悪役令息に転生したのでオメガだと隠していたのに、冷徹なはずの王子に正体がバレて「お前は俺の番だ」と溺愛されています

水凪しおん

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第11話「惹かれ合う二つの心」

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 リオネルは、自分がヒートを起こしたことをアシュレイに知られたことに絶望していた。これでオメガであることがバレてしまった。断罪ルートはもう避けられないだろう。

 しかし、彼の予想に反し、アシュレイは何も咎めなかった。それどころか、献身的にリオネルを看病し、彼の部屋への出入りを厳しく制限するようになった。

「…アシュレイ様、なぜ、私を…」

「お前を、守っているだけだ。無駄な詮索はするな」

 アシュレイは不器用なほど口数が少なかった。だが、その態度とは裏腹に、彼が見せる穏やかな表情や、リオネルを気遣う小さな行動に、リオネルは戸惑いながらも心惹かれていく。

(冷たい人だと思っていたのに、どうしてこんなに優しいんだろう)

 アシュレイが与えてくれる抑制剤、彼が淹れてくれる温かい紅茶。リオネルだけに見せる、微かな笑み。そのギャップに、胸が高鳴るのを止められない。この温もりを知ってしまえば、もう破滅を待つだけの自分には戻れないと、リオネルは感じ始めていた。

 一方、アシュレイもまた、素直で心優しいリオネルに惹かれている自分をはっきりと自覚していた。彼は自分自身の感情をコントロールすることに慣れているが、リオネルに対してだけは、どうしても独占欲と愛情を抑えることができなかった。

 アシュレイには過去のトラウマがあった。母親の死と、政治的な陰謀の狭間で育った彼は、愛という感情を不信の目で見てきた。しかし、リオネルの純粋さに触れるうち、彼は心を許し始めていた。

「…お前は、この世の誰よりも善良なオメガだ」

「そんな…」

 アシュレイはリオネルの頬に触れた。熱を帯びた指先が触れ合うと、リオネルの心臓は激しく跳ねた。

二人の間には、もどかしくも甘い空気が流れ始める。偽りの婚約者として始まった関係は、ゆっくりと、しかし確実に真実の愛へと育まれ始めていた。
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