可愛い兄の堕とし方

東雲

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6.終わりと始まり(前) ※R18

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「ふっ…、っ……、…?」

まだ朝も早い時間、カーテンの隙間から漏れる光も薄暗い部屋の中、体の違和感で目が覚めた。

(…?なんだ…?)

ぼんやりとした意識の中、見慣れない室内に一瞬混乱するが、徐々にクリアになっていく記憶は鮮明に昨日の出来事を覚えていた。

「…っ」

瞬間、カッと顔が熱くなる。夢ではない。血の繋がった弟達に襲われ、犯され、逃げられぬ様に拘束具で繋がれた。
薬を盛られ、強制的に与えられた快楽を思い出し、体がブルリと震えた。

「…っく、ぁ…っ!」

ふるりと震えたその下半身、緩く締め付けてしまったそこに走った違和感に思わず声が漏れた。排泄器官であるはずの孔に埋め込まれた物体が、急に存在を主張し始めたのだ。

(…いや、違う…)

今、急に違和感を感じたのではない。恐らく徐々に徐々に変化していった体の違和感に気づき、目が覚めたのだろう。

「んっ…く…ふ…っ」

孔に埋められた物の少し太くなっている部分、その緩やかな膨らみが腹の内側を妙に圧迫していた。

(なんで…!?)

ドクリドクリと脈打つ心臓の鼓動に合わせるように、圧迫されているその部分もトクトクと波打つ。じわじわと下半身に広がるその感覚は、明らかに甘い疼きを生み出しており、焦りから身を捩った。

「ぁっ…ひ…っ♡」

身を捩ったせいで孔に埋め込まれた物の角度が僅かに変わり、反動で肉の壁を擦った。瞬間、ぞわりと広がった快感の衝撃で思わず漏れた嬌声に自分で驚く。

(なっ…!?)

自身の体の変化に混乱する。ふと気づけば、はだけたバスローブの隙間から見える自身のペニスは完全に勃起しており、目を見開いた。

「なに…、なんで…っ!?」

勃起したペニスを包む白いハンカチは、見て分かるほど濡れており、羞恥から耳が熱くなる。ハンカチを濡らす液体が自身のペニスから溢れ出たカウパーなのだと、考えずとも分かった。
混乱している間にも、アナルに咥え込んだ物体は甘い主張をし続ける。膨らみが腹の一部分を押し上げ、その部分から止めどなく快感が生まれ出す。それに連動するように肉の壁が蠢き、中に埋まった物を締め付けてしまう。するとその反動でまた腸壁が刺激され、快感が生まれる…自分の体の中で、延々に快楽の波に飲まれ続ける地獄のようなループが出来上がっていることに、熱いはずの体が急激に冷えていくのが分かった。

(む、無理だ…!こんな…っ)

途端に恐怖で体が震えた。終わらない快楽も、強制的に与えられる快感も、昨日嫌というほど味わったのだ。

「はっ…、ぁ…っ、と、取らなきゃ…っ!」

アナルに埋め込まれた物を取り出そうと下半身に手を伸ばし───いや、伸ばそうとした。だが、拘束された両腕が届くはずもなく、戒める枷がガチャガチャと音を鳴らすだけだった。

「嫌だ…っ、なんで…っ!」

体を捩るほど、快感を逃がそうともがくほど、ジクジクと腹の中が濡れるような疼きに声が震えた。
勃起したペニスは射精を欲してピクピクと跳ねるが、吐精を促すほど強い刺激でも無く、ただ悪戯に体内に快楽の波を溜め込むだけだった。それに誘発されるように、それまで気にならなかった乳首までジンジンと疼き出す。

「は…っ、ひ…ぁ…っ♡」

薄い布のような物で覆われ、見えないはずの乳首が、その下で痛いほど勃起し膨れ上がっているであろうことが自分でも分かった。
快楽を得ることを覚え、性感帯と化したそこは刺激を求めて勝手にその存在を主張した。

「ふぅっ…、ふぅ…っ♡」

…このままではマズイ。
勝手に発情していく体と、それでも自分の力ではどうすることもできないジレンマ───助けを求められる相手は、アデルとジュリィしかいない。

(…どうしたら…っ)

こんな体で2人に助けを求めても、その先でナニをされるかなんて分かり切っている。かと言って、このまま我慢し続けたところで事態が好転するとも思えない。
どちらにせよ、時間が来れば2人がこの部屋を訪れるのは必須なのだ。

「…ふ、…く…っ!」

葛藤すること数分、意を決して枕元に置かれていたベルに手を伸ばした。…が、焦ったせいか、掴み損ねたベルが手から滑り落ち、マットの上を転がり床に落ちた。

───ヂリンッヂリリンッ!

