ラピスラズリの福音

東雲

文字の大きさ
2 / 5

それはまるで夢のような

しおりを挟む
「ノラ」
「リアム……」
「ごめん、ノックはしたんだけど、返事がなかったから……ご飯は食べた?」
「いや……うん……」
「ご飯、外で買ってきたから、一緒に食べよ」
「ん……」

すっかり陽も落ちた夜のこと、紙袋を抱えたリアムが薄暗い部屋の中に入ってきた。
ノックの音にすら気づけないでいたことに少しだけバツが悪くなりながら、ベッドの縁に腰掛けたまま、小さく返事をする。

「……おじいちゃん、穏やかな顔してたね」
「……うん」
「ちゃんと、見送れて良かった」
「……うん」

移動した先、リビングのテーブルの上に食事を並べながら、柔らかな声で話すリアム。その声が優しくて、ジン……と目頭が熱くなる。

「……ノラ、泣いていいんだよ」
「うぅん。もうたくさん泣いたし……気持ちの整理はできてるんだ」

強がりではなく、本心で答えれば、なぜかリアムのほうが泣きそうな顔になって、思わず頬が緩んだ。


十七歳の始め、祖母が病に倒れ、一月も経たない内にこの世を去った。
あまりにも急なことで気持ちが追いつかず、ただ悲しい、寂しいと泣くことしかできなかった。その時もリアムにはかなり慰められたのだが、祖母が亡くなってから半年後、今度は祖父が倒れた。
元々高齢ということもあったが、祖母が亡くなってから目に見えて弱っていた祖父は、だんだんとベッドから起き上がれなくなっていった。ただ、祖父にも意地があったのか、まだ未成年の孫に心配をかけまいと思ったのか、ベッドの上では元気に話しをしてくれた。
本当は、祖父までいなくなってしまうのではないかと不安で不安で堪らなかった。けれど明るく笑う祖父を安心させるため、できる限り平静を装い、明るく接した。
そうして過ごしていたある日、突如、祖父が信じられないことを言い出したのだ。

『そういえば、ノラはリアムに気持ちを伝えないのか?』

一瞬、なんのことを言われているのか分からず、思考が停止した。瞬きを二つ、たっぷり五秒は沈黙が流れた後、動揺と羞恥と驚愕から挙動不審なまま祖父になんのことかと尋ねれば、祖父は豪快に笑った。

『そんなに驚くことないだろう。お前がリアムを好いていることくらい、ずっと知っていたよ』

「ばあさんも知ってたぞ」と続けて言われ、愕然とするも、その表情にも声にも忌避感はなく、ただ優しく、リアムへの想いを理解してくれた。
祖父も祖母も、いつか打ち明けてくれるだろう、と見守ってくれていたらしい。だが祖母は急にこの世を去ってしまい、今際の時になってその話しをしては、ノラの負担になってしまうかもしれない、となにも聞かずに逝ったのだという。

『だから代わりに聞いておいてくれ、とばあさんに頼まれてな。……向こうで土産話を聞かせてやりたいから、嫌じゃなければ、話しを聞かせてくれないか?』

そう穏やかに告げる祖父に、我慢していた涙が溢れて止まらなくなって、わんわん泣いた。
もう祖父は長くない。薄々勘づいていた現実が、すぐ目の前まで迫っていることが悲しくて、同性を好きになってしまった不安や孤独感を肯定してもらえたことが嬉しくて、祖父母に余計な心配を掛けてしまったことが申し訳なくて、訳も分からないまま、「ごめんなさい」と言いながら泣きじゃくった。
成人間近の孫が子どものように泣くなんて、さぞみっともなかっただろうに、祖父は「なにを謝っとるんだ」と困ったように笑いながら、優しく背を撫でてくれた。
それから、ポツリ、ポツリとリアムに対する想いや、自分の考えを伝えた。
あえて気持ちを伝えるつもりはないこと、これからも良き友人でありたいと思っていること、それでもきっと、自分はリアムのことがずっと好きだと思うだろうこと……身内に自身の恋愛話しをするのは気恥ずかしかったが、祖父は時折頷きながら、静かに聞いてくれた。それだけで、重苦しかった胸は嘘のように軽くなった。
最後まで話しを聞いた祖父は「話してくれてありがとうな」と言った後、「ワシもばあさんも、ノラが幸せなら、相手の性別なんてなんだっていい」と言って、背中を押してくれた。
その言葉で、どれほど救われたことか。それが嬉しくて、愛されている安心感と感謝の気持ちから、また泣いた。

