【土壌改良】スキルで追放された俺、辺境で奇跡の野菜を作ってたら、聖剣の呪いに苦しむ伝説の英雄がやってきて胃袋と心を掴んでしまった

水凪しおん

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第15話「恋人たちの甘い日常」

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 アッシュの告白を受け入れ、僕たちは恋人同士になった。
 その日から、僕たちの日常は甘い砂糖菓子のようにキラキラと輝き始めた。

 最強の用心棒は、最強の恋人になった。アッシュの僕への溺愛っぷりは、日に日に加速していく。

 朝、僕が目を覚ますと、すぐそばに彼の寝顔がある。僕が起きる気配を察して目を開けた彼が、寝ぼけ眼の僕に「おはよう、フィン」と言って優しいキスをくれるのが、一日の始まりの合図になった。

 畑仕事の合間には、僕が汗を拭いていると、どこからともなく現れたアッシュが僕の唇を奪っていく。
「……休憩だ」なんてぶっきらぼうに言うけれど、その耳がほんのり赤いのが可愛くて、僕はいつも笑ってしまう。

 そして、食事の時間。僕が作った料理をテーブルに並べると、アッシュは一口食べるごとに、まるで世界で一番の美食を味わったかのように目を輝かせる。

「フィン、これも最高にうまい」

「世界一だ。お前は天才か」

「毎日これが食える俺は、世界一の幸せ者だな」

 褒め言葉のオンパレードに、僕は気恥ずかしくなりながらも、胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じていた。

 言葉数は少ないし、表情もあまり変わらない。けれど、彼の行動や視線の端々から、僕への深い愛情が伝わってくる。
 僕が少しでも重いものを持とうとすれば、すぐに飛んできて取り上げる。
 夜、冷えてくると、黙って自分の上着を僕の肩にかけてくれる。
 僕が他の誰かと親しげに話していると、すぐに隣に来て僕の腰を抱き、無言の圧力をかける。

 そんな彼の、ぶっきらぼうなりの愛情表現の一つ一つが、僕にとってはたまらなく愛おしかった。
 毎日が幸せで、満たされていて、この穏やかな時間が永遠に続けばいいのにと、心から願っていた。

 しかし、僕たちが掴んだこの小さな平和と幸せを、快く思わない者たちがいることを、僕たちはまだ知らなかった。
 遠い王都で、邪な陰謀が動き始めていることなど、想像もしていなかったのだ。
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