劣等生の俺を、未来から来た学院一の優等生が「婚約者だ」と宣言し溺愛してくる

水凪しおん

文字の大きさ
6 / 14

第5話「古代遺跡の暴走と、命がけの告白」

 学院の特別研修で、僕たちは高難易度の古代遺跡「時の揺りかご」を訪れていた。ここは古代の魔術師たちが時間の流れを研究していた場所だと言われ、今なお強力な魔力が渦巻いている危険な場所だ。
 生徒たちは数人ずつのグループに分かれ、遺跡の調査を行うことになっていた。もちろん、僕のグループにはカイがいた。ゼノンも同じグループで、僕たちを事あるごとに牽制してくるのが鬱陶しかった。

 遺跡の内部は、迷路のように入り組んでいた。壁には解読不能な古代文字がびっしりと刻まれ、足元には時折、魔術的な罠が仕掛けられている。

「アキト、俺から離れるな」

 カイはいつも以上に警戒を強めていた。彼の表情は硬く、何かをひどく恐れているようにも見えた。
 僕たちは慎重に遺跡の奥へと進んでいく。そして最深部にある広大な空間にたどり着いた。その中央には巨大な水晶でできた古代の魔術装置が鎮座しており、不気味な光を明滅させていた。

 その装置を見た瞬間、僕の体に異変が起きた。体の奥底で眠っていた魔力が、勝手にざわめき始める。まるで、あの装置に呼ばれているかのように。

「う……っ」

 頭が割れるように痛い。体中の魔力が僕の意思を無視して暴れ出し、奔流となって溢れ出そうとしていた。

「アキト、どうした!?」

 カイが僕の異変に気づき、駆け寄ってくる。

「だめだ、カイ……近づくな……! また、暴走、する……!」

 僕は必死に訴えるが、もう遅かった。僕の体から放たれた凄まじい魔力の奔流が、中央の古代魔術装置に吸い込まれていく。すると装置は激しい光を放ち、遺跡全体が大きく揺れ始めた。

 ゴゴゴゴゴ……!

 天井から瓦礫が降り注ぎ、壁に亀裂が走る。僕の「創成魔法」の力が古代の装置と共鳴し、過去最大級の魔力暴走を引き起こしてしまったのだ。

「きゃあああ!」

「逃げろ! 遺跡が崩れるぞ!」

 生徒たちの悲鳴が響き渡る。仲間たちが、危険に晒されている。僕のせいで。また、僕のせいで!

「くそっ、何て魔力だ……!」

 ゼノンが防御障壁を張るが、僕の暴走する魔力の前では気休めにもならない。絶望が僕の意識を飲み込もうとした、その時。

「アキト!」

 瓦礫の雨の中を、カイが一人、僕に向かって走ってきた。

「来るな! 来たら死ぬぞ!」

 僕は叫ぶ。僕から溢れる魔力は、触れるものすべてを破壊する力の塊だ。彼だって無事では済まない。
 だが、カイは止まらなかった。彼は迷いのない足取りで僕のもとへたどり着くと、僕を強く抱きしめた。

「アキト、俺を信じろ!」

 カイの言葉が、暴走する意識の中に響く。彼の腕の中は、不思議と安心できた。

「君の力は、何かを壊すためだけのものじゃない。何かを生み出し、守るための力だ。俺がそれを証明する」

 カイはそう言うと、僕を抱きしめたまま、僕から溢れ出す破壊の魔力をその身一つで受け止め始めた。

「ぐ……っ!」

 彼の口から苦悶の声が漏れる。彼の体が、凄まじい魔力に耐えきれず悲鳴を上げているのが分かった。

「だめだ、カイ! 死んじゃう! 僕を離して!」

 僕は必死にもがくが、彼の腕は鉄のように固く僕を離さない。

「これくらい……どうということはない……」

 カイは苦痛に顔を歪めながらも、僕に笑いかけてみせた。

「未来で……君を一人で苦しませたことに比べれば……」

 未来? 何を言っているんだ、カイは。
 彼の言葉の意味を理解する前に、頭上からひときわ大きな岩が僕たちめがけて落ちてくるのが見えた。

「カイ!」

 もうだめだ。そう思った瞬間、カイは僕の体をぐっと押しやり、自分だけが岩の下敷きになるような位置へと移動した。そして崩れ落ちる瓦礫から僕を守るように、僕の全身に覆いかぶさるようにして抱きしめた。