「…ッ!」

落ちた衝撃で、けたたましい音を響かせながら床を転がっていくベルに思わず身を竦める。
朝とは言え、まだ明け方近くの皆が寝静まっているであろう時間に騒音を立ててしまったことに、申し訳なさから視線を彷徨わせた。

(ど、うしよ…)

自身の状況も忘れ狼狽えていると、突然隣の部屋からガタンッと何かが動く音が聞こえた。次いで、バタバタと大きく床を蹴る音がして───…

「兄上!?どうなさいました!?」
「兄様!?大丈夫!?」

バンッ!と乱暴に開かれた扉から、アデルとジュリィが駆け込んできた。そのままベッド脇へと駆け寄ってきた2人の切迫した表情に、ビクリと身構える。

「ぁ…、す、すまない…、落とし、て…」
「そんなのはいいんです!大丈夫ですか?…なにか、あった訳ではないのですね?」
「…ぁ、いや…あの…」
「…僕達を呼ぼうとしただけ?」
「あ…ぅ…」

気まずさを残しながらコクリと頷けば、2人ともホッとしたように表情を緩めた。

「良かった…何かあったのかと…」
「どうしたの?起きちゃったの?」
「……っ」

2人とも自分を心配して飛び起きて来てくれたのであろうことが分かり、現状を理解してるはずなのに、どうしても嬉しいと思ってしまう。
湧き出る感情を押し込めるように、グッと息を飲み込んだ。

「…、た、頼む!取ってくれ…!お…尻、の…っ」

言いながら、恥ずかしさに目を伏せる。こうしている間も、アナルに埋め込まれた物体とジンジンと疼く乳首はその主張を続け、勃起したペニスは隠すことも出来ず、2人の視線に晒されているのだ。

「ああ、そういうことでしたか」
「おまんこ気持ち良くなって起きちゃったんだね」
「…っ!」

ハッキリと言葉にされ、顔が熱くなる。
アデルとジュリィが両サイドからベッドに乗り上げ、男3人分の体重にスプリングがギシリと軋んだ。

「おはよう、兄様」
「おはようございます、兄上」
「…ん、ゃっ」

両頬に口づけを受けながら両の胸をやわやわと撫でられ、薄布越しに勃起した乳首にビリビリとした快感が走る。

「ひ…ぅ…っ」
「可愛い~♡乳首気持ち良いんだ?」
「や、やだ…!さわ、な…!お、お尻の取って…!」
「おまんこちゃんと気持ち良くなったんですね。どうなるかと思いましたが…兄上のおまんこはお利口さんですね」
「や…やめ…っ、頼むっ、取ってくれ…!」
「そうですね…もう少しお休みになられた方が良いかと思いますし…もう取っても大丈夫でしょう」
「お股開こうね~」
「あっ!や…っ!」

ただ抜いてくれればいいだけなのに、アデルとジュリィに片足ずつ持ち上げられ、腰が浮くように割り開かれる。
昨夜と同じように股の間へと移動したアデルの目の前に恥部をすべて晒す体勢に、恥ずかしさから身を捩った。

「やっ…~~~ッ!」
「はぁ……すごい…♡おまんこヒクヒクしてますね」
「おちんぽもえっちなお汁でびちょびちょだ…♡お洋服着せといて良かったね、兄様」
「や、だ…!嫌…っ!」
「ふふ、恥ずかしいですね、兄上♡そんなに腰を揺らしても、可愛らしいお尻を振っているようにしか見えませんよ?」
「~~~ッ!嫌だ!嫌…っ、早く取ってくれ…!」
「ええ、今抜いて差し上げますからね」

アデルの言葉に次いで、腹の中に埋まった物がゆっくりと抜かれる。ぬるりと粘着質な水気を帯びた何かが引き抜かれる感覚にぞわりと肌が粟立った。膨らんだ部分がアナルの縁に引っかかり、その瞬間のちゅぽっ♡と抜ける感覚に堪らず声が漏れた。

「ひゃっ、うぐぅ…っ♡」
「おまんこ気持ち良いですね」
「ちがう!ちが…っ、ぁっ」
「嘘を仰ってはダメですよ…ほら」

緩くぬかるんだ後孔に、アデルの指がぬぷり♡と埋められ腰が戦慄いた。複数の指をいとも容易く飲み込む自身の体の変化に驚愕していると、不意に腹の中でアデルの指が動き、肉の壁を撫で上げた。


…───コリュッ♡


「───ッッ!?♡♡♡」

瞬間、ビクンッと大きく跳ねた自分の体に驚いた。

(は…?へ…なに…?)

体に走った衝撃に、脳みそがついてこれない。
理解するのに一拍遅れたその隙に、アデルの指がそこを何度も押し上げた。

───くりゅ、くりゅ、くりゅっ♡

「ひゅっ!??♡♡♡~~~~~あ"ッッ!!♡♡ヒッ!嫌っ!!嫌ぁあ"ぁっ!!」

腹の中に埋め込まれていた何かの、太くなっていた箇所によって一晩中押し上げられていた腸壁の一部。
淡い疼きを生み出し、目が覚めるほど体への違和感を与えていたその一部分を、アデルの指で撫でられるたび、信じられないほどの快感に襲われた。

「あ"ッッ!♡♡ひっ、嫌だ!!やめて!!やめてぇっ!!」

自分の体の中に、快感を生み出すためだけの器官が出来上がっている…それを恐ろしいと思う余裕すらなく、腹の中を無遠慮に弄られ、そのたびに嬌声が漏れ、体が跳ねた。
強制的に与えられる快感から逃れようと無意識に足に力が入るが、2人掛かりで押さえつけられるように掴まれた足はビクともせず、快楽を逃す術すら奪われた。

「あ"っ、ひ、やっ!!♡♡♡やら…っ!!嫌だっ!!やめてっ!!離して…ぇ"っ!!」
「ああ…おまんこ気持ち良いのですね。分かりますか?おまんこの中にえっちな雌しこりが出来てるんですよ?ふっくりと膨れていやらしい…ほら♡」

