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勇者祭編
その94 一次予選結果発表
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グレイソンと並んで観戦する、残りの一次予選。
セレナや双子姉妹の結果も気になる。
誰だって一生懸命修練を積んできた。俺はそれを知っている。だから当然、そこに結果がついてきて欲しいと思う。
「クルリンは……」
クルリン、戦場に登場。
申し訳ないが、彼女は絶対に一次予選を突破することなどないだろう。
クルリン・タガーこと、新調した短剣で果敢に最弱ゴーレムに立ち向かうが、まったく歯が立たない。
得意技とでもいうように、短剣を振り回し、同時にクルリン自身も振り回されている。
クルリンらしい、と言えば、そうだろう。
最終的に彼女は二体のクレイゴーレムを倒し、堂々と六点を獲得した。
魔王を倒した風に誇らしげに胸を張っている。観客席にいる俺達に気づくと、やってやったのです!と言わんばかりに嬉しそうに、全身を使って手を振ってきた。
グレイソンは苦笑しつつも、美しい顔の横で手を振り返した。
対する俺は、軽く微笑み、グッドサイン。
結果はどうあれ、クルリンが全力だったことに変わりはない。それを称賛するのは当然のことだ。
双子の姉であるミクリンは、それこそ妹とは正反対の、着実な実力を発揮していた。
十点のブロンズゴーレムに、十五点のメタルゴーレム。
中堅ゴーレムを危なげなく倒していく。
彼女の優れている点は剣捌きだけではない。
無駄のない足運び。
これに尽きる。
ひょっとしたら俺は、ミクリンを侮っていたのかもしれない。そう思うほど、彼女の戦いは見事だった。百五十点は軽く超えていそうだ。
そして、最後の六番目のグループで登場したのは、セレナだ。
同じグループに東雲もいる。
果たして、二人の結果は――。
***
『これにて、一次予選終了!』
ここからは〈ゼルトル語〉の教師、草薙アーサーが実況を務めるらしい。
まだ十代という若さの緑髪教師で、どこか頼りない雰囲気を漂わせている、新人だ。
美形の顔立ちをしているが、どこかあどけなく、かなり小柄なので生徒達からは完全にナメられていた。
ただ、本人にそんなこと気にしている様子はない。
いつもヘラヘラ笑っていて、気楽で、ポジティブ思考の強い奴だ。
『それじゃあ、一次予選の結果発表、いっちゃいますよ~!』
――早く言ってくれ。
この世界にいる全員が思った。
「遂に発表されるんだね」
隣のグレイソンが深呼吸し、表情を引き締める。
この予選を勝ち上がるのは、絶対条件だ。本番は決勝トーナメント。
俺も、グレイソンも、テオも、エイダンも、そして前回覇者も、アリアも、そこだけを見据えている。
『今回の予選では、ゴーレムを倒し、得点を稼ぐ、という方針での選考になりました! 簡単に言えば、高い点数であえばあるほどいいってことですねぃ、えへへ』
そういうのはいいから、早く進めて欲しい。
草薙の声には膨張魔術か何かがかけられているのか、さほど張り上げている様子がないのにも関わらず、闘技場全体に響いていた。
『事前に選考方法の説明は一切なかったので、いろんな予想があったと思うんですよ~。点数のボーダーラインがあるって考えた人もいますよねぃ』
ということは、今回の試験はボーダーラインなど関係ない!?