「アキト……」

 耳元で、彼が何かをささやいた。

「愛して……る」

 それが、命がけの告白だった。
 その言葉を最後に、僕の意識は闇に落ちた。暴走していた魔力は、まるで主を失ったかのように急速にその輝きを失っていった。

あなたにおすすめの小説

魔王さまのヒミツ♡

黒木  鳴
BL
歴代最年少で魔王の地位に就いたレイには隠し通さなければならない秘密がある。それは……「魔王もうやだぁぁぁ~~!!下剋上こわいよぉぉぉーーー!!!」その実態が泣き虫ポンコツ魔王だということ。バレれば即・下剋上を挑まれることは必至!なので先々代の魔王を父に持ち、悪魔公爵ジェラルドが膝を折ったという2枚看板を武器にクールな魔王を演じている。だけどその実力を疑う者たちも出てきて……?!果たしてレイの運命は……?!溺愛腹黒系悪魔×初心な小悪魔系吸血鬼。お茶目なパパんも大活躍!!

お宝は二人の食卓に。~万能鑑定士と風来坊の騎士が綴る世界一周のんびり冒険譚~』

たら昆布
BL
無口な最強騎士×のんびり鑑定士

台風の目はどこだ

あこ
BL
とある学園で生徒会会長を務める本多政輝は、数年に一度起きる原因不明の体調不良により入院をする事に。 政輝の恋人が入院先に居座るのもいつものこと。 そんな入院生活中、二人がいない学園では嵐が吹き荒れていた。 ✔︎ いわゆる全寮制王道学園が舞台 ✔︎ 私の見果てぬ夢である『王道脇』を書こうとしたら、こうなりました(2019/05/11に書きました) ✔︎ 風紀委員会委員長×生徒会会長様 ✔︎ 恋人がいないと充電切れする委員長様 ✔︎ 時々原因不明の体調不良で入院する会長様 ✔︎ 会長様を見守るオカン気味な副会長様 ✔︎ アンチくんや他の役員はかけらほども出てきません。 ✔︎ ギャクになるといいなと思って書きました(目標にしましたが、叶いませんでした)

拝啓お父様。私は野良魔王を拾いました。ちゃんとお世話するので飼ってよいでしょうか?

ミクリ21
BL
ある日、ルーゼンは野良魔王を拾った。 ルーゼンはある理由から、領地で家族とは離れて暮らしているのだ。 そして、父親に手紙で野良魔王を飼っていいかを伺うのだった。

あなたのいちばんすきなひと

名衛 澄
BL
亜食有誠(あじきゆうせい)は幼なじみの与木実晴(よぎみはる)に好意を寄せている。 ある日、有誠が冗談のつもりで実晴に付き合おうかと提案したところ、まさかのOKをもらってしまった。 有誠が混乱している間にお付き合いが始まってしまうが、実晴の態度はいつもと変わらない。 俺のことを好きでもないくせに、なぜ付き合う気になったんだ。 実晴の考えていることがわからず、不安に苛まれる有誠。 そんなとき、実晴の元カノから実晴との復縁に協力してほしいと相談を受ける。 また友人に、幼なじみに戻ったとしても、実晴のとなりにいたい。 自分の気持ちを隠して実晴との"恋人ごっこ"の関係を続ける有誠は―― 隠れ執着攻め×不器用一生懸命受けの、学園青春ストーリー。

転生場所は嫌われ所

あぎ
BL
会社員の千鶴(ちずる)は、今日も今日とて残業で、疲れていた そんな時、男子高校生が、きらりと光る穴へ吸い込まれたのを見た。 ※ ※ 最近かなり頻繁に起こる、これを皆『ホワイトルーム現象』と読んでいた。 とある解析者が、『ホワイトルーム現象が起きた時、その場にいると私たちの住む現実世界から望む仮想世界へ行くことが出来ます。』と、発表したが、それ以降、ホワイトルーム現象は起きなくなった ※ ※ そんな中、千鶴が見たのは何年も前に消息したはずのホワイトルーム現象。可愛らしい男の子が吸い込まれていて。 彼を助けたら、解析者の言う通りの異世界で。 16:00更新

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

ギャルゲー主人公に狙われてます

一寸光陰
BL
前世の記憶がある秋人は、ここが前世に遊んでいたギャルゲームの世界だと気づく。 自分の役割は主人公の親友ポジ ゲームファンの自分には特等席だと大喜びするが、、、