その日から、祖父の前ではリアムに対する気持ちは隠さずに話すようになった。ただ『好き』という気持ちを素直に表に出せるだけで、後ろめたさや罪悪感は薄れていき、それに比例するように、リアムに対する恋情も落ち着いたものへと変わっていった。
報われないままでも、伝えられないままでも、胸の奥底に大切にしまっておくだけで満足できる──そう思えるようになった頃、祖父は静かに息を引き取った。
最期まで笑って話しを聞いてくれた祖父は、ノラの成人を見届けると、眠るようにしてこの世を去った。
倒れてから半年、祖母が亡くなってから約一年後の祖父の死に、周囲の者も悲しみ、ノラのことを心配してくれた。だが祖父とはきちんと別れの挨拶ができていたこと、隠し事もなく、全てを打ち明けて笑顔で最期の日まで過ごせたことで、必要以上に悲しむこともなく、穏やかな気持ちで見送ることができた。
祖父が生きている内に、十分悲しんだ。たくさん泣いた。たくさん笑った。だからもう大丈夫──そう思っていた。


(やっぱり、寂しさは誤魔化せないな……)

リアムが用意してくれたスープを口にしながら、ふぅ……と息を吐く。
三歳の頃から育ててくれた祖父母は、ノラにとって父と母同然だった。別れの辛さや悲しみはきちんと消化することができたが、天涯孤独になってしまった孤独感や喪失感だけはどうすることもできなかった。
小さいと思っていた一軒家も、自分一人には広すぎて落ち着かない。今はこうしてリアムが一緒にいてくれるからいいが、彼が帰った後、もっと寂しくなってしまうのでは……そう考えるだけで憂鬱で、食事もなかなか喉を通らなかった。

「ノラ、お腹空いてない?」
「そうかも……」
「無理はしてほしくないけど、もうちょっとだけ食べよ? お昼もあんまり食べてないでしょ?」

心配だと言わんばかりのリアムの声に、心が温かくなる。
祖父が亡くなってから葬儀が終わるまで、リアムはずっと側にいてくれた。それこそ朝から晩までノラの家にいて、一人になる時間すらほとんどないくらいだった。
リアムが支えてくれたおかげで精神的な疲労も少なく、落ち着いていられるのだが、自分が泣かないことが彼には心配らしい。

「母が蜂蜜を持たせてくれたんだ。あとでミルクに入れて飲もう」
「……ん、ありがとう」

心配され、甘やかされている擽ったさから、やんわりと笑みを返した。



「はい、熱いから気をつけてね」
「ありがと」

夕食を終え、湯浴みを済ませると、二人一緒にノラの部屋へ移動した。リアムは一度キッチンへ向かうと、温めたミルクが入ったカップを持って戻ってきた。まるで自分の家のように動き回っているリアムだが、その気安さが今は心底有り難かった。
リアムからカップを受け取り、ベッドの縁に並んで腰掛ける。真横から伝わる温もりにホッとしながら、甘い香りが立ち昇るミルクに口を付けた。

「ん、美味しい」
「良かった。まだ残ってるから、明日の朝はパンに塗って食べよう」
「……うん」

「泊まる」とは一言も言われていないが、言外に明日の朝まで一緒にいてくれようとするリアムに、涙が出そうになる。
悲しみも、寂しさも、丸ごと慰めてくれようとする彼の優しさが嬉しくて、どうしようもなく好きで──だからこそ、これ以上はもう甘えられないと思った。

(……これ以上、好きになったらダメだ)

たくさん想った。祖父母にも想いを理解してもらえた。それだけでもう、十分だと思えた。
自分はリアムが好きで、でも想いを伝えるつもりはなくて、友人のまま側にいられるならそれでいい。この気持ちは、きっとこの先もずっと変わることはないだろう。
ならば未練も想いも残したまま、リアムへの恋心と別れを告げるべきだと、隣で微笑む彼を見て思ったのだ。

(……大丈夫)

今の関係が壊れる訳じゃない。この繋がりが終わる訳でもない。なにも変わらない。だから大丈夫……そう自分に言い聞かせると、決意を固めるように静かに息を吐いた。

「……ありがとう、リアム。たくさん、心配してくれて」
「うん? どしたの急に」
「ちゃんと言わなきゃって思って……ばあちゃんの時も、じいちゃんのことも、俺のことも、今までずっと、いっぱい心配してくれて、本当にありがとう」
「……心配するのは当然でしょ。でも、ノラの助けになってたなら良かった」

そう言って笑うリアムになんとか笑い返しながら、カップを持つ手に力を込めた。

「リアムが一緒にいてくれて、本当に心強かったし、嬉しかった。……でも、もう大丈夫だから……今日は、家に帰っていいよ」

言った瞬間、追い払うような言い方になってしまったことを後悔するが、口から出た言葉が帰ってくるはずもなく、気まずさから薄く唇を噛んだ。

「どうして? 両親には泊まるって言ってきたし、帰らなくても大丈夫だよ?」
「そうじゃなくて……俺なら、もう大丈夫だから……」

思えば、これまでリアムが側にいることを拒んだことなど一度もなかった。逆もまた然りで、ノラがリアムの側にいることを拒まれたことも一度もない。そのせいだろうか、あえて距離を置こうにもどう伝えればいいのか分からなくて、上手く言葉が出てこなかった。

