過労死転生した悪役令息Ωは、冷徹な隣国皇帝陛下の運命の番でした~婚約破棄と断罪からのざまぁ、そして始まる激甘な溺愛生活~

水凪しおん

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第20話:祝福の戴冠式

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 王国での騒動が全て収束し、平和が戻った帝国では、一つの盛大な儀式の準備が進められていた。
 俺、リオン・フォン・ヴァインベルクを、正式な皇妃として迎えるための、戴冠式だ。

 最初は「俺なんかが、そんな大々的な儀式……」と固辞したのだが、カイゼルと、帝国の重鎮たちに「帝国の皇妃をお迎えする、当然の儀式です!」と押し切られてしまった。
 民衆も、俺の皇妃就任を心から歓迎してくれているらしかった。

 そして、戴冠式当日。
 帝都は、祝賀ムード一色に染まっていた。大通りには帝国の旗が掲げられ、家々の窓からは花びらが舞っている。
 俺は、侍従たちに手伝われながら、純白の儀式用の礼服に身を包んだ。銀糸で、帝国の紋章である双頭の鷲が刺繍された、壮麗な衣装だ。
 鏡に映る自分の姿は、まだどこか見慣れない。本当に、俺が皇妃になるのか。

 大聖堂で行われた戴冠式は、厳かな雰囲気の中で進んだ。
 祭壇の前で、カイゼルの隣に並んで立つ。集まった多くの貴族や、各国の使節団が見守る中、俺は神に誓いを立てた。
 帝国の民に寄り添い、皇帝を支え、この国の繁栄に尽くすことを。

 そして、式のクライマックス。
 カイゼルが、美しい宝石が散りばめられた皇妃のティアラを、俺の頭上にそっと乗せた。

 その瞬間、大聖堂は割れんばかりの拍手と歓声に包まれた。
 式の後、俺たちは城のバルコニーに立ち、広場を埋め尽くした民衆の前に姿を現した。

「リオン皇妃陛下、万歳!」
「皇帝陛下、万歳!」
 地鳴りのような歓声が、空に響き渡る。
 多くの民衆が、笑顔で、涙で、俺たちの誕生を祝福してくれていた。

 その光景を見ながら、俺の目にも、じわりと涙が浮かんだ。
 虐げられ、誰にも必要とされず、死ぬことばかり考えていたあの頃の自分が、嘘のようだ。
 ここまで連れてきてくれたのは、隣に立つ、この人だ。

 すると、カイゼルが俺の身体をぐっと引き寄せた。
 そして、何万人という民衆が見守る前で、俺の唇に、優しく誓いの口づけをした。

「きゃああああ!」
 広場から、悲鳴に近い歓声が上がる。

 カイゼルは、唇を離すと、俺の耳元で、囁いた。
 他の誰にも聞こえない、二人だけの声で。

「生涯、お前だけを愛する」

 その言葉に、俺は涙で濡れた瞳で、精一杯の笑顔を作って頷いた。
「俺も……あなただけを、愛しています」

 民衆の祝福の歓声が、いつまでも、いつまでも、青い空に響き渡っていた。
 俺の人生で、最も幸せな一日だった。
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