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第11話「太陽の番と、厨房に立つ皇帝」
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リオが皇帝アレスの番として正式に披露される日がやってきた。
その日、宮殿の大広間には帝国中の有力な貴族たちが一堂に会していた。平民出身の、それも男の番を迎えるなど帝国の長い歴史の中でも前代未聞のこと。会場には祝福の言葉とは裏腹に、戸惑いや好奇、そしてかすかな反発の声が渦巻いていた。
「本当にあのような若者が皇帝陛下の番に……?」
「聖獣様を癒した功績は認めるが、国の母となるお方としては……」
そんな囁き声が飛び交う中、アレスに手を取られたリオが大広間に姿を現した。緊張で強張るリオの手を、アレスが「心配するな」とでも言うように力強く握る。その堂々とした態度とリオに向ける慈愛に満ちた眼差しは、いかなる反対意見も許さないという皇帝の絶対的な意志を示していた。
そしてその夜のパーティーで振る舞われた料理が、会場の空気を一変させた。
メニューを考案し総指揮を執ったのはリオ本人だった。豪華絢爛な宮廷料理に混じって彼が心を込めて作った温かいスープや、素朴な肉のパイ、新鮮な野菜のグリルなどが並べられた。
最初は半信半疑でそれらを口にした貴族たちだったが、一口食べた瞬間その表情が驚きに変わった。
「な、なんだこのスープは……! 体の芯から力がみなぎってくるようだ!」
「このパイ、ただのパイではないぞ! 食べるだけで心が安らぐような……」
リオの【神の舌】によって力が最大限に引き出された料理は、ただ美味しいだけではなかった。食べた者の疲労を癒し活力を与え、心を温かくする。そんな不思議な力が宿っていたのだ。
その奇跡のような味わいに誰もが夢中になり魅了された。そして何よりも、冷徹で知られた皇帝アレスが自分のことはそっちのけでリオの皿に料理を取り分けてやったり、口元についたソースを指で拭ってやったりする姿が、二人の関係が紛れもない本物であることを雄弁に物語っていた。
パーティーが終わる頃にはリオを疑う声は完全に消え去っていた。彼の存在は帝国の新しい希望の象徴として人々に受け入れられたのだ。
***
皇帝の番というこの上なく尊い身分になっても、リオは厨房に立ち続けることを望んだ。
「俺の居場所はやっぱりここなんです。俺のこの力はみんなを幸せにするために使いたい」
その願いをアレスは少し困ったように、しかし何よりも愛おしそうな顔で笑って受け入れた。
「君らしいな。だが無理だけはするなよ。君の体はもう君だけのものじゃないのだから」
そんな甘い言葉を囁きながら。
それから城の厨房では時折、信じられないような光景が見られるようになった。
政務の合間を縫って皇帝アレス自らが厨房を訪れるのだ。そしてリオに料理を教わりながら、ぎこちない手つきで野菜を切ったりソースの味見をしたりしている。高価な軍服の袖をまくり小麦粉で顔を白くしている皇帝の姿に、最初は誰もが目を疑ったが、やがてそれは微笑ましい日常の風景として定着していった。
「アレス様、猫の手ですよ、猫の手!」
「む……こうか? なかなか難しいものだな」
「ふふ、でもさっきより上手になりました」
そんな楽しそうな二人の笑い声が、温かい料理の香りと一緒に厨房を満たす。
太陽のように明るく温かい番と、その太陽に照らされて氷が溶けた皇帝。二人の存在はこの帝国をより豊かで優しい国へと変えていくのだった。
その日、宮殿の大広間には帝国中の有力な貴族たちが一堂に会していた。平民出身の、それも男の番を迎えるなど帝国の長い歴史の中でも前代未聞のこと。会場には祝福の言葉とは裏腹に、戸惑いや好奇、そしてかすかな反発の声が渦巻いていた。
「本当にあのような若者が皇帝陛下の番に……?」
「聖獣様を癒した功績は認めるが、国の母となるお方としては……」
そんな囁き声が飛び交う中、アレスに手を取られたリオが大広間に姿を現した。緊張で強張るリオの手を、アレスが「心配するな」とでも言うように力強く握る。その堂々とした態度とリオに向ける慈愛に満ちた眼差しは、いかなる反対意見も許さないという皇帝の絶対的な意志を示していた。
そしてその夜のパーティーで振る舞われた料理が、会場の空気を一変させた。
メニューを考案し総指揮を執ったのはリオ本人だった。豪華絢爛な宮廷料理に混じって彼が心を込めて作った温かいスープや、素朴な肉のパイ、新鮮な野菜のグリルなどが並べられた。
最初は半信半疑でそれらを口にした貴族たちだったが、一口食べた瞬間その表情が驚きに変わった。
「な、なんだこのスープは……! 体の芯から力がみなぎってくるようだ!」
「このパイ、ただのパイではないぞ! 食べるだけで心が安らぐような……」
リオの【神の舌】によって力が最大限に引き出された料理は、ただ美味しいだけではなかった。食べた者の疲労を癒し活力を与え、心を温かくする。そんな不思議な力が宿っていたのだ。
その奇跡のような味わいに誰もが夢中になり魅了された。そして何よりも、冷徹で知られた皇帝アレスが自分のことはそっちのけでリオの皿に料理を取り分けてやったり、口元についたソースを指で拭ってやったりする姿が、二人の関係が紛れもない本物であることを雄弁に物語っていた。
パーティーが終わる頃にはリオを疑う声は完全に消え去っていた。彼の存在は帝国の新しい希望の象徴として人々に受け入れられたのだ。
***
皇帝の番というこの上なく尊い身分になっても、リオは厨房に立ち続けることを望んだ。
「俺の居場所はやっぱりここなんです。俺のこの力はみんなを幸せにするために使いたい」
その願いをアレスは少し困ったように、しかし何よりも愛おしそうな顔で笑って受け入れた。
「君らしいな。だが無理だけはするなよ。君の体はもう君だけのものじゃないのだから」
そんな甘い言葉を囁きながら。
それから城の厨房では時折、信じられないような光景が見られるようになった。
政務の合間を縫って皇帝アレス自らが厨房を訪れるのだ。そしてリオに料理を教わりながら、ぎこちない手つきで野菜を切ったりソースの味見をしたりしている。高価な軍服の袖をまくり小麦粉で顔を白くしている皇帝の姿に、最初は誰もが目を疑ったが、やがてそれは微笑ましい日常の風景として定着していった。
「アレス様、猫の手ですよ、猫の手!」
「む……こうか? なかなか難しいものだな」
「ふふ、でもさっきより上手になりました」
そんな楽しそうな二人の笑い声が、温かい料理の香りと一緒に厨房を満たす。
太陽のように明るく温かい番と、その太陽に照らされて氷が溶けた皇帝。二人の存在はこの帝国をより豊かで優しい国へと変えていくのだった。
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