3 / 23
2.対怪獣部隊HERM
しおりを挟む
私が物心ついた時には、怪獣災害は当たり前のものになっていた。
ある日、東京で突然起きた怪獣災害。
それを境に世界中に出現し始めた怪獣は、数多の被害を出し、人々を震撼させた。
中でも最も多くの被害を出すのは、ヴォズィガと呼称された大怪獣。
東京に出現した最初の怪獣も、ヴォズィガと同型の怪獣だったと記録されている。
ヴォズィガ単体で被害を及ぼすこともあれば、他の怪獣と争う形で被害を拡大させることもあった。
その大きさは50メートルを超えた。私の通っていた学校の高さくらいならゆうに飛び越えられる巨大さだ。
その見た目は二足歩行したイグアナに似ていると思う。
全身鱗に覆われた姿で街中を闊歩し、ビルを、田畑を踏み躙る。
圧倒的な質量と絶望的な強度で襲い来る、人の手には余る大災害。
事実、長らくの間、怪獣災害を防ぐ手立てはなかった。
怪獣は一度現れたらその場で何名かの被害を出してから、その姿を消す。地中に姿を消すモノもあれば、空中に消えていくモノ、気付けばその場から跡形もなく痕跡をなくすモノと、その消え方は様々だった。
怪獣が現れた場所に大怪獣ヴォズィガが遅れて出現して一方的に殺した後、ヴォズィガが去ることもあった。
ヴォズィガにせよ他の怪獣にせよ、怪獣とはつまり、人類にとって通り過ぎるのを待つしかない災害の一つだった。
怪獣を倒す。
その手立てが国を通して発表されたのは、私が十歳の時だ。
怪獣に対抗し、怪獣を駆除することの出来る対怪獣部隊HERMが設立されたとのニュースが当時、喝采を浴びながら世界中を駆け巡った。
HERMと共に発表された数多くの武装兵器は、そのシステムの細部は極秘とされたが、その武器をもってしてHERMは、怪獣に対抗し得る唯一の部隊として、世界に受け入れられた。
HERMは公式発表後の翌日、尖閣諸島で起きた怪獣災害を、出現した海蛇のような怪獣(怪獣は後にアルゴスと名付けられた)を駆除することで、物の見事に沈めてみせた。
初の怪獣退治。初の怪獣討伐。
世界は熱狂した。特に怪獣災害の起こる頻度が高いとされた日本のお祭り騒ぎと言ったらなかった。
連日のようにHERMの活躍が報じられた。
怪獣災害は怪獣を耐え忍ぶしかなかったモノから、怪獣を駆除または鎮圧して防げるモノへと変わったのだ。
そんなニュースもあって。
ヴォズィガを始めとした怪獣は確かに恐るべき存在だったけれど、私にとって怪獣とは、地震や台風と同じ、どこにでも、必ず来るもので、それよりも少しだけ頻度の高い災害に過ぎなかった。
けれどその認識は一変した。十四歳の頃に。
中学2年生のゴールデンウィーク、友達と遊びに行ったショッピングモールに怪獣が出現した。最初に出現したのは、後にザモザと呼称されることになった怪獣。ザモザは比較的小型だったが、それでもその体躯はトラックほどの大きさ程。
ザモザの見た目は肥え太ったガマガエルのようだった。焦点の合わない目で、蛙のような姿とは裏腹に、ドタドタと四肢をバタつかせてショッピングモールを闊歩した。
ザモザはショッピングモール屋内に現れた。それも複数で。
ショッピングモール内の人間を襲い、頭から丸呑みするザモザに、店内の客から店員まで皆が恐怖し、逃げ惑った。
何百人もの多くの死傷者が出、その犠牲に多くの人々が哀しみに暮れた。
幸い、一緒に遊びに来た友達は皆ザモザから逃げおおせた。だからあれだけの大きな怪獣災害だったけれど、私は奇跡的に何も失っていない。それは幸運なことだったと思う。
逃げ遅れたのは私の方だった。
ある日、東京で突然起きた怪獣災害。
それを境に世界中に出現し始めた怪獣は、数多の被害を出し、人々を震撼させた。
中でも最も多くの被害を出すのは、ヴォズィガと呼称された大怪獣。
