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番外編「聖獣グリフォンは知っている」
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我の名はグリフォン。この帝国を守護する気高き聖獣だ。
長年我は心を閉ざし、生きる気力さえ失い食事を摂ることを拒んでいた。かつて愛した番を失った悲しみが我が心を深く凍てつかせていたからだ。どんな極上の肉もどんな甘い果物も砂を噛むように味気なく、我の心を動かすことはなかった。
あの日、あの小さな人間、リオが現れるまでは。
彼が我が前に差し出したのはなんの変哲もない、ただの野菜スープだった。だがその一杯には彼の持つ不思議な力が溶け込んでいた。優しさ、温かさ、そして彼自身が抱えていたほんの少しの寂しさ。その複雑でどこまでも優しい味わいに、我は遠い昔に感じた母の温もりと失った番との穏やかな日々を思い出したのだ。凍てついていた心がじんわりと溶けていくのが分かった。
それからというもの、我はすっかりリオの料理の虜になった。彼の作るものはただ腹を満たすだけではない。魂を癒し満たしてくれるのだ。
そして我はずっと見ていた。我が主であり心を閉ざした者同士、どこか似たところのある皇帝アレスが、日に日にリオに惹かれていく様子を。
最初はただの「使える駒」として見ていた目が次第に「興味深い存在」に変わり、やがて「手放したくない宝物」へと変わっていくのを我は全て知っていた。
執務室での密かな夜食の時間、お互いを意識してぎこちなくなる二人を見るのはなかなかに面白いものだった。まったく人間というのは不器用で面倒で、そしてどうしようもなく愛おしい生き物だ。
アレスがリオに求婚したあの夜、我は天高く舞い上がり我が力の限り二人を祝福した。我が主がようやく魂の片割れを見つけ、心の安らぎを得たのだから。これ以上の喜びはない。
これからも我はこの愛すべき二人と、彼らが作る温かい国をこの大空から見守っていこう。
……まあ、たまには地上に降りて、リオの特製干し肉をねだるのも悪くはないがな。
長年我は心を閉ざし、生きる気力さえ失い食事を摂ることを拒んでいた。かつて愛した番を失った悲しみが我が心を深く凍てつかせていたからだ。どんな極上の肉もどんな甘い果物も砂を噛むように味気なく、我の心を動かすことはなかった。
あの日、あの小さな人間、リオが現れるまでは。
彼が我が前に差し出したのはなんの変哲もない、ただの野菜スープだった。だがその一杯には彼の持つ不思議な力が溶け込んでいた。優しさ、温かさ、そして彼自身が抱えていたほんの少しの寂しさ。その複雑でどこまでも優しい味わいに、我は遠い昔に感じた母の温もりと失った番との穏やかな日々を思い出したのだ。凍てついていた心がじんわりと溶けていくのが分かった。
それからというもの、我はすっかりリオの料理の虜になった。彼の作るものはただ腹を満たすだけではない。魂を癒し満たしてくれるのだ。
そして我はずっと見ていた。我が主であり心を閉ざした者同士、どこか似たところのある皇帝アレスが、日に日にリオに惹かれていく様子を。
最初はただの「使える駒」として見ていた目が次第に「興味深い存在」に変わり、やがて「手放したくない宝物」へと変わっていくのを我は全て知っていた。
執務室での密かな夜食の時間、お互いを意識してぎこちなくなる二人を見るのはなかなかに面白いものだった。まったく人間というのは不器用で面倒で、そしてどうしようもなく愛おしい生き物だ。
アレスがリオに求婚したあの夜、我は天高く舞い上がり我が力の限り二人を祝福した。我が主がようやく魂の片割れを見つけ、心の安らぎを得たのだから。これ以上の喜びはない。
これからも我はこの愛すべき二人と、彼らが作る温かい国をこの大空から見守っていこう。
……まあ、たまには地上に降りて、リオの特製干し肉をねだるのも悪くはないがな。
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