───くりゅっ♡くりゅっ♡

「お"っ!?ひゅッ!♡♡♡ヒッ、やめっ、やぇて…っ!!嫌だぁ…っ!!」

勝手にビクンビクンと跳ねる体が怖い。
腹の内側に出来上がったコリコリとしたしこりを擦られるたびに無限に湧き出る強い快感。
自分の意思に関係なく与えられる快楽への恐怖に涙が零れた。

「嫌っ!!嫌だ…っ!!やめてぇ"…っ、嫌だぁ!!」
「…ごめんなさい。急なことで怖がらせてしまいましたね」

ぬちゅ…と濡れた後孔からアデルの指が引き抜かれ、圧迫感と快感から逃れられたことにホッとしていると、唇をアデルに塞がれた。

「ふ…、ぅ…っ」
「…申し訳ありません。兄上が可愛らしくて、ついおまんこ虐めてしまいました」
「はぁ…、はぁ…っ」
「泣かないで、兄様。ね?僕ともチューしようね?」
「…んっ…んぅ…っ」

ジュリィの手に顎を持ち上げられ、顔を上向きにされたまま唇を塞がれる。口の中をジュリィの舌に舐め上げられ、お互いの唾液の混じる音がくちゅりと響いた。

「…っ、ぷぁ…っ、は…っ、はぁ…」
「…ジュリィばかり兄上のお口を独占しているように思うのですが…」
「兄さんこそ、いつも先に兄様のおまんこ独り占めしてるじゃないか」
「…は…、ふ…」

自分を挟んで恥ずかしい言葉を交わし合う2人に、視線が泳ぐ。こうしてる間も股は濡れたまま、後孔は与えられた刺激の余韻でひくついていた。

「ごめんね、置いてけぼりにしちゃったね。…乳首も弄ってあげたいけど、今はまだ我慢するよ」
「あっ♡ひ、や…っ」

薄布越しに、ジュリィの指先がカリカリと膨れた乳首を爪弾き、突起を弾かれるたびにジン♡と快感が広がった。

「すごぉい…♡布越しでも乳首ガッチガチに勃起してるのが分かる…あぁ~…勃起したエロ乳首もっと捏ね回したいなぁ…グリグリっておもいっきり摘んで虐めたいなぁ…ねぇ、兄様」
「や、や…っ」
「大丈夫、今はしないよ」
「ひっ、…っ♡」

艶やかに微笑むジュリィにゾクリとしたものが背筋を走る。それが恐怖からではなく、いつか与えられる甘い刺激に、身体が勝手に悦んだのだとは考えたくなかった。

「ジュリィ、あまり兄上を虐めないで下さい。…さぁ、もう少しお休みになりましょう?その前におちんぽのお洋服だけ新しい物に替えておきましょうか」
「兄様のえっちなお汁でびちょびちょだもんね♡お着替えしようね」
「あっ!ダメ…~~~ッ!」

制止の声は流され、ペニスに巻き付いていたリボンが呆気なく解かれる。アデルの手がカウパーまみれの濡れたハンカチをゆっくりと外し、外気に晒されたペニスがぴくりと揺れた。
亀頭からハンカチが離れる瞬間、完全に勃起したペニスの先からツゥ…といやらしい系が垂れ、その卑猥な光景にカァッと顔が熱くなる。

「ふふ、えっちなお汁でおちんぽもびちゃびちゃ…♡恥ずかしいですね、兄上」
「うわぁ…ほんとにびっちょりだ…♡おまんこ気持ち良くて堪らなかったんだね」
「うぅ…っ」

恥ずかしさから、フルフルと首を横に振る。いちいち言葉にしないでほしい…そう思っていると、自身のカウパーで濡れたハンカチが、目の前でアデルからジュリィに手渡される。
なにを…と目で追ったその先で、ジュリィがぱくりとそのハンカチを口に含んだ。

「なっ…!?」

口に含んだそれを、じゅちゅっ♡と音を立てて吸うジュリィが信じられず目を見開く。
自分の淫液でしとどに濡れたハンカチを舐め上げ吸われるという、羞恥を煽るだけの行為に目が眩んだ。

「イヤ…ッ、嫌だ…っ!」
「ふふ、兄様のえっちなお汁、とっても美味しいよ♡」
「やっ…っ、ひっ!?♡」
「おちんぽもキレイにしておきましょうね」
「ひゃっ、ひ、ぐぅ…っ♡」

ペニス全体をぐっしょりと濡らした自身の淫液を舐め取るように、アデルの舌が丁寧に丁寧に肉の表面を這う。ゆっくりと竿を舐め上げ、淡く鈴口に吸い付き、溢れる蜜を吸う。
激しい口淫では無いはずなのに、敏感な肌をやわやわと撫でるような柔らかな舌の感触に、尿道からはトプリ♡と新たな蜜が零れた。

「ん…おちんぽ気持ち良いのですね。えっちなお汁をまた零して…」
「ひがう…っ、あぅ…っ!♡」
「今はおちんぽをキレイにしてあげるのが目的ですからね…可哀想ですが、おちんぽイキはおあずけですよ?」
「は…っ、はぁ…、ふ…っ」

腹の内側の性感帯と化した肉を弄られ、ペニスを舐め上げられ、感度を引き上げられた体は自分の意思に反して射精を求めていた。
ほんの少し強い刺激を与えられれば呆気なく果てるであろうペニスは、射精するにはあと一歩届かないところで放置され、勃起したままフルリと揺れた。 