『いやぁ、まったくその通り! 審査側の集計で百四十点以上獲得している生徒の皆さんは、全員一次試験突破ですっ! イェイ!』
その宣言で、会場が一斉に盛り上がった。
やった二次試験だ、という声や、惜しいあと三点、なんて声もチラホラ。
『一次試験合格者の名前は、待機室に掲示しているので、各自一次試験で自分が待機した場所で確認してくださいね。よろしくで~す』
多くの生徒が立ち上がる。
結果を確認しようと動き出したのだ。
十分くらいは混雑するだろうから、しばらく待って立ち上がるのが賢い選択だ。
グレイソンも考えは同じらしく、立ち上がる素振りを見せることはなかった。
『自分の結果を確認したいと思いますが、ちょっと待ってください。一次試験、上位三名の発表をしますっ!』
ごちゃっごちゃした生徒達の動きが止まる。
上位成績者の発表は、今後の試験においても重要なイベントだ。
敗退が決まった生徒も、私の推しは呼ばれるかな、なんて気持ちで聞いているに違いない。それこそ、アレクを推している女子生徒は多そうだ。
「上位三名、やっぱり生徒会の人達かな?」
「ああ、間違いなくアレクは入っているだろう」
「あとは点数だね。実力差がはっきりわかる」
「審査側もゴーレムの攻略方法を考えながら点数を割り振っているだろうから、今回の点数は実力が可視化したものと思ってもいい」
問題は、他の二人。
つまり、アレク以外の二人だ。
アリアやエイダンといった馴染みのある生徒が名を連ねるのか、それとも新たな実力者の存在を知ることになるのか。
『一次試験、第三位! 合計得点は三百十二点!』
どよめきが起こる。
三位で三百点。
かなりハイレベルな戦いになりそうだ。
『――〈3-D〉クラス、綾小路ジャクソン!』
魔術か何かの力で、観客席の男子生徒に、光が当たる。
そこに座っていたのは、黒髪リーゼントの、筋肉質の青年だった。
俺の座っている場所から反対側で、かなり遠いのにも関わらず、太い眉毛から伝わってくる魂の強さには、腰が引けるほどの迫力を感じた。
堂々と足を広げて座っている様子からして、自分の実力に誇りを持っていることは明らか。
彼の纏っている魔力は力強く、同時に安定している。
膨大な魔力を制御できている何よりの証拠だ。戦うのが楽しみになってきた。
「初めて見る奴だな」
「綾小路先輩は剣を使わないことで有名だよ」
自分の無知を告白する俺に、グレイソンが教えてくれる。
「剣を使わない? どういうことだ? 剣で斬るより殴る方が高威力ということか?」
「んー、剣を使わない、ってことは有名だけど、具体的にはわからないんだ。剣術部の先輩からは、見たらわかる、って焦らされたんだけど……」
「見たらわかる、か」
俺もたまに使う。
――見たらわかる。
その剣術部の先輩とやらもなかなかにセンスがあるではないか。
『綾小路君はなんと、アイアンゴーレムを三体も倒してるんですよ! いやぁ、圧巻ですねぃ』
アイアンゴーレム三体。
それこそ表面が硬いから攻撃を当てるのに苦労するゴーレムだ。
『そして、一次試験、第二位の発表ですっ! ななななんと、まさかの結果になりました! 合計得点は四百三十三点!』
三位と二位の間にも、これだけの点差があるとは……。
だとすれば、一位のアレクは一体何点を――。
『――〈3-A〉クラス、美少年副会長、白竜アレクサンダー!』
――え?
セレナや双子姉妹の結果も気になる。
誰だって一生懸命修練を積んできた。俺はそれを知っている。だから当然、そこに結果がついてきて欲しいと思う。
「クルリンは……」
クルリン、戦場に登場。
申し訳ないが、彼女は絶対に一次予選を突破することなどないだろう。
クルリン・タガーこと、新調した短剣で果敢に最弱ゴーレムに立ち向かうが、まったく歯が立たない。
得意技とでもいうように、短剣を振り回し、同時にクルリン自身も振り回されている。
クルリンらしい、と言えば、そうだろう。
最終的に彼女は二体のクレイゴーレムを倒し、堂々と六点を獲得した。
魔王を倒した風に誇らしげに胸を張っている。観客席にいる俺達に気づくと、やってやったのです!と言わんばかりに嬉しそうに、全身を使って手を振ってきた。
グレイソンは苦笑しつつも、美しい顔の横で手を振り返した。
対する俺は、軽く微笑み、グッドサイン。
結果はどうあれ、クルリンが全力だったことに変わりはない。それを称賛するのは当然のことだ。
双子の姉であるミクリンは、それこそ妹とは正反対の、着実な実力を発揮していた。
十点のブロンズゴーレムに、十五点のメタルゴーレム。
中堅ゴーレムを危なげなく倒していく。
彼女の優れている点は剣捌きだけではない。
無駄のない足運び。
これに尽きる。
ひょっとしたら俺は、ミクリンを侮っていたのかもしれない。そう思うほど、彼女の戦いは見事だった。百五十点は軽く超えていそうだ。
そして、最後の六番目のグループで登場したのは、セレナだ。
同じグループに東雲もいる。
果たして、二人の結果は――。
***
『これにて、一次予選終了!』
ここからは〈ゼルトル語〉の教師、草薙アーサーが実況を務めるらしい。
まだ十代という若さの緑髪教師で、どこか頼りない雰囲気を漂わせている、新人だ。
美形の顔立ちをしているが、どこかあどけなく、かなり小柄なので生徒達からは完全にナメられていた。
ただ、本人にそんなこと気にしている様子はない。
いつもヘラヘラ笑っていて、気楽で、ポジティブ思考の強い奴だ。
『それじゃあ、一次予選の結果発表、いっちゃいますよ~!』
――早く言ってくれ。
この世界にいる全員が思った。
「遂に発表されるんだね」
隣のグレイソンが深呼吸し、表情を引き締める。
この予選を勝ち上がるのは、絶対条件だ。本番は決勝トーナメント。
俺も、グレイソンも、テオも、エイダンも、そして前回覇者も、アリアも、そこだけを見据えている。
『今回の予選では、ゴーレムを倒し、得点を稼ぐ、という方針での選考になりました! 簡単に言えば、高い点数であえばあるほどいいってことですねぃ、えへへ』
そういうのはいいから、早く進めて欲しい。
草薙の声には膨張魔術か何かがかけられているのか、さほど張り上げている様子がないのにも関わらず、闘技場全体に響いていた。
『事前に選考方法の説明は一切なかったので、いろんな予想があったと思うんですよ~。点数のボーダーラインがあるって考えた人もいますよねぃ』
ということは、今回の試験はボーダーラインなど関係ない!?
