【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命

文字の大きさ
13 / 69
最強の中二病編

その13 ガーディアンズ・コンベンション☆

しおりを挟む
 ゼルトル勇者学園の生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉。

 学園本館の六階に存在する生徒会室には、幹部の五人が集結していた。

 不定期に開催される、〈守護者会議ガーディアンズ・コンベンション〉である。

「今回、急な招集になってしまったことをお詫び致します」

 円形のテーブルを囲むようにして並んだ豪華な椅子に腰掛けるのは、生徒会長の八乙女やおとめアリア、副会長の白竜はくりゅうアレクサンダーに加え、天王寺てんのうじエイダン、月城つきしろルーナ、九条くじょうガブリエルの三人。

 ゼルトル勇者学園での生徒会は、教師及び生徒からの推薦と本人の意志で役員メンバーが決まる。
 もし生徒会長及び副会長候補が複数いれば、七月に選挙が行われ、学園全員の投票で決定することになっていた。

 総員は現在十八名で、全員が選び抜かれた屈指の実力者だ。
 そして、その中でも特に力ある生徒こそが、この幹部五人である。

「今回の議題は、一年生の西園寺さいおんじオスカーという男子生徒についてです」

 生徒会長のアリアが言った。
 
 この会議は不定期であり、よほどのことがない限り滅多に開かれることがない。前回はちょうど半年前で、学園付近に出現したエンシェント・ドラゴンの対処についての話し合いだった。

 つまり、今回の事態はエンシェント・ドラゴンに匹敵するほど深刻だということ。

「おいアリア、たかがひとりの新入生ガキのことで、全員集める意味があるってのか?」

 腕を組み、深く腰掛けているエイダンが指摘する。

 豪快に刈り上げた短い赤髪に、紅の瞳。
 体格が良く、肩幅ががっちりとしている。裏で「筋肉バカ」と呼ばれているほど、筋骨隆々で、深く考えない短絡的な思考の持ち主でもあった。

「吠えるな阿呆アホ

 エイダンを罵倒したのは、ちょうど反対側の椅子に腰掛けるガブリエル。

 深緑の短髪は丁寧に手入れされていて、前髪は七三分けにセットしてある。瞳の色は薄い青。まるで鏡のように、映るものを反射するという。
 特徴的なところは左目にかけた丸い片眼鏡で、それが知的な雰囲気を醸し出していた。

 だが、実際に彼は知的である。
 座学の成績が出る筆記試験では、学年で毎回トップの成績を誇っており、〈座学の帝王〉とまで呼ばれているほどだ。

 そんな頭のいい・・・・ガブリエルと、脳が筋肉・・でできているエイダンは、当然ながら常に反発し合っている。

「ぁんだと! ふざけんじゃねぇ──」

「騒がしいわ、エイダン。ガブリエルも癇癪を抑えてちょうだい」

「ルーナ! おめぇ──」

吾輩わがはいは癇癪など起こしてない!」

 諍いを色っぽい声で中断させたのは、菜の花色の髪を持つ美少女、ルーナだ。

 積極的に発言するような性格タイプではないが、彼女が発言すると場の空気が変わり、話し合いが逆転することもしばしば──発言力があるとも言えるが、そのほとんどは彼女の持つ色気にある。

 一般の男子生徒からはセクシー美少女と呼ばれているほどだが、この生徒会幹部の間では、彼女の色気も男子陣に通用しない。

「ストッープ! まずは静かにアリア君の話を聞こうじゃないか」

 そして、幹部五人、最後のひとりが副会長のアレクサンダーである。

 藍色の短髪に、白銀の瞳。
 身長は低いが存在感と威厳があり、そして面白さユーモアも持ち合わせていた。

 コミュニケーション能力に長けており、混乱した場も彼の手にかかればすぐにまとまってしまう。

 会長であるアリアが生徒会の「顔」であるのなら、アレクサンダーは「手と足」だ。
 器用に仕事をこなしながら、生徒会全体を支えている。

 副会長アレクサンダーの一言で、騒がしかった三人がおとなしくなった。

「ありがとうございます、アレク」

「いやいや、こんなの朝飯前というやつさ」

「それは頼もしいですね……では、本題に入りましょうか」

 ほんの一瞬だけ、五人だけの生徒会室に緊張感が漂う。

「実はわたくし、西園寺オスカーさんに振られましたの」

「あぁ!?」「なんと!!」「あら」「あちゃー」

 アリアからの衝撃の告白。

 四人が一斉に反応する。

 エイダンは半ギレ、ガブリエルとルーナは驚愕。
 それに対してアレクサンダーは面白そうに笑った。彼だけはその事実を知らされていたのだ。

「愛の告白をするのはあれが初めてだったのですが、まさか振られるとは思っていなくて──」

「おい待て。なんで年下のガキなんかのこと好きになったんだ? そもそも聞いたこともねぇぞ、西園寺オスカーなんて名前はよぉ」

「吾輩もそれには同意だ。そのような一年生とどこで接点を持った? それに……会長は恋愛などには興味がないとばかり……」

あの・・アリアが熱を上げる男……ワタシも見てみたいわ」

 それぞれが思ったように発言する。

 これだから〈守護者会議ガーディアンズ・コンベンション〉は大変なのだ。三人が好き放題に発言し、会長アリアを困らせる。

「ここにいる四人以外で、わたくしの魔眼を見つめることができたお方です。それに──これが最も肝心なことなのですが──彼はミステリアスで神秘的ですの」

「だったら俺様でもいいんじゃねぇのか!」

「残念だけれど、アナタは八乙女アリアに似合わないわ」

「ならば吾輩は──」

「喋ると疲れるから、毎回アリアも困っているみたい」

「ま、まさか……そんなはずはない!」

 熱を上げて発言した男子ふたりを、ルーナが冷たく始末する。

 アレクサンダーはこの様子を見て、腹を抱えながら笑っていた。

「やっぱり、きみ達は最高だなぁ」










《作者コメント》
 クセの強い新キャラを四人も一気に出すのはなかなか大変ですね。

 次の話では一旦オスカー視点に戻ります。楽しんで読んでいただけたら嬉しいです! ぜひ感想などもよろしくお願いします。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

処理中です...