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15 発光現象
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ルジンの研究にアイデアを提供したりユリの研究に付き合ったりしていて気を良くしたわけではないが、俺もこの世界で何か出来そうな気がしてきた。
それはともかく、ユリに提案したヒカリゴケの転移中断実験がうまくいった。
ヒカリゴケを増殖させたあと、別世界に転移させようとしたら予想通り発光したのだ。
そして発光したタイミングで中断すれば転移は起こらなかった。しかも、転移装置の外のヒカリゴケまで発光を確認した。恐らく、この世界のヒカリゴケ全てが一緒に発光しているようだ。
これは次の定例ミーティングで発表された。
そして、ユリのこの発表は大きな反響を呼んだ。
謎の一つが解明されただけでなく、応用できそうな基礎技術が発見されたからだ。
「これで、その転移先の世界にヒカリゴケが存在するかどうかをチェックする事が出来る」とルジン。
なるほど、そういう使い方もあるか。
「はい。そうですね」
発表を終えたユリは、ほっとした表情で言った。自分だけ成果がないと気に病んでたからな。
「うん、これは大きな成果だ!」ホワンも絶賛した。
「もしかしてヒカリゴケが発光した時って、全ての多重世界にあるヒカリゴケも発光してたりしてな~」
「えっ?」とユリ。
「おいっ」とホワン。
「まじ?」とメリス。
自分で言ってあれだが、ちょっと面白いと思った。
「全てじゃないだろ」とホワン。
「でも、可能性あるね」とマナブ。
「ありうるな」とトウカ。
「そ、そうね。でもそれは検証できないね」ユリは残念そうに言った。
「まぁ、そうだけど。もし、そうなら……あっ」俺は、ふと思いついた。
「もしそうなら?」とユリ。
「なんだ?」とトウカ。
「なになに?」とメリス。食いつき過ぎ。
「もったいぶってないでさっさと言え」ホワンに突っ込まれた。
「うん、多重世界の通信に使えるんじゃないか?」
「えっ? いや、だって存在しない世界では光らないよな?」とホワン。
「そう、それは無理。でも、存在する世界全部で光ったらシグナルとして使えるだろ?」
「おおおおおぉぉぉぉぉ」ホワン驚きすぎ。
「きゃ~~~~~っ」ユリ期待し過ぎ。
「それ、出来たら凄いぞ」とトウカ。
「そうよね。大変よ」とメリス。
「でも、存在しない世界にシグナルを送るには……ああ、別のものを使えばいいのか!」
ホワン、言いながら自己解決してるし。
「そうですね。とりあえず他の世界で絶滅してるものなら使えるんじゃないかと思います。まぁ、確率波みたいなものですかね」俺は思い付くまま言った。
「確率波か。うん? それ、この世界の通信としても使えるんじゃないか?」とホワン。
「ああ、そういえば、そうですね」
「あ、確かに」とユリ。
「おお、じゃ、すぐに検証できるじゃないか。これは早急に確認取って転移装置チームに話してみよう。これは大発見だぞ! 他の世界に呼びかけることが出来たら、世界が変わる!」とホワン。
「そ、そうですね」ちょっと展開が早くてビビる。
ひとしきり、何を別世界に呼びかけるかとかで盛り上がった。
まぁ、ブロードキャストなら、そうそう使えないと思う。だって全多重世界共通になってしまうしな。
とりあえず二つの世界で使えるだけでも十分凄いんだが。
* * *
「小型化が出来れば、もっといいんですけどね」
みんなの興奮が収まった頃、さらに追加の提案をしてみた。
「今度はなんだ?」とホワン。
なんか、悪戯坊主が叱られてるような気分。いや、別に悪いことしてないけど?
「えっ? 小型通信機が出来たら当然、探査機を作って送り込みますよね? エージェントでもいいけど」
これは普通のアイデアだよな。
「おおおおおぉぉぉぉぉ」とホワン。
「きゃ~~~~~っ」とユリ。って、またかい。もしかして、大声出したいだけな気がしてきた。
「それ、欲しい」とメリス。
って、どれ? 通信機? 探査機? 美人エージェント? とは言ってないか。
「ああ、すぐに欲しいな! 送ったものがどうなったのか分かるしな!」とホワン。
「そうね。凄いね」とユリ。
「来た~~~~~っ」ここ突っ込むべき?
* * *
「もしかして、本当に光ってたのはリュウ自身だったりして」なんでだよ。
帰り際、ユリが、ふと変な疑問を口にした。
「そんなわけないだろ」
「だって、この世界にリュウは居なかったじゃん」
「いや、俺は希少生物じゃないし」
「そうじゃなくて、この世界の存在確率を変動させた気がするから」
「ああ、なるほどな」
「でも、転移後のことだから関係ないだろ。人間が光ったら怖いし」
「私、ヒカリモノ好きだよ」
ユリは俺の顔を覗き込むようにして言った。
何言ってんの?
とりあえず、希少生物を使った別世界通信は研究者にとって刺激的なテーマとなった。研究所内で参加したがる研究員が殺到したのだ。
それから、ユリは熱心に珍しい苔を集めては俺と実験を繰り返すようになった。
まぁ、付き合わされるのは大変だが俺も暇だしな。けど、俺の部屋に苔を持ち込むのはどうなんだろう?