「ふっ……ふっ…、っ…♡」
「さぁ、キレイになりましたよ。…ああ、イキたくて堪らないのですね…おちんぽぴくんぴくん揺らして、可愛らしい…♡」
「や、やだ…!言わなぁ…っ」
「今はまだイッちゃダメだからね。おちんぽに新しいお洋服着せてあげるから、もう少し休もうね?」
「ふぅ…、ふぅ…っ」

───こんな状態で眠れる訳がない。
そう思いつつ、それを言葉にするのは射精を求めるのと同義だと思うと、口にするのも憚れた。
そうしてる間にもペニスには新たな布が充てがわられ、くるりとリボンが巻かれた。
ほとんど脱げかけ乱れたバスローブを2人の手で整えられ、何事も無かったかのように羽毛で体を包まれる。
濡れた感覚の残るアナルも勃起したままのペニスも、ジンジンと疼く乳首も隠され、ホッとしたような落ち着かないような妙な気分のまま、ベッドから降りた2人を見上げた。

「ん…っ、ぅ…」
「まだお目覚めになるには早い時間ですからね。もう少しお休み下さい。私達の身支度も整っておりませんし」
「支度が整ったら起こしに来るから、もう少しだけ、おやすみなさい」
「おやすみなさい、兄上」
「ん…っ」


来た時同様、両頬に軽い口付けを落とすと、2人とも優しい微笑みを浮かべたまま静かに部屋を出て行った。
1人ポツンと取り残された部屋の中、先ほどまでの羞恥にまみれた卑猥な行為がまるで夢だったかのような現実の落差に茫然とする。

(どうして…)

2人の行動が読めない。いや、読めるはずがないのだが、淫猥な雄の顔をしていたかと思えば、急に雰囲気がガラリと変わり、穏やかな弟の顔になる。
どちらも嘘偽りの無い2人の姿なのだろうと、頭では理解しているが、あまりにも自然に、兄弟愛の中にそれ以上の熱を孕んだ愛情を混ぜられていることに混乱する。

「…はぁ…」

無理やり高められた性欲は、発散させることも出来ずに体内に溜め込まれたままグルグルと渦巻く。
気持ちを落ち着けるよう、深く呼吸を繰り返す内に、徐々に治っていく興奮に比例して再び睡魔に襲われた。
休息の足りなかった体に快感を叩き込まれ、放置され…その高低差にガクンと気が抜けたせいか、意識は急激に眠りの沼に落ちていった。

(……疲れた…)

次目が覚めた時はなにをされるのだろう…そんな恐怖に駆られながら、プツリと意識は途絶えた。





「おはようございます、兄上」
「……ん…?」

ぼんやりとした視界の中、パチパチと瞬きを繰り返す。

「よくお休みになれたようですね。昨日は無理をさせてしまい心配だったのですが…きちんとお体を休められたようで安心しました。」
「…ぁ…?」
「ふふ、兄様ってば寝惚けてる?朝食の用意ができたから、そろそろ起きて?」

ふわりと室内に漂う焼けたパンの良い匂いに、少しずつ意識が覚醒していく。

「ぁ…ア、デル…ジュリィ…」
「はい、兄上。おはようございます」
「おはよう、兄様」

柔らかに微笑む2人になんと返していいのか分からない。恐る恐る体を起こせば、いつの間に外されていたのか手枷で拘束されていた両腕は自由になっていた。

「一緒にご飯食べようね」
「お手をどうぞ」

…できることなら、手を取りたくない。
とは言え、感情のままに動くべきではないことくらい、嫌というほど理解した。
躊躇いつつもアデルの手を取れば、もう片方の手にジュリィの手が添えられる。
2人にエスコートされるような形でベッドから抜け出し、朝食が用意された席に着いた時、ふと自身の体の違和感に気づいた。

(…あ、れ?胸…に、貼られてた物が、無い…?)

未だにリボンで締め付けられている股間に眉根を寄せたが、胸部に張り付いていた薄い布が既に無いことにホッとする。
手枷同様、寝ている間に剥がされたのだろうか?それに気づけないほど深く眠っていたことに驚きつつ、羞恥を煽るだけの物が取り除かれただけ、気持ちは楽になった───が、それも一時的なものだった。

「喉渇いたでしょ?水でいい?ジュースもあるよ?」
「お腹も空きましたよね。兄上のお好きなキッシュもご用意しましたから、たくさん召し上がって下さい」
「…ん…、」

昨日同様、甲斐甲斐しく世話を焼く2人の様子を横目に、胸の違和感が少しずつ大きくなっていることに気づき、じわりと汗が滲んだ。
少し体を動かすだけ、揺らすだけで、羽織ったバスローブに乳首が擦れ、ジンジンとした疼きが生まれることに焦りが募った。

(なに!?なんで…!)

1度気になり出したら、もう無視することは出来なかった。
僅かな動作でも乳首に布が擦れ、少しずつ突起が固く勃起していくのが自分でも分かった。

(…胸の、剥がされた…から?)

