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第3章 司会のお姉さんの好きな人と思い出
016 5日目 アリムさんの訓練 「1 気」
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白沢絵美様と司会(中路真々美)は、とても仲が良いことが判明した。
第4日目
014 司会(中路真々美)の課題
015 白沢絵美様は、お見通し
第5日目
面接官2人の有給休暇 3/3日目
今ここ
016 5日目 アリムさんの訓練
◇
司会(中路真々美)は、全体の進行状態を確認していた。
明日になれば、面接官2人が出てくる。
そうなれば、
カセイダード王国の通貨 Versil と
光元国の通貨 丸 の
交換レートの変更を指示すればいい。
あとのことは、やってくれるだろう。
残る課題は、オルアがアリムさんの指導経過を見守れば良いだけだ。
◇
冬香にアリムさんの若返り効果の安定状況を確認した。
医師(白石冬香)
「問題ありません。
また同じことが起こったときには、、医療判定AIが正しくエラーメッセージを出せるように、追加情報を書き込んでおきました。」
司会(中路真々美)
「流石だな、仕事が早いな。」
医師(白石冬香)
「悔しかったですからね。」
司会(中路真々美)
「良い心がけだ。 対応の早さを見習いたいくらいだ。」
◇
オルアがやってきた。
例によって、アリムさんはとなりに待たせている。
見守りテレビを出そうとしなかったことから、今回は、すぐに出かける様子だと分かった。
司会(中路真々美)
「オルア、今日の予定は?」
オルア=サーパース
「アリムさんが一般人レベルまで、気を張れるように、小さな道場スペースを借りました。
それから、記憶力のテストをします。
その結果を、昼食後の13時に報告します。
真々美には必要な支援について、報告します。
そして、冬香には、アリムさんの遺伝子書き換えについて、仕様を相談して欲しい。
不具合箇所を全部わたしの遺伝子で上書きしてしまうと、わたしと共通箇所が増えすぎて、わたしがアリムさんを好きな気持ちが消えてしまうから必要最低限にしたいです。
そして、必要に応じて、適切な遺伝子を引用できるようにして欲しいです。
午前中に基礎を確認して、今後の育成方針を決める予定です。
昼食はアリムさんと済ませてから来ます。
いつも通り、となりの部屋は使用させてください。」
司会(中路真々美)
「その方向で問題ない。
それと気が利かなくて悪かった。
となりの部屋は、アリムさんの控室として、確保しておく。
カセイダード王国に到着する日まで予約を入れておいた。
たった今だがな。
冬香、午後一番、13:15にしよう。
オルアの希望を反映できるように、準備をしておいてくれ。」
医師(白石冬香)
「たしかに何度も書き換えるより、一度で済ませた方がアリムさんの負担は少ないですね。
さすがに、若返り薬のようなことが起こらないことを祈ります。」
オルア=サーパース
「ありがとう。真々美、冬香。」
◇
医師(白石冬香)
「真々美、もうすぐカセイダード王国に着くわね。
あと5日くらいかしら。」
司会(中路真々美)
「そうだな、カセイダード王国についたら、男の子を口説いて、楽しませてもらおう。」
医師(白石冬香)
「そういう話じゃなくて、着くまでに決めるべきことがあるでしょう。
オルアのこととか。」
司会(中路真々美)
「オルアなら、アリムさんと暮らすだろうから、落ち着いて余裕が出るんじゃないか?」
医師(白石冬香)
「うーん。 どう言えばいいのかな?」
医師(白石冬香)は、奇妙な違和感を感じていた。
なにか変な気がする。
でも、それを言葉で表現できなかった。
◇
オルアによる気を張る訓練が始まった。
オルア=サーパース
「それでは、気についての訓練を始めます。」
アリム
「衝撃波とか、エネルギーの球体とか、炎の塊を飛ばせるようになりますか?」
オルア=サーパース
「うーん、残念ながら、違いますね。
こういうことをしたいですか?
