虐げられ追放された悪役令息Ω、実は氷の皇太子αの運命の番で、めちゃくちゃに溺愛されています

水凪しおん

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第十一話「初めての贈り物」

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 ゼノンは、僕にたくさんの贈り物をくれるようになった。
 まるで、今まで僕が与えられなかったもの全てを、埋め合わせるかのように。

 きらびやかな宝石がちりばめられた首飾り。触れるのもためらわれるほど高価な生地で作られた衣装。美しい装丁が施された、希少な書物の数々。
 その一つ一つに、彼の僕を大切に思う気持ちが込められているのが分かって、胸がいっぱいになった。

「ありがとうございます……。でも、こんなに高価なものばかり……」

 僕が恐縮していると、ゼノンは困ったように眉を寄せた。

「お前が喜んでくれるかと思って選んだのだが、気に入らなかったか?」
「い、いえ! そんなことありません! とても、嬉しいです!」

 慌てて首を横に振る。本当に嬉しかった。でも、それ以上に、僕にはもっと嬉しいものがあった。
 ある日、ゼノンは僕を皇城の奥にある、大きなガラス張りの建物へ連れて行ってくれた。

「ここは……?」
「お前のための、温室だ」

 扉を開けると、中は別世界だった。
 暖かく湿った空気に、様々な植物の青々とした香り。そして、そこには僕が知っているハーブはもちろん、見たこともないような珍しい薬草まで、ありとあらゆる種類の植物が整然と植えられていたのだ。

「お前は、植物を育てるのが好きなんだろう? ここなら、好きなだけ研究ができるはずだ」

 ゼノンは、僕が公爵邸の庭の隅でこっそりとハーブを育てていたことを知っていたのだ。僕のささやかな趣味を、彼は覚えていてくれた。そして、こんなにも素晴らしい形で、その場所を用意してくれた。
 宝石やドレスよりも、何よりも、この温室が僕にとっては最高の贈り物だった。

「……すごい……! ゼノン様、ありがとうございます……!」

 僕は子供のようにはしゃぎながら、温室の中を見て回った。初めて見る植物に目を輝かせ、その香りを確かめる。
 その無邪気な僕の姿を、ゼノンは愛おしそうに見つめていた。

「そんなに喜んでくれるとはな」
「はい! ここは、僕にとって宝物の場所です!」

 満面の笑みで振り返った僕に、ゼノンは一瞬息を呑んだようだった。そして、たまらないといった様子で僕を抱きしめる。

「……エリオット。お前の笑顔は、どんな宝石よりも価値がある」

 彼の腕の中で、僕は幸せを噛みしめていた。
 この温室で、ゼノン様のために、もっとたくさんのことができるかもしれない。僕の知識が、この国のためにもなるかもしれない。
 新たな希望が、僕の心に芽生えた瞬間だった。
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