Vodzigaの日は遠く過ぎ去り。

宮塚恵一

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予告編

Prologue

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 どれくらいの時間が経っただろう。
 ヴォズィガと共に異次元の穴に飛び込んでから、まだ一時間しか経っていないようにも、何年も経ったようにも思える。

 それも仕方のないことか。

 自分が自分であるという感覚すらない。そもそもここは人間の生きられる場所ではない。余剰次元の向こう側、ここでは何もかもが、元の世界のままの形を保つことはない。

 しかし⬛︎⬛︎は未だ意識だけを保っている。
 何故かはわからない。ただの偶然のようにも、仕組まれた奇跡のようにも思える。

 ここに来てから暫くは、ヴォズィガがもがき苦しんでいる様子も見た気がするが、奴もまた沈黙を選んだようだった。

 世界を混沌に陥れた大怪獣も、この次元ではわたしと同じだ。

 ⬛︎⬛︎は勝利の昂揚を感じて、ほくそ笑む想いだった。身体もないから、ただ想うだけだけれど。

 それと同時に、⬛︎⬛︎は自己が自己であるという感覚の喪失を覚える。

 そもそも、時間も空間も一定ではないこの場所で、死は存在するのだろうか。

 この自問ももう何億何兆回としているように思えてならない。

 世界は平和になっただろうか。

 なっていたら良いな。
 その為にわたしは全てを擲ってここに居るのだから。

 ──と。

 光が見えた。巨大な爆発と、巨大な音。
 音も光も届かない筈の世界に。

 ⬛︎⬛︎は引力を感じる。

 身体が引っ張られる。身体なんてないのに。
 眩しい。眼なんてないのに。
 息苦しい。肺なんてないのに。

「あああああ!!」

 ガバリ、と⬛︎⬛︎は起き上がった。
 起き上がる?

 ⬛︎⬛︎は

 わたしは何を?

「わたし?」

 自分の名前も、自分がそれまで何をしていたのかも思い出せない。

 ⬛︎⬛︎は自分の喉を

「身体がある」

 そんなの当たり前だ。人間には身体がある。目がある。鼻がある。口がある。考える頭がある。
 当たり前だ。
 何を言っているんだ、わたしは?

 ⬛︎⬛︎は自分が裸であることに気づき、咄嗟に自分の身体を抱いた。

 あたりにあるのは、住宅街。
 それはわかった。

「ここは──どこ?」



『Vodziga,遼遠の侵略者』coming soon...
(カクヨムにて更新予定)
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