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八階 智天使
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雑談を続けていると、呼び鈴が鳴る。結君が到着したようだ。結君を招き入れて、改めて会議を始めた。
「どうする?どこに行きたい?」
「滑れればどこでも変わらないと思いますわ?」
「そうなのかな?」
「多少雪質によって左右されることはありますけど…アイスバーンの場所はおすすめ出来ないかもしれないですね」
「アイス…バーン?」
「必殺技か?!かっこいいな!」
「必殺技ですか?!いいですね、憧れます!」
「そんなわけありませんよ、凍った地面の事です」
「痛いだけ、と言われるのもこれが原因ですわね」
「じゃあ、常に雪が降ってる地帯がいいのかな?」
そんな場所、どこに行けばある?今回はかなり遠出しないといけないのかな?財布に優しくあって欲しいけれど…。
「傾斜が緩くて、コース幅が広くて、雪が多め…。」
「あそこしかないですわね?」
「あるんだ?!」
聞けば電車で一時間程の所にあるらしい。この町はどうにも便利が過ぎる気がする。海も行けて山も行けて。
「そこでコテージでも借りればいいですわ」
「そうですね、それがいいでしょう」
案外ぬるっと決まってしまった。いつもサクサク決まっていくから、あんまり悩まないんだよね。悩んで決めるのがだいご味なような気がしなくもないんだけど。
手を横にスライドさせたら、何かに手が当たる。あ、お土産か。そういえば…あんなに騒がしくしていたけど、ちゃんと買ってきたんだった。
「はい、お土産だよ」
「いいんですか?!肇先輩!」
「あ、うちもあげる!」
「わぁ!嬉しいです!」
「俺は…忘れた!」
「期待していませんでしたよ、智一」
「なんで俺には辛辣なんだよ!!お前一応後輩だろ?!」
「お土産くれない人を先輩とは言わないです!」
「お土産って…そんなに大事なのかね?」
智一はとほほと嘆く。お土産くれたら先輩なのは…ちょっと面白い。もし、智一がお土産をあげていたら…先輩に格上げされたんだろうな。
「うちらであんなに見て回ってたのに…買ってないの?」
「家族にだけ買ったわ」
「多少多く買わない?」
「うん?自分で食った!」
自分用のお土産多く買う人か…。でも、分からなくないな。食べ物のお土産って買ったら期限ついているから、渡す機会がないと食べちゃうよね。うん。
「多分関係ないですよ?」
「そうなの?」
「え?何が?」
「期限がついているから自分で食べたわけじゃなくて?」
「そ、それだ!」
「あぁ…もう分かった。」
「そんな残念なものを見る目で俺を見るな!!」
智一…残念だがこれは庇いきれない。でも、お土産ってそんなに重要なのかな?確かに買って行ったり、来たりするけど。
「日頃の感謝などを伝えるために渡すものですから…必要ではありますよね?」
「そっか、それなら渡した方がいいね」
「ああ…俺の評価が地の底まで落ちていく…」
「智一は日ごろから誰にも感謝していない、と。」
「そんなこと…ない…し。」
「嘘だよ、そんなに真面目に受け取らなくても大丈夫だよ」
「本当か?!」
「多分…友達として付き合っていく間はネタとして擦らせてもらうけど」
「おい!!それ後何十年擦るんだよ!」
「丸くなるまで擦り続けるよ?」
「それはそれで怖いが…?分かった、今度から買うから!許して!!!」
智一は頭を抱えている。そんなに気にしなくてもいいけど、面白い。でもきっと、社会人になったら、こういう気配りが必要になるんだろうな。
「よし、場所も決まったし、解散にしようか」
皆“はーい”と言ってそれぞれ帰宅していった。笑夢と二人きりになったら、修学旅行の時の事を思い出して、恥ずかしさを感じる。
何を喋ればいいのか分からなくなってしまったよ…。今までどんな感じで喋ってたっけ?何を…どう喋れば…。
“普通に喋ればよかろう?何を悩んでいる?”
「?!」
“ははは、いつでもここに居ると思え!”
意地が悪いな…普通の登場出来ないの?!笑夢もぎこちない動きしてるじゃないか!どうなんだ?神よ…何をどうすればいいんだ?
“分からん、小僧の好きなようにせよ”
「使えない神だ…」
「なんだと?」
「うわぁ?!」
「不敬罪だぞ?」
「神に人間のルールは適応されるのか?」
「う~む…しないな!」
「笑夢も何とか言ってやってよ…」
「な?!なんで私に振るんですか…」
いつもと違うな…さては久しぶりで緊張しているのか?そうなんだな?
