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プロローグ
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「ここはどこ?」
東條五十鈴は、全く見覚えのない緑の海原を思わせる様な広く他に何も無い風にそよぐ草原に、ポツンと1人佇んでいた。
「私は…誰?ってテンプレな台詞でも言えばいいのかしら…」
仕事からの帰宅中いつもの通勤路である、住宅街の角を曲がった瞬間、眩ゆいばかりの光を受けて、反射的に目を閉じて開くとこの状況にいた。
「夢…って訳じゃなさそうね…」
頰に当たる柔らかい風と暖かい日差しが、夢ではない事を物語っている。
本来ならば、夜で空は暗く街灯と住宅街の灯りだけのはずが、青い空と燦々と輝く太陽の昼間なのである。
慌てる事すら出来ないで、呆然とするしかない五十鈴は、ふと右手の腕時計の文字盤を見る。時計の針は不思議な事に21時を回った辺りで止まっていた。
肩に掛けていたバッグから、スマホを取り出してみたが、電源がオフになっており起動しようとしても全く操作出来ない状態。
「ど、どうしよ…」
漸く自分が置かれている状況が理解でき始めると、へなへなとその場に座り込み力なく項垂れてしまう。
頭の中では、ぐるぐると「どうしよ」の言葉だけが回っている。
誰かに助けを求めようとも周りには何も無い草原。
誰かに助けを連絡しようともスマホは起動しない。
両膝を抱える様にし、頭を膝につけると心細さに涙が溢れてくる。
普段なら涙など流す事など無い五十鈴だが、幼少の頃の記憶が蘇り涙が止まらなくなる。
嗚咽を漏らし鼻をすすり肩を震わせながら五十鈴は泣く事しか出来なかった。
東條五十鈴は、全く見覚えのない緑の海原を思わせる様な広く他に何も無い風にそよぐ草原に、ポツンと1人佇んでいた。
「私は…誰?ってテンプレな台詞でも言えばいいのかしら…」
仕事からの帰宅中いつもの通勤路である、住宅街の角を曲がった瞬間、眩ゆいばかりの光を受けて、反射的に目を閉じて開くとこの状況にいた。
「夢…って訳じゃなさそうね…」
頰に当たる柔らかい風と暖かい日差しが、夢ではない事を物語っている。
本来ならば、夜で空は暗く街灯と住宅街の灯りだけのはずが、青い空と燦々と輝く太陽の昼間なのである。
慌てる事すら出来ないで、呆然とするしかない五十鈴は、ふと右手の腕時計の文字盤を見る。時計の針は不思議な事に21時を回った辺りで止まっていた。
肩に掛けていたバッグから、スマホを取り出してみたが、電源がオフになっており起動しようとしても全く操作出来ない状態。
「ど、どうしよ…」
漸く自分が置かれている状況が理解でき始めると、へなへなとその場に座り込み力なく項垂れてしまう。
頭の中では、ぐるぐると「どうしよ」の言葉だけが回っている。
誰かに助けを求めようとも周りには何も無い草原。
誰かに助けを連絡しようともスマホは起動しない。
両膝を抱える様にし、頭を膝につけると心細さに涙が溢れてくる。
普段なら涙など流す事など無い五十鈴だが、幼少の頃の記憶が蘇り涙が止まらなくなる。
嗚咽を漏らし鼻をすすり肩を震わせながら五十鈴は泣く事しか出来なかった。
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