[4] テグトス Tegutosu 」
遠くにあった的(まと)が黒焦げになって、その下の水路に落ちた。
アリム
「すごいです。 ぜひやりたいです。」
オルア=サーパース
「かなり、先の話になりますね。
そのうち、やりますから、6カ月ほど、わすれてください。」
アリム
「残念です。」
オルア=サーパース
「豆腐の上に、ボーリングの球は置けませんから。
基礎中の基礎から説明します。」
アリム
「はあい。(元気が無い。)」
オルア=サーパース
「アリムさんに理解して欲しい気というものは・・・
その前に、アリムさん、もう一度トイレに行ってください。」
アリム
「さっき、行ったからまだ大丈夫だよ。」
オルア=サーパース
「アリムさん、もう一度トイレに行ってください。」
アリム
「はい。」
5分後・・・
アリム
「行ってきました。」
オルア=サーパース
「アリムさんは、気をぶつけられることに弱すぎますから、
それを鍛えて欲しいのです。
例えば、・・・」
オルアは、「ドン!」と音が聞こえてきそうな気をアリムに向けてはなった。
アリム
「・・・」
オルア=サーパース
「アリムさん、右手をあげてください。」
アリムは音もなく右手を上げた。
3分後・・・
オルア=サーパース
「アリムさん、右手をあげて、どうかしましたか?
また、トイレに行きたいですか?」
アリム
「えっ? 右手? いつの間に?」
オルア=サーパース
「これが、アリムさんに知って欲しい、気の1つ。
『意識飛ばし』です。
あなたの父親、上司や同僚が、アリムさんに使って、あなたに言うことを聞かせるために、操る目的で使用していたものです。
何度も、断ったはずなのに、いつのまにか実行させられていた、承諾させられていたことがあったでしょう。
あなたの意識を飛ばしたときに、
「アリムさん、右手をあげてください。」
と言いました。
ほとんどの相手が怒鳴り声を上げるときしか使えなかったようですが、それでも、アリムさんには十分な効果がありました。
わたしくらいの熟練度があると、無音で使用できます。
威力的には、[1] ベルマイラ Berumaira
の第1段階レベルに相当します。」
アリム
「性魔力は、気の1つですか?」
オルア=サーパース
「ちがいますね。 効果は同じでも、使用材料が違う感じですね。
たき火の火を消すときに、
紅茶をかけるか?
麦茶をかけるか?
くらいの違いがあります。」
(注)
この段階で、アリムが性魔力について、知っていたり、
[4] テグトス Tegutosu
や
[1] ベルマイラ Berumaira
について
用語説明を求めなかったことに対する違和感に、オルアは気付けず、普通に回答していた。
アリム
「そうなんですね。 そういうイメージをもっておきます。」
オルア=サーパース
「そして、次の気が・・・
アリムさん、安全のため、座ってください。
ヘルメットも被せますね。
カチッ、 グルグル」
オルアは、ヘルメットの留め具を止めて、後頭部への固定ネジを回した。
オルア=サーパース
「周りのものを、どけました。
アリムさんの周囲に固いものは落ちていませんね。」
アリム
「はい、大丈夫です。」
オルア=サーパース
「では、行きますね。
返事はいりません。
舌を嚙まないように、歯を食いしばってくださいね。」
アリムは、歯を食いしばって、無言でうなづいた。
『泣かすぞ!』の最上級の言葉を、精神に直接たたきこまれたような・・・
肩をつかまれて持ち上げられて、はげしく床に叩きつけられたような・・・
そんな衝撃を感じた。
アリムは、トイレに行っておいて良かったと、こころから、そう思った。
オルア=サーパース
「これが、『怒気当て』です。
怒鳴り声をあげずに使えます。
逆に言えば、怒鳴り声の補助は効きません。
アリムさんの過去の上司で、
美男子のひとが何度も、アリムさんに放ってきていましたね。
とても、重かったはずです。
逆に、ある武術の師範が使っていなかったことが疑問です。
その方の気は、ただの『意識飛ばし』 でした。
スポーツ選手でも使用できるひとがいらっしゃいます。
一般的には、「殺気」と呼ぶのかもしれませんね。
周囲に一切気付かれずに、敵を攻撃できる便利な技です。
続けても、大丈夫ですか。」
アリム
「うん、大丈夫。
これは、あくまで授業だよね。
ボクがオルアさんのことが好きなように、オルアさんもボクのことが好きだよね。」
アリムさんは、すがるような視線で確認してきた。
オルア=サーパース
「もちろんです。
アリムさんのことは、好きですよ。
だから、こんなにも時間を掛けて説明しています。」
アリムは、ほっとした表情を浮かべていた。
オルア=サーパース
「最後に、『圧殺』です。
覚悟は良いですか?
