幸せな空

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人生の振り返り~小学生②~

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この世界には、負の感情は存在しない。
悔しい、悲しいなどの気持ちも存在しない。

負に近い感情が存在するとするならば、「後悔」や「申し訳ない」という感情だ。


人は生きていれば、欲や妬みが出てくる。それは、人だからそこ持っている感情。


どうしてこんな事を思ってしまったのか、どうして傷付けてしまうような事をしてしまったのか.......


私は、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。


人として生きていた頃は、反省する事はあってもここまで辛くは感じなかった。


この世界に存在しない負の気持ち。
それに近い気持ちを感じる事は、ひどく辛いものだった。



「由佳子さん。人の言葉で言う、『バチが当たる』って、わかりますか?」



私があまりにも辛そうに見えたからだろうか。

サキさんが、私の額から手を離し、ふと尋ねた。



「え...はい。確か、悪い事をすれば、それが自分に何らかの形で返ってくるって意味ですよね?」


「そうです。そのバチは、どこから来るのか...考えた事はありますか?」


「どこから......」



そんな事は考えたこともなかった。

悪い事をすれば必ず自分に同じように返ってくる。だから、悪い事をしてはいけないよ、と父から教わってきたからだ。

根拠は全くない。


考え込んでいると、再びサキさんが話し出す。



「守護霊である私の使命は、人として生きる事をサポートをする事です。一緒に人生設計を立てて、一生を共に終える。その人が間違った道を進もうとするなら、それを正すのが私の仕事です。では何故、正しいことをしなければいけないと思いますか?」


「えっと...」



再び考え込んでしまう。
人の為になる事をするのが正しい。悪い事をしてはいけない。
それはわかるのに、何故そう思うのか....


ただ漠然と、人に優しく、ズルはしない、悪さをしてはいけない...そう思っていた。



「この世界は、人の世界で言う『天国』です。ではもう一つ、別の世界があるのも、ご存知ですよね?」


「はい...ここでは、言葉には出せませんが...」


「人は人生を終えた時、どの世界に戻るのか、審査にかけられます」


「審査...?」



「人の世界でも、絵本などで登場しているかもしれませんが...人の言葉で言う、閻魔様がいらっしゃいます。その方が、審査表を見て、どの世界に返すかを判断されるんです」


幼い頃、父と一緒に読んだ絵本の中で、怖い表情で睨みをきかせた人物が出て来たのを思い出す。


『由佳子、人には優しくするんだよ。悪い事をしたら、この閻魔様に睨まれて、楽しい世界に戻れなくなるんだよー』


『ばちゅ...??』


『ちょっと、由佳子にはまだその本は難しくて分からないわよ』


『ははっ。それもそうか。それにしても、この本よく出来てるなぁ。絵もすごく綺麗だ』


そうだ。あの本に出て来ていた。
想像ではなく、実在する存在だったんだ。


サキはそのまま続ける。



「審査を受ける時は意識がない状態なので、由佳子さんは覚えていないと思いますが...人生をどう生きたのか、それはすべて審査表には書かれているんです。これを書き換える事は、どの存在であろうと出来ません。」


「じゃあ、別の世界に行かないように...」


「そうです。全員がこの世界に戻ってこられるわけではありません。だからこそ、私たち守護霊は全力で守ります。例え悪い事をしたとしても、しっかり反省して、良いことをその倍すればいいんです。そうすれば、この世界に戻ってこられます」


「そのバチっていうのは、その人の守護霊が与えているんですか?」


「全部とは言いませんが、自分がした事と似たような事が起これば、それは私達です。ただ、私達は『悪意』を操る事は出来ないので、私が出来る、その罰としてふさわしい事が起こるように働きかけるんです」



そうして、思い出した。

藍子ちゃんに対して冷たく当たってしまった日、家に帰った私は何故か父や母から相手にされなかった。

何度話しかけても、父はテレビに夢中、母は忙しそうに料理を作っている。


そうか、無視されるのはこんなに辛くて寂しいものなのかと気づいた私は、一人反省した。


ふっと、その時の光景が頭に浮かぶ。


「...ごめんなさいね」


そう呟きながら、父や母に何か息を吹きかけるサキさんの姿。

両親から相手にされず、寂しそうにする私を見て、サキさんは涙ぐんでいるようにも見えた。



「私も、人生を共に生きている人に罰を与えたくはありません。でも、だからこそ、反省して欲しいんです。お互い、本当に辛いんです」


大切な人から絶縁されるような、なんとも言い表せない辛さだとサキさんは教えてくれた。


だからこそ、人の道を外れるような事はしてはいけないのだ、と。





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