『いやぁ、まったくその通り! 審査側の集計で百四十点以上獲得している生徒の皆さんは、全員一次試験突破ですっ! イェイ!』
その宣言で、会場が一斉に盛り上がった。
やった二次試験だ、という声や、惜しいあと三点、なんて声もチラホラ。
『一次試験合格者の名前は、待機室に掲示しているので、各自一次試験で自分が待機した場所で確認してくださいね。よろしくで~す』
多くの生徒が立ち上がる。
結果を確認しようと動き出したのだ。
十分くらいは混雑するだろうから、しばらく待って立ち上がるのが賢い選択だ。
グレイソンも考えは同じらしく、立ち上がる素振りを見せることはなかった。
『自分の結果を確認したいと思いますが、ちょっと待ってください。一次試験、上位三名の発表をしますっ!』
ごちゃっごちゃした生徒達の動きが止まる。
上位成績者の発表は、今後の試験においても重要なイベントだ。
敗退が決まった生徒も、私の推しは呼ばれるかな、なんて気持ちで聞いているに違いない。それこそ、アレクを推している女子生徒は多そうだ。
「上位三名、やっぱり生徒会の人達かな?」
「ああ、間違いなくアレクは入っているだろう」
「あとは点数だね。実力差がはっきりわかる」
「審査側もゴーレムの攻略方法を考えながら点数を割り振っているだろうから、今回の点数は実力が可視化したものと思ってもいい」
問題は、他の二人。
つまり、アレク以外の二人だ。
アリアやエイダンといった馴染みのある生徒が名を連ねるのか、それとも新たな実力者の存在を知ることになるのか。
『一次試験、第三位! 合計得点は三百十二点!』
どよめきが起こる。
三位で三百点。
かなりハイレベルな戦いになりそうだ。
『――〈3-D〉クラス、綾小路ジャクソン!』
魔術か何かの力で、観客席の男子生徒に、光が当たる。
そこに座っていたのは、黒髪リーゼントの、筋肉質の青年だった。
俺の座っている場所から反対側で、かなり遠いのにも関わらず、太い眉毛から伝わってくる魂の強さには、腰が引けるほどの迫力を感じた。
堂々と足を広げて座っている様子からして、自分の実力に誇りを持っていることは明らか。
彼の纏っている魔力は力強く、同時に安定している。
膨大な魔力を制御できている何よりの証拠だ。戦うのが楽しみになってきた。
「初めて見る奴だな」
「綾小路先輩は剣を使わないことで有名だよ」
自分の無知を告白する俺に、グレイソンが教えてくれる。
「剣を使わない? どういうことだ? 剣で斬るより殴る方が高威力ということか?」
「んー、剣を使わない、ってことは有名だけど、具体的にはわからないんだ。剣術部の先輩からは、見たらわかる、って焦らされたんだけど……」
「見たらわかる、か」
俺もたまに使う。
――見たらわかる。
その剣術部の先輩とやらもなかなかにセンスがあるではないか。
『綾小路君はなんと、アイアンゴーレムを三体も倒してるんですよ! いやぁ、圧巻ですねぃ』
アイアンゴーレム三体。
それこそ表面が硬いから攻撃を当てるのに苦労するゴーレムだ。
『そして、一次試験、第二位の発表ですっ! ななななんと、まさかの結果になりました! 合計得点は四百三十三点!』
三位と二位の間にも、これだけの点差があるとは……。
だとすれば、一位のアレクは一体何点を――。
『――〈3-A〉クラス、美少年副会長、白竜アレクサンダー!』
――え?
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