「……大丈夫って、どういう意味?」
「だから……その、一人でも、もう大丈夫だか──」
「ご飯も食べれないのに、大丈夫な訳ないじゃん」
「っ……」

語気を強めた口調で言い返され、言葉に詰まる。声の強さに怯んだのではない。その音に滲んだ、自分を案じるリアムの優しさを喜んでしまったのだ。

「そう、だけど……でも、だからって、ずっとリアムに甘えっぱなしではいられないから」
「こんな時くらい甘えてよ」
「今までも、ずっと甘えてきたよ。でもこれからは、一人での生活に慣れなきゃいけないし……」
「無理して一人に慣れる必要なんてないでしょ。なんなら、僕が一緒に住んだっていいし」
「それはダメだ」
「どうして?」
「どうしてって……」

リアムの予想外の反応に、戸惑いから返答に迷ってしまう。いや、彼が優しいのはいつものことだし、一緒に住んでもいいと言ってくれるのも、その延長だと分かっている。だがいつもとは違う、どこか怒っているような雰囲気に呑まれ、適当な言い訳が思いつかない。

(だって、いつまでも一緒になんていられないし……)

友として側にいたいと願っていても、それにだって限りがある。
いつかリアムが彼の想い人と結ばれ、結婚したら、共に過ごせる時間なんてほとんど無くなるだろう。そうなった時、リアムとの距離が近すぎたがために、必要以上に寂しい思いをするのも、傷つくのも怖いのだ。
『友』として、きちんとリアムの幸せを喜べるように、笑って祝福できるように、間違っても『寂しい』『悲しい』なんて感情に支配されて泣いてしまわないように……今から少しずつでも、離れることに慣れておきたかった。
とはいえ、それをそのまま言えるはずもなく、逃げるようにリアムから視線を逸らした。

「えっと……」
「……ノラは、一人になりたいの?」
「なりたい、というか……もう成人したんだし、一人でも──」
「僕はノラを一人にしたくない」
「っ……!」

ハッキリと告げられた言葉に、カァッと頬が熱くなる。赤く染まっているであろう顔を隠すように慌てて俯くと、熱を逃がそうと必死になって思考を振り払った。

(やめてほしい……!)

リアムへの恋心を拗らせた心臓は、彼の優しさから発せられた言葉にさえ勝手に喜び、『嬉しい』と鼓動する。これ以上、好きになったらいけないと決意したばかりで、性懲りもなく湧き上がる恋情に唸りそうになりながら、なんとか表情を取り繕うと顔を上げた。

「……心配してくれて、ありがとう。その、そう言ってくれるのは、すごく嬉しいけど、自立するためにも、少しずつ慣れていかなきゃって思うから……」
「自立することと、一人になることは違うでしょ?」
「そうだけど……いつまでも、リアムと一緒に暮らせる訳じゃないし……」
「どうして?」
「え?」
(どうしてって……)

理由なんて、リアムの方がよっぽど分かっているだろうに、何故そこに疑問を抱くのか。なんとも言えない焦燥感がじわりと顔を出す。
今日のリアムは、なんだかいつもと少し違う……そんな違和感と戸惑いから、落ち着かない気持ちのまま零れたのは、結局避けては通れぬ話題だった。

「それは、だって……リアムはその内結婚して、家庭を持つだろうし……俺だって、いつか、結婚するかもしれないし……」

発した言葉に嘘はなかった。リアムへの恋情が、いつか熱も苦しさも全部ひっくるめて尊い思い出になった時、別の誰かを想えるようになっているかもしれない。もしかしたら、その誰かと結婚だってするかもしれない。リアムに対する恋心を隠そうと決めた以上、その可能性は決して零ではないのだ。勿論、今はそんな気持ちは欠片もないけれど……

「だから、ずっと一緒にいるのは──」

未来のことなんて分からない。だからこそ、『可能性』の話として口にしたのだが、続けようとした言葉は、音になる前に喉の奥で潰れて消えた。

「……なに、結婚って」

見つめた先、こちらを見据える青い瞳が、今まで一度も見たことがないような剣呑な色に染まっていて、息を呑んだ。

「ノラ、僕知らないよ」
「……リアム?」

いつもと変わらぬ穏やかなリアムの声。その声が、信じられないほど冷たい音をしていて血の気が引いた。
リアムを怒らせた──瞬間的にそれに気づくも、思考はそこで止まってしまった。
何故、どうして、なにかいけないことを言ってしまっただろうか……そんな考えが一瞬の内に脳内を駆け巡る間に、手にしていたカップを取り上げられた。