「小僧が急に話しかけたからだろう?私の所為にするでない!」
「え?なんで?」
「さっき自分で言っていたのを忘れたのか?」
「ああ、あれね?」
「お前…心が読めるのを忘れていないか?」
あ~…あ。俺のが移ったか。二人だけって意識すると…なんかね?あるじゃん。キスを思い出すって。
「二人して顔を真っ赤にしてな?面白いぞ?もっとやれ?」
「出来るか!!」
「おお、いいツッコみではないか!」
このおちゃらけ神様め…。
「どうする?どこに行きたい?」
「滑れればどこでも変わらないと思いますわ?」
「そうなのかな?」
「多少雪質によって左右されることはありますけど…アイスバーンの場所はおすすめ出来ないかもしれないですね」
「アイス…バーン?」
「必殺技か?!かっこいいな!」
「必殺技ですか?!いいですね、憧れます!」
「そんなわけありませんよ、凍った地面の事です」
「痛いだけ、と言われるのもこれが原因ですわね」
「じゃあ、常に雪が降ってる地帯がいいのかな?」
そんな場所、どこに行けばある?今回はかなり遠出しないといけないのかな?財布に優しくあって欲しいけれど…。
「傾斜が緩くて、コース幅が広くて、雪が多め…。」
「あそこしかないですわね?」
「あるんだ?!」
聞けば電車で一時間程の所にあるらしい。この町はどうにも便利が過ぎる気がする。海も行けて山も行けて。
「そこでコテージでも借りればいいですわ」
「そうですね、それがいいでしょう」
案外ぬるっと決まってしまった。いつもサクサク決まっていくから、あんまり悩まないんだよね。悩んで決めるのがだいご味なような気がしなくもないんだけど。
手を横にスライドさせたら、何かに手が当たる。あ、お土産か。そういえば…あんなに騒がしくしていたけど、ちゃんと買ってきたんだった。
「はい、お土産だよ」
「いいんですか?!肇先輩!」
「あ、うちもあげる!」
「わぁ!嬉しいです!」
「俺は…忘れた!」
「期待していませんでしたよ、智一」
「なんで俺には辛辣なんだよ!!お前一応後輩だろ?!」
「お土産くれない人を先輩とは言わないです!」
「お土産って…そんなに大事なのかね?」
智一はとほほと嘆く。お土産くれたら先輩なのは…ちょっと面白い。もし、智一がお土産をあげていたら…先輩に格上げされたんだろうな。
「うちらであんなに見て回ってたのに…買ってないの?」
「家族にだけ買ったわ」
「多少多く買わない?」
「うん?自分で食った!」
自分用のお土産多く買う人か…。でも、分からなくないな。食べ物のお土産って買ったら期限ついているから、渡す機会がないと食べちゃうよね。うん。
「多分関係ないですよ?」
「そうなの?」
「え?何が?」
「期限がついているから自分で食べたわけじゃなくて?」
「そ、それだ!」
「あぁ…もう分かった。」
「そんな残念なものを見る目で俺を見るな!!」
智一…残念だがこれは庇いきれない。でも、お土産ってそんなに重要なのかな?確かに買って行ったり、来たりするけど。
「日頃の感謝などを伝えるために渡すものですから…必要ではありますよね?」
「そっか、それなら渡した方がいいね」
「ああ…俺の評価が地の底まで落ちていく…」
「智一は日ごろから誰にも感謝していない、と。」
「そんなこと…ない…し。」
「嘘だよ、そんなに真面目に受け取らなくても大丈夫だよ」
「本当か?!」
「多分…友達として付き合っていく間はネタとして擦らせてもらうけど」
「おい!!それ後何十年擦るんだよ!」
「丸くなるまで擦り続けるよ?」
「それはそれで怖いが…?分かった、今度から買うから!許して!!!」
智一は頭を抱えている。そんなに気にしなくてもいいけど、面白い。でもきっと、社会人になったら、こういう気配りが必要になるんだろうな。
「よし、場所も決まったし、解散にしようか」
皆“はーい”と言ってそれぞれ帰宅していった。笑夢と二人きりになったら、修学旅行の時の事を思い出して、恥ずかしさを感じる。
何を喋ればいいのか分からなくなってしまったよ…。今までどんな感じで喋ってたっけ?何を…どう喋れば…。
“普通に喋ればよかろう?何を悩んでいる?”
「?!」
“ははは、いつでもここに居ると思え!”
意地が悪いな…普通の登場出来ないの?!笑夢もぎこちない動きしてるじゃないか!どうなんだ?神よ…何をどうすればいいんだ?
“分からん、小僧の好きなようにせよ”
「使えない神だ…」
「なんだと?」
「うわぁ?!」
「不敬罪だぞ?」
「神に人間のルールは適応されるのか?」
「う~む…しないな!」
「笑夢も何とか言ってやってよ…」
「な?!なんで私に振るんですか…」
いつもと違うな…さては久しぶりで緊張しているのか?そうなんだな?
「小僧が急に話しかけたからだろう?私の所為にするでない!」
「え?なんで?」
「さっき自分で言っていたのを忘れたのか?」
「ああ、あれね?」
「お前…心が読めるのを忘れていないか?」
あ~…あ。俺のが移ったか。二人だけって意識すると…なんかね?あるじゃん。キスを思い出すって。
「二人して顔を真っ赤にしてな?面白いぞ?もっとやれ?」
「出来るか!!」
「おお、いいツッコみではないか!」
このおちゃらけ神様め…。
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