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第13話 溢れ出る私のアイデア※イザベラ視点
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「さて、そろそろ本気を出してパーティーの準備に取り掛からないといけないわね」
この後のやらないといけないことを考えて、少し憂鬱になりながら私は小さく溜息をついた。
パーティーの準備。本当は面倒くさい。細かいことを考えたり、色々な人に指示を出したり、確認したり。お姉様は、こういう地味な作業を喜んでやっていたけれど、私には理解できない。
何が楽しいのかしら。
でも、私の実力を示すためには必要なこと。ここは頑張らないと。社交界の評価を完全に手に入れるためには、パーティーを開いて成功させないと。
「まあ、すぐ終わるでしょう」
私は軽く笑った。
お姉様は大袈裟に準備していたけれど、あんなに時間をかける必要なんてないわ。時間をかけて計画して、参加者のリストを作って、一人一人の趣味嗜好を細かく分析して、予算を何度も見直して。本当に判断が遅くて、要領が悪い。
私なら、もっとスマートにできる。
難しく考えすぎなのよ。パーティーなんて、華やかで目立てば成功するに決まっている。細かいことに拘る必要なんてない。
さっさと終わらせて、あとはゆっくり休みましょう。新しいドレスの試着もしたいし、友人たちとお茶会を開いて集まりたいし。
「さて、そろそろ私の実力を披露しましょうかしら」
社交界の評価は、完全に私のものになる。
私は羽ペンを手に取って、思いついたアイデアをスラスラと書き出していく。
噴水。異国料理。流行の音楽。衣装替え。どれも、お姉様がやらなかったこと。つまり、斬新で新しいということ。
数日後、私はヴァンデルディング公爵家の屋敷にある一室に、パーティー担当に指名したスタッフたちを集めた。
緊張した面持ちで整列している。彼らは皆、公爵家で長年働いてきたベテランたち。パーティーの運営に携わった経験もあると聞いている。お姉様が婚約者だった頃にも何度か駆り出されたとか。
つまり、お姉様のやり方に染まっている、古臭い考えの持ち主たち。
でも、仕方ないわ。他に使える人材がいないもの。
「皆、聞いて」
現場を任せることになるスタッフたちが、緊張した面持ちで耳を傾ける。
「これから、私が考えたアイデアを発表するわ」
私は自信満々に、用意してきたアイデアを披露した。
「まず、パーティーの会場――大広間の中央に、大きな噴水を設置します!」
「え? ふ、噴水でございますか?」
担当者の男が驚いた顔をする。当然よね。誰も思いつかなかったでしょう?
「そうよ。豪華で、インパクトも大きいし、話題になること間違いなしでしょう?」
「ですが、イザベラ様……」
驚いた表情のまま、彼が慎重に言葉を選びながら言った。
「会場の大広間に噴水を設置するというのは……水の管理や配管の問題、床の防水処理、そして何より参加者の方々の安全面を考えますと……」
「大丈夫よ。きっと素敵になるわ。参加者たちも喜んでくれる」
私は手を振って、彼の心配を遮った。 水漏れ? 配管? そんな細かいこと、今は気にする必要はない。これは、今回のメインになる要素。この計画を実現させて、社交界での話題を呼ぶ大きな狙いがある。
お姉様は、こんな大胆なことできなかったもの。いつも慎重に、前例を重視して、つまらないわ。
古い習慣や伝統なんかを大事にし過ぎると、前から感じていた。もっと新しく、大きなインパクトを与えられるようなこともしなきゃダメでしょ。それが、驚きや感動を与えるのよ。
「それから、料理は全て異国のもので統一するわよ!」
「異国の……ですか?」
担当者が、さらに困惑した表情を浮かべる。他のスタッフたちも、顔を見合わせている。
「王国の伝統料理ではなく、東方の国々や南方の島々の料理を提供するの」
「イザベラ様。参加者の方々の口に合うかどうか、という問題が……」
「特に年配の貴族の方々は、慣れない香辛料や調理法に戸惑われるかと……。それに、食材の調達も困難で、予算が……」
スタッフが、おずおずと口を開いた。いちいち、私の意見に反対するような姿勢に腹が立つけれど、自分の意見を押し通す。パーティーを必ず成功させるために。
「問題ないわよ」
私は鼻で笑った。