「あ……」

突然のリアムの変化に反応することもできないまま、二人分のカップがサイドテーブルに置かれる様子を茫然と眺める。カップの温もりが残る手の平もそのままに固まっていると、空になった手の平を唐突に掴まれた。

「!? リア……ッ」

不意打ちの事態に大袈裟なほど肩が跳ねたが、思いがけない強さで握られた指先に、怯えが先に立つ。

「ねぇ、どういうこと? 結婚するなんて、聞いてないよ?」
「ちが……する、じゃなくて、いつか、するかもって……」
「いつかって? 誰と?」
「だ、誰って……そんな、わかんない、けど……」
「ノラは誰とも分からないヤツと結婚するの?」
「そ、そうじゃなくて……っ」

リアムが怖い。怒鳴られている訳でも、叱責されている訳でもないのに、泣いてしまいそうな恐怖から声が震えた。
今まで喧嘩らしい喧嘩をしたこともなく、こんな風に怒りを露わにされたこともなかった。
握られた指先から、リアムが本気で怒っているのだということが伝わり、みっともないほど狼狽えた。

「結婚、するなら……ちゃんと、好きな人と、するよ……」
「だから、誰?」
「わ、わかんないよ、そんなの……! いつか、好きになった、人と……」

ああ、どうして好きな人に対して、不確定な未来の想い人について話さなければいけないのだろう。
リアムが怒っている理由も分からないまま、悔しさにも似た息苦しさから、視界が滲んだ時だった。

「──ノラが好きなのは僕だろ!?」
「…………え?」

叫ぶように響いたリアムの声。その言葉に、複雑に渦巻いていた思考が一瞬で吹き飛んだ。

(……なに、どういう……)

衝撃的な発言に、頭が真っ白になる。なにか言わなければ、と思うことすらできないまま硬直していると、リアムの表情が苦しげに歪んだ。

「……違う。ごめん、間違えた」

苦さを含んだような声に、ふっと体が軽くなる。
ああ、なんだ、なにか言い間違えてしまったのか……ホッと気が緩んだ直後、それまでの底冷えするような怒りを消したリアムが、こちらを真っ直ぐに見つめ、口を開いた。

「好きだよ、ノラ」
「──」

刹那、呼吸も、思考も、心臓の鼓動さえも一瞬止まった。

「ごめんね。言う順番を間違えちゃった。……ノラ、僕はノラが好きだよ。恋愛感情として、ノラのことが好き」
「は……え……?」
「ノラは、僕が好きじゃないの?」
「……!!」

瞬間、それまで停止していたすべてが一気に動き出し、ぶわりと汗が吹き出した。

(え、なに、まって、なに、なんで……!?)

突然のリアムからの告白と、自分の気持ちを知られていた羞恥に、思考も感情も追いつかない。
まともに動かない頭が重くて、全身が熱くて、訳もなく涙腺が緩み、咄嗟に空いていた手で顔を隠した。

「……ノラ、どうして逃げるの?」
「に、逃げてない……っ」

そう言いながら、体はリアムから離れようと後退りしていた。逃げようとしているのではない。ただ恥ずかしさと動揺が止まらず、リアムの視線から隠れようと体が勝手に動いてしまうのだ。

「ノラ……」
「や、ま、まって……!」

反射的に乗り上げたベッドの上、ずりずりと後ろに下がれば、あっという間に壁に背が着いた。握られた左手もそのまま、リアムもベッドに乗り上げれば、二人分の体重にベッドがギシリと軋む。そんな音さえも今は妙に艶かしく聞こえて、ビクリと体が跳ねた。

「ノラ、お願いだから、逃げないで」
「に、逃げない、から……!」
「……顔、見せて」
「ま、待って、リアム……!」

逃げ場もなく、逃げる気もない体は、あっという間に壁とリアムに挟まれ、身動きが取れなくなった。未だに混乱したままの体には力が入らず、顔を隠すために上げていた右手は、呆気ないほど簡単にリアムに捕まった。

「ふ……真っ赤」
「~~~ッ!」

無理やり暴かれた視界の中、信じられないほど近い距離で微笑むリアムの綺麗な顔が映り、更に体温が上昇した。

「な、なんで、近い……!」
「嫌なの?」
「ヤ、じゃ、ないけど……っ」

嫌ではない。ただ大きな体を縮こめている様も、みっともないほど真っ赤に染まった顔面も、今にも泣いてしまいそうな表情も、全部リアムに見られていると思うと、恥ずかして恥ずかしくて堪らないのだ。

「好きだよ、ノラ」
「ひゃっ」
「好き、大好き。大好きだよ、ノラ」
「ま、まってリアム! 本当に、ちょっと、まって……!」

至近距離で見つめられたまま、何度も「好き」と言われ、頭がどうにかなりそうだった。バクバクと脈打つ心臓が痛くて、息が苦しくて、握られたままの両手も、顔も、体も熱くて──リアムの告白が嬉しくて嬉しくて、我慢していた涙がポタリと零れた。

