【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命

文字の大きさ
18 / 103
一学期期末テスト編

その18 麗人の誘惑

しおりを挟む
「今日はただ、アナタのことが気になって来ただけなの」

 セレナが月城つきしろと呼んだ黄色髪の女子生徒は、その魅惑的な美顔で優しく微笑んだ。

 瞳は太陽に照らされて光を放つ月のようで、見ている男を変な気分にさせる。
 色っぽい誘惑を受けているかのような錯覚。

 俺は最初見て確信した。

 ――彼女はエロい。

 潤いのあるあかい唇に吸い込まれてしまいそうだ。それは男を堕落させてしまう淫魔サキュバスのように、月城というの色気を強調している。

「生徒会の役員なんだろう? 生徒会長アリアの差し金だな」

「あら、アナタが会長アリアを振った話は聞いているわ」

「そうか。それで、お前は何がしたい?」

 もし彼女が生徒会の役員なのであれば、俺は今、この学園でかなりの立場と実力を持った相手と会話していることになる。
 
 だが、それでも一切動じないのが西園寺さいおんじオスカーだ。
 ポケットに手を添え、僅かに吹く風を感じる。下ろしている前髪が揺れた。

「アリアとは一年生からの付き合いなのだけど、あの子、今まで恋愛経験がないそうなの。多くの男に言い寄られることはあっても、自ら男を好きになることはなかったわ。そんなアリアが告白をした相手となれば、気になるのも当然でなくて?」

 月城は話す声に吐息を混ぜる。
 それが意図的なのか無自覚なのかはわからないが、余計に色気を掻き立てていることに変わりない。

 ならば俺も、男の色気・・・・とやらで応えようではないか。

 授業前に美人な上級生から絡まれるも、平然とした表情で授業に遅刻する西園寺オスカー。

 これはこれで「かっこよさそう」だ。
 
 余裕がある雰囲気を作りながら、軽く微笑む。

「俺に恋するのはやめておいた方がいい」

 なるべく低い声で言い放ち、近づくと危険とでもいうようなオーラを出す。

「あら、どういうことかしら?」

「――俺に恋するのはやめておいた方がいい――」

 今度はより重めの雰囲気で言った。
 こうして二度同じ言い回しフレーズを繰り返すことで、相手の潜在意識に深く刻み込むことができる。

 正直に言えば、すぐに「かっこよさそう」な言葉が思いつかず、ただ直前の言葉を繰り返しただけなのだが。

 そんなことが月城にわかるはずもない。
 きっと彼女は今頃、俺に対してある種の恐怖を感じているはずだ。

 意味深な言葉を二度も呟く俺。

 遠い目をして、〈いにしえの森〉の豊かな自然を眺める。
 そこには広大な緑が広がっていて、〈生存学サバイバル〉の授業をするのに最適の環境だった。

「世界は俺の覚醒を待っている。俺はいつ何時なんどきも世界から注意をそらしてはならない。世界かれが俺を呼ぶその時まで、待ち続ける」

 ――決まった。

 最後の部分は儚さを演出するために、適度な間を取って、囁くように言った。

「そしたら具体的に、世界がアナタを呼ぶ時はいつやってくるのかしら?」

 誘惑的な微笑みで理性を溶かそうとする月城。

 だが、俺はその程度で負ける男でもない。
 もうこの時点で、俺は〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉と対立しているのだ。それなら俺が遠慮する必要はない。

 自らの手で叩き潰せばいい。

 それだけ、生徒会は俺の前で無力な存在だ。

「この世界の全てを理解しようとするのは愚か者のすることだ。俺にできることは、万全の準備をして待つこと。それだけだ」

「面白い男」

 月城が吐息を落とし、グッと俺との距離を詰める。

 唇と唇が今にも触れ合いそうだ。
 彼女の少々荒い息遣いを間近で感じる。速い鼓動が俺にも伝わってきた。

 今になって気づいたが、俺よりも月城の方が少し身長が高い。視線はほぼ同じで、どこか情熱的で刺激的な視線を向けてくる。

 それに対して俺は。

 表情も息遣いも、そして心臓の鼓動さえも。
 一切変わらず平然と立っている。

「ねえ、ワタシと付き合わない? 楽しいこと・・・・・、いっぱいできるかもしれないわよ」

 冗談なのか本気なのか。
 彼女の興奮した様子は伝わってくるが、まだ俺は月城という女の人物像を掴めていない。下の名前すらわからないし、名字もセレナが言っていただけであり、間違っている可能性もある。

 こういった時、もう少し周囲に関心を持つべきだったと反省する。

 特に今後敵対していく〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉の連中に関しては、しっかりと情報を得ておこうと思った。いずれ「かっこよさそう」な演出に生きてくるかもしれない。

