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五階 力天使
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翌朝、何かに揺すられながら騒がしい声によって起こされる。智一が周りに少しだけ配慮した感じの声で俺を揺すっているようだ。
「な、なんで起こしてくれなかったんだよ!!!」
「ん~…起こしたよ?」
「え?起こ…した?」
「ビンタして、水かけて、揺すって…いろいろしたのに起きなかったんだよ?」
「ぐ…ぐはぁ?!」
智一は後ろにあった自分が寝ていた布団に倒れこむ。時間を確認すると、朝の五時。早すぎだろ…。これなら…。
「今から枕投げする?」
「もうムードないだろ?枕投げって夜するものじゃないか?」
「なんでそこだけ冷静に分析しちゃうの?」
「だってさ~…。」
そんな駄々こねたって知らないよ…。なんか…可哀そうではあるけど。自業自得と言ってしまえばそれまでなんだよね。前日、無理やりにでも寝てれば良かったのに…。
「何か他にやりたい事はないの?」
「う~ん…もうやりつくした感がある。」
「じゃあ、満足してるんじゃん!」
「だけどさぁ…そうじゃないじゃん!」
「駄々こねたってもう遅いよ?」
「辛辣だな?!」
もう一回海に入りたい、とかだったら全然付き合えるのに。別に今から枕投げしたっていいけど…。チェックアウトの時間は10時だから…変えられないし。もう一泊とかできないしなぁ…。
「う~ん…また来る?」
「本当か?!」
「部活の皆でくればいいよ、来年とかになるかな?」
「来…年?う~ん…待つか!」
「待てるのかよ?!」
智一は本当に良く分からないな…。でも、皆で来年も来られるのか…俺も待ち遠しいな。そういえば…笑夢の姿が見えない。どこに行ったんだろう?
智一と荷物をまとめていると、ドアが開いた音がした。振り向くと、笑夢とルトが居る。
「二人ともどうしたの?」
「チェックアウトを済ませてきました、ばったりルトさんと会ったので。」
「うちも一緒に行ったの!」
「そうだったんだ、ありがとう」
「ルト!昨日何してたんだ?」
「え?うちは皆とトランプして寝たよ?」
「トランプ…?」
あ、まずい。言ってなかったから…智一の駄々こね病が再発する可能性が…?!あれ?来ないな?
「いいなぁ…来年も来ような?」
「いいね!来年もしよう!」
「ほっ…良かった。」
「また駄々こねるかと思いましたよ?」
「おい?!見てたのか?!」
「ええ、それを見ながらチェックアウトをしに行きましたので」
「悪魔…?!」
「いえ?どちらかと言うと…天使ですよ?」
「ははは、おかしなやつだな!」
うん…まぁ相手にされなくて良かったよ。本当に天使だから。一瞬冷っとしたけど、信じる人なんていないよね。
「よし!じゃあ、帰ろうか」
4人で電車に乗り込んで窓から海を眺める。本当に楽しかったなぁ。今度は違うところに行きたい…かな。
皆と解散して家に着く。笑夢は何やら警戒している。何?!何か居るの?!怖いんだけど…。ゆ、幽霊とか?!
「そんな生易しい者ではないですよ、厄介なのが現れましたね」
「え?悪魔?」
「怒られますよ?」
「お、おこ?」
え?知らないうちに両親がこっちに帰ってきたかな?スマホを見ても何も連絡とか入ってないけど…。
鍵を開けて部屋に入ると、何故か優雅にくつろいでいる人…?が居る。何、ここ俺の家なんですけど…。
「お!久しぶりだな、それと初めまして人間よ」
「横柄な…ここ俺の家なんですけど?」
「がははは!!この私にそんな態度をとれるなんて面白いな!」
「お久しゅうございます、神よ。」
「か…神?!」
神の姿は人間そのもので、短めの髪で赤毛、肌は色白で目が釣り目。鼻は高くて口はにこやかだ。多分、女性なのだろう?女神ってやつなのかもしれない。日本人の理想の女性像みたいなものからはかけ離れた男性的な雰囲気を醸し出している。
「そ、そうでしたか。」
「畏まらなくてよい、さっきみたいに気楽に話せ!」
「分かった」
「それでよい!」
「ところで…何か用がございましたでしょうか?」
「用事はな…そこの小僧に話を聞きに来ただけよ?」
話…って何?俺…なんかやっちゃいました?少しだけ身構えて話を聞こうとする。女神はにやりと笑う。
「とりあえず、酒を出さんか?」
「俺…飲めないけど?」
「神に酒はつきものだ!」
「日本酒でよろしいですか?」
「おう、よいよい!」
いつの間に?!笑夢が高速で日本酒を持ってくる。笑夢…そんな感じなの?いつも見てる笑夢と違って…ちょっと面白い。
「笑夢、お前も飲め!」
「はい、ではいただきます」
笑夢はお酌をしつつ酒を煽る。女神も同じようにしている。うん、俺見事に孤立したんだけど。
「ところで…お前は順調か?こちらでは笑夢を名乗っているんだったか?」
「はい、そうでございます。事は順調に運んでいます」
「そうか、ならよろしい。」
女神はこちらを見て、手を前に差し出し「まぁ、座れ」と言った。いや、ここ俺の家!何回言わすんだ?!何回でも言うぞ?!ここ、俺の家!!