「私の部屋に持ち込めないし」俺の部屋ならいいのかよ。
「盆栽みたいなものよ」
いや、そんな訳ないだろ。てか、盆栽なら俺の部屋に持ち込んでいいのか? せめてベランダにしといてくれよと思う。
それはともかく、ユリに提案したヒカリゴケの転移中断実験がうまくいった。
ヒカリゴケを増殖させたあと、別世界に転移させようとしたら予想通り発光したのだ。
そして発光したタイミングで中断すれば転移は起こらなかった。しかも、転移装置の外のヒカリゴケまで発光を確認した。恐らく、この世界のヒカリゴケ全てが一緒に発光しているようだ。
これは次の定例ミーティングで発表された。
そして、ユリのこの発表は大きな反響を呼んだ。
謎の一つが解明されただけでなく、応用できそうな基礎技術が発見されたからだ。
「これで、その転移先の世界にヒカリゴケが存在するかどうかをチェックする事が出来る」とルジン。
なるほど、そういう使い方もあるか。
「はい。そうですね」
発表を終えたユリは、ほっとした表情で言った。自分だけ成果がないと気に病んでたからな。
「うん、これは大きな成果だ!」ホワンも絶賛した。
「もしかしてヒカリゴケが発光した時って、全ての多重世界にあるヒカリゴケも発光してたりしてな~」
「えっ?」とユリ。
「おいっ」とホワン。
「まじ?」とメリス。
自分で言ってあれだが、ちょっと面白いと思った。
「全てじゃないだろ」とホワン。
「でも、可能性あるね」とマナブ。
「ありうるな」とトウカ。
「そ、そうね。でもそれは検証できないね」ユリは残念そうに言った。
「まぁ、そうだけど。もし、そうなら……あっ」俺は、ふと思いついた。
「もしそうなら?」とユリ。
「なんだ?」とトウカ。
「なになに?」とメリス。食いつき過ぎ。
「もったいぶってないでさっさと言え」ホワンに突っ込まれた。
「うん、多重世界の通信に使えるんじゃないか?」
「えっ? いや、だって存在しない世界では光らないよな?」とホワン。
「そう、それは無理。でも、存在する世界全部で光ったらシグナルとして使えるだろ?」
「おおおおおぉぉぉぉぉ」ホワン驚きすぎ。
「きゃ~~~~~っ」ユリ期待し過ぎ。
「それ、出来たら凄いぞ」とトウカ。
「そうよね。大変よ」とメリス。
「でも、存在しない世界にシグナルを送るには……ああ、別のものを使えばいいのか!」
ホワン、言いながら自己解決してるし。
「そうですね。とりあえず他の世界で絶滅してるものなら使えるんじゃないかと思います。まぁ、確率波みたいなものですかね」俺は思い付くまま言った。
「確率波か。うん? それ、この世界の通信としても使えるんじゃないか?」とホワン。
「ああ、そういえば、そうですね」
「あ、確かに」とユリ。
「おお、じゃ、すぐに検証できるじゃないか。これは早急に確認取って転移装置チームに話してみよう。これは大発見だぞ! 他の世界に呼びかけることが出来たら、世界が変わる!」とホワン。
「そ、そうですね」ちょっと展開が早くてビビる。
ひとしきり、何を別世界に呼びかけるかとかで盛り上がった。
まぁ、ブロードキャストなら、そうそう使えないと思う。だって全多重世界共通になってしまうしな。
とりあえず二つの世界で使えるだけでも十分凄いんだが。
* * *
「小型化が出来れば、もっといいんですけどね」
みんなの興奮が収まった頃、さらに追加の提案をしてみた。
「今度はなんだ?」とホワン。
なんか、悪戯坊主が叱られてるような気分。いや、別に悪いことしてないけど?
「えっ? 小型通信機が出来たら当然、探査機を作って送り込みますよね? エージェントでもいいけど」
これは普通のアイデアだよな。
「おおおおおぉぉぉぉぉ」とホワン。
「きゃ~~~~~っ」とユリ。って、またかい。もしかして、大声出したいだけな気がしてきた。
「それ、欲しい」とメリス。
って、どれ? 通信機? 探査機? 美人エージェント? とは言ってないか。
「ああ、すぐに欲しいな! 送ったものがどうなったのか分かるしな!」とホワン。
「そうね。凄いね」とユリ。
「来た~~~~~っ」ここ突っ込むべき?
* * *
「もしかして、本当に光ってたのはリュウ自身だったりして」なんでだよ。
帰り際、ユリが、ふと変な疑問を口にした。
「そんなわけないだろ」
「だって、この世界にリュウは居なかったじゃん」
「いや、俺は希少生物じゃないし」
「そうじゃなくて、この世界の存在確率を変動させた気がするから」
「ああ、なるほどな」
「でも、転移後のことだから関係ないだろ。人間が光ったら怖いし」
「私、ヒカリモノ好きだよ」
ユリは俺の顔を覗き込むようにして言った。
何言ってんの?
とりあえず、希少生物を使った別世界通信は研究者にとって刺激的なテーマとなった。研究所内で参加したがる研究員が殺到したのだ。
それから、ユリは熱心に珍しい苔を集めては俺と実験を繰り返すようになった。
まぁ、付き合わされるのは大変だが俺も暇だしな。けど、俺の部屋に苔を持ち込むのはどうなんだろう?
「私の部屋に持ち込めないし」俺の部屋ならいいのかよ。
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