声を出そうとせずに、うなづいてください。」
アリムは、歯を食いしばって、無言でうなづいた。
オルア=サーパース
「・・・」
アリム
「あっ、ボクは死ぬの。」
すべてをあきらめた。
オルア=サーパース
「[2] トゥート Tooto 」
アリム
「はあっ、はあっ」
震えが止まらない・・・
いや、ようやく震えることが出来たという感じだった。
オルア=サーパース
「大丈夫ですか?」
アリム
「はい、なんとか。」
オルアは、アリムを優しく抱きしめながら言いました。
オルア=サーパース
「つらいめに遭わせましたね。
でも、ゴールを知って欲しかったのです。」
アリム
「ゴールですか?」
オルア=サーパース
「そうです。目的地の目印さえ知らないままで、歩き出すよりも、ランドマーク(目的地の目印)を見ながら歩く方が良いですから。」
アリム
「目的地が分かる方が、確かに頑張れますね。」
オルア=サーパース
「分かってくれてよかったです。
アリムさんには、
『意識飛ばし』、
『怒気当て』、
『圧殺』
の3つに耐えることと、自らも使えるようになって頂きます。」
アリム
「はい、よろしくお願いします。」
オルア=サーパース
「と、行きたいのですが、まだ無理です。
基礎中の基礎というか、土台が無いので、無理です。」
アリム
「残念です。」
オルア=サーパース
「アリムさん、たとえ話から始めます。
この恒星系、太陽系と呼んでいますかね、チータマルム星のみなさんは?」
アリム
「はい、そうです。」
オルア=サーパース
「なぜ、ほかの惑星には生物が住めないのに、チータマルム星には、多くの生命があふれているのでしょうか?」
アリム
「大気と水と重力のバランスですか?」
オルア=サーパース
「その通りです。
気は、大気のようなものです。
血液は、水のようなもの、
そして、重力は、風で帽子やコートを飛ばされないように、押さえる力です。」
アリム
「続きをお願いします。」
オルア=サーパース
「アリムさんは、今までのつらい環境の結果、重力が弱すぎるのです。
だから、気を飛ばされてしまい、残っていないのです。」
アリム
「じゃあ、ボクが気を使えるようになることは無理ということですか?」
アリムさんは、とても、しょんぼりしている。
オルア=サーパース
「いいえ、段階を踏めば大丈夫です。
ただし、時間が掛かります。
多くの指南本は、気をイメージして集めるようにと書かれているはずです。
それよりも、気を飛ばされないように押さえる重力を先にイメージするべきです。
それが出来てから、気を集めるイメージを始めましょう。
昔は、チータマルムを回る衛星、
「えーっと、月ですね。」
にも、空気があった話を聞かれたはずです。
しかし、チータマルムと比べると重力が弱すぎて、空気を取られてしまったそうです。
つまり、アリムさんは、周囲の人からすれば、月みたいに重力が弱いです。
6分の1? もしかしたら、10分の1かもしれません。
でも、ここから、重力をイメージすることから始めなければ、気を纏うという成果を得ることができません。
今のアリムさんは、消防士に例えると、ひとりだけ防火服をもらえずに、火事現場の火元に飛び込もうとしているくらい、危険な状況です。」
アリム
「先は長そうですね。」
オルア=サーパース
「それでも、アリムさんにとって、大きな一歩になったはずです。
わたしはそう思います。」
アリム
「何も知らなかったことが知れて良かったです。」
◇
オルア=サーパース
「疲れたでしょう。
なにか飲みますか?」
アリム
「いえ、そんな気にはなれないです。」
オルア=サーパース
「そうですか?