「うぅ~……」
「ノラ……」
「ちが、か、悲しい、じゃ……っ」
「うん、分かってる。……ごめんね、びっくりさせちゃったね」
「ひうっ!?」

自身の手を握っていたリアムの手が一瞬離れ、すぐに互いの指が絡み合うように握り直されて、思わず変な声が出る。まるで恋仲同士のような手の繋ぎ方に、声にならない声で『離して』とリアムに訴えるも、返ってきたのは淡い微笑みだけだった。

「これ以上はなにもしないよ。ノラが落ち着くまで、いくらでも待つから……それまでは、このままでいさせて」
「っ……」

柔く、優しい、温かな声。その声も、表情も、自分のよく知るいつものリアムのそれだった。
それだけで直前までの暴れ回るような胸の鼓動も、昂っていた感情も緩やかに凪いでいき、知らず強張っていた体からふっと力が抜けた。
突然の告白に動転してしまったが、今目の前にいるのは、自分の大好きなリアムなのだ。そう自覚するだけで、体はこれまでとは異なる熱を帯び、胸の臓器は震えた。
リアムと繋がったままの両手。その指先にほんの少しだけ力を込めれば、返事をするように強く握り返された。


甘やかな静寂が流れる中、トクリ、トクリと鳴る自身の心臓の音だけがやけに大きく聞こえた。
数秒か、数分か。時間感覚すら置き去りにしてきたような二人だけの空間の中、深く息を吸い込むと、ノラはゆっくりと口を開いた。

「……リアム」
「なぁに」

返ってきた柔らかな声に安堵しながら、俯いていた顔をそろりと上げる。視界に映るのは間近に迫るリアムの顔で、その近さに喉の奥で小さな悲鳴が漏れるも、動揺を押し隠し、必死に言葉を続けた。

「あ、あの……す、好き、て……」
「うん。好きだよ、ノラ」
「そっ、じゃ、なくて……その、な、なんで……?」
「なんでって?」
「だって……リアム、好きな人がいるって……」

なにからどう訊ねればいいのかも分からない中、真っ先に思い浮かんだのは、いつか聞いたリアムの想い人についてだった。
いつから自分の想いに気づいていたのか、リアムはいつから自分に好意を向けていたのか、気になることは他にもあったが、これまでの付き合いの中で唯一触れた恋愛話だったからこそ、そこが気になって仕方なかった。

「その……前に言ってた、好きな人のことは、いいの……?」
「……ノラ、本気で言ってる?」
「え?」

それなりに勇気を振り絞って聞いたのだが、何故かリアムは肩を落とし、眉を下げた。

「えっと……」
「僕が好きなのは、ずっとノラ一人だけだよ。他に好きな人なんていたことない」
「えっ!?」
「……本当に気づいてなかったんだね」

まさかの返答に驚愕するも、対するリアムはどこか呆れたように溜め息を吐くだけだった。

「ねぇ、ノラ。僕は子どもの頃から、ずっとノラのことが好きだったよ。ノラが僕のことを好きなのもすぐに分かったし、ずっと僕も好きだよってアピールしてたのに、気づかなかった?」
「え、ぅ、え……?」
「……そんなに驚かないでよ」
「ご、ごめん、だって……」

先ほどからリアムの返答が予想外すぎて、驚きから思考がぐるぐると渦巻き始める。
一体いつから両思いだったのか、アピールとはなにか、まったく心当たりがないことに、不安から段々と泣きたくなってきた。

「ごめん……あの……」
「謝らないで。……本当は、いつだって僕から告白できたんだ。でも、ノラは全然僕の気持ちに気づいてなかったし、友達のままでいようとしてるみたいだったから、言ったらいけないんだと思ってた」
「ッ……!」
「だけど、諦めたくなかった。僕はノラが好きだし、ノラも僕を好きなのに、どうしてって……だから、僕の気持ちに気づいてもらえるまで告白はしないって、意地になってたんだ」
「リアム……」

静かに語るリアムの告白に、嬉しさと苦しさが同時に込み上げる。
知らぬ間にリアムを悲しませていたこと、自分と同じ思いをさせてしまっていたこと、その上で、リアムは諦めずに、ずっと自分のことを想い続けてくれていたことが嬉しくて、引いていた熱がじわじわと振り返し始めた。

「ノラ」
「……うん」
「僕は、ノラが好きだよ。これまでも、これからもずっと、ノラが好き。一人になんてさせたくないし、したくない」
「……ん」
「ノラは? ……返事、聞かせて?」

