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宮殿に行くことになりました
それからは目まぐるしい1日だった。
私は一度荷物をまとめて戻ってくるように言われ、外に出ると「探したぞー!」と涙目のエドワードに抱きつかれた。
皇帝の言う通り、怪物は既に騎士たちによって倒され、処理されていた。貴族たちの対応は宰相がしており、パーティーはまたの機会に振替となることが案内されていた。
抱きついたまま離れない兄に、宮殿の一室で過ごすことになったと伝えると、抱きついた腕を緩めて私の顔を見るなりポカンとした表情を浮かべる。
「ど、ど、どういうことだ!?」
「私にもさっぱり…」
心のどこかで期待していた。
これだけ娘のことを溺愛している家族なのだ。何とかして行くのを阻止してくれないだろうか、と。
けれど、その期待はあっけなく崩れ去った。
「マルスティア、やったなぁ!」
「ルカ皇太子様に身染められるように頑張るのよ」
家に戻ると、嬉しそうな表情で両親は私を出迎えた。どうやら、私が王妃候補に選ばれたのだと勘違いをしているようだ。
王妃候補って、そもそも公爵くらいの地位が高い令嬢が選ばれるものなんじゃないの?この漫画の設定はどうなってるのよ。
皇太子が気に入れば候補に上がるってこと?
そもそも、ルカと会うのはこれが初めて。私を以前から知っているかのような口ぶりだったけれど、マルスティアと会うシーンがあるなんて聞いてない。
忘れないように書き記したノートにもどこにも書かれていないし。
それにクリスティアが婚約者だと思っていたのに、第二王子のマークとやらと婚約することになってしまっている。
私はこれから一体どんな役割を担うことになるの?
順調に進んできたと思っていたことが急に変わるなんて思わず、不安になった。
私はこの先、マルスティアとしてルカとどのように関わることになるのだろうか。
そんな私の不安をよそに、家族は嬉しそうだ。全くもうっ!何を呑気に喜んでいるのよっ。
ここの家族に愛着がないといえば嘘になる。転生したとはいえ、家族として10年以上も一緒に過ごしてきたのだ。大事に育ててくれていたし、私を大切に思ってくれているのも知っている。
だからこそ、守りたいと思っていたのに。物語が違うのでは、どう行動すれば良いのかもわからないルカと関わることで、家族にも何かしらの影響が及ぶのではないかと思うと心配だった。
夕方になり、支度を終えた私は迎えの馬車に乗り、家族や使用人たちに見送られて私は宮殿へと再び足を踏み入れることになった。
到着するや否や、使用人たちがザッ左右に並び、深々と頭を下げて私を出迎えてくれた。
「ようこそおいで下さいました!」
「え…えぇ。お世話になります」
その光景に思わず圧倒される。
何だかとんでもないところに来てしまった。
「マルスティア様、今日から専属のメイドとしてお仕えさせていただくノワールと申します。どうぞ何なりとお申し付けくださいませ」
そう言って出迎えてくれたのは、この中でも一番最年長であろう落ち着いた雰囲気のメイドだった。
「わかったわ。これからよろしくね」
ノワールは深々と頭を下げると、私を部屋へと案内してくれた。
案内された部屋は今まで使用していた私の部屋の2倍はある広さだった。
まるでホテルのスイートルームね。さすがは皇太子様が準備しただけあるわ。
ふかふかのベットに座り、ゆっくりとくつろごうとしていたその時、ノワールが申し訳なさそうに私の前にきた。
「到着早々大変申し訳ございませんが、ルカ皇太子様より伝言を承っておりまして…。夕食後、していただきたいことがございます」
***
何でこんな場所に?
夕食を終え、ノワールに案内されるがままに向かった場所。
そこは、魔法使いの騎士たちが集まる訓練場だった。
騎士たちは私の登場に不思議そうな表情を浮かべている。中には訝しげに見てくるものや、少し迷惑そうな表情を浮かべるものもいる。
そりゃそうよね。
令嬢が来る場所ではないもの。
「初めまして、マルスティア様。私はここの騎士団を務めておりますオレフィスと申します。このような場所にお呼びしてしまい申し訳ございません。ルカ皇太子様から依頼されたもので…」
申し訳なさそうな表情で私の前に現れたのは、爽やかそうな外見とは裏腹にがっしりと逞しい身体つきをした騎士だった。
うわっ!
めっちゃタイプなんですけど!!
不覚にもときめいてしまう私。
そう、転生前は細マッチョがマイブーム(?)だったのだ。
「…マルスティア様?」
私があまりにもまじまじと見つめてしまったせいか、やや怪訝そうな表情を浮かべるオレフィス。
「ごめんなさい、少し戸惑ってしまって」
(あなたがドタイプすぎて)
「このような場所に連れてこられたのですから、戸惑うのも無理はありません」
何やら勘違いしてくれたようで、ホッと胸を撫で下ろす。
それにしても、こんな場所に私を呼び出すなんてルカは何を考えているのかしら。
「突然で驚かれるかもしれませんが、マルスティア様に一つしていただきたいことがあるのです」
そう言って、オレフィスは他の騎士たちに準備するよう指示を出した。
何?何なの?
そして目の前に現れたのは、小さな怪物。
紐で括られて身動きが取れないようになっている。
「この怪物を、倒していただきたいのです」
……は?