口移しを御希望ですか?」
アリム
「からかわないでください。
では、ほうじ茶をください。」
オルア=サーパース
「渋い趣味ですね。
では、私もそれにします。」
ふたりは、お互いの表情をうかがいながら、無言で飲んでいた。
オルア=サーパース
「いい天気ですね。
泳いだら、気持ちいいでしょうね。
わたしに、どんな水着を着て欲しいですか?」
アリム
「ボクだけのときなら、ビキニを着て欲しいです。
他の人がいるところなら、布面積が多い水着でできる限り隠して欲しいです。」
オルア=サーパース
「独占欲ですか? 欲張りですね。」
とは、言いつつも嬉しそうだ。
『ほかのひとには私の美しい肌を見せたくないのね。
ウフフ、正直で、かわいいわ。』
◇
次は、アリムさんの記憶容量を調べたい。
【後書き】
「気」の使い方については、諸説ありますね。
あなたが習った方法とちがうかもしれませんが、苦情やご意見は、お断りします。
第4日目
014 司会(中路真々美)の課題
015 白沢絵美様は、お見通し
第5日目
面接官2人の有給休暇 3/3日目
今ここ
016 5日目 アリムさんの訓練
◇
司会(中路真々美)は、全体の進行状態を確認していた。
明日になれば、面接官2人が出てくる。
そうなれば、
カセイダード王国の通貨 Versil と
光元国の通貨 丸 の
交換レートの変更を指示すればいい。
あとのことは、やってくれるだろう。
残る課題は、オルアがアリムさんの指導経過を見守れば良いだけだ。
◇
冬香にアリムさんの若返り効果の安定状況を確認した。
医師(白石冬香)
「問題ありません。
また同じことが起こったときには、、医療判定AIが正しくエラーメッセージを出せるように、追加情報を書き込んでおきました。」
司会(中路真々美)
「流石だな、仕事が早いな。」
医師(白石冬香)
「悔しかったですからね。」
司会(中路真々美)
「良い心がけだ。 対応の早さを見習いたいくらいだ。」
◇
オルアがやってきた。
例によって、アリムさんはとなりに待たせている。
見守りテレビを出そうとしなかったことから、今回は、すぐに出かける様子だと分かった。
司会(中路真々美)
「オルア、今日の予定は?」
オルア=サーパース
「アリムさんが一般人レベルまで、気を張れるように、小さな道場スペースを借りました。
それから、記憶力のテストをします。
その結果を、昼食後の13時に報告します。
真々美には必要な支援について、報告します。
そして、冬香には、アリムさんの遺伝子書き換えについて、仕様を相談して欲しい。
不具合箇所を全部わたしの遺伝子で上書きしてしまうと、わたしと共通箇所が増えすぎて、わたしがアリムさんを好きな気持ちが消えてしまうから必要最低限にしたいです。
そして、必要に応じて、適切な遺伝子を引用できるようにして欲しいです。
午前中に基礎を確認して、今後の育成方針を決める予定です。
昼食はアリムさんと済ませてから来ます。
いつも通り、となりの部屋は使用させてください。」
司会(中路真々美)
「その方向で問題ない。
それと気が利かなくて悪かった。
となりの部屋は、アリムさんの控室として、確保しておく。
カセイダード王国に到着する日まで予約を入れておいた。
たった今だがな。
冬香、午後一番、13:15にしよう。
オルアの希望を反映できるように、準備をしておいてくれ。」
医師(白石冬香)
「たしかに何度も書き換えるより、一度で済ませた方がアリムさんの負担は少ないですね。
さすがに、若返り薬のようなことが起こらないことを祈ります。」
オルア=サーパース
「ありがとう。真々美、冬香。」
◇
医師(白石冬香)
「真々美、もうすぐカセイダード王国に着くわね。
あと5日くらいかしら。」
司会(中路真々美)
「そうだな、カセイダード王国についたら、男の子を口説いて、楽しませてもらおう。」
医師(白石冬香)
「そういう話じゃなくて、着くまでに決めるべきことがあるでしょう。
オルアのこととか。」
司会(中路真々美)
「オルアなら、アリムさんと暮らすだろうから、落ち着いて余裕が出るんじゃないか?」
医師(白石冬香)
「うーん。 どう言えばいいのかな?」
医師(白石冬香)は、奇妙な違和感を感じていた。
なにか変な気がする。
でも、それを言葉で表現できなかった。
◇
オルアによる気を張る訓練が始まった。
オルア=サーパース
「それでは、気についての訓練を始めます。」
アリム
「衝撃波とか、エネルギーの球体とか、炎の塊を飛ばせるようになりますか?」
オルア=サーパース
「うーん、残念ながら、違いますね。
こういうことをしたいですか?