「今回の私が掲げるテーマは、『斬新さ』。それをアピールするために、これは必須事項よ。参加者たちも理解してくれるはず」
細かいことばかり気にして。あなた達は、私の指示に従っていればいいのよ。
「音楽は、最新の流行曲で統一!」
「流行曲……と申しますと?」
「若い人たちが好きな、明るくて賑やかな曲よ」
「いや、しかし……」
私は適当に答えた。実際、どんな曲か詳しくは知らないけれど。でも、流行っているなら良いものに決まっているでしょう。それに、今までそんな曲を使ったという前例はない。私がそれを打ち破る。
「パーティー会場には、落ち着いた古典的な楽曲の方が適しているかと……。流行曲は、場の雰囲気に合わない可能性が……」
「その考えは、古臭いわね」
私は信念を持って言い放った。自分の意見のほうが正しいと、自信を持って。
「時代は変わっていくのよ。さっき私が言った通り、斬新さを求めるの。あなたたちは、古いやり方に染まりすぎているわ。もっと柔軟に考えなさい」
何か言いたそうにしているが、私の鋭い視線に押されて黙り込んだ。そう、とりあえず受け入れなさいよ。
「それと、私は衣装替えを三回する予定を入れておいて」
「三回も、でございますか?」
また別のスタッフが、驚きの声を上げた。
「そうよ。華やかで、私が注目の的になるでしょう? パーティーの最中、同じドレスでは飽きられてしまうわ。飽きさせないようにするためには、定期的に衣装を変えていく必要があるの」
「ですが、イザベラ様が席を外されますと、主催者不在の時間が……」
「大丈夫よ。ロデリック様がいるでしょう? 彼に任せておけば問題ないわ」
担当者が何か言いたそうにしているが、ようやく黙り込んだ。それから、しばらくして。
「……かしこまりました」
ようやく、深々と頭を下げた。その表情は、明らかに納得していない様子だった。会場の準備さえしてくれたら、他は気にしない。多少不満そうな顔をしているけれど、近い将来の公爵夫人である私の指示に従うしかないでしょう。
お姉様がやってきた古臭いパーティーとは、全く違うものにする。これで、社交界での評価が新しくなっていくでしょう。
この後のやらないといけないことを考えて、少し憂鬱になりながら私は小さく溜息をついた。
パーティーの準備。本当は面倒くさい。細かいことを考えたり、色々な人に指示を出したり、確認したり。お姉様は、こういう地味な作業を喜んでやっていたけれど、私には理解できない。
何が楽しいのかしら。
でも、私の実力を示すためには必要なこと。ここは頑張らないと。社交界の評価を完全に手に入れるためには、パーティーを開いて成功させないと。
「まあ、すぐ終わるでしょう」
私は軽く笑った。
お姉様は大袈裟に準備していたけれど、あんなに時間をかける必要なんてないわ。時間をかけて計画して、参加者のリストを作って、一人一人の趣味嗜好を細かく分析して、予算を何度も見直して。本当に判断が遅くて、要領が悪い。
私なら、もっとスマートにできる。
難しく考えすぎなのよ。パーティーなんて、華やかで目立てば成功するに決まっている。細かいことに拘る必要なんてない。
さっさと終わらせて、あとはゆっくり休みましょう。新しいドレスの試着もしたいし、友人たちとお茶会を開いて集まりたいし。
「さて、そろそろ私の実力を披露しましょうかしら」
社交界の評価は、完全に私のものになる。
私は羽ペンを手に取って、思いついたアイデアをスラスラと書き出していく。
噴水。異国料理。流行の音楽。衣装替え。どれも、お姉様がやらなかったこと。つまり、斬新で新しいということ。
数日後、私はヴァンデルディング公爵家の屋敷にある一室に、パーティー担当に指名したスタッフたちを集めた。
緊張した面持ちで整列している。彼らは皆、公爵家で長年働いてきたベテランたち。パーティーの運営に携わった経験もあると聞いている。お姉様が婚約者だった頃にも何度か駆り出されたとか。
つまり、お姉様のやり方に染まっている、古臭い考えの持ち主たち。
でも、仕方ないわ。他に使える人材がいないもの。
「皆、聞いて」
現場を任せることになるスタッフたちが、緊張した面持ちで耳を傾ける。
「これから、私が考えたアイデアを発表するわ」
私は自信満々に、用意してきたアイデアを披露した。
「まず、パーティーの会場――大広間の中央に、大きな噴水を設置します!」
「え? ふ、噴水でございますか?」
担当者の男が驚いた顔をする。当然よね。誰も思いつかなかったでしょう?
