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09.崩壊の兆し ※ランベルト王子視点
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「邪魔しないでください!」
「貴女こそ、邪魔なのよ。あっち行きなさいよ」
「なんで私が、貴女の指示に従わないといけないのですか?」
「生意気なのよ」
彼女たちの騒がしい声に、耳がキンキンと痛くなった。またか、とウンザリする。
今日はシャルリーヌと楽しく過ごそうと思っていたのに、イローナが現れて全てが台無しになった。そして始まる二人の喧嘩。
最近は、ずっとこうだった。乱入者が現れて色々とダメにされる。以前のように、落ち着いて女性と過ごすことが出来ない日々が続いた。
こんなに邪魔されると、流石に苛ついてくる。しばらく、この2人と付き合うのは止めておこう。落ち着いたら、再び付き合えばいい。
「え、どこに行くのランベルト様?」
「ちょっと、待ってよ。ランベルト!」
喧嘩も終わりそうにないので、俺は部屋を出ていく。後ろから彼女たちの呼ぶ声が聞こえてきたけど、無視する。付き合ってられないよ。
他に誰か、一緒に過ごしてくれる女性は居ないか。
「ランベルト様」
「やぁ、アメリ」
丁度良いタイミングで、アメリと出会った。婚約者である彼女も、ちゃんと相手にしてあげないといけないかな。時間も空いたので、今日は彼女と過ごそうか。
そう思っていたのに。
「お願いしたいことがあります、ランベルト様」
「どうした? お願いって、何かな?」
真剣な表情を浮かべて、アメリは俺を見上げていた。
「もう、他の女性と会うのを止めてください」
「は?」
無意識に声が漏れた。なぜ、アメリはそんな事を言うのか。
「あの、シャルリーヌとかイローナという女性たちは何なんですか!」
「……2人が、どうかしたのか?」
また、なにか面倒事を起こして迷惑をかけられるのかと思ったら嫌になる。そんな話は聞きたくなかった。だが、アメリの話なので聞いてあげる。
「ランベルト様の婚約者である私に、密会のセッティングをしろなんて馬鹿なことを言ってきたんですよ!?」
「なるほど。そんな事を言ったのか」
「大貴族の令嬢だからって、許されることではありません。酷すぎます」
誰かが、密会をセッティングしてくれるのなら楽そうだと思った。あの2人も顔を合わせないようにスケジュールを管理してくれたら、喧嘩も無くなるだろう。
誰か、やってくれないかな。エリザベートを呼び戻して、頼んでみるか。彼女は、そういうのが得意そうだから。
「私の話を聞いていますか、ランベルト様!!」
「ん? あぁ、もちろん聞いているよ」
考え事をしている間に、彼女の話を聞き流してしまった。
「それなら、もう他の女性と会わないと約束してください!」
「何故だ? 女性と会うぐらい、別にいいだろう?」
「……ううっ」
「……はぁ」
思わず本音が出てしまった。それを聞いて、アメリは泣き出す。
あぁ、面倒だ。普段ならば、優しく声をかけてあげるのだが今日は気分じゃない。イライラして、全てが面倒に思えた。今日はダメだな。
女性が泣いている姿なんて、見たくない。対処するのも面倒だから、俺は立ち去ることにする。
「貴女こそ、邪魔なのよ。あっち行きなさいよ」
「なんで私が、貴女の指示に従わないといけないのですか?」
「生意気なのよ」
彼女たちの騒がしい声に、耳がキンキンと痛くなった。またか、とウンザリする。
今日はシャルリーヌと楽しく過ごそうと思っていたのに、イローナが現れて全てが台無しになった。そして始まる二人の喧嘩。
最近は、ずっとこうだった。乱入者が現れて色々とダメにされる。以前のように、落ち着いて女性と過ごすことが出来ない日々が続いた。
こんなに邪魔されると、流石に苛ついてくる。しばらく、この2人と付き合うのは止めておこう。落ち着いたら、再び付き合えばいい。
「え、どこに行くのランベルト様?」
「ちょっと、待ってよ。ランベルト!」
喧嘩も終わりそうにないので、俺は部屋を出ていく。後ろから彼女たちの呼ぶ声が聞こえてきたけど、無視する。付き合ってられないよ。
他に誰か、一緒に過ごしてくれる女性は居ないか。
「ランベルト様」
「やぁ、アメリ」
丁度良いタイミングで、アメリと出会った。婚約者である彼女も、ちゃんと相手にしてあげないといけないかな。時間も空いたので、今日は彼女と過ごそうか。
そう思っていたのに。
「お願いしたいことがあります、ランベルト様」
「どうした? お願いって、何かな?」
真剣な表情を浮かべて、アメリは俺を見上げていた。
「もう、他の女性と会うのを止めてください」
「は?」
無意識に声が漏れた。なぜ、アメリはそんな事を言うのか。
「あの、シャルリーヌとかイローナという女性たちは何なんですか!」
「……2人が、どうかしたのか?」
また、なにか面倒事を起こして迷惑をかけられるのかと思ったら嫌になる。そんな話は聞きたくなかった。だが、アメリの話なので聞いてあげる。
「ランベルト様の婚約者である私に、密会のセッティングをしろなんて馬鹿なことを言ってきたんですよ!?」
「なるほど。そんな事を言ったのか」
「大貴族の令嬢だからって、許されることではありません。酷すぎます」
誰かが、密会をセッティングしてくれるのなら楽そうだと思った。あの2人も顔を合わせないようにスケジュールを管理してくれたら、喧嘩も無くなるだろう。
誰か、やってくれないかな。エリザベートを呼び戻して、頼んでみるか。彼女は、そういうのが得意そうだから。
「私の話を聞いていますか、ランベルト様!!」
「ん? あぁ、もちろん聞いているよ」
考え事をしている間に、彼女の話を聞き流してしまった。
「それなら、もう他の女性と会わないと約束してください!」
「何故だ? 女性と会うぐらい、別にいいだろう?」
「……ううっ」
「……はぁ」
思わず本音が出てしまった。それを聞いて、アメリは泣き出す。
あぁ、面倒だ。普段ならば、優しく声をかけてあげるのだが今日は気分じゃない。イライラして、全てが面倒に思えた。今日はダメだな。
女性が泣いている姿なんて、見たくない。対処するのも面倒だから、俺は立ち去ることにする。
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