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第16話「誓いの口づけ」
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ヴァルガスが消滅し、邪悪な儀式は阻止された。力を使い果たしたルカは、その場に崩れ落ちそうになる。
その体を、力強い腕が優しく抱きとめた。
「……エヴァン、さん」
「ルカ」
見上げると、そこには傷つきながらも安堵の表情を浮かべたエヴァンの姿があった。
お互いの無事を確かめ合い、どちらからともなく、感情のままに強く抱きしめ合う。
エヴァンの胸に顔を埋めると、彼の心臓の音が力強く、そして温かく伝わってきた。生きている。この人は、無事だった。その事実だけで、涙が後から後から溢れてきた。
「ごめんなさい……ごめんなさい、俺、命令を破って……あなたに、心配ばかりかけて……」
「謝るな」
エヴァンは、俺を抱きしめる腕にさらに力を込めた。
「俺の方こそ、すまなかった。お前の気持ちを、分かろうとしなかった。……怖かったんだ。お前を失うのが」
彼の弱音とも取れる言葉に、俺は顔を上げた。その青い瞳が、熱を帯びて俺を見つめている。
「もう二度と、お前を一人にはしない。絶対に、離さない」
「はい……。俺も、ずっと、あなたのそばにいます」
想いを確かめ合った俺たちは、どちらともなく顔を寄せた。
そして、初めての優しい口づけを交わす。
それは、甘くて、少しだけしょっぱい味がした。
周りにいた騎士たちが、「ヒューヒュー!」と囃し立てる声が聞こえる。恥ずかしくて顔を真っ赤にする俺を、エヴァンは愛おしそうに見つめていた。
「……ルカ」
「はい」
「愛している」
彼の真っ直ぐな告白に、俺の心臓は喜びで張り裂けそうだった。
「俺も……俺も、愛しています。エヴァンさん」
俺たちは仲間たちの祝福の拍手に包まれながら、もう一度、深く口づけを交わした。
ようやく、俺たちの心は本当の意味で一つになったのだ。
その体を、力強い腕が優しく抱きとめた。
「……エヴァン、さん」
「ルカ」
見上げると、そこには傷つきながらも安堵の表情を浮かべたエヴァンの姿があった。
お互いの無事を確かめ合い、どちらからともなく、感情のままに強く抱きしめ合う。
エヴァンの胸に顔を埋めると、彼の心臓の音が力強く、そして温かく伝わってきた。生きている。この人は、無事だった。その事実だけで、涙が後から後から溢れてきた。
「ごめんなさい……ごめんなさい、俺、命令を破って……あなたに、心配ばかりかけて……」
「謝るな」
エヴァンは、俺を抱きしめる腕にさらに力を込めた。
「俺の方こそ、すまなかった。お前の気持ちを、分かろうとしなかった。……怖かったんだ。お前を失うのが」
彼の弱音とも取れる言葉に、俺は顔を上げた。その青い瞳が、熱を帯びて俺を見つめている。
「もう二度と、お前を一人にはしない。絶対に、離さない」
「はい……。俺も、ずっと、あなたのそばにいます」
想いを確かめ合った俺たちは、どちらともなく顔を寄せた。
そして、初めての優しい口づけを交わす。
それは、甘くて、少しだけしょっぱい味がした。
周りにいた騎士たちが、「ヒューヒュー!」と囃し立てる声が聞こえる。恥ずかしくて顔を真っ赤にする俺を、エヴァンは愛おしそうに見つめていた。
「……ルカ」
「はい」
「愛している」
彼の真っ直ぐな告白に、俺の心臓は喜びで張り裂けそうだった。
「俺も……俺も、愛しています。エヴァンさん」
俺たちは仲間たちの祝福の拍手に包まれながら、もう一度、深く口づけを交わした。
ようやく、俺たちの心は本当の意味で一つになったのだ。
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