「美しい瞳だな」

「……?」

「夜空を彩る月のようだ。だが、君の瞳が月ならば、俺の瞳は太陽──この二つが交わることはない」

「あら、ワタシのことも振るつもりなのかしら?」

 月城がいたずらっぽい笑みを浮かべる。

 俺の親指が、そっと彼女の唇に触れた。
 柔らかく、艶がある。俺を見つめる麗しい満月の瞳。あえて視線を合わせない。俺はそのまま虚空を覗く。

「太陽は皆に対して平等だ。どんな者にも光を与える。そして、月があんなにも美しいのは、太陽の光を反射しているからだ」

 俺に唇を封じられているので、月城は話すことができない。

「俺がここに存在している限り、どんな時も、月城、君を照らそう」

 言いたいことは全部言った。
 本当はもう少し早く切り上げて授業に向かうつもりだったが、個人的には満足しているのでいいだろう。 

 今回も上出来だ。

 俺は月城の唇から親指を離し、彼女のを解放した。

「――ルーナ」

「ん?」

「月城ルーナよ。ワタシのことはルーナと呼んでちょうだい」

 俺の二の腕に手をそっと添えながら、柔軟な声で頼んでくる。
 彼女の他と違うところは、決して頬が赤くならないところだ。こうして男をからかうことに慣れている証拠だろう。

 罪な女だ。

「わかった」

 同意して頷く。
 そしてすぐに双眼を細め、言った。

「それで、ルーナ、君の本当の・・・目的は何だ?」

「あら、掴めない人」

「それは君も同じだろう」

 俺の言葉にルーナが艶っぽく微笑む。

「でも、ワタシがアナタに興味津々なことは本当なのよ。唇を奪いたいくらい。そうね、もうひとつ言うことがあるとすれば、忠告かしら」

「忠告?」

「アナタは今後生徒会から圧力をかけられることになるわ。ワタシは邪魔せずに見ているつもりよ」

 そんなのわかりきっていた。今更言われたところで、俺には何の問題もない。堂々と構えていればいいだけの話だ。

 ルーナの忠告を鼻で笑う。

「生徒会など俺の敵ではない」

「言うわね。でも、そういうの、ワタシ好きよ」

「お世辞はいい」

「あら、本気で言ってるのよ」

 どこかおかしそうに笑うルーナ。だが、すぐに真剣な表情になった。

「実際にアナタの実力がどれほどかまではわからないのだけど、特に幹部の三人・・には気をつけることね。九条くじょうガブリエルと天王寺てんのうじエイダン、そして誰よりも警戒すべきは副会長の白竜はくりゅうアレクサンダー」

 俺はここでグレイソンとの会話を思い出した。
 確か決闘をこっそり観戦・・していた藍色の髪の男が、白竜はくりゅうアレクサンダーだ。俺に見つかって嬉しそうに笑っていた変な奴。

「とにかく、ワタシは忠告したわ。オスカー、また近いうちに会いましょう」










《キャラクター紹介》
・名前:月城つきしろルーナ

・年齢:17歳

・学年:ゼルトル勇者学園2年生

・誕生日:9月15日

・性別:♀

・容姿:菜の花色の長髪、月のような瞳

・身長:165cm

・信仰神:月の女神フィルニム
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

【完結】オレの勇者パーティは全員アホだが強すぎる。

エース皇命
ファンタジー
 異世界に来て3年がたった。  オレの所属する勇者パーティ、イレギュラーズは相変わらず王都最強のパーティとして君臨している。  エルフのクリス、魔術師のジャック、猫耳少女ランラン、絶世の美女シエナ。  全員チート級の強さを誇るけど、どこか抜けていて、アホ全開である。  クリスは髪のセットに命をかけて戦いに遅刻するし、ジャックは賢いもののとことん空気を読まない。ランランは3歩あるくだけで迷子になるし、シエナはマイペースで追い詰めた敵を見逃す。  そんなオレたちの周囲の連中もアホばかりだ。  この世界にはアホしかいないのか。そう呆れるオレだったけど、そんな連中に囲まれている時点で、自分も相当なアホであることに気づくのは、結構すぐのことだった。  最強のアホチーム、イレギュラーズは今日も、王都を救う! ※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

【薬師向けスキルで世界最強!】追放された闘神の息子は、戦闘能力マイナスのゴミスキル《植物王》を究極進化させて史上最強の英雄に成り上がる!

こはるんるん
ファンタジー
「アッシュ、お前には完全に失望した。もう俺の跡目を継ぐ資格は無い。追放だ!」  主人公アッシュは、世界最強の冒険者ギルド【神喰らう蛇】のギルドマスターの息子として活躍していた。しかし、筋力のステータスが80%も低下する外れスキル【植物王(ドルイドキング)】に覚醒したことから、理不尽にも父親から追放を宣言される。  しかし、アッシュは襲われていたエルフの王女を助けたことから、史上最強の武器【世界樹の剣】を手に入れる。この剣は天界にある世界樹から作られた武器であり、『植物を支配する神スキル』【植物王】を持つアッシュにしか使いこなすことができなかった。 「エルフの王女コレットは、掟により、こ、これよりアッシュ様のつ、つつつ、妻として、お仕えさせていただきます。どうかエルフ王となり、王家にアッシュ様の血を取り入れる栄誉をお与えください!」  さらにエルフの王女から結婚して欲しい、エルフ王になって欲しいと追いかけまわされ、エルフ王国の内乱を治めることになる。さらには神獣フェンリルから忠誠を誓われる。  そんな彼の前には、父親やかつての仲間が敵として立ちはだかる。(だが【神喰らう蛇】はやがてアッシュに敗れて、あえなく没落する)  かくして、後に闘神と呼ばれることになる少年の戦いが幕を開けた……!

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

処理中です...