[4] テグトス Tegutosu 」
遠くにあった的(まと)が黒焦げになって、その下の水路に落ちた。
アリム
「すごいです。 ぜひやりたいです。」
オルア=サーパース
「かなり、先の話になりますね。
そのうち、やりますから、6カ月ほど、わすれてください。」
アリム
「残念です。」
オルア=サーパース
「豆腐の上に、ボーリングの球は置けませんから。
基礎中の基礎から説明します。」
アリム
「はあい。(元気が無い。)」
オルア=サーパース
「アリムさんに理解して欲しい気というものは・・・
その前に、アリムさん、もう一度トイレに行ってください。」
アリム
「さっき、行ったからまだ大丈夫だよ。」
オルア=サーパース
「アリムさん、もう一度トイレに行ってください。」
アリム
「はい。」
5分後・・・
アリム
「行ってきました。」
オルア=サーパース
「アリムさんは、気をぶつけられることに弱すぎますから、
それを鍛えて欲しいのです。
例えば、・・・」
オルアは、「ドン!」と音が聞こえてきそうな気をアリムに向けてはなった。
アリム
「・・・」
オルア=サーパース
「アリムさん、右手をあげてください。」
アリムは音もなく右手を上げた。
3分後・・・
オルア=サーパース
「アリムさん、右手をあげて、どうかしましたか?
また、トイレに行きたいですか?」
アリム
「えっ? 右手? いつの間に?」
オルア=サーパース
「これが、アリムさんに知って欲しい、気の1つ。
『意識飛ばし』です。
あなたの父親、上司や同僚が、アリムさんに使って、あなたに言うことを聞かせるために、操る目的で使用していたものです。
何度も、断ったはずなのに、いつのまにか実行させられていた、承諾させられていたことがあったでしょう。
あなたの意識を飛ばしたときに、
「アリムさん、右手をあげてください。」
と言いました。
ほとんどの相手が怒鳴り声を上げるときしか使えなかったようですが、それでも、アリムさんには十分な効果がありました。
わたしくらいの熟練度があると、無音で使用できます。
威力的には、[1] ベルマイラ Berumaira
の第1段階レベルに相当します。」
アリム
「性魔力は、気の1つですか?」
オルア=サーパース
「ちがいますね。 効果は同じでも、使用材料が違う感じですね。
たき火の火を消すときに、
紅茶をかけるか?
麦茶をかけるか?
くらいの違いがあります。」
(注)
この段階で、アリムが性魔力について、知っていたり、
[4] テグトス Tegutosu
や
[1] ベルマイラ Berumaira
について
用語説明を求めなかったことに対する違和感に、オルアは気付けず、普通に回答していた。
アリム
「そうなんですね。 そういうイメージをもっておきます。」
オルア=サーパース
「そして、次の気が・・・
アリムさん、安全のため、座ってください。
ヘルメットも被せますね。
カチッ、 グルグル」
オルアは、ヘルメットの留め具を止めて、後頭部への固定ネジを回した。
オルア=サーパース
「周りのものを、どけました。
アリムさんの周囲に固いものは落ちていませんね。」
アリム
「はい、大丈夫です。」
オルア=サーパース
「では、行きますね。
返事はいりません。
舌を嚙まないように、歯を食いしばってくださいね。」
アリムは、歯を食いしばって、無言でうなづいた。
『泣かすぞ!』の最上級の言葉を、精神に直接たたきこまれたような・・・
肩をつかまれて持ち上げられて、はげしく床に叩きつけられたような・・・
そんな衝撃を感じた。
アリムは、トイレに行っておいて良かったと、こころから、そう思った。
オルア=サーパース
「これが、『怒気当て』です。
怒鳴り声をあげずに使えます。
逆に言えば、怒鳴り声の補助は効きません。
アリムさんの過去の上司で、
美男子のひとが何度も、アリムさんに放ってきていましたね。
とても、重かったはずです。
逆に、ある武術の師範が使っていなかったことが疑問です。
その方の気は、ただの『意識飛ばし』 でした。
スポーツ選手でも使用できるひとがいらっしゃいます。
一般的には、「殺気」と呼ぶのかもしれませんね。
周囲に一切気付かれずに、敵を攻撃できる便利な技です。
続けても、大丈夫ですか。」
アリム
「うん、大丈夫。
これは、あくまで授業だよね。
ボクがオルアさんのことが好きなように、オルアさんもボクのことが好きだよね。」
アリムさんは、すがるような視線で確認してきた。
オルア=サーパース
「もちろんです。
アリムさんのことは、好きですよ。
だから、こんなにも時間を掛けて説明しています。」
アリムは、ほっとした表情を浮かべていた。
オルア=サーパース
「最後に、『圧殺』です。
覚悟は良いですか?