「お前は面白い小僧だ、天界の民も地獄の民も心が読めるのだぞ?」
「は…はは。だって、あまりにも横柄だから」
「ぐはははは!私に横柄と言える存在は居ないな。本当に面白い」
「ところで…用事は何?」
「そうだった、審査の話だ。まぁ、面接だな」
「神が直接?!」
「そうだ、小僧、お前は異例なんだよ」
「な、なんで起こしてくれなかったんだよ!!!」
「ん~…起こしたよ?」
「え?起こ…した?」
「ビンタして、水かけて、揺すって…いろいろしたのに起きなかったんだよ?」
「ぐ…ぐはぁ?!」
智一は後ろにあった自分が寝ていた布団に倒れこむ。時間を確認すると、朝の五時。早すぎだろ…。これなら…。
「今から枕投げする?」
「もうムードないだろ?枕投げって夜するものじゃないか?」
「なんでそこだけ冷静に分析しちゃうの?」
「だってさ~…。」
そんな駄々こねたって知らないよ…。なんか…可哀そうではあるけど。自業自得と言ってしまえばそれまでなんだよね。前日、無理やりにでも寝てれば良かったのに…。
「何か他にやりたい事はないの?」
「う~ん…もうやりつくした感がある。」
「じゃあ、満足してるんじゃん!」
「だけどさぁ…そうじゃないじゃん!」
「駄々こねたってもう遅いよ?」
「辛辣だな?!」
もう一回海に入りたい、とかだったら全然付き合えるのに。別に今から枕投げしたっていいけど…。チェックアウトの時間は10時だから…変えられないし。もう一泊とかできないしなぁ…。
「う~ん…また来る?」
「本当か?!」
「部活の皆でくればいいよ、来年とかになるかな?」
「来…年?う~ん…待つか!」
「待てるのかよ?!」
智一は本当に良く分からないな…。でも、皆で来年も来られるのか…俺も待ち遠しいな。そういえば…笑夢の姿が見えない。どこに行ったんだろう?
智一と荷物をまとめていると、ドアが開いた音がした。振り向くと、笑夢とルトが居る。
「二人ともどうしたの?」
「チェックアウトを済ませてきました、ばったりルトさんと会ったので。」
「うちも一緒に行ったの!」
「そうだったんだ、ありがとう」
「ルト!昨日何してたんだ?」
「え?うちは皆とトランプして寝たよ?」
「トランプ…?」
あ、まずい。言ってなかったから…智一の駄々こね病が再発する可能性が…?!あれ?来ないな?
「いいなぁ…来年も来ような?」
「いいね!来年もしよう!」
「ほっ…良かった。」
「また駄々こねるかと思いましたよ?」
「おい?!見てたのか?!」
「ええ、それを見ながらチェックアウトをしに行きましたので」
「悪魔…?!」
「いえ?どちらかと言うと…天使ですよ?」
「ははは、おかしなやつだな!」
うん…まぁ相手にされなくて良かったよ。本当に天使だから。一瞬冷っとしたけど、信じる人なんていないよね。
「よし!じゃあ、帰ろうか」
4人で電車に乗り込んで窓から海を眺める。本当に楽しかったなぁ。今度は違うところに行きたい…かな。
皆と解散して家に着く。笑夢は何やら警戒している。何?!何か居るの?!怖いんだけど…。ゆ、幽霊とか?!
「そんな生易しい者ではないですよ、厄介なのが現れましたね」
「え?悪魔?」
「怒られますよ?」
「お、おこ?」
え?知らないうちに両親がこっちに帰ってきたかな?スマホを見ても何も連絡とか入ってないけど…。
鍵を開けて部屋に入ると、何故か優雅にくつろいでいる人…?が居る。何、ここ俺の家なんですけど…。
「お!久しぶりだな、それと初めまして人間よ」
「横柄な…ここ俺の家なんですけど?」
「がははは!!この私にそんな態度をとれるなんて面白いな!」
「お久しゅうございます、神よ。」
「か…神?!」
神の姿は人間そのもので、短めの髪で赤毛、肌は色白で目が釣り目。鼻は高くて口はにこやかだ。多分、女性なのだろう?女神ってやつなのかもしれない。日本人の理想の女性像みたいなものからはかけ離れた男性的な雰囲気を醸し出している。
「そ、そうでしたか。」
「畏まらなくてよい、さっきみたいに気楽に話せ!」
「分かった」
「それでよい!」
「ところで…何か用がございましたでしょうか?」
「用事はな…そこの小僧に話を聞きに来ただけよ?」
話…って何?俺…なんかやっちゃいました?少しだけ身構えて話を聞こうとする。女神はにやりと笑う。
「とりあえず、酒を出さんか?」
「俺…飲めないけど?」
「神に酒はつきものだ!」
「日本酒でよろしいですか?」
「おう、よいよい!」
いつの間に?!笑夢が高速で日本酒を持ってくる。笑夢…そんな感じなの?いつも見てる笑夢と違って…ちょっと面白い。
「笑夢、お前も飲め!」
「はい、ではいただきます」
笑夢はお酌をしつつ酒を煽る。女神も同じようにしている。うん、俺見事に孤立したんだけど。
「ところで…お前は順調か?こちらでは笑夢を名乗っているんだったか?」
「はい、そうでございます。事は順調に運んでいます」
「そうか、ならよろしい。」
女神はこちらを見て、手を前に差し出し「まぁ、座れ」と言った。いや、ここ俺の家!何回言わすんだ?!何回でも言うぞ?!ここ、俺の家!!
「お前は面白い小僧だ、天界の民も地獄の民も心が読めるのだぞ?」
「は…はは。だって、あまりにも横柄だから」
「ぐはははは!私に横柄と言える存在は居ないな。本当に面白い」
「ところで…用事は何?」
「そうだった、審査の話だ。まぁ、面接だな」
「神が直接?!」
「そうだ、小僧、お前は異例なんだよ」
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