その言葉と同時に、繋いだままの両手を痛いほど強く握られ、心臓がドクリと大きく脈打った。
見慣れたはずの、それでいていつまでも見慣れない整ったリアムの顔。その表情も、真っ直ぐこちらを見つめる大好きなラピスラズリの輝きも、どこまでも真剣で、真摯で、愛しくて──溢れ出した恋しさは、言葉になって零れ落ちた。

「……好き。リアムが、好き」
「──」
「俺も、好きだよ……リアムのことが好き……、大好き……!」

想いを告げた瞬間、涙がボロボロと零れた。
今までずっと我慢してきた想いが弾けたように、『好き』という感情が膨らみ、肉体という器に収まりきらなかった分が声になって溢れ出す。
涙を止めることも、泣き顔を隠すこともできないまま、うわ言のように、ただ彼への想いを伝え続けた。

「好き、好き……、だいす──」
「~~~ッ、ノラ!!」
「わっ!?」

直後、リアムと繋がっていた手が解け、離れた温もりを恋しく思う間もなく抱き締められた。

「僕もノラが好き……っ、大好きだよ……!」
「っ……!」

ぎゅうぎゅうと苦しいほど体を締め付けるリアムの両腕。その強さが、温もりが、必死さが、彼の想いの形そのままのように思えて、嬉しさと恋しさからまた涙が溢れた。
その想いに応えるように、そろそろとリアムの背に手を回すと、自分の体よりも幾分細い体をギュッと抱き締めた。

「……ノラ、僕達、両思いだよね」
「……うん」
「離れなくてもいいよね?」
「うん……」
「恋人になってくれる?」
「……うん」
「……キスしていい?」
「ふえっ!?」

両腕の中に閉じ込めたリアムの温もりと香り。それに触れられているだけで胸がいっぱいで、幸せで、問われるままに返事をしていたのだが、最後の一言でふわふわとしていた頭が一瞬で醒めた。

「キ、キス、て……」

よもやのお願いに思わず仰け反れば、密着していた体が離れ、瞳を細めて笑うリアムの顔が見えた。

「ふふ、耳まで真っ赤だ。可愛いね、ノラ」
「かっ、かわいく、なんて……っ」
「可愛いよ。ノラはずっと可愛い。ノラより可愛い子なんていないよ」
「え、ぅ……」

うっとりするほど綺麗な笑みで「可愛い」と連呼するリアムに、信じられない気持ちよりも羞恥が上回り、火傷しそうなほど顔が熱くなる。

(ど、どこが!? 可愛いなんて、リアムの方がよっぽど──)

とそこまで考えて、ふと二年前の会話を思い出し、ハッとする。
リアムに好きな人がいると聞かされたあの日、確かにリアムは想い人について、何度も「可愛い」と言っていた。
上背もあり、筋肉質に育ってしまった自分には、あまりにも似つかわしくない単語。その言葉を聞いたからこそ、リアムへの恋心は隠し通そうと決めたのに、たった今、あの時リアムが言っていた『可愛い人』が自分であったということに気づき、何度目か分からない衝撃を受ける。

(分かんないよ!)

リアムの言っていたアピールとやらの一片に今更に気づくも、今はそれどころではなかった。

「ノラ」
「あ、まっ……」
「ノラとキスしたい。だめ?」
「ダメ、じゃ、ないけど……」
「お願い、ノラ。……ずっと、大好きなの我慢してたんだよ?」
「うぅ……」

目と鼻の先、腰を抱き寄せられ、切なげに迫られて、茹っていた思考はあっさりと陥落した。

「……んっ」

恥ずかしくて返事などできない。その代わり、リアムの願いに応えるように、目を瞑り、引き結んだ唇を差し出せば、息を呑むような音と、ふっと笑う彼の声が聞こえた。

「……ありがとう。大好きだよ、ノラ」

熱を孕んだ呟きと共に、驚くほど柔らかな温もりがゆっくりと唇に重なった。
それがリアムの唇であり、彼とキスをしているのだという現実を実感した瞬間、ゾクリとしたものが背筋を駆け抜けた。

「はっ……、はぁ……っ」
「……ノラ? 大丈夫?」
「ん、うん……」

触れるだけの優しいキスの感触を残し、離れていった唇。たったそれだけのことなのに、心臓は痛いほど脈打ち、体は火照り、吐く息は震えた。

「ふ……ふ……」
「ああ……ノラは本当に可愛いね」
「……かわいくないよ」
「可愛いよ。すごく可愛い。……ねぇ、ノラ」
「ん……?」
「大好きだよ」
「……!」

何度目か分からない愛の告白。それなのに、心底嬉しいと言わんばかりに頬を染め、微笑むリアムに、もうこれ以上ないだろうと思っていた愛しさが後から後から溢れ出した。

「……ありがとう。俺も、大好き。ずっとずっと、大好きだよ、リアム」

本当に本当に、心の底から大好きな人。
想いが通じた喜びも、想い合える幸せも、こうして抱き合っている今も全部、諦めずに想い続けてくれたリアムが与えてくれたのだ。
たくさんの感謝の気持ちと、今ある愛しさを目一杯込めて、もう一度想いを伝えれば、満面の笑みと共に甘い口づけが返ってきた。


