出来損ないと虐げられ追放されたオメガですが、辺境で運命の番である最強竜騎士様にその身も心も溺愛され、聖女以上の力を開花させ幸せになります

水凪しおん

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第41話「運命の告白」

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 王国の混乱が収まり、辺境の地にもようやく完全な平穏が訪れた。
 季節は移り変わり、厳しい冬が終わりを告げ、柔らかな春の光が大地を包み始めていた。
 雪解け水がきらきらと輝き、木々の蕾が膨らみ始めている。
 そんな、ある晴れた日の午後。
 カイル様は僕を、城の一番見晴らしの良い塔のバルコニーへと連れて行ってくれた。
 そこからは、彼が治める広大な辺境領が一望できた。
 遠くには、まだ雪を頂いた雄大な山脈が連なっている。
「綺麗…」
 僕は、思わずため息をついた。
 こんなに美しい景色を見るのは、初めてだった。
「ああ。俺の、自慢の領地だ」
 カイル様は僕の隣に立ち、同じ景色を見つめている。
 その横顔は、いつになく穏やかだった。
 しばらく二人で黙って景色を眺めていた。
 心地よい、沈黙。
 風が、僕たちの髪を優しく揺らしていく。
 やがて、カイル様が静かに口を開いた。
「リアム」
「はい」
「覚えているか。俺が言いかけた、言葉の続きを」
 その言葉に、僕の心臓がどきん、と大きく跳ねた。
 もちろん、覚えている。
 忘れるわけがない。
 あの日、彼が、この世界の全ての問題が終わったらと、約束してくれた言葉。
 僕は何も言えず、ただこくりとうなずいた。
 カイル様は僕の方に向き直ると、僕の両手を、その大きな手でそっと包み込んだ。
 彼の赤い瞳が、まっすぐに僕を見つめている。
 その瞳には、今まで見たことがないほどの深い愛情と、そして少しの緊張が宿っていた。
「俺は、お前と初めて森で出会った、あの瞬間から分かっていた」
「え…?」
「お前が、俺の運命の番だということを」
 運命の、番。
 その言葉が、僕の頭の中で何度も反響する。
 図書室で、本で読んだ、あのおとぎ話のような存在。
 僕が?
 カイル様の、運命の番?
 信じられなくて、僕はただ彼の顔を見つめることしかできなかった。
「驚かせたか。すまない。だが、これが真実だ」
 カイル様は続ける。
「俺のこの体と魂が、ずっとお前を探し求めていた。そして、ようやく見つけ出すことができたんだ」
「だから、俺は、お前を守ると決めた。何があっても、誰にも渡さない、と」
 彼の、今までの行動の全てが繋がった。
 僕を、城に匿ってくれたことも。
 僕の、わがままな訓練に付き合ってくれたことも。
 僕のために、王国軍と戦ってくれたことも。
 全ては、僕が彼の運命の番だったから。
 僕の瞳から、涙がぽろぽろとこぼれ落ちた。
 嬉しくて、愛おしくて、胸が張り裂けそうだった。
「どうして…もっと早く、言ってくれなかったのですか…」
「言えなかった」
 彼は、少し苦しそうに顔を歪めた。
「運命という言葉で、お前を縛り付けたくはなかった。お前に、自分の意思で俺を選んでほしかったんだ」
「カイル様…」
「リアム。改めて聞かせてくれ。お前は、俺の番になってくれるか?」
 彼の、真剣な問いかけ。
 答えは、もう決まっている。
 僕の心は、ずっと前からこの人のものだったのだから。
「はい…!」
 僕は、涙で濡れた顔のまま、精一杯の笑顔でうなずいた。
「僕も…カイル様のことが好きです…!あなたの、番にしてください…!」
 僕の返事を聞いた瞬間。
 カイル様の固かった表情が、ふっ、と和らいだ。
 そして、彼は僕の体を力強く抱きしめた。
「…ありがとう、リアム」
 耳元で囁かれた彼の声は、喜びに震えていた。
 僕も、彼の広い背中に腕を回し、ぎゅっとしがみつく。
 僕たちは、ようやく結ばれた。
 運命という、見えない糸に導かれて。
 春の柔らかな光が、そんな僕たち二人を優しく祝福してくれているようだった。
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