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日の光が窓から入り自然と目が覚める。今日の気付きはふかふかのベッドは圧倒的に寝やすいことだ。体の調子もすっかり戻った。たかが寝具一つでここまで変わるとは。
起きてしまったけれど、どうしたらいいのだろうか。
ベッドを降りて部屋の扉を少し開けて辺りの様子を伺う。長く続く廊下はシンッと静まり返っていた。音が出ないようゆっくりと扉を閉め、僕は手を顎に置いた。
このままここを出ていくことは容易だが、軍の基地へ戻れば確認されて連れ戻されるだろう。
だからといってこのままじっとしていることもできない。何より今は体力が落ちることがないように日課の走り込みをしたい。
部屋から窓の外を見る。どうやらここは2階の部屋のようだ。ベルコニーに出て下を覗く。
これくらいならなんとか降りれそうだ。
「よっと」
少し足はジーンとするが問題なく降りられた。僕は久々に感じる外の空気を目一杯吸い込み、大きく伸びをした。
「よし走るか」
屋敷の外周をグルグルと走る。一周するのに意外と距離があった。
中の様子は豚公爵のとこと違い質素な感じではあったが、やっぱり伯爵だけあって立派な土地にお住まいのようだ。
「朝から元気ですね」
「え?わー!」
急に僕のそばに現れた男性に思わず転けそうになるのを体を回転させ抑える。
「申し訳ありません。急に声をかけたばかりに」
「いえ、こちらこそ大きな声を出してしまいすみません」
男性が頭を下げるのに合わせて、僕も頭を下げる。
この方は誰なんだろうか。ビシッと決まった服を見るにこの屋敷の使用人だろうか。
顔を上げると男性と目が合った。
「朝食のご用意ができました。食堂へご案内させていただきます」
男性はにこやかにこちらに微笑む。
「えーっと……」
なんて聞くべきだろうか。そもそもこの屋敷では僕の方が誰かも分からない不審人物になるだろう。聞くこと自体が失礼だろうか。もしそれで気分を損ねられて国軍に戻れないなんてことになったら目も当てられない。
「すみません。私としたことが先に名乗るべきでしたね。こちらで家令をしておりますカーターと申します」
こちらの様子を察したのか名乗ってくれた。
僕が走りに行ったばかりにわざわざ家令の方の手を煩わせてしまったのか。失礼がないようにこちらも挨拶をしないと。
「僕は……」
名乗ろうとしたところで止まってしまった。
今の僕は何者なんだろう。国軍人ではない、61はただの番号で名前もないし。
「大丈夫ですよ。旦那様より聞いております」
何をいうべきか頭を抱え悩んでいるとカーターは切り上げてくれた。
「さあ旦那様もお待ちでございます。向かいましょう」
「あっはい」
くるりと向きを変え屋敷の中へと進んでいくカーターの後ろを僕は言われるがままついて行った。
起きてしまったけれど、どうしたらいいのだろうか。
ベッドを降りて部屋の扉を少し開けて辺りの様子を伺う。長く続く廊下はシンッと静まり返っていた。音が出ないようゆっくりと扉を閉め、僕は手を顎に置いた。
このままここを出ていくことは容易だが、軍の基地へ戻れば確認されて連れ戻されるだろう。
だからといってこのままじっとしていることもできない。何より今は体力が落ちることがないように日課の走り込みをしたい。
部屋から窓の外を見る。どうやらここは2階の部屋のようだ。ベルコニーに出て下を覗く。
これくらいならなんとか降りれそうだ。
「よっと」
少し足はジーンとするが問題なく降りられた。僕は久々に感じる外の空気を目一杯吸い込み、大きく伸びをした。
「よし走るか」
屋敷の外周をグルグルと走る。一周するのに意外と距離があった。
中の様子は豚公爵のとこと違い質素な感じではあったが、やっぱり伯爵だけあって立派な土地にお住まいのようだ。
「朝から元気ですね」
「え?わー!」
急に僕のそばに現れた男性に思わず転けそうになるのを体を回転させ抑える。
「申し訳ありません。急に声をかけたばかりに」
「いえ、こちらこそ大きな声を出してしまいすみません」
男性が頭を下げるのに合わせて、僕も頭を下げる。
この方は誰なんだろうか。ビシッと決まった服を見るにこの屋敷の使用人だろうか。
顔を上げると男性と目が合った。
「朝食のご用意ができました。食堂へご案内させていただきます」
男性はにこやかにこちらに微笑む。
「えーっと……」
なんて聞くべきだろうか。そもそもこの屋敷では僕の方が誰かも分からない不審人物になるだろう。聞くこと自体が失礼だろうか。もしそれで気分を損ねられて国軍に戻れないなんてことになったら目も当てられない。
「すみません。私としたことが先に名乗るべきでしたね。こちらで家令をしておりますカーターと申します」
こちらの様子を察したのか名乗ってくれた。
僕が走りに行ったばかりにわざわざ家令の方の手を煩わせてしまったのか。失礼がないようにこちらも挨拶をしないと。
「僕は……」
名乗ろうとしたところで止まってしまった。
今の僕は何者なんだろう。国軍人ではない、61はただの番号で名前もないし。
「大丈夫ですよ。旦那様より聞いております」
何をいうべきか頭を抱え悩んでいるとカーターは切り上げてくれた。
「さあ旦那様もお待ちでございます。向かいましょう」
「あっはい」
くるりと向きを変え屋敷の中へと進んでいくカーターの後ろを僕は言われるがままついて行った。
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