声を出そうとせずに、うなづいてください。」
アリムは、歯を食いしばって、無言でうなづいた。
オルア=サーパース
「・・・」
アリム
「あっ、ボクは死ぬの。」
すべてをあきらめた。
オルア=サーパース
「[2] トゥート Tooto 」
アリム
「はあっ、はあっ」
震えが止まらない・・・
いや、ようやく震えることが出来たという感じだった。
オルア=サーパース
「大丈夫ですか?」
アリム
「はい、なんとか。」
オルアは、アリムを優しく抱きしめながら言いました。
オルア=サーパース
「つらいめに遭わせましたね。
でも、ゴールを知って欲しかったのです。」
アリム
「ゴールですか?」
オルア=サーパース
「そうです。目的地の目印さえ知らないままで、歩き出すよりも、ランドマーク(目的地の目印)を見ながら歩く方が良いですから。」
アリム
「目的地が分かる方が、確かに頑張れますね。」
オルア=サーパース
「分かってくれてよかったです。
アリムさんには、
『意識飛ばし』、
『怒気当て』、
『圧殺』
の3つに耐えることと、自らも使えるようになって頂きます。」
アリム
「はい、よろしくお願いします。」
オルア=サーパース
「と、行きたいのですが、まだ無理です。
基礎中の基礎というか、土台が無いので、無理です。」
アリム
「残念です。」
オルア=サーパース
「アリムさん、たとえ話から始めます。
この恒星系、太陽系と呼んでいますかね、チータマルム星のみなさんは?」
アリム
「はい、そうです。」
オルア=サーパース
「なぜ、ほかの惑星には生物が住めないのに、チータマルム星には、多くの生命があふれているのでしょうか?」
アリム
「大気と水と重力のバランスですか?」
オルア=サーパース
「その通りです。
気は、大気のようなものです。
血液は、水のようなもの、
そして、重力は、風で帽子やコートを飛ばされないように、押さえる力です。」
アリム
「続きをお願いします。」
オルア=サーパース
「アリムさんは、今までのつらい環境の結果、重力が弱すぎるのです。
だから、気を飛ばされてしまい、残っていないのです。」
アリム
「じゃあ、ボクが気を使えるようになることは無理ということですか?」
アリムさんは、とても、しょんぼりしている。
オルア=サーパース
「いいえ、段階を踏めば大丈夫です。
ただし、時間が掛かります。
多くの指南本は、気をイメージして集めるようにと書かれているはずです。
それよりも、気を飛ばされないように押さえる重力を先にイメージするべきです。
それが出来てから、気を集めるイメージを始めましょう。
昔は、チータマルムを回る衛星、
「えーっと、月ですね。」
にも、空気があった話を聞かれたはずです。
しかし、チータマルムと比べると重力が弱すぎて、空気を取られてしまったそうです。
つまり、アリムさんは、周囲の人からすれば、月みたいに重力が弱いです。
6分の1? もしかしたら、10分の1かもしれません。
でも、ここから、重力をイメージすることから始めなければ、気を纏うという成果を得ることができません。
今のアリムさんは、消防士に例えると、ひとりだけ防火服をもらえずに、火事現場の火元に飛び込もうとしているくらい、危険な状況です。」
アリム
「先は長そうですね。」
オルア=サーパース
「それでも、アリムさんにとって、大きな一歩になったはずです。
わたしはそう思います。」
アリム
「何も知らなかったことが知れて良かったです。」
◇
オルア=サーパース
「疲れたでしょう。
なにか飲みますか?」
アリム
「いえ、そんな気にはなれないです。」
オルア=サーパース
「そうですか?
口移しを御希望ですか?」
アリム
「からかわないでください。
では、ほうじ茶をください。」
オルア=サーパース
「渋い趣味ですね。
では、私もそれにします。」
ふたりは、お互いの表情をうかがいながら、無言で飲んでいた。
オルア=サーパース
「いい天気ですね。
泳いだら、気持ちいいでしょうね。
わたしに、どんな水着を着て欲しいですか?」
アリム
「ボクだけのときなら、ビキニを着て欲しいです。
他の人がいるところなら、布面積が多い水着でできる限り隠して欲しいです。」
オルア=サーパース
「独占欲ですか? 欲張りですね。」
とは、言いつつも嬉しそうだ。
『ほかのひとには私の美しい肌を見せたくないのね。
ウフフ、正直で、かわいいわ。』
◇
次は、アリムさんの記憶容量を調べたい。
【後書き】
「気」の使い方については、諸説ありますね。
あなたが習った方法とちがうかもしれませんが、苦情やご意見は、お断りします。
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