乳首を覆っていた物が取り除かれたことに安堵している場合では無かった、とようやく気づく。
なんとか最小の動きで乳首を刺激しないようにとすればするほど、余計に意識してしまう。
嬌声が漏れるほどではないにしても、落ち着いて食事が出来るはずもなく、2人の手によって取り分けられ、目の前に置かれた物を口に運ぶので精一杯だった。


悶々とした気分のまま食事を終え、茶を飲みながらの食休みを終えても、気持ちも体も落ち着くことは無かった。

(…いつまでこのままなんだ)

朝食の後、寝ている間の汗を流すからと、風呂へと連れられ、全裸に剥かれた。何をされるのかとビクビクしていたが、本当に軽く湯を浴びる以上のことはされず、胸を撫で下ろした。
ところが風呂から上がってから与えられたのは、真新しいバスローブだった。
アデルもジュリィも身支度を整え、時折部屋の外に出ては誰某と指示を出しているようだったが、自分は未だにバスローブを羽織ったまま、下着すら着けていないほぼ裸の状態だった。
そうしている間にも、宿を出発する準備は着々と進んでいるようで、焦りはどんどん大きくなっていく。

「ア、アデル…その…、私も、着替えたいんだが…」

アデルかジュリィ、どちらか1人が片時も離れず側にいるため、不用意に立ち上がることも出来ず、自分の身の回りのことですら自ら手を出せない。
ぴったりと体を密着させ、腰を抱き寄せて隣に座るアデルに恐る恐る視線を送れば、にこやかな笑顔が返ってきた。

「そうですね、そろそろ兄上のご準備もしましょう」

ようやく裸状態から解放される───ホッと息を吐き出したのも束の間、部屋の外にいる誰かと話を終えたジュリィが戻ってきたと思った直後、腰掛けていた長椅子に体を引き倒され、視界がグラリと揺れた。

「は…っ、えっ…!?」
「兄上の体のご準備ですよ」

突然のことに一瞬だけブレた視界の中、慌てて起き上がろうとする体を、ジュリィの細腕が押さえつけた。

「まっ、て…!ジュリィ!離してくれ!」
「大人しくしてて、兄様。大丈夫、痛いことはしないから」
「そういう、ことじゃ…っ」

確かに痛いことはされないだろう。2人の自分に対する丁寧すぎる扱いを思えば、痛みを伴うような行為をされないことくらいは分かる。だが問題はそこでは無いのだ。

「嫌だ!嫌…っ!!」

無理やり与えられる快楽は、痛みを受けるのと同等に恐ろしいのだ。
肉体の快楽に引きずられるように、意識がどんどんと塗り替えられ、自分の意思さえも歪んでいくような恐怖。
少しずつ少しずつ、弟という枠組みを超えた2人が自分の中に侵食してくるような感覚───それを拒み切れない自分が、恐ろしくて堪らなかった。

「嫌───っ!?」

押し倒された体の股の間、自身の体を割り込ませたアデルの手が足首を掴んだ。
力任せにガバリと開かれた股の間、はだけたバスローブの下は肌を隠す物も無く、股間と臀部の隙間をアデルの目の前に晒すことになり、羞恥を通り越した恥ずかしさに青褪めた。

…ナニをされるのかなんて分かり切っている。
だからこそ、なんとしてもソコには触れてほしくなかった。

「まって!!嫌だ!!嫌…!!…っ、汚いから見ないでくれ…っ!!」

羞恥から声に泣き声が混じる。
昨夜、アデルとジュリィによって散々弄られた器官は、本来ただの排泄器官なのだ。
つい今しがたも、自分がトイレに行ったことは2人とも知っているはずなのに、曝け出された恥部に注がれる視線のあまりの恥ずかしさに死んでしまいそうだった。

「やだやだ嫌だ…っ!!見ないで…っ!!」

恥部を隠そうにも両腕はジュリィに捕まれ、寝転ぶにはバランスの悪い長椅子の上で、アデルの体に支えられるように割開かれた股は閉じることも叶わない。
恥ずかしさから滲んだ涙も、熱くなった顔も隠せず、情け無さと羞恥からボロリと涙が零れた。

「うぅ~…っ、嫌だ…やだぁ…っ!」
「ああ、兄上…そんなに可愛らしく泣かないで下さい。決して汚くもないですし、虐めている訳でもないのですが…」
「兄様、泣かないで?ね?ちょっとだけ我慢して?ね?」
「ふっ…ふ、ぅ…っ」

アデルの手が太腿の内側を撫で、ジュリィの唇がチュッチュッと啄むように頬や目元に降ってくる。
そのままアデルの指先が股の間へと滑っていく感覚に、ビクリと体が跳ねた。

「嫌だ!!触らな…っ、触るな…!!」

無意味と分かってキッとアデルを睨むが、案の定その表情は微笑んだまま変わらない。

「首まで真っ赤にして…可愛らしい♡ご安心下さい。お腹の中を綺麗にしないと兄上が嫌がられるだろうことは予想しておりましたから。…ちゃんと、綺麗にするためのモノをご用意しておりますよ」

そう言って、傍のサイドテーブルの上に置かれていた透明な瓶にアデルの手が伸びる。その中には半透明の薄い水色の液体のような物が入っており、知らず知らずのうちに体が強張った。
また怪しい薬の類いだろうかと身構えている間に、瓶の蓋が開けられ───中からぷるんと揺れる物体が出てきた。

(…なんだ?)

