つつつ、妻として、お仕えさせていただきます。どうかエルフ王となり、王家にアッシュ様の血を取り入れる栄誉をお与えください!」
さらにエルフの王女から結婚して欲しい、エルフ王になって欲しいと追いかけまわされ、エルフ王国の内乱を治めることになる。さらには神獣フェンリルから忠誠を誓われる。
そんな彼の前には、父親やかつての仲間が敵として立ちはだかる。(だが【神喰らう蛇】はやがてアッシュに敗れて、あえなく没落する)
かくして、後に闘神と呼ばれることになる少年の戦いが幕を開けた……!
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
【完結】オレの勇者パーティは全員アホだが強すぎる。
エース皇命
ファンタジー
異世界に来て3年がたった。
オレの所属する勇者パーティ、イレギュラーズは相変わらず王都最強のパーティとして君臨している。
エルフのクリス、魔術師のジャック、猫耳少女ランラン、絶世の美女シエナ。
全員チート級の強さを誇るけど、どこか抜けていて、アホ全開である。
クリスは髪のセットに命をかけて戦いに遅刻するし、ジャックは賢いもののとことん空気を読まない。ランランは3歩あるくだけで迷子になるし、シエナはマイペースで追い詰めた敵を見逃す。
そんなオレたちの周囲の連中もアホばかりだ。
この世界にはアホしかいないのか。そう呆れるオレだったけど、そんな連中に囲まれている時点で、自分も相当なアホであることに気づくのは、結構すぐのことだった。
最強のアホチーム、イレギュラーズは今日も、王都を救う!
※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~
名無し
ファンタジー
突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。
自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。
もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。
だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。
グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。
人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる