やっぱ中身が大事でしょ?

速見 沙弥

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第1章 突きつけられる現実

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佳奈と共に入ったのはつくねが美味しい居酒屋だった。
「私はとりあえず生で。美紗は?」
「私はライムチューハイかな?」
「かしこまりました少々お待ちくださいませ」

このお店は値段の割に店内も綺麗で個室なのでよく利用させてもらっている。仕事関係の話をポツポツしていると飲み物がやってきたのでとりあえず乾杯をする。

「それで?雅孝さんとはどのくらいだっけ?」
一息ついたところで佳奈が切り出す。
「半年くらいかな?なんだかあっという間で実感わかないけどね」
「なんか愚痴とかないの?」
「全然、愚痴なんてないよ!優しいし、私の話もニコニコ聞いてくれるし」
「なんだ、本当に順調なんだ!良かったじゃん」
「ありがとう。でも私に彼氏がいるなんて友達に言っても絶対信じてもらえないよ」

人に雅孝との交際を聞かれることがあまりないため恥ずかしさがでてくる。

「逆だよー?美紗に彼氏いたことないって聞いて絶対嘘だと思ったもんね」
「そんなこと言うの佳奈くらいだよ」
「美紗は自分が思ってるよりめちゃくちゃいい子だよ!親友の私が保証するからね」
どん、と胸を叩く彼女を見ていい友達を持てて良かった。としみじみ思う

「てかさ、さっきから隣の個室の壁当たってるのうるさくない?」

実は先程から隣で合コンらしきものを開催しているのかバンバン当たってうるさい。

「しょうがないよ、盛りあがってる時は何言っても聞こえないしね」

諦めるしかないと佳奈をなだめているとある声が聞こえてくる。



「今まじで新しい彼女欲しいんだよね」



その声を聞いた瞬間思わず壁を見る。


「一応彼女はいるんだけどさ、つなぎで付き合ってるだけだから早く別れたいんだよね」


思わずグラスを持つ手に力が入る。
似てるだけ、だよね?
だって今こんな所にいるはずないもん。


「まさ、たか?」



「美紗?どうしたの?」

私の様子に異変を感じたのか佳奈が覗き込んでくる。

「いや、あのさ・・・隣の部屋の人なんだけど、雅孝の声に似てるなあと思ってね?」
「え?でも用事で今日ご飯行く予定無くなったんだよね?」
「うん。そのはずなんだけど」


「ていうか半年も付き合ってヤレないってやばくない?中学生じゃあるまいし。そんなに勿体ぶる外見もしてねーだろって。」
「マサ、外面だけはいいもんな!あの子コロっと落ちたんだろ?」

【マサ】

偶然にしては嫌すぎる名前でしょ。
嘘だ嘘だと言い聞かせてるうちも容赦なく入ってくる言葉の数

「つまんねー話ばっかり話してくるから相槌打つのも大変だよ」

「スタイルも良くないしファッションもイマイチ。あーあ新しい彼女早くできねえかな?」


ふと隣の部屋への壁が扉のように隙間を開けれるようになっているのに気づいた。見てしまおうかという気持ちと、見てしまえばもうあとには引けないという気持ちとがごちゃごちゃになる。

「佳奈、どうしよ」
「美紗。私はもしこの向こうにいるのが本当に雅孝さんかもしれないんだったらちゃんと確かめた方がいいと思う。だってもしそうだったら、こんなのってーー」

佳奈は怒りをこらえるように唇を噛む。

私のことを思って怒ってくれる佳奈を見て決心を決めた。


震える手でほんの少しだけ壁をずらすと。

そこに居たのはキラキラした女の子と同年代の男性。
そしてその声の主は。



「・・・・・・なんで?雅孝」



足元から真っ暗になっていくような気がした。





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