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第19話 本当の処罰
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イザベラが新しく考えたパーティーの計画書を、ブラックソーン家の老執事に提出した。まずは彼に認めてもらえないと、パーティーを実施することすら許されない。厳重な管理下に置かれることになってしまった。
誰かが上から指示を出すなんて。イザベラは不満を募らせていたが、指示に従わなければ最悪の場合は処罰されかねない。そう警告されていた以上、大人しく従うしかなかった。それでも彼女は、以前のように自由に指揮を執りたいと思っていた。
「成果を出して認めさせれば、前のように私が指揮できるはず」
そう信じて、イザベラは計画書を練り上げたつもりだった。
老執事は計画書を確認すると、すぐに首を横に振った。
「これではダメです」
「どういうこと!? 私の考えた計画がダメって、ちゃんと確認して言ってるの?」
イザベラの声には苛立ちが滲んでいた。
「こんなに予算をつぎ込むことは無理です。もう少し考えてから、計画を出してください」
老執事は冷静に説明した。計画書に記された予算は、通常の10倍近い規模だった。これだけの予算があれば、年間を通して開催される全てのパーティーを賄えるほどの金額である。
突き返される計画書。イザベラは怒りに任せてそれを掴み取った。
「もういいわよ!」
そのまま踵を返して部屋を出ていく。彼女の足取りは荒く、廊下に響く足音にも怒りが表れていた。
イザベラは真っ直ぐにダミアンの元へ向かい、不満を爆発させた。
「私が計画を考えても、彼らどうやっても認めないつもりよ。こんなの、いくら考えても成果なんて出せないわよ」
「……大金を使う。それが、君が言っていた秘策なのか?」
不安な表情で問いかけるダミアン。彼の声には疲れが滲んでいた。
「そうよ。公爵家には、お金がいっぱいあるのでしょ。それを使わないと。そうすれば、きっと成功するはず」
「……」
イザベラの甘い考えを聞いたダミアンは唖然とした。そんなのは計画でもなんでもなく、単なる思いつきの浪費でしかない。予算超過は即座に却下される理由であり、それすら理解していないことに絶望感を覚えた。
予算内でアイデアを絞り、参加者を楽しませ、貴族同士の交流をスムーズにすることこそが求められている。それなのにイザベラは、社交界の本質的な目的すら理解していないように見えた。このままでは、いつまで経っても成功など望めないだろう。
ダミアンはイザベラを置いて、父に報告しに行く。
「彼女は無理です。あれの考えた計画で成果を出す可能性は、ゼロです」
「成果が出るまで、お前が面倒を見るんだ。イザベラ嬢は、最近どんどんパーティーを成功させているヴィクトリア嬢の妹だ。同じ血が流れているのなら、もしかしたら同じ才能を持っているかもしれない」
父が語る言葉を、ダミアンは内心で強く否定する。そんな可能性など、微塵もないだろうと思った。
「その可能性を信じて、これから先も彼女を見守っていくんだ。成果を出せたなら、お前の望む立場を返してやる」
その言葉の真意を、ダミアンは瞬時に理解した。成果を出せなければ、これから先もずっと立場は失ったまま。つまり、父は最初から戻すつもりなどないのだ。これは、自分への厄介払いにしか思えなかった。
僅かな可能性に賭け、イザベラを見守っていかないといけない。才能のかけらも見えない彼女と別れることも許されずに、成果を出すまで付き合うことが、ダミアンに与えられた役目となった。それは、終わりの見えない苦行の始まりだった。
誰かが上から指示を出すなんて。イザベラは不満を募らせていたが、指示に従わなければ最悪の場合は処罰されかねない。そう警告されていた以上、大人しく従うしかなかった。それでも彼女は、以前のように自由に指揮を執りたいと思っていた。
「成果を出して認めさせれば、前のように私が指揮できるはず」
そう信じて、イザベラは計画書を練り上げたつもりだった。
老執事は計画書を確認すると、すぐに首を横に振った。
「これではダメです」
「どういうこと!? 私の考えた計画がダメって、ちゃんと確認して言ってるの?」
イザベラの声には苛立ちが滲んでいた。
「こんなに予算をつぎ込むことは無理です。もう少し考えてから、計画を出してください」
老執事は冷静に説明した。計画書に記された予算は、通常の10倍近い規模だった。これだけの予算があれば、年間を通して開催される全てのパーティーを賄えるほどの金額である。
突き返される計画書。イザベラは怒りに任せてそれを掴み取った。
「もういいわよ!」
そのまま踵を返して部屋を出ていく。彼女の足取りは荒く、廊下に響く足音にも怒りが表れていた。
イザベラは真っ直ぐにダミアンの元へ向かい、不満を爆発させた。
「私が計画を考えても、彼らどうやっても認めないつもりよ。こんなの、いくら考えても成果なんて出せないわよ」
「……大金を使う。それが、君が言っていた秘策なのか?」
不安な表情で問いかけるダミアン。彼の声には疲れが滲んでいた。
「そうよ。公爵家には、お金がいっぱいあるのでしょ。それを使わないと。そうすれば、きっと成功するはず」
「……」
イザベラの甘い考えを聞いたダミアンは唖然とした。そんなのは計画でもなんでもなく、単なる思いつきの浪費でしかない。予算超過は即座に却下される理由であり、それすら理解していないことに絶望感を覚えた。
予算内でアイデアを絞り、参加者を楽しませ、貴族同士の交流をスムーズにすることこそが求められている。それなのにイザベラは、社交界の本質的な目的すら理解していないように見えた。このままでは、いつまで経っても成功など望めないだろう。
ダミアンはイザベラを置いて、父に報告しに行く。
「彼女は無理です。あれの考えた計画で成果を出す可能性は、ゼロです」
「成果が出るまで、お前が面倒を見るんだ。イザベラ嬢は、最近どんどんパーティーを成功させているヴィクトリア嬢の妹だ。同じ血が流れているのなら、もしかしたら同じ才能を持っているかもしれない」
父が語る言葉を、ダミアンは内心で強く否定する。そんな可能性など、微塵もないだろうと思った。
「その可能性を信じて、これから先も彼女を見守っていくんだ。成果を出せたなら、お前の望む立場を返してやる」
その言葉の真意を、ダミアンは瞬時に理解した。成果を出せなければ、これから先もずっと立場は失ったまま。つまり、父は最初から戻すつもりなどないのだ。これは、自分への厄介払いにしか思えなかった。
僅かな可能性に賭け、イザベラを見守っていかないといけない。才能のかけらも見えない彼女と別れることも許されずに、成果を出すまで付き合うことが、ダミアンに与えられた役目となった。それは、終わりの見えない苦行の始まりだった。
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