その夜を境に、リアムとは恋人同士になった。と言っても表向きの関係は変わらず、これまで通り友人として付き合おうという話になった。
これはノラから願ったことだった。リアムと恋仲になれたことは心から嬉しいと思うし幸せだが、正直、夢か奇跡のようだとも思っていた。自分ですら信じられない現実を周囲が、ましてやリアムに対して恋心を抱いていた少女達が受け入れられるのか──答えは否だ。
自分に対する文句や陰口を言われるくらいなら我慢できる。けれどリアムに対してなにかされたり、ましてや傷つけるようなことを言われたりでもしたらと思うと、恐ろしくてとても口外する気になれなかった。
なにより同性同士の恋愛に対して、未だに周囲の理解が得ずらい状況では、純粋に恋人同士として過ごすこともままならないだろう。
せっかく両思いになれたのだ。叶うならば、できるだけ穏やかに、リアムと共にいる時間を大切に過ごしたい……そんな思いと共に、これまでの自身の複雑な感情と状況を混じえ、秘密の関係でいたいと願えば、リアムはあっさりと提案を受け入れてくれた。

『分かった。ノラが嫌なことはしたくないし、僕も二人の時間を大切にしたいから、恋人になったことは皆には内緒ね。でも、僕が好きなのはノラだし、周りにどう言われようと思われようと、なにも気にならないよ。それだけは知っていてね』

そう力強く言い切ったリアムに、惚れ直したのは内緒だ。
誰にも言えない、二人だけの秘密の関係。けれど、例え公にできなくとも、ノラにとっては過分なほど幸せな毎日だった。
外で過ごす時は、親友として気兼ねなく側にいられるし、ノラの家に帰れば、誰の目を気にすることもなく、恋人として二人だけの甘やかな時間を過ごせる。家の中でも外でも、関係と距離感が変わるだけで、大好きな人と一緒にいられることに変わりはない。
恋人として過ごす時間はぴたりと寄り添い、何気ない会話を楽しみながら指先を絡め、何度もキスをした。最初の頃こそ唇が触れるだけの軽いキスだったが、回数を重ねるごとに口づけは深くなり、徐々に濃厚なものへと変わっていった。
キスをして、抱き締め、愛を紡ぐ。愛情は日毎増していき、恋人としての二人の仲は、ゆっくりと深まっていった。



「ノラ、ご飯できたよ」
「ん、ありがとう。ごめん、俺が作る日だったのに……」
「気にしないで。ノラは働いてるんだもん、全部僕に任せてくれたって良いんだよ?」
「それはダメだ。リアムだって勉強してるんだから」
「そんな大層なものじゃないから、気にしなくていいのに」

そう言って苦笑するリアムと共に席に着くと、二人一緒に夕飯を食べ始めた。
リアムと恋仲になって半年。日々は和やかに過ぎていた。
祖父と死別してから、一人で生計を立てて生きていかなければいけなくなったノラだが、リアムや周囲の手助けもあり、今ではなんとか自立した生活が送れるようになっていた。まだまだ一人前とは言えないが、それでも天国にいる祖父母に安心してもらえる程度には、成長したと思えるようになった。
と言っても、リアムから告白されたあの日、「一緒に住んでもいい」と言った彼の言葉は本気だったようで、今は彼と半同棲状態であり、なにかと手助けをしてもらっているのが現状だ。
家が隣同士で、数歩で移動できる気兼ねさもあってか、リアムの両親からも特になにか言われることもなく、リアムは当たり前のように我が家に入り浸っていた。
それでいいのかと心配になったが、反面、共に過ごせる時間が増えることは純粋に嬉しかった。

(恋人として過ごせる場所が、家しかないもんな)

リアムとの交際は半年経った今も順調だ。むしろ、より密なものになっただろう。ただ二人の関係は今も秘密のままで、周囲の知人や友人はおろか、リアムの両親にも内緒のままだった。
両親も祖父母も亡くした自分とは違い、リアムは両親が健在で、それなりに親しい仲だ。幼馴染であり、親友であった男が恋人になったという複雑な状況だからこそ、交際についてはきちんと報告すべきだと思ったのだが、リアムが内緒にしてほしいと強く願ったのだ。

『言いたくない訳じゃないんだ。でも、今はまだ内緒にしていたい』

そう告げたリアムの表情は真剣そのものだった。その表情の固さが気になったが、自分とてリアムへの恋情は祖父母に黙っていたのだ。リアムも両親には打ち明けづらいのだろう、と納得した。