「そうよ。豪華で、インパクトも大きいし、話題になること間違いなしでしょう?」
「ですが、イザベラ様……」
驚いた表情のまま、彼が慎重に言葉を選びながら言った。
「会場の大広間に噴水を設置するというのは……水の管理や配管の問題、床の防水処理、そして何より参加者の方々の安全面を考えますと……」
「大丈夫よ。きっと素敵になるわ。参加者たちも喜んでくれる」
私は手を振って、彼の心配を遮った。 水漏れ? 配管? そんな細かいこと、今は気にする必要はない。これは、今回のメインになる要素。この計画を実現させて、社交界での話題を呼ぶ大きな狙いがある。
お姉様は、こんな大胆なことできなかったもの。いつも慎重に、前例を重視して、つまらないわ。
古い習慣や伝統なんかを大事にし過ぎると、前から感じていた。もっと新しく、大きなインパクトを与えられるようなこともしなきゃダメでしょ。それが、驚きや感動を与えるのよ。
「それから、料理は全て異国のもので統一するわよ!」
「異国の……ですか?」
担当者が、さらに困惑した表情を浮かべる。他のスタッフたちも、顔を見合わせている。
「王国の伝統料理ではなく、東方の国々や南方の島々の料理を提供するの」
「イザベラ様。参加者の方々の口に合うかどうか、という問題が……」
「特に年配の貴族の方々は、慣れない香辛料や調理法に戸惑われるかと……。それに、食材の調達も困難で、予算が……」
スタッフが、おずおずと口を開いた。いちいち、私の意見に反対するような姿勢に腹が立つけれど、自分の意見を押し通す。パーティーを必ず成功させるために。
「問題ないわよ」
私は鼻で笑った。
「今回の私が掲げるテーマは、『斬新さ』。それをアピールするために、これは必須事項よ。参加者たちも理解してくれるはず」
細かいことばかり気にして。あなた達は、私の指示に従っていればいいのよ。
「音楽は、最新の流行曲で統一!」
「流行曲……と申しますと?」
「若い人たちが好きな、明るくて賑やかな曲よ」
「いや、しかし……」
私は適当に答えた。実際、どんな曲か詳しくは知らないけれど。でも、流行っているなら良いものに決まっているでしょう。それに、今までそんな曲を使ったという前例はない。私がそれを打ち破る。
「パーティー会場には、落ち着いた古典的な楽曲の方が適しているかと……。流行曲は、場の雰囲気に合わない可能性が……」
「その考えは、古臭いわね」
私は信念を持って言い放った。自分の意見のほうが正しいと、自信を持って。
「時代は変わっていくのよ。さっき私が言った通り、斬新さを求めるの。あなたたちは、古いやり方に染まりすぎているわ。もっと柔軟に考えなさい」
何か言いたそうにしているが、私の鋭い視線に押されて黙り込んだ。そう、とりあえず受け入れなさいよ。
「それと、私は衣装替えを三回する予定を入れておいて」
「三回も、でございますか?」
また別のスタッフが、驚きの声を上げた。
「そうよ。華やかで、私が注目の的になるでしょう? パーティーの最中、同じドレスでは飽きられてしまうわ。飽きさせないようにするためには、定期的に衣装を変えていく必要があるの」
「ですが、イザベラ様が席を外されますと、主催者不在の時間が……」
「大丈夫よ。ロデリック様がいるでしょう? 彼に任せておけば問題ないわ」
担当者が何か言いたそうにしているが、ようやく黙り込んだ。それから、しばらくして。
「……かしこまりました」
ようやく、深々と頭を下げた。その表情は、明らかに納得していない様子だった。会場の準備さえしてくれたら、他は気にしない。多少不満そうな顔をしているけれど、近い将来の公爵夫人である私の指示に従うしかないでしょう。
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