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第6話「解呪への糸口」
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カイルが城に来てから、ひと月が経とうとしていた。
レイルは相変わらずぶっきらぼうな態度を崩さなかったが、カイルが用意した食事には手をつけ、薬草の手当ても黙って受けるようになっていた。
二人の間には、言葉にはならない奇妙な信頼関係が芽生え始めていた。
カイルの日常は、書庫での文献調査が中心になっていた。膨大な量の書物が収められたこの場所は、まさに知識の宝庫だった。
彼は『呪物鑑定』で得た「古代英雄の三つの遺物」というキーワードを頼りに、関連する記述を探し続けていた。
そしてある日、カイルは一冊の古びた本を見つけ出した。それは、魔王に関する記録ではなく、王国建国の英雄譚だった。
だが、その英雄の名を見て、カイルは息をのんだ。
「アルトリウス……!」
レイルに呪いをかけた、古代の英雄の名だ。
ページをめくると、そこには彼の遺した武具や道具についての記述があった。
『英雄アルトリウスは三つの至宝を有していた。あらゆる呪いを浄化する水を湧き出させるという「浄化の泉の聖杯」。持ち主に真実の記憶を見せる「忘却の遺跡の羅針盤」。そして、持ち主の信じる心を力に変える「王家に伝わる守護の宝剣」。』
これだ、とカイルは確信した。これが、レイルの呪いを解く鍵となる「三つの遺物」に違いない。
しかし、読み進めるうちに、彼の顔は険しくなっていく。
三つの遺物は、それぞれが強力な守護者に守られ、大陸各地に散らばっているという。
「浄化の泉」は精霊が守る聖域であり、清き心を持つ者しか近づけない。「忘却の遺跡」は、侵入者の記憶を奪う古代の迷宮。
そして最後の「守護の宝剣」に至っては、なんとカイルが追放された王国の王城、その宝物庫の最も神聖な場所に保管されていると記されていた。
「……不可能に近いな」
カイルは思わずつぶやいた。魔の森から出ることすら今の自分には困難だ。ましてや、大陸中に散らばる伝説の遺物を集め、最後には自分を陥れた王国に戻らなければならない。あまりにも無謀な挑戦だった。
絶望的な気持ちになりかけた、その時。ふと、玉座に座るレイルの姿が脳裏に浮かんだ。
永い間、たった一人で耐え続けている彼の苦痛。時折見せる、寂しげな横顔。
「……ううん」
カイルは首を横に振った。
不可能だと諦めてしまったら、彼は永遠にあの呪いから解放されない。自分には、彼の呪いの真実を知ってしまった責任がある。そして何より、カイル自身の心が、彼を救いたいと叫んでいる。
「やってやる……」
カイルは固く拳を握りしめた。たとえどんな困難が待ち受けていようと、必ず三つの遺物を集めてみせる。
その瞳には、追放されたばかりの頃の絶望の色はもうなかった。そこには、大切な人を救うという、燃えるような決意の光が宿っていた。
カイルは本を抱え、レイルの待つ玉座の間へと急いだ。
レイルは相変わらずぶっきらぼうな態度を崩さなかったが、カイルが用意した食事には手をつけ、薬草の手当ても黙って受けるようになっていた。
二人の間には、言葉にはならない奇妙な信頼関係が芽生え始めていた。
カイルの日常は、書庫での文献調査が中心になっていた。膨大な量の書物が収められたこの場所は、まさに知識の宝庫だった。
彼は『呪物鑑定』で得た「古代英雄の三つの遺物」というキーワードを頼りに、関連する記述を探し続けていた。
そしてある日、カイルは一冊の古びた本を見つけ出した。それは、魔王に関する記録ではなく、王国建国の英雄譚だった。
だが、その英雄の名を見て、カイルは息をのんだ。
「アルトリウス……!」
レイルに呪いをかけた、古代の英雄の名だ。
ページをめくると、そこには彼の遺した武具や道具についての記述があった。
『英雄アルトリウスは三つの至宝を有していた。あらゆる呪いを浄化する水を湧き出させるという「浄化の泉の聖杯」。持ち主に真実の記憶を見せる「忘却の遺跡の羅針盤」。そして、持ち主の信じる心を力に変える「王家に伝わる守護の宝剣」。』
これだ、とカイルは確信した。これが、レイルの呪いを解く鍵となる「三つの遺物」に違いない。
しかし、読み進めるうちに、彼の顔は険しくなっていく。
三つの遺物は、それぞれが強力な守護者に守られ、大陸各地に散らばっているという。
「浄化の泉」は精霊が守る聖域であり、清き心を持つ者しか近づけない。「忘却の遺跡」は、侵入者の記憶を奪う古代の迷宮。
そして最後の「守護の宝剣」に至っては、なんとカイルが追放された王国の王城、その宝物庫の最も神聖な場所に保管されていると記されていた。
「……不可能に近いな」
カイルは思わずつぶやいた。魔の森から出ることすら今の自分には困難だ。ましてや、大陸中に散らばる伝説の遺物を集め、最後には自分を陥れた王国に戻らなければならない。あまりにも無謀な挑戦だった。
絶望的な気持ちになりかけた、その時。ふと、玉座に座るレイルの姿が脳裏に浮かんだ。
永い間、たった一人で耐え続けている彼の苦痛。時折見せる、寂しげな横顔。
「……ううん」
カイルは首を横に振った。
不可能だと諦めてしまったら、彼は永遠にあの呪いから解放されない。自分には、彼の呪いの真実を知ってしまった責任がある。そして何より、カイル自身の心が、彼を救いたいと叫んでいる。
「やってやる……」
カイルは固く拳を握りしめた。たとえどんな困難が待ち受けていようと、必ず三つの遺物を集めてみせる。
その瞳には、追放されたばかりの頃の絶望の色はもうなかった。そこには、大切な人を救うという、燃えるような決意の光が宿っていた。
カイルは本を抱え、レイルの待つ玉座の間へと急いだ。
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