『僕が成人するまで。成人したら、ちゃんと言うから……それまで、ちゃんと言えるようになるまで、待っていて』

思いがけないほど強い眼差しで見つめられ、その声の強さと響きにドキリとしたのを覚えている。まるで、結婚報告でもするようだ……そんな『もしも』を想像してしまった日のことを思い出し、つい口元が緩んだ。

「どうしたの、ノラ」
「ん?」
「笑ってるから」
「いや……幸せだなぁと思って」

思い出し笑いを指摘され、気恥ずかしさから言葉を濁すも、そこに嘘はなかった。
リアムと想いが通じ合ったあの日も、共に過ごしてきた時間も、今この瞬間も、心から幸せだと思っている。

「ふふ、なぁにそれ」

そう言って笑うリアムも嬉しそうで、つられて笑みが零れる。

(本当に、幸せだよ)

もしも、もしも本当に夫婦としてリアムと結ばれて、これから先もずっと一緒にいられたなら──夢のように思い描いていた明るい未来は、ある日突然、なんの前触れもなく打ち砕かれた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

完結·氷の宰相の寝かしつけ係に任命されました

BL
幼い頃から心に穴が空いたような虚無感があった亮。 その穴を埋めた子を探しながら、寂しさから逃げるようにボイス配信をする日々。 そんなある日、亮は突然異世界に召喚された。 その目的は―――――― 異世界召喚された青年が美貌の宰相の寝かしつけをする話 ※小説家になろうにも掲載中

ビジネス婚は甘い、甘い、甘い!

ユーリ
BL
幼馴染のモデル兼俳優にビジネス婚を申し込まれた湊は承諾するけれど、結婚生活は思ったより甘くて…しかもなぜか同僚にも迫られて!? 「お前はいい加減俺に興味を持て」イケメン芸能人×ただの一般人「だって興味ないもん」ーー自分の旦那に全く興味のない湊に嫁としての自覚は芽生えるか??

炎の精霊王の愛に満ちて

陽花紫
BL
異世界転移してしまったミヤは、森の中で寒さに震えていた。暖をとるために焚火をすれば、そこから精霊王フレアが姿を現す。 悪しき魔術師によって封印されていたフレアはその礼として「願いをひとつ叶えてやろう」とミヤ告げる。しかし無欲なミヤには、願いなど浮かばなかった。フレアはミヤに欲望を与え、いまいちど願いを尋ねる。 ミヤは答えた。「俺を、愛して」 小説家になろうにも掲載中です。

【連載版あり】「頭をなでてほしい」と、部下に要求された騎士団長の苦悩

ゆらり
BL
「頭をなでてほしい」と、人外レベルに強い無表情な新人騎士に要求されて、断り切れずに頭を撫で回したあげくに、深淵にはまり込んでしまう騎士団長のお話。リハビリ自家発電小説。一話完結です。 ※加筆修正が加えられています。投稿初日とは誤差があります。ご了承ください。

禁書庫の管理人は次期宰相様のお気に入り

結衣可
BL
オルフェリス王国の王立図書館で、禁書庫を預かる司書カミル・ローレンは、過去の傷を抱え、静かな孤独の中で生きていた。 そこへ次期宰相と目される若き貴族、セドリック・ヴァレンティスが訪れ、知識を求める名目で彼のもとに通い始める。 冷静で無表情なカミルに興味を惹かれたセドリックは、やがて彼の心の奥にある痛みに気づいていく。 愛されることへの恐れに縛られていたカミルは、彼の真っ直ぐな想いに少しずつ心を開き、初めて“痛みではない愛”を知る。 禁書庫という静寂の中で、カミルの孤独を、過去を癒し、共に歩む未来を誓う。

祖国に棄てられた少年は賢者に愛される

結衣可
BL
 祖国に棄てられた少年――ユリアン。  彼は王家の反逆を疑われ、追放された身だと信じていた。  その真実は、前王の庶子。王位継承権を持ち、権力争いの渦中で邪魔者として葬られようとしていたのだった。  絶望の中、彼を救ったのは、森に隠棲する冷徹な賢者ヴァルター。  誰も寄せつけない彼が、なぜかユリアンを庇護し、結界に守られた森の家で共に過ごすことになるが、王都の陰謀は止まらず、幾度も追っ手が迫る。   棄てられた少年と、孤独な賢者。  陰謀に覆われた王国の中で二人が選ぶ道は――。

Sランク冒険者クロードは吸血鬼に愛される

あさざきゆずき
BL
ダンジョンで僕は死にかけていた。傷口から大量に出血していて、もう助かりそうにない。そんなとき、人間とは思えないほど美しくて強い男性が現れた。

悪役Ωは高嶺に咲く

菫城 珪
BL
溺愛α×悪役Ωの創作BL短編です。1話読切。 ※8/10 本編の後に弟ルネとアルフォンソの攻防の話を追加しました。

処理中です...