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第8話「招かれざる『勇者』たち」
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ゼノンの熱が下がり、魔王城が平穏を取り戻した数日後のことだった。
突如、城全体がけたたましい警報音に包まれた。何者かが、強力な結界を破って城内に侵入したのだ。
俺とゼノンが玉座の間に駆けつけると、そこには既に先客がいた。
聖なる光をまとった鎧を身につけた、三人組。中心に立つ金髪碧眼の青年は、その手に伝説の聖剣を握りしめている。
間違いない。人間界の「勇者」だ。
「魔王! 我らが勇者の魂を持つ者をよくも誑かしたな! 今日こそ、その忌まわしい命、我らが断ち切ってくれる!」
金髪の勇者が、聖剣をこちらに向けながら叫ぶ。彼の隣にいる、凛とした女魔術師と、屈強な戦士もまた、強い敵意をこちらに向けていた。
どうやら彼らは、俺が魔王に洗脳され、無理やり城に囚われていると信じ込んでいるらしい。
「ユキ、下がりなさい」
ゼノンが俺を庇うように前に出る。その体から、これまで感じたこともないほどの、怒りに満ちた魔力が立ち上っていた。
「私の愛しい人に、気安く触れるな。塵芥どもが」
一触即発の空気。
このままでは、全面戦争になってしまう。
「待ってください!」
俺はゼノンの前に飛び出し、両腕を広げて勇者たちの前に立ちはだかった。
「ユキ!?」
「危ないぞ、少年!」
ゼノンと、人間の勇者が、同時に叫ぶ。
俺は深呼吸を一つして、まっすぐに彼らを見据えた。
「話を聞いてください。俺は、誰にも洗脳なんてされていません。自分の意思で、ここにいるんです」
「何を言う! 魔王の邪悪な魔力に当てられ、正常な判断ができなくなっているのだ!」
勇者は聞く耳を持たない。それどころか、俺を「可哀想に」と憐れむような目で見ている。
埒が明かない。
言葉だけでは、彼らの凝り固まった常識を覆すことはできないだろう。
ならば、行動で示すしかない。
俺はゼノンに向き直った。
「ゼノン。少しだけ、力を貸して」
「ユキ……?」
戸惑う彼の手を取り、俺はその手に自分の手を重ねた。そして、意識を集中させる。
この世界に来てから、ゼノンに教わった魔法。そして、俺自身の魂に眠る、勇者としての聖なる力。
二つの相反する力が、俺の中で混じり合い、一つになっていく。
『双魂の理』に書かれていたことは、真実だった。俺とゼノンの魂は、元は一つだったのだ。だからこそ、魔力と聖なる力が反発することなく、完全に調和する。
俺たちの体を、柔らかな光が包み込む。
それは、魔族が放つ禍々しいものでも、人間が使う神聖なものでもない。ただひたすらに温かく、優しい、愛に満ちた光だった。
勇者たちは、その神秘的な光景を前に、呆然と立ち尽くしている。
「これが、俺の答えです」
俺は光の中で、静かに告げた。
「俺は勇者の魂を持つ者として、魔王を討つのではなく、彼と共に生きることを選びました。彼こそが、俺の運命の相手だからです」
もう、迷いはなかった。
俺は世界を敵に回してでも、この人の隣に立つ。
俺の決意を込めた瞳に見つめ返され、金髪の勇者はぐっと言葉に詰まった。聖剣を握るその手も、わずかに震えている。
彼もまた、感じ取っているのだろう。俺たちの間に流れる、絶対的な絆の力を。
これは、洗脳などという単純なものではないことを。
突如、城全体がけたたましい警報音に包まれた。何者かが、強力な結界を破って城内に侵入したのだ。
俺とゼノンが玉座の間に駆けつけると、そこには既に先客がいた。
聖なる光をまとった鎧を身につけた、三人組。中心に立つ金髪碧眼の青年は、その手に伝説の聖剣を握りしめている。
間違いない。人間界の「勇者」だ。
「魔王! 我らが勇者の魂を持つ者をよくも誑かしたな! 今日こそ、その忌まわしい命、我らが断ち切ってくれる!」
金髪の勇者が、聖剣をこちらに向けながら叫ぶ。彼の隣にいる、凛とした女魔術師と、屈強な戦士もまた、強い敵意をこちらに向けていた。
どうやら彼らは、俺が魔王に洗脳され、無理やり城に囚われていると信じ込んでいるらしい。
「ユキ、下がりなさい」
ゼノンが俺を庇うように前に出る。その体から、これまで感じたこともないほどの、怒りに満ちた魔力が立ち上っていた。
「私の愛しい人に、気安く触れるな。塵芥どもが」
一触即発の空気。
このままでは、全面戦争になってしまう。
「待ってください!」
俺はゼノンの前に飛び出し、両腕を広げて勇者たちの前に立ちはだかった。
「ユキ!?」
「危ないぞ、少年!」
ゼノンと、人間の勇者が、同時に叫ぶ。
俺は深呼吸を一つして、まっすぐに彼らを見据えた。
「話を聞いてください。俺は、誰にも洗脳なんてされていません。自分の意思で、ここにいるんです」
「何を言う! 魔王の邪悪な魔力に当てられ、正常な判断ができなくなっているのだ!」
勇者は聞く耳を持たない。それどころか、俺を「可哀想に」と憐れむような目で見ている。
埒が明かない。
言葉だけでは、彼らの凝り固まった常識を覆すことはできないだろう。
ならば、行動で示すしかない。
俺はゼノンに向き直った。
「ゼノン。少しだけ、力を貸して」
「ユキ……?」
戸惑う彼の手を取り、俺はその手に自分の手を重ねた。そして、意識を集中させる。
この世界に来てから、ゼノンに教わった魔法。そして、俺自身の魂に眠る、勇者としての聖なる力。
二つの相反する力が、俺の中で混じり合い、一つになっていく。
『双魂の理』に書かれていたことは、真実だった。俺とゼノンの魂は、元は一つだったのだ。だからこそ、魔力と聖なる力が反発することなく、完全に調和する。
俺たちの体を、柔らかな光が包み込む。
それは、魔族が放つ禍々しいものでも、人間が使う神聖なものでもない。ただひたすらに温かく、優しい、愛に満ちた光だった。
勇者たちは、その神秘的な光景を前に、呆然と立ち尽くしている。
「これが、俺の答えです」
俺は光の中で、静かに告げた。
「俺は勇者の魂を持つ者として、魔王を討つのではなく、彼と共に生きることを選びました。彼こそが、俺の運命の相手だからです」
もう、迷いはなかった。
俺は世界を敵に回してでも、この人の隣に立つ。
俺の決意を込めた瞳に見つめ返され、金髪の勇者はぐっと言葉に詰まった。聖剣を握るその手も、わずかに震えている。
彼もまた、感じ取っているのだろう。俺たちの間に流れる、絶対的な絆の力を。
これは、洗脳などという単純なものではないことを。
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