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第21話:光満ちる未来へ
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皇妃としての生活にも、すっかり慣れた。
カイゼルと共に公務をこなし、時には前世の知識を活かして国政に助言をする。侍従たちと笑い合い、庭園の青い薔薇の手入れをする。
そんな穏やかで、幸福な日々が続いていた。
そんなある日のこと。
朝から、どうにも身体がだるい。先日のヒートの周期とも違うし、何か悪いものでも食べたのだろうか。少し、吐き気もする。
「顔色が悪いぞ、リオン。大丈夫か?」
朝食の席で、カイゼルが心配そうに俺の顔を覗き込む。
「うん、少しだけ……。でも、平気だよ」
そう答えたものの、その日の午後には、立っているのも辛くなってしまった。
見かねたカイゼルに「命令だ」と強く言われ、俺は渋々、侍医の診察を受けることになった。
診察室で、年配の侍医が、様々な器具を使って俺の身体を調べていく。そして、何度か脈を測った後、彼は驚きと喜びに満ちた表情で、こう言った。
「おめでとうございます、リオン皇妃陛下! ご懐妊でございます!」
「…………え?」
懐妊。にんしん。
その言葉の意味を理解するのに、数秒かかった。
俺の、このお腹の中に、新しい命が宿っている。カイゼルと、俺の、子供が。
その事実に気づいた瞬間、胸の奥から、言葉にできないほどの温かい感情が込み上げてきた。嬉しくて、愛おしくて、涙が止まらない。
俺が、母親に……父親に? まあどっちでもいいか、とにかく親になるんだ。
報告は、カイゼルの執務室で行われた。
俺は、少し緊張しながら、執務机で書類に目を通しているカイゼルの前に立った。
「カイゼル。少し、話があるんだ」
「どうした、リオン。まだ気分が優れないのか?」
彼はペンを置き、心配そうに俺を見つめる。
俺は、深呼吸を一つすると、彼の前に、そっと一枚の羊皮紙を差し出した。侍医が書いてくれた、診断書だ。
カイゼルは、不思議そうな顔でそれを受け取ると、書かれている内容に目を通した。
そして、彼の動きが、ピタリと止まった。
金の瞳が、信じられないというように、大きく見開かれる。
彼は、診断書と俺の顔を、何度も、何度も見比べた。
「リオン……これは、本当か……?」
震える声で、彼は尋ねた。
俺は、涙で濡れた笑顔で、こくりと頷く。
「本当だよ。あなたと、俺の、赤ちゃんが……ここにいる」
その瞬間、カイゼルは椅子から立ち上がると、嵐のような勢いで俺を抱きしめた。
「うおおおおっ……! リオン! リオン!」
皇帝の威厳などかなぐり捨て、彼は子供のように、歓喜の声を上げた。その腕は、俺が壊れてしまいそうなほど、強く、けれど優しかった。
しばらくして、少し落ち着いたカイゼルは、俺の前に跪くと、俺のお腹にそっと耳を当てた。そして、愛おしくてたまらないというように、その平らなお腹を、優しく、優しく撫でた。
「ありがとう、リオン……。ありがとう……」
その姿を見て、俺は再び涙が溢れ出した。
幸せだ。こんなに幸せでいいのだろうか。
過労死して、絶望の淵にいた俺が、今、世界で一番愛する人の子供を身ごもり、こんなにも幸せに満ちている。
お腹を愛おしそうに撫で続ける、冷徹皇帝の仮面を脱ぎ捨てた、一人の男の姿。
その姿を幸せいっぱいに見つめる、銀髪の皇妃。
二人の愛は、永遠に続いていく。
そして、その先には、光に満ち溢れた、輝かしい未来だけが待っている。
俺たちの物語は、ここで一旦、幕を閉じる。
けれど、俺たちの幸せな日々は、これからもずっと、ずっと続いていくのだ。
カイゼルと共に公務をこなし、時には前世の知識を活かして国政に助言をする。侍従たちと笑い合い、庭園の青い薔薇の手入れをする。
そんな穏やかで、幸福な日々が続いていた。
そんなある日のこと。
朝から、どうにも身体がだるい。先日のヒートの周期とも違うし、何か悪いものでも食べたのだろうか。少し、吐き気もする。
「顔色が悪いぞ、リオン。大丈夫か?」
朝食の席で、カイゼルが心配そうに俺の顔を覗き込む。
「うん、少しだけ……。でも、平気だよ」
そう答えたものの、その日の午後には、立っているのも辛くなってしまった。
見かねたカイゼルに「命令だ」と強く言われ、俺は渋々、侍医の診察を受けることになった。
診察室で、年配の侍医が、様々な器具を使って俺の身体を調べていく。そして、何度か脈を測った後、彼は驚きと喜びに満ちた表情で、こう言った。
「おめでとうございます、リオン皇妃陛下! ご懐妊でございます!」
「…………え?」
懐妊。にんしん。
その言葉の意味を理解するのに、数秒かかった。
俺の、このお腹の中に、新しい命が宿っている。カイゼルと、俺の、子供が。
その事実に気づいた瞬間、胸の奥から、言葉にできないほどの温かい感情が込み上げてきた。嬉しくて、愛おしくて、涙が止まらない。
俺が、母親に……父親に? まあどっちでもいいか、とにかく親になるんだ。
報告は、カイゼルの執務室で行われた。
俺は、少し緊張しながら、執務机で書類に目を通しているカイゼルの前に立った。
「カイゼル。少し、話があるんだ」
「どうした、リオン。まだ気分が優れないのか?」
彼はペンを置き、心配そうに俺を見つめる。
俺は、深呼吸を一つすると、彼の前に、そっと一枚の羊皮紙を差し出した。侍医が書いてくれた、診断書だ。
カイゼルは、不思議そうな顔でそれを受け取ると、書かれている内容に目を通した。
そして、彼の動きが、ピタリと止まった。
金の瞳が、信じられないというように、大きく見開かれる。
彼は、診断書と俺の顔を、何度も、何度も見比べた。
「リオン……これは、本当か……?」
震える声で、彼は尋ねた。
俺は、涙で濡れた笑顔で、こくりと頷く。
「本当だよ。あなたと、俺の、赤ちゃんが……ここにいる」
その瞬間、カイゼルは椅子から立ち上がると、嵐のような勢いで俺を抱きしめた。
「うおおおおっ……! リオン! リオン!」
皇帝の威厳などかなぐり捨て、彼は子供のように、歓喜の声を上げた。その腕は、俺が壊れてしまいそうなほど、強く、けれど優しかった。
しばらくして、少し落ち着いたカイゼルは、俺の前に跪くと、俺のお腹にそっと耳を当てた。そして、愛おしくてたまらないというように、その平らなお腹を、優しく、優しく撫でた。
「ありがとう、リオン……。ありがとう……」
その姿を見て、俺は再び涙が溢れ出した。
幸せだ。こんなに幸せでいいのだろうか。
過労死して、絶望の淵にいた俺が、今、世界で一番愛する人の子供を身ごもり、こんなにも幸せに満ちている。
お腹を愛おしそうに撫で続ける、冷徹皇帝の仮面を脱ぎ捨てた、一人の男の姿。
その姿を幸せいっぱいに見つめる、銀髪の皇妃。
二人の愛は、永遠に続いていく。
そして、その先には、光に満ち溢れた、輝かしい未来だけが待っている。
俺たちの物語は、ここで一旦、幕を閉じる。
けれど、俺たちの幸せな日々は、これからもずっと、ずっと続いていくのだ。
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