アデルの手の平にすっぽりと収まるソレは液体のように見えるのに、手の平から零れることもなく、潰れた球体のような形のまま、ぷるりと揺れていた。

「ア…デル、それは…な……ッ!?」

「なんだ?」と尋ねる暇もなく、液体のようなソレが後孔の縁にぴたりと充てがわれた。

「冷た…っ、…ヒッ!?」

体温より幾分低い温度のソレに、ふるりと身が震えた───次の瞬間、肉の窄まりを押し広げるように、柔らかなソレが腹の中へと侵入してきた。

「ひっ、やだっ、なに…!?嫌だ!!なにこれ…っ、やだっ!!取って…!取っ…ひ、ぃっ!」

液体のようだと思った見た目のまま、柔らかなソレは肉の孔の奥へとどんどんと潜り込んでいく。
今朝方まで柔らかかったとは言え、咥えこまされていた道具を抜かれた後は締まっていたはずの後孔の奥を難なく進んでいく謎の物体に、得体の知れない恐怖が募る。
手足を動かすことも出来ず、抵抗すら出来ないパニック寸前の状態で必死にかぶりを振った。

「嫌っ!!嫌だ!!嫌…っ、なにこれ…!やだ、取って!取ってくれっ!!」
「兄上、落ち着いて下さい。大丈夫ですよ、怖いものではないですからね」
「大丈夫だよ、兄様。ほら、ぎゅーってしててあげるから、ね?大丈夫だから怖がらないで?」
「ふっ、うぅ…っ」

両腕を掴んでいたジュリィの手が離れ、痛いほどキツく抱きしめられる。ほとんど無意識のまま、得体の知れない恐怖から逃げるように、ジュリィの背へと腕を回した。

「…これはこれは、嫉妬で本当に虐めてしまいそうですね」
「ふふ、怖い兄さんで嫌だね、兄様」
「ふ…ぅ、んぅ…っ」

アデルとジュリィの雰囲気がなにやら不穏だが、正直それどころではない。
液体のような何かが腹の中に完全に収まり切ってしまったことに、緊張と恐怖でドクンドクンと鼓動する心臓ははち切れそうだった。
臍の下辺りからアナルの縁まで、伸びるように謎の物体がみっちりと詰まっているような感覚があるにも関わらず、柔らかいせいなのか圧迫感はほとんど無く、痛みは無い。
臍の下、それ以上先へは入り込もうとしてこないことに安堵の溜め息を零すが、同時にそこが腸の奥になるのだろうと、知らなくてもいいことを知ってしまった複雑な心境に「くぅ」と小さく唸った。

「兄上、大丈夫ですか?怖いものではないですし、痛みも無いと思いますが…」

ジュリィの背にしがみついていた左手をやんわりと外され、手を取られた指先にアデルの唇が落ちた。

「なに…これ…、なに…?」
「“スライム”という、隣国の生き物です」
「ス……え、い、生き物…?」

耳慣れない単語と生き物という事実に驚愕している間もアデルの説明は続いた。
曰く、隣国に生息している魔物と呼ばれる生物の一種で、人間の手によって性玩具の類として養殖されているらしい。
本来であれば魔力を持った隣国の人間にしか扱えないそうだが、スライム自体が弱小であること、人の手で養殖された愛玩動物のような存在であることから、魔力を持たない他国の者でも扱うことが可能なのだそうだ。

「スライムは雑食で、老廃物なども取り込んで栄養に出来ることから、アナル洗浄もこなせるそうです。養殖されている個体はそれを目的として飼育されているそうで、その子も兄上のお腹の中を綺麗にするために購入したのですが、とても優秀なんですよ?昨日も兄上がお休みの間にお腹の中を綺麗にしてくれたのですが、兄上を起こすこともありませんでしたし、きちんと言うことを聞くとても良い子なんです」

にこやかに紡がれるアデルの言葉が理解できない。したくない。
腹の中に未知の生物が埋まっているという事実だけでも信じられないのに、自身の腸内に溜まっているものを“食べ物”として摂取されているということに目眩がしそうなほどの羞恥に襲われる。

「や…やだ…っ、と、取って…!取ってくれ!」
「この子に任せているのは兄上のためなんですよ?兄上さえよければ、いくらでもおまんこ洗浄してあげますが…いいのですか?お風呂でお腹の中を洗っても。今よりもっとずっと恥ずかしいですよ?」
「…っ!」

そう言われ、知識こそ無いものの『腹の中を洗う』という表現に息を呑む。…恐らく、恐らくだが、想像している通りのことをされるのだろう。

「きっと兄上は汚いと言って嫌がるでしょうね。それなら、この子に任せた方が精神的にも肉体的にも兄上の負担が少ないと思ったのですが…今から、お風呂に行きますか?」
「…っ、うぅ…!」

ふるふると必死で首を横に振る。どちらも嫌なことに変わりはないのだが、どちらがより恥ずかしいのかは考えるまでもなかった。

「ご安心下さい。この子に任せておけば、おまんこの隅々まで綺麗にしてくれますからね」
「や…くぅ…っ」

「消化するのに15分ほどお時間がかかりますから、少しお待ち下さい」そう言われ、腹の中に軟体生物を埋め込まれたまま、アデルとジュリィの手に全身をまさぐられた。

「スライムって他にも種類がいてね、乳首にちゅぱちゅぱって吸い付いて、ずーっとこねくり回してる子もいるんだよ」
「ひっ、ふ…」
「おちんぽが好きな個体もいるそうですよ?先っぽにしゃぶりついて、主人が『よし』と言うまで延々と亀頭を舐めしゃぶるようにしごき続けるんですって」
「ひゃっ…あっ、やだ…っ!」
「ふふ、兄様の乳首美味しいから、きっとずーっと吸い付いて離れないだろうなぁ。乳首コリコリちゅぱちゅぱされてエロ乳首イキっぱなしになっちゃうね」
「まっ…やだ…っ、触らないで…っ♡」
「亀頭責めで潮を吹く兄上もきっと可愛らしいでしょうね…おちんぽの先っぽがお顔と同じくらい真っ赤になるまで、ぐちゅぐちゅにしゃぶらせて、尿道の中まで犯してもらいましょうね」
「ひぐっ♡やっ…まって!やだ、弄らないでぇ…っ!♡」

