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第7話「甘い新婚旅行と、古代の目覚め」
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王都での騒動も一段落し、公爵邸に穏やかな日常が戻ってきた頃、ルシウス様が僕に提案した。
「アレン、新婚旅行に行こう」
「し、新婚旅行、ですか?」
「ああ。君には、辛い思いばかりさせてしまったからな。これからは、楽しい思い出をたくさん作ろう。二人きりで、誰にも邪魔されない場所へ」
そう言って彼が地図の上で指し示したのは、王国の南方に位置する秘境『陽光の谷』。そこには、今では失われた古代文明の遺跡が眠っていると言われている。表向きは遺跡の学術調査という名目だが、実質は、僕たちのための甘い旅行だった。
僕たちは護衛も最小限にとどめ、お忍びで旅に出た。
道中の街では、二人で手を繋いで市場を歩き、名物の焼き菓子を食べ歩いた。ルシウス様は、僕が少しでも興味を示したものを、片っ端から買い与えようとするので、止めるのが大変だった。
美しい湖のほとりで馬車を止め、二人で夕日を眺めた。彼の肩に寄りかかると、ルシウス様は僕の髪に優しく口づけを落とす。
「君といると、今まで何とも思わなかった世界の全てが、輝いて見える」
彼の囁きに、僕の胸は甘く高鳴った。
夜、宿ではもちろん部屋は一つ。大きなベッドで、彼の腕に抱かれて眠る。最初は恥ずかしくてたまらなかったけれど、今は彼の温もりがなければ、もう眠れないほどになっていた。
旅の全てが、僕にとっては初めての経験で、毎日が心をときめかせていた。そして、そんな僕の姿を、ルシウス様はひたすら愛おしそうに見つめているのだった。
数週間の旅を経て、僕たちは目的の『陽光の谷』に到着した。そこは、緑豊かな谷の奥深くに、ひっそりと佇む古代の遺跡だった。蔦に覆われた石造りの建造物は、どこか神秘的な雰囲気を漂わせている。
「ここが…」
「ああ。伝説によれば、この遺跡には古代の王が強大な『災厄』を封印したと言われている」
僕たちは、ランタンの灯りを頼りに、遺跡の内部へと足を踏み入れた。壁には、見たこともない古代の魔法文字がびっしりと刻まれている。
遺跡の内部は、数々のトラップが仕掛けられていた。床から槍が飛び出し、壁から毒矢が放たれる。しかし、それらは全て、ルシウス様の氷の魔法が作り出す障壁によって、僕たちに届く前に防がれてしまう。
奥へ進むと、今度は遺跡の守護者である石のゴーレムが何体も現れた。だが、それも僕たちの敵ではなかった。僕が精霊の力でゴーレムの動きを鈍らせ、その隙にルシウス様が剣で核を破壊する。僕たちの連携は、もはや阿吽の呼吸だった。
「君がいれば、百人力だな」
「ルシウスさんこそ」
僕たちは顔を見合わせて笑い合った。
そして、ついに僕たちは、遺跡の最深部らしき広大な空間にたどり着いた。
その中央には、黒曜石で作られた巨大な祭壇が鎮座している。そして、その上には、人の頭ほどもある巨大な黒い魔石が置かれ、禍々しい紫色の光を放っていた。
「これは…」
僕たちが、その祭壇に足を踏み入れた、その瞬間だった。
ドクンッ!!
黒い魔石が、まるで心臓のように激しく脈動した。同時に、遺跡全体が地鳴りのように鳴動し、壁から石片がパラパラと崩れ落ちてくる。
祭壇に刻まれた古代文字が、不気味な光を放ち始める。
「まずい…! 封印が解けかけている!」
ルシウス様が叫ぶ。
永い、永い時を超えて、この地に封印されていた古代の災厄が、僕たちの来訪をきっかけに、今まさに目覚めようとしていた。
「アレン、新婚旅行に行こう」
「し、新婚旅行、ですか?」
「ああ。君には、辛い思いばかりさせてしまったからな。これからは、楽しい思い出をたくさん作ろう。二人きりで、誰にも邪魔されない場所へ」
そう言って彼が地図の上で指し示したのは、王国の南方に位置する秘境『陽光の谷』。そこには、今では失われた古代文明の遺跡が眠っていると言われている。表向きは遺跡の学術調査という名目だが、実質は、僕たちのための甘い旅行だった。
僕たちは護衛も最小限にとどめ、お忍びで旅に出た。
道中の街では、二人で手を繋いで市場を歩き、名物の焼き菓子を食べ歩いた。ルシウス様は、僕が少しでも興味を示したものを、片っ端から買い与えようとするので、止めるのが大変だった。
美しい湖のほとりで馬車を止め、二人で夕日を眺めた。彼の肩に寄りかかると、ルシウス様は僕の髪に優しく口づけを落とす。
「君といると、今まで何とも思わなかった世界の全てが、輝いて見える」
彼の囁きに、僕の胸は甘く高鳴った。
夜、宿ではもちろん部屋は一つ。大きなベッドで、彼の腕に抱かれて眠る。最初は恥ずかしくてたまらなかったけれど、今は彼の温もりがなければ、もう眠れないほどになっていた。
旅の全てが、僕にとっては初めての経験で、毎日が心をときめかせていた。そして、そんな僕の姿を、ルシウス様はひたすら愛おしそうに見つめているのだった。
数週間の旅を経て、僕たちは目的の『陽光の谷』に到着した。そこは、緑豊かな谷の奥深くに、ひっそりと佇む古代の遺跡だった。蔦に覆われた石造りの建造物は、どこか神秘的な雰囲気を漂わせている。
「ここが…」
「ああ。伝説によれば、この遺跡には古代の王が強大な『災厄』を封印したと言われている」
僕たちは、ランタンの灯りを頼りに、遺跡の内部へと足を踏み入れた。壁には、見たこともない古代の魔法文字がびっしりと刻まれている。
遺跡の内部は、数々のトラップが仕掛けられていた。床から槍が飛び出し、壁から毒矢が放たれる。しかし、それらは全て、ルシウス様の氷の魔法が作り出す障壁によって、僕たちに届く前に防がれてしまう。
奥へ進むと、今度は遺跡の守護者である石のゴーレムが何体も現れた。だが、それも僕たちの敵ではなかった。僕が精霊の力でゴーレムの動きを鈍らせ、その隙にルシウス様が剣で核を破壊する。僕たちの連携は、もはや阿吽の呼吸だった。
「君がいれば、百人力だな」
「ルシウスさんこそ」
僕たちは顔を見合わせて笑い合った。
そして、ついに僕たちは、遺跡の最深部らしき広大な空間にたどり着いた。
その中央には、黒曜石で作られた巨大な祭壇が鎮座している。そして、その上には、人の頭ほどもある巨大な黒い魔石が置かれ、禍々しい紫色の光を放っていた。
「これは…」
僕たちが、その祭壇に足を踏み入れた、その瞬間だった。
ドクンッ!!
黒い魔石が、まるで心臓のように激しく脈動した。同時に、遺跡全体が地鳴りのように鳴動し、壁から石片がパラパラと崩れ落ちてくる。
祭壇に刻まれた古代文字が、不気味な光を放ち始める。
「まずい…! 封印が解けかけている!」
ルシウス様が叫ぶ。
永い、永い時を超えて、この地に封印されていた古代の災厄が、僕たちの来訪をきっかけに、今まさに目覚めようとしていた。
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