『お前よりも好きな娘がいる』と婚約を破棄させられた令嬢は、最強の魔法使いだった~捨てた王子と解放した令嬢の結末~

キョウキョウ

文字の大きさ
35 / 36

第35話 新たな絆の始まりに

 あの事件から数週間が経った。その間に婚約が決まったり、エドガー様と定期的に会ってお話したり、これから先のことについて色々と考えた。



 あの二人は学園から姿を消したが、その話題を口にする者はいない。

 私は、エドガー王子から聞いていた。二人は、遠くへ旅立ったんだと。辺境の地へ送られたので、アルフレッド王子とは今後も会うこともないだろうと。

 ヴァネッサに関しては、詳しく聞いていない。あれから、彼女の姿を一切見ていない。おそらく、秘密裏に処理されたのでしょうね。その真実を探ろうとは思わない。エドガー様が詳細を話さないのは、私に知る必要がないからだと思う。

 とにかく、私は友人たちと一緒に魔法の腕を磨きながら、平穏な日々を送っている。

 一度は婚約を破棄されて、王妃になる可能性は無くなったと思っていた。だけど、エドガー様の婚約相手になって妃教育を受け直すことにした。しっかりと準備して、万全の体制で彼を支えていきたい。

 エドガー様とは、定期的にお話する機会を設けている。

 今日は穏やかな日差しの下、私はエドガー様と一緒にお城の庭園を散歩している。彼の凛々しい横顔を見るたび、胸の鼓動が速くなる。まだまだ慣れそうにない。

「こんなに穏やかな時間が過ごせるなんて、思っていなかった」

 ふと、そんな思いを口にする。エドガー様が優しい表情で頷いた。

「俺も同じだよ。君といると、安らぎを感じるんだ。王の座に近寄ってしまったら、無理だと思っていた。まあ、これから先が大変なのかもしれないが」

 私たちは、ゆっくりと歩みを進める。エドガー様との距離は、以前よりも少し近くなっていた。

「できる限り、私は貴方を支えていきます」
「ああ、頼むよ。君の力は、とても頼もしいからね。でも、無理し過ぎないように。できる範囲でお願いするよ」
「はい、もちろんです」

 頼りにされている、というのが嬉しい。これまで魔法の技術を磨いてきた意味があったと思える。

「何度も言うが、君という素敵な人と一緒になれたこと、心から感謝しているんだ」
「私もです。エドガー様に出会えて本当に良かった。これからもずっと、傍にいさせてください」

 私たちは見つめ合いながら微笑んだ。色々あった日々も、今となっては必要な経験だったと思う。あれがあったこそ、今がある。

「君といると、予想外の楽しい発見がたくさんあるから、これからが楽しみだ」
「はい、私も。私たちなりのペースで、ゆっくりと進んでいきましょう」

 きっとこの先、私とエドガー様の間には、新しい絆が芽生えていくのだろう。

 穏やかな風が、二人を包み込むように吹いていた。希望に満ちた新しい人生の始まりを感じながら、私たちは歩み続ける。

 まだ見ぬ未来へと続く道を、いつまでも一緒に。
感想 20

あなたにおすすめの小説

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

【完結】「めでたし めでたし」から始まる物語

つくも茄子
恋愛
身分違の恋に落ちた王子様は「真実の愛」を貫き幸せになりました。 物語では「幸せになりました」と終わりましたが、現実はそうはいかないもの。果たして王子様と本当に幸せだったのでしょうか? 王子様には婚約者の公爵令嬢がいました。彼女は本当に王子様の恋を応援したのでしょうか? これは、めでたしめでたしのその後のお話です。 番外編がスタートしました。 意外な人物が出てきます!

【本編完結】真実の愛を見つけた? では、婚約を破棄させていただきます

ハリネズミ
恋愛
「王妃は国の母です。私情に流されず、民を導かねばなりません」 「決して感情を表に出してはいけません。常に冷静で、威厳を保つのです」  シャーロット公爵家の令嬢カトリーヌは、 王太子アイクの婚約者として、幼少期から厳しい王妃教育を受けてきた。 全ては幸せな未来と、民の為―――そう自分に言い聞かせて、縛られた生活にも耐えてきた。  しかし、ある夜、アイクの突然の要求で全てが崩壊する。彼は、平民出身のメイドマーサであるを正妃にしたいと言い放った。王太子の身勝手な要求にカトリーヌは絶句する。  アイクも、マーサも、カトリーヌですらまだ知らない。この婚約の破談が、後に国を揺るがすことも、王太子がこれからどんな悲惨な運命なを辿るのかも―――

婚約破棄が国を亡ぼす~愚かな王太子たちはそれに気づかなかったようで~

みやび
恋愛
冤罪で婚約破棄などする国の先などたかが知れている。 全くの無実で婚約を破棄された公爵令嬢。 それをあざ笑う人々。 そんな国が亡びるまでほとんど時間は要らなかった。

愚かな者たちは国を滅ぼす【完結】

春の小径
ファンタジー
婚約破棄から始まる国の崩壊 『知らなかったから許される』なんて思わないでください。 それ自体、罪ですよ。 ⭐︎他社でも公開します

ベールを上げた新郎は『君じゃない』と叫んだ

ハートリオ
恋愛
結婚式で新郎に『君じゃない』と叫ばれたのはウィオラ。 スピーナ子爵家の次女。 どうやら新郎が結婚する積りだったのは姉のリリウム。 ウィオラはいつも『じゃない方』 認められない、 選ばれない… そんなウィオラは―― 中世ヨーロッパ風異世界でのお話です。 よろしくお願いします。

婚約破棄をされるのですね、そのお相手は誰ですの?

恋愛
フリュー王国で公爵の地位を授かるノースン家の次女であるハルメノア・ノースン公爵令嬢が開いていた茶会に乗り込み突如婚約破棄を申し出たフリュー王国第二王子エザーノ・フリューに戸惑うハルメノア公爵令嬢 この婚約破棄はどうなる? ザッ思いつき作品 恋愛要素は薄めです、ごめんなさい。

【完結】「お前に聖女の資格はない!」→じゃあ隣国で王妃になりますね

ぽんぽこ@3/28新作発売!!
恋愛
【全7話完結保証!】 聖王国の誇り高き聖女リリエルは、突如として婚約者であるルヴェール王国のルシアン王子から「偽聖女」の烙印を押され追放されてしまう。傷つきながらも母国へ帰ろうとするが、運命のいたずらで隣国エストレア新王国の策士と名高いエリオット王子と出会う。 「僕が君を守る代わりに、その力で僕を助けてほしい」 甘く微笑む彼に導かれ、戸惑いながらも新しい人生を歩み始めたリリエル。けれど、彼女を追い詰めた隣国の陰謀が再び迫り――!? 追放された聖女と策略家の王子が織りなす、甘く切ない逆転ロマンス・ファンタジー。