卑猥な言葉に鼓膜を犯されながら、乳首を撫でられ、ペニスを緩く扱かれる。まるで手遊びのように敏感な部分を弄られながら「想像しろ」と言わんばかりの淫猥な言葉を聞かされ続け、嫌でも体は反応していく。

「あっ…ひ、やだ…っ♡やめ…っ!♡」

せっかく落ち着いていた体の熱は、2人の手によってあっという間に再熱してしまった。
乳首もペニスも固く勃起し、15分という時間を恐ろしく長いと感じた頃、ようやく2人の手が離れていった。

「はぁ…はぁ…っ、ひ…はぁ…っ♡」
「もうトロトロですね♡…さぁ、おまんこも綺麗になってるでしょうから、中の子を出してあげましょう」
「は…っ、ひ、うぅ…っ」
「もう一回お股開こうね~?」

もう何度目になるのか、大きく足を開かされることに、抵抗する気力も失い始めていた。
勃起しダラダラと涎を垂らすペニスを揺らしながら、アデルの目の前に緩い窄まりを晒すことに羞恥はあれど、それ以上に腹の中に埋まった生物らしい何かを早く取ってほしかった。

「ノア、出ておいで」

“ノア”とはスライムという生物の名前だろうか。呼び声に応えるように、いつの間にか自身の体温と同じ温度になっていた液体のような体が、腹の中をぬくりと動く感覚がした。

「うっ…く…!」

痛みや苦しさは無い。ただ、柔らかな何かが腸壁を擦るように動く感覚は、排泄をする時のそれとそっくりで、擬似的な排泄に心臓がヒヤリと竦んだ。

「ん、ぐぅぅ…っ!」
「兄上、そんなに緊張なさらなくても大丈夫ですよ。…ほら、もう全部出ましたから」
「…はっ…!…ひ…はぁ…っ!」

腸内の妙な圧迫感が無くなったことに安堵の溜め息が零れた。
ふと見れば、アデルの手の平から瓶へと戻された水色の物体が、その中でぷるぷると揺れていて、ひくりと喉が鳴った。

アレが今まで腹の中に埋まっていたのだ───そう認識した途端になんとも言えない恥ずかしさが込み上げ、反射的に視線を逸らした。

「ふふ、恥ずかしいんですね。ああ…可愛らしいおまんこが先ほどからヒクヒクしてますよ♡」
「あっ!?や…っ!」

僅かに濡れ、柔くなっていた肉孔の縁をアデルの指がくるりくるりと円を描くように撫で、ぞくりとした快感に腰が跳ねた。

「おまんこの中ちゃんと綺麗になってるか、見てもらう?兄様」
「ひっ、やだ!嫌…!見ないで…っ!」
「ノアは優秀ですから確認する必要もないでしょうけれど…今度おまんこの中まで拡げて見てみるのもいいかもしれませんね。兄上はお腹の中まで可愛らしいでしょうし」
「うぅ…っ!」

…なんの確証も無いのに、いつか本当に言葉の通りのことをされるのだろうという確信だけはある。
イヤイヤと無言で首を振れば、ふっと笑うアデルとジュリィの声が聞こえた。

「今そんなことしたら兄様がもっと泣いちゃうから、やめとくね」
「ええ、でないと今日一日、お体が保たないでしょうし…」
「…ッ」

体が保たないとはどういうことだろう?
これから何をされるのか?屋敷に向けて移動するのではないのか?
あまりにも不安な言葉にきゅうっと体を縮こまらせていると、ふいに扉をノックする音が聞こえ、ビクリと体が跳ねた。

「なんだ」
「ご出発の準備が整いました」
「分かった」

アデルが扉の向こうから聞こえた男の声に返事をすると同時に、ほとんど脱げかけていたバスローブを2人の手によって剥ぎ取られてしまった。
そのまま体を起こされ、全裸のまま立たされる。羞恥と心細さ、今から何をされるのかという不安からギュッと自身の体を抱き締めていると、突然頭の上からバサリと布を被せられた。

「っ、…なに…っ!?」

突然遮られた視界に怯んでいると、頭の天辺から爪先まで、全身を覆うような大きな布で体を包まれた。顔を出そうと腕を上げようとしたところで、グッと体を抱き寄せられるような感覚がした。
次の瞬間、昨日も味わった急な浮遊感に、慌てて上体のバランスを取る。
また抱き上げられたのだろうと、即座に理解できてしまった。

「ちょ…っ、待ってくっ…、アデル!」
「暴れないで下さいね。これからお部屋を出ますから」
「───っ!?」

信じられないアデルの言葉に目を見開く。
熱に浮かされていた体が、指の先まで一瞬で冷えていくのが分かった。

(は…?まて…だって…ふ、服は…?)