東京に出現した最初の怪獣も、ヴォズィガと同型の怪獣だったと記録されている。
ヴォズィガ単体で被害を及ぼすこともあれば、他の怪獣と争う形で被害を拡大させることもあった。
その大きさは50メートルを超えた。私の通っていた学校の高さくらいならゆうに飛び越えられる巨大さだ。
その見た目は二足歩行したイグアナに似ていると思う。
全身鱗に覆われた姿で街中を闊歩し、ビルを、田畑を踏み躙る。
圧倒的な質量と絶望的な強度で襲い来る、人の手には余る大災害。
事実、長らくの間、怪獣災害を防ぐ手立てはなかった。
怪獣は一度現れたらその場で何名かの被害を出してから、その姿を消す。地中に姿を消すモノもあれば、空中に消えていくモノ、気付けばその場から跡形もなく痕跡をなくすモノと、その消え方は様々だった。
怪獣が現れた場所に大怪獣ヴォズィガが遅れて出現して一方的に殺した後、ヴォズィガが去ることもあった。
ヴォズィガにせよ他の怪獣にせよ、怪獣とはつまり、人類にとって通り過ぎるのを待つしかない災害の一つだった。
怪獣を倒す。
その手立てが国を通して発表されたのは、私が十歳の時だ。
怪獣に対抗し、怪獣を駆除することの出来る対怪獣部隊HERMが設立されたとのニュースが当時、喝采を浴びながら世界中を駆け巡った。
HERMと共に発表された数多くの武装兵器は、そのシステムの細部は極秘とされたが、その武器をもってしてHERMは、怪獣に対抗し得る唯一の部隊として、世界に受け入れられた。
HERMは公式発表後の翌日、尖閣諸島で起きた怪獣災害を、出現した海蛇のような怪獣(怪獣は後にアルゴスと名付けられた)を駆除することで、物の見事に沈めてみせた。
初の怪獣退治。初の怪獣討伐。
世界は熱狂した。特に怪獣災害の起こる頻度が高いとされた日本のお祭り騒ぎと言ったらなかった。
連日のようにHERMの活躍が報じられた。
怪獣災害は怪獣を耐え忍ぶしかなかったモノから、怪獣を駆除または鎮圧して防げるモノへと変わったのだ。
そんなニュースもあって。
ヴォズィガを始めとした怪獣は確かに恐るべき存在だったけれど、私にとって怪獣とは、地震や台風と同じ、どこにでも、必ず来るもので、それよりも少しだけ頻度の高い災害に過ぎなかった。
けれどその認識は一変した。十四歳の頃に。
中学2年生のゴールデンウィーク、友達と遊びに行ったショッピングモールに怪獣が出現した。最初に出現したのは、後にザモザと呼称されることになった怪獣。ザモザは比較的小型だったが、それでもその体躯はトラックほどの大きさ程。
ザモザの見た目は肥え太ったガマガエルのようだった。焦点の合わない目で、蛙のような姿とは裏腹に、ドタドタと四肢をバタつかせてショッピングモールを闊歩した。
ザモザはショッピングモール屋内に現れた。それも複数で。
ショッピングモール内の人間を襲い、頭から丸呑みするザモザに、店内の客から店員まで皆が恐怖し、逃げ惑った。
何百人もの多くの死傷者が出、その犠牲に多くの人々が哀しみに暮れた。
幸い、一緒に遊びに来た友達は皆ザモザから逃げおおせた。だからあれだけの大きな怪獣災害だったけれど、私は奇跡的に何も失っていない。それは幸運なことだったと思う。
逃げ遅れたのは私の方だった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
せんせいとおばさん
悠生ゆう
恋愛
創作百合
樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。
※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
春に狂(くる)う
転生新語
恋愛
先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる