あなたの声が聞こえた

ベル

文字の大きさ
上 下
2 / 2

2

しおりを挟む
あれからいくつ年月を過ごしただろう。


私は光に包まれながら、長く長く空へと伸びるその道を駆け上がってゆく。


浮いていた足が地面についたかと思うと、目の前にはずっとずっと会いたかった愛しい人の姿があった。


「マリー」


私と最後に会ったあの日の笑顔とあの日と変わらない姿で。


お互いに駆け寄り、抱きしめる。


久しぶりに感じる体温に、じわりと涙が滲んだ。


「クローズ様、約束を破るなんてひどいです」


「すまなかった。...あの日は特別に私の声が届いたんだ。あれから何度試しても、届かなかった」


クローズ様は私を離そうとせず、確かめるように私に触れた。


どちらからともなく顔を近づけ、唇を重ねた。


「...っ」


涙が頬を伝う。



「もう、離れない?」


「あぁ、約束だ」



再び向かい合うと、きつく抱き合った。
もう、絶対に離れない。何があっても。


「ずっとずっと、見守っていたよ」


何度も、不思議な力で困難を乗り越えてきたことを思い出す。証明しようとしてもできない事が、今までもたくさんあった。


クローズ様のおかげね。


そう思いながら、辛い時も乗り越えてくることができた。


「...知っています」


そう言って、私は微笑んだ。









しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。


処理中です...