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第24話 俺と一緒に来てほしい
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「どうして、私を?」
「カトリーヌと出会ってから、俺達の旅は順調なんだ。報奨金が手に入って、目的も果たせそうだ」
一緒に来てほしいと言う理由を尋ねると、ラインヴァルトはそう答えた。真っ直ぐ私の目を見て。嘘は言っていないようだ。しかし。
「……それは、ただの偶然じゃないのでしょうか?」
「確かに偶然なのかもしれない。だけど俺は、カトリーヌが幸運の女神の加護を得た人物だと思っている。君が居てくれたおかげで、運に恵まれていると感じるんだ」
「そんな、幸運の女神の加護なんて……」
ラフォン家からここまで連れてきてくれたゲオルグ達も、そう言ってくれた。私の幸運に助けられた者達だと名乗って。しかし、そんな事あり得るのだろうか。
今まで、不幸の原因だと言われてきたような私が。
私に幸運の女神の加護があるのだとしたら、なぜレナルド王子やラフォン家などに幸運が訪れなかったのか。そのせいで、ずっと彼らから不運を振りまく存在、なんて言われ続けてきたのに。
そんな事を私が考えている間に、ラインヴァルトは続けて説明してくれた。
「俺達は今、とある予言に従って各地を巡っているんだ。世界を旅して、この王国のどこかに居る幸運の女神の加護を受けた人物を見つけ出して、自分たちの国に連れて帰るために」
「そう、だったのですか……」
突然の話に戸惑う。予言とか、幸運の女神の加護とか。分からないことが多い。
「予言された、幸運の女神の加護を受けた人物というのは、君の事だと思う」
「なぜですか?」
「予言で伝えられた言葉。それから、俺の直感だ」
「直感……?」
予言や直感なんかで判断するなんて。少しだけ、ラインヴァルトが疑わしくなってきた。もしかして、私は騙されているかもしれない。本当に彼のことを信じていいのだろうかしら。いや、信じたい。
「だから、どうか俺と一緒に来てほしい!」
とても力強い言葉で求められた。そして、ラインヴァルトはスッと、私の目の前に手を差し伸べてくる。褐色の肌に筋肉のついた腕。男の力強さを感じる。金色の目でじっと見つめられた。すごく真剣な目だった。
どうするべきか。決められない私は、使用人たちに視線を向ける。本当は、彼らに教会まで連れて行ってもらう予定だった。そこで私は保護してもらう計画があった。そちらを優先するべきなのかしら。
「お嬢様のなさりたいように。我々は、貴女についていきます」
「そう」
執事のゲオルグが発した言葉に、メイドのマイユ達が頷く。ラインヴァルトと一緒に行ったとしても、彼らは私と共に来てくれるらしい。それは、かなり心強かった。
どうするのか、判断は任された。ここでラインヴァルト達と別れるか、一緒に行くのか。
私は少し考えてから、自分の気持ちに従ってラインヴァルトの手を取った。彼と、もうしばらく一緒に居たいと思ったから。
「よろしくおねがいします、ラインヴァルト様」
「うん。よろしく、カトリーヌ」
もしも、今までのような運の悪い出来事が起きても、ラインヴァルトは私のことを責めないだろうと感じた。そういう信頼感があった。
だから私は、ラインヴァルトと一緒に行くことを決めた。
ラインヴァルトと握手する。私の握った手が、ギュッと握り返された。力強くて、頼りがいのある手。彼は、嬉しそうな笑顔を浮かべて歓迎してくれた。彼の顔を見るだけで、ホッと落ち着くような安心感に包まれる。
これから私は、彼と一緒に行く。この判断は間違っていないと、そう思えた。
「カトリーヌと出会ってから、俺達の旅は順調なんだ。報奨金が手に入って、目的も果たせそうだ」
一緒に来てほしいと言う理由を尋ねると、ラインヴァルトはそう答えた。真っ直ぐ私の目を見て。嘘は言っていないようだ。しかし。
「……それは、ただの偶然じゃないのでしょうか?」
「確かに偶然なのかもしれない。だけど俺は、カトリーヌが幸運の女神の加護を得た人物だと思っている。君が居てくれたおかげで、運に恵まれていると感じるんだ」
「そんな、幸運の女神の加護なんて……」
ラフォン家からここまで連れてきてくれたゲオルグ達も、そう言ってくれた。私の幸運に助けられた者達だと名乗って。しかし、そんな事あり得るのだろうか。
今まで、不幸の原因だと言われてきたような私が。
私に幸運の女神の加護があるのだとしたら、なぜレナルド王子やラフォン家などに幸運が訪れなかったのか。そのせいで、ずっと彼らから不運を振りまく存在、なんて言われ続けてきたのに。
そんな事を私が考えている間に、ラインヴァルトは続けて説明してくれた。
「俺達は今、とある予言に従って各地を巡っているんだ。世界を旅して、この王国のどこかに居る幸運の女神の加護を受けた人物を見つけ出して、自分たちの国に連れて帰るために」
「そう、だったのですか……」
突然の話に戸惑う。予言とか、幸運の女神の加護とか。分からないことが多い。
「予言された、幸運の女神の加護を受けた人物というのは、君の事だと思う」
「なぜですか?」
「予言で伝えられた言葉。それから、俺の直感だ」
「直感……?」
予言や直感なんかで判断するなんて。少しだけ、ラインヴァルトが疑わしくなってきた。もしかして、私は騙されているかもしれない。本当に彼のことを信じていいのだろうかしら。いや、信じたい。
「だから、どうか俺と一緒に来てほしい!」
とても力強い言葉で求められた。そして、ラインヴァルトはスッと、私の目の前に手を差し伸べてくる。褐色の肌に筋肉のついた腕。男の力強さを感じる。金色の目でじっと見つめられた。すごく真剣な目だった。
どうするべきか。決められない私は、使用人たちに視線を向ける。本当は、彼らに教会まで連れて行ってもらう予定だった。そこで私は保護してもらう計画があった。そちらを優先するべきなのかしら。
「お嬢様のなさりたいように。我々は、貴女についていきます」
「そう」
執事のゲオルグが発した言葉に、メイドのマイユ達が頷く。ラインヴァルトと一緒に行ったとしても、彼らは私と共に来てくれるらしい。それは、かなり心強かった。
どうするのか、判断は任された。ここでラインヴァルト達と別れるか、一緒に行くのか。
私は少し考えてから、自分の気持ちに従ってラインヴァルトの手を取った。彼と、もうしばらく一緒に居たいと思ったから。
「よろしくおねがいします、ラインヴァルト様」
「うん。よろしく、カトリーヌ」
もしも、今までのような運の悪い出来事が起きても、ラインヴァルトは私のことを責めないだろうと感じた。そういう信頼感があった。
だから私は、ラインヴァルトと一緒に行くことを決めた。
ラインヴァルトと握手する。私の握った手が、ギュッと握り返された。力強くて、頼りがいのある手。彼は、嬉しそうな笑顔を浮かべて歓迎してくれた。彼の顔を見るだけで、ホッと落ち着くような安心感に包まれる。
これから私は、彼と一緒に行く。この判断は間違っていないと、そう思えた。
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