私は一度荷物をまとめて戻ってくるように言われ、外に出ると「探したぞー!」と涙目のエドワードに抱きつかれた。
皇帝の言う通り、怪物は既に騎士たちによって倒され、処理されていた。貴族たちの対応は宰相がしており、パーティーはまたの機会に振替となることが案内されていた。
抱きついたまま離れない兄に、宮殿の一室で過ごすことになったと伝えると、抱きついた腕を緩めて私の顔を見るなりポカンとした表情を浮かべる。
「ど、ど、どういうことだ!?」
「私にもさっぱり…」
心のどこかで期待していた。
これだけ娘のことを溺愛している家族なのだ。何とかして行くのを阻止してくれないだろうか、と。
けれど、その期待はあっけなく崩れ去った。
「マルスティア、やったなぁ!」
「ルカ皇太子様に身染められるように頑張るのよ」
家に戻ると、嬉しそうな表情で両親は私を出迎えた。どうやら、私が王妃候補に選ばれたのだと勘違いをしているようだ。
王妃候補って、そもそも公爵くらいの地位が高い令嬢が選ばれるものなんじゃないの?この漫画の設定はどうなってるのよ。
皇太子が気に入れば候補に上がるってこと?
そもそも、ルカと会うのはこれが初めて。私を以前から知っているかのような口ぶりだったけれど、マルスティアと会うシーンがあるなんて聞いてない。
忘れないように書き記したノートにもどこにも書かれていないし。
それにクリスティアが婚約者だと思っていたのに、第二王子のマークとやらと婚約することになってしまっている。
私はこれから一体どんな役割を担うことになるの?
順調に進んできたと思っていたことが急に変わるなんて思わず、不安になった。
私はこの先、マルスティアとしてルカとどのように関わることになるのだろうか。
そんな私の不安をよそに、家族は嬉しそうだ。全くもうっ!何を呑気に喜んでいるのよっ。
ここの家族に愛着がないといえば嘘になる。転生したとはいえ、家族として10年以上も一緒に過ごしてきたのだ。大事に育ててくれていたし、私を大切に思ってくれているのも知っている。
だからこそ、守りたいと思っていたのに。物語が違うのでは、どう行動すれば良いのかもわからないルカと関わることで、家族にも何かしらの影響が及ぶのではないかと思うと心配だった。
夕方になり、支度を終えた私は迎えの馬車に乗り、家族や使用人たちに見送られて私は宮殿へと再び足を踏み入れることになった。
到着するや否や、使用人たちがザッ左右に並び、深々と頭を下げて私を出迎えてくれた。
「ようこそおいで下さいました!」
「え…えぇ。お世話になります」
その光景に思わず圧倒される。
何だかとんでもないところに来てしまった。
「マルスティア様、今日から専属のメイドとしてお仕えさせていただくノワールと申します。どうぞ何なりとお申し付けくださいませ」
そう言って出迎えてくれたのは、この中でも一番最年長であろう落ち着いた雰囲気のメイドだった。
「わかったわ。これからよろしくね」
ノワールは深々と頭を下げると、私を部屋へと案内してくれた。
案内された部屋は今まで使用していた私の部屋の2倍はある広さだった。
まるでホテルのスイートルームね。さすがは皇太子様が準備しただけあるわ。
ふかふかのベットに座り、ゆっくりとくつろごうとしていたその時、ノワールが申し訳なさそうに私の前にきた。
「到着早々大変申し訳ございませんが、ルカ皇太子様より伝言を承っておりまして…。夕食後、していただきたいことがございます」
***
何でこんな場所に?
夕食を終え、ノワールに案内されるがままに向かった場所。
そこは、魔法使いの騎士たちが集まる訓練場だった。
騎士たちは私の登場に不思議そうな表情を浮かべている。中には訝しげに見てくるものや、少し迷惑そうな表情を浮かべるものもいる。
そりゃそうよね。
令嬢が来る場所ではないもの。
「初めまして、マルスティア様。私はここの騎士団を務めておりますオレフィスと申します。このような場所にお呼びしてしまい申し訳ございません。ルカ皇太子様から依頼されたもので…」
申し訳なさそうな表情で私の前に現れたのは、爽やかそうな外見とは裏腹にがっしりと逞しい身体つきをした騎士だった。
うわっ!
めっちゃタイプなんですけど!!
不覚にもときめいてしまう私。
そう、転生前は細マッチョがマイブーム(?)だったのだ。
「…マルスティア様?」
私があまりにもまじまじと見つめてしまったせいか、やや怪訝そうな表情を浮かべるオレフィス。
「ごめんなさい、少し戸惑ってしまって」
(あなたがドタイプすぎて)
「このような場所に連れてこられたのですから、戸惑うのも無理はありません」
何やら勘違いしてくれたようで、ホッと胸を撫で下ろす。
それにしても、こんな場所に私を呼び出すなんてルカは何を考えているのかしら。
「突然で驚かれるかもしれませんが、マルスティア様に一つしていただきたいことがあるのです」
そう言って、オレフィスは他の騎士たちに準備するよう指示を出した。
何?何なの?
そして目の前に現れたのは、小さな怪物。
紐で括られて身動きが取れないようになっている。
「この怪物を、倒していただきたいのです」
……は?
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