全身を布で覆われているとはいえ、その下は下着すら身につけていない全裸なのだ。
その状態のまま、アデルに横抱きにされたまま部屋を出る?まさか、他にも宿泊客がいるであろう宿の中を、この状態で歩くと言うのだろうか───…?

「…や、やだ…!嫌だ!!離し…ッ!!」

とんでもない事態に、アデルの腕から逃れようと身を捩るが、ギリッと痛いほど腕を掴まれ、瞬間的に体が強張った。

「兄上、大人しくなさってて下さい。大丈夫、お顔も、足の先まで隠れていますから、大人しくされてれば、誰にも兄上が裸なことはバレません。でも、暴れられてしまったら、うっかり手を滑らせてしまうかもしれませんね…ああ、たくさんの人が見てる前で、布が剥がれてしまったら…どうしましょう?」
「…ッ、」

ゆるりと笑むアデルの表情に、それ以上の抵抗が出来なくなってしまう。
そんなこと、公衆の面前で恥をかかせるようなこと、アデルならしないはず───そう思うが、絶対とは言い切れない不安と恐怖から、言葉が出てこなかった。

「良い子ですから、大人しくなさってて下さいね」

心の準備をする暇も無く、アデルが大股で歩き出し、あっという間に部屋の外へと出てしまった。

(や…やだ…、嫌だ…っ!)

誰かにバレたらどうするんだ───…!!
そんな緊張感で心臓がバクバクと大きく脈打つ。いくら全身を隠しているとはいえ、明らかに男を抱き抱えていることは、きっと体格で分かるだろう。
布越しとはいえ、好奇の視線に晒されるであろうことを想像し、恐怖からキツく瞼を瞑った。

「兄様、大丈夫だから安心して。…ごめんね?兄様が逃げちゃうかもしれないって、僕も兄さんも不安で仕方ないんだ」

布で遮られた視界の中、姿こそ見えないが、すぐ隣からジュリィの囁くような声が聞こえた。

「ずっと側にいないと心配で堪らないんだ…ごめんね、このまま真っ直ぐ出口に向かうから、少しだけ我慢してね」
「本当はこんなことしたくないのですが…申し訳ございません。なるべく早く馬車まで移動します。…先ほどはああ言いましたが、兄上の美しい体を他の輩に見せるような愚かな真似は致しませんから、ご安心下さい」

声だけは穏やかに、だが揺れる振動からかなり早足で歩を進めているのは、周囲の景色が見えなくとも分かった。
どんどんと突き進んでいく2人の足音に混じって、人の話し声や足音、騒めきが聞こえ始める。反射的に体に力が入ったが、今度は安心させるようにギュッと抱き寄せる手に力が籠り、無意識の内に体から力が抜けた。

安心している場合ではないのに、現状の元凶はアデルとジュリィなのに、この状態で心を寄せられる相手は他でもない、2人の弟達だけなのだ───…



「お疲れ様です、兄上。もう宿は出ましたよ」
「あ、でも顔はまだ出しちゃダメだよ。これから馬車に乗るからね」

目を瞑り、意識から切り離すように周りの音を遮断している内に、人の騒めきは遠のいていた。
恐らく抱き抱えられていた姿は、たくさんの人の目に触れてしまったのだろうが、全裸であるという非現実的な自身の状態がバレなかったことに、深く安堵の息を吐き出した。

(良かった…!)

まだ朝起きてからそれほど時間が経っていないというのに、精神的な疲労は大変なものだった。
せめて馬車で移動する間は穏やかに過ごしたい…が、そんなささやかな願いは、自分が全裸であるという時点で叶うことはないのだろう。

未だに布で視界を遮られ、アデルの腕に抱かれたまま、アデルやジュリィが御者や従者達に指示を出している声だけを頼りに周囲の様子を探る。

(…そういえば、家の者達は…この状況をどう思っているんだ?)

今更ながら、長兄を腕に抱く次兄と、それを当然のこととして受け入れている末子という奇妙な状況に、本当にこのまま屋敷に帰ってもいいのだろうかという不安ばかりが増していく。
兄弟同士での行き過ぎた愛情と肉体的な関係を、家の者達は知っているのだろうか───恐ろしい考えに、思考を奪われている間に、馬車が目の前で止まる音がした。

扉が開く音に、そっと顔を上げる。合わせた布の境い目から、チラリと馬車の様子を窺えば、随分と大きく立派な造りをしていることに少しだけ驚いた。

そうして大きく開かれた扉の向こう側、本来向かい合わせに座席があるだけの空間の中に、見慣れない物があった。



まるで小さな寝台のように拵えられた座席と───馬車の中には不釣り合いな拘束具。



「───ひゅっ」

想像すらしてなかった、あまりにも場違いなソレに、喉の奥からは悲鳴のような吐息が漏れた。

(やだ…まって…そんな…そんな…!)

馬車の中という閉鎖的な空間で、アデルとジュリィの2人と、長い長い道のりを過ごすのだ。
…ナニをされるのか、嫌でも分かってしまうことに、ブルブルと体が震えた。

「…ゃ…やだ……!や…っ」

抱き上げる腕から逃れようにも、裸で逃げ出すことなんて出来る訳がない。
小さな抵抗の言葉は、アデルが馬車の踏み台に足を掛ける、ギシリという音に掻き消された。



「…おまんこの中、綺麗にしておいて良かったですね?兄上」



頭上から降ってきた低い声に、ひくりと腹の奥が疼いた。










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ようやくファンタジー要素を取り入れることに成功しました。
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