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エリック・ターナー、26歳。地方都市の警護師団で働く精霊使いであり、比較的優秀な成績を残している。所属は第ニ部隊。
ただし、悪い噂は絶えない。仕事をサボって居酒屋にいただとか、点呼の時間にはほぼ現れないだとか。周囲からは『大した実力はない』『それらしい見た目だけで評価を得ている』なんていう散々な声も聞かれる。
エルドレッドが残した資料に書かれていたのは、そんな内容だった。
当たり前だが、実力もない見た目だけの青年なわけはない。もしそれが本当なら、エルドレッドに問いただすことから始まるだろう。
一通り資料に目を通し、結局のところ会ってみなければ分からないという結論に達した。作成された資料には、ほとんど重要なことが書かれていなかったからだ。
私が『この情報で一体どうしろと』と思ったとしてエルドレッドに連絡をつけることはできないし、のこのこ王都に行って相談でもしようものならトラブルが発生するに決まっている。私が求められているのは、彼の関係者であることがバレないように、代わりとなる人間を差し出すことだけだ。
ただ、実際にどういう問題が起きていて、私はどうすればこの青年を周囲に認めさせることができるのか、といったことは一切分からない。
私は翌日、警護師団を訪れることにした。3ヶ月ほどしかないのだ。ぼんやりしている暇はない。タイムリミットが来た時点で、私は国外に出奔することを考えなければいけなくなる。
『明日行ってくれればいい』とエルドレッドが言ったとおり、受付の担当は私が来ることを知っていた。
私は、この街で使っている『リカ・ポワゾン』という偽名を名乗る。いくらこの街で私の名前を知る人がいる可能性が低いとはいえ、元同業者がいる場所で本名を名乗るのはよろしくない。
「リカ様ですね!ターナーさんの臨時助手として来てくださったと伺っています」
しかし、受付の女性の言葉は私を驚愕させた。助手というのは、ほとんど精霊使いのサポートを担当する係だからだ。もちろん、精霊にかかわる機会は多い。
エルドレッドは、私が精霊に近づけないことを知っている。事務や裏方の臨時職員ではないのかと確認したものの、許可証や書類を見ても確かに『助手』と書かれていた。しかも、専属助手というのはどういうことなのだろう。
「ええと……この、専属というのは?」
王都でも助手はいたが、『専属』というものはあまり聞いたことがない。お互いに強い希望があって契約を結んでいるならともかく、突然派遣された臨時の助手が専属である必要性はほぼないはずだ。
私がエリックを説得しやすいようにという計らいかとも思ったが、いくらなんでもあからさますぎる。『王都からあなた専属の助手を派遣します』なんて、異常とも言える待遇だ。
引き抜きをかけたいというのが周りにバレないようにしたいのではないのか。バレてもいいなら、最初からエルドレッドが来ればいいのだ。
ただし、悪い噂は絶えない。仕事をサボって居酒屋にいただとか、点呼の時間にはほぼ現れないだとか。周囲からは『大した実力はない』『それらしい見た目だけで評価を得ている』なんていう散々な声も聞かれる。
エルドレッドが残した資料に書かれていたのは、そんな内容だった。
当たり前だが、実力もない見た目だけの青年なわけはない。もしそれが本当なら、エルドレッドに問いただすことから始まるだろう。
一通り資料に目を通し、結局のところ会ってみなければ分からないという結論に達した。作成された資料には、ほとんど重要なことが書かれていなかったからだ。
私が『この情報で一体どうしろと』と思ったとしてエルドレッドに連絡をつけることはできないし、のこのこ王都に行って相談でもしようものならトラブルが発生するに決まっている。私が求められているのは、彼の関係者であることがバレないように、代わりとなる人間を差し出すことだけだ。
ただ、実際にどういう問題が起きていて、私はどうすればこの青年を周囲に認めさせることができるのか、といったことは一切分からない。
私は翌日、警護師団を訪れることにした。3ヶ月ほどしかないのだ。ぼんやりしている暇はない。タイムリミットが来た時点で、私は国外に出奔することを考えなければいけなくなる。
『明日行ってくれればいい』とエルドレッドが言ったとおり、受付の担当は私が来ることを知っていた。
私は、この街で使っている『リカ・ポワゾン』という偽名を名乗る。いくらこの街で私の名前を知る人がいる可能性が低いとはいえ、元同業者がいる場所で本名を名乗るのはよろしくない。
「リカ様ですね!ターナーさんの臨時助手として来てくださったと伺っています」
しかし、受付の女性の言葉は私を驚愕させた。助手というのは、ほとんど精霊使いのサポートを担当する係だからだ。もちろん、精霊にかかわる機会は多い。
エルドレッドは、私が精霊に近づけないことを知っている。事務や裏方の臨時職員ではないのかと確認したものの、許可証や書類を見ても確かに『助手』と書かれていた。しかも、専属助手というのはどういうことなのだろう。
「ええと……この、専属というのは?」
王都でも助手はいたが、『専属』というものはあまり聞いたことがない。お互いに強い希望があって契約を結んでいるならともかく、突然派遣された臨時の助手が専属である必要性はほぼないはずだ。
私がエリックを説得しやすいようにという計らいかとも思ったが、いくらなんでもあからさますぎる。『王都からあなた専属の助手を派遣します』なんて、異常とも言える待遇だ。
引き抜きをかけたいというのが周りにバレないようにしたいのではないのか。バレてもいいなら、最初からエルドレッドが来ればいいのだ。
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