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南北大陸編
86 大陸連絡評議会と新型エンジン
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大陸連絡評議会の他の大陸への拡大を検討することにした。
大陸連絡評議会は神力フォンの会議を去年の8月から毎月開催している。
その意味で今回は一周年の区切りだった。
今回の大陸連絡評議会のテーマは以下の通り。
・次期評議会代表の選出
・無害化魔法共生菌散布の承認
・他の大陸への拡大
今回の評議会ではまず、次の代表の選出を行った。
ずっと俺がやるわけにもいかない。評議会は俺の支配体制ではない。国際機関を謳う以上、公平に交代しなければならない。
それに、俺には差し迫った問題がある。代表をこのまま続けたら、嫁が大量発生する危険性がある。これは絶対に阻止しなければならない。
厳正なる投票の結果、次期代表はカセーム王国ピステル・カセーム王と決定した。
うん、頑張ってほしい。まぁ、実際は特別な事情がない限り、評議会の代表は参加国間で持ち回りになるだろう。
新たに作成した無害化魔法共生菌については、さすがに勝手に散布するわけにもいかないので各国の承認を貰ってから散布することにした。
慎重な国では散布を遅らせるかもしれない。国の事情により違う。
* * *
そして、今回の最大の課題、『他の大陸への拡大』が話題に上った。
「東の大陸の話はご先祖様から聞いてはいましたが、まさか本当にあるとは思いませんでしたな。出来ることなら交易してみたいものです」
オキ神国のラーセル法王だ。
中央大陸からだと、おそらくオキ神国が玄関口となるだろう。東の大陸への航路が開ければ、オキ神国は辺境の国ではなく文字通り世界の中心になるのだから関心も高い。
「わが国では浜に漂着する人がいたようで、『南北大陸』と言うらしいことは聞いております」アイデス王国のノミナス国王だ。
「ほう、『南北大陸』と。どのくらい離れているんでしょうな」とラーセル法王。
あまり定かではないが、おおよそ二千キロの彼方と伝わっているらしい。漂流した日数からの概算なので、はっきりしないのは当然だ。
俺が神眼で見たところ、約千二百キロといったところだったのでかなり正確だ。
ただ、間に島が無く、波も荒いため航海は難しい。海流の関係で中央大陸へ来るのは可能だが、逆は難しいようだ。
「なんでも、荒い海でなかなか船を出せないそうです」とノミナス国王。
「なるほど。それで今まで交易が出来なかったのですな」
聖アリステリアス王国のヒュペリオン王も納得した様子だ。
他の大陸への拡大については国の事情により対応が違う。
各国が気にするのは、南北大陸が加わることで貿易がどう変化するかだ。
魅力的な商品はあるのか、自国と競合しないのか、あるいは市場としての価値はあるのか、等々。
遠方ではあるものの、高速神魔動飛行船による定期便が就航すれば大きく世界は変化する。だから他人ごとにはできない。
* * *
このほか評議会の大きなテーマではないが、他の案件についても話し合われた。
「やはり、高速神魔動飛行船の定期便を早期に就航して貰いたい」
ピステル・カセームから要請された。
他の国からも同様な要望が出た。自動荷車があり街道が整備されたとしても、大陸の端の国はアクセスに時間が掛かるからだ。
「現在ある飛行船をもとに汎用の高速神魔動飛行船を計画しています。設計が完了したら直ちに製造を開始する予定で、来年の春の就航を目指しています」と俺は説明した。
「つまり来年、貴国の建国祭には定期便で参加出来るというわけですな」これはナディアス自治区のボーフェンだ。
「はい。そう出来るよう努力しています」
「素晴らしい。そうなれば、各国の建国祭にも互いに参加できるようになりますな。そのようなことが可能になるとは!」
オキ神国のラーセル法王が感慨深げに言う。かつて繁栄していた頃を知っている数少ない王族なのだが、それでもこんなことは無かったということか。
「うむ。誰もが飛行船に乗れる日も待ち遠しいが、いつか乗ってみたいと願うだけでも大違いでしょうな。新たな希望となるでありましょう」とボーフェン。
「左様。今までは、夢想することすら許されなかったこと。いや、不可能だったというべきか」
ラーセル法王は遠い目をして言った。
二人が何を思ったかはともかく、他の大陸への全権使節団は以下のように決まった。
各国とも全く付き合いのない国への対応なので慎重な構えではある。
派遣目的
大陸連絡評議会への参加要請
魔法共生菌防衛体制への勧誘と散布
使節団メンバー
評議会代表 カセーム王国 ピステル・カセーム王
代表代理 神聖アリス教国 リュウジ・アリステリアス王
代表代理 聖アリステリアス王国 ヒュペリオン・アリステリアス王
魔法共生菌防衛体制本部
特効薬、無害化魔法共生菌配布プロジェクト 主任 ネム
なお、これ以外に以下の使節団警備担当が承認された。
警備主任 椎名美鈴
警備 聖アリステリアス王国 近衛神魔動車隊
警備 七人の侍女隊/神魔動飛空二輪
また、これに合わせて以下も公表された。どれも神聖アリス教国の事業である。
無害化菌量産
特効薬量産
派遣飛行船の改修
* * *
後日、俺は椎名美鈴に警備主任と七人の侍女隊の訓練を依頼した。
「こういうわけで、大陸連絡評議会使節団の警備を任せたい」
「分かったわ。まぁ、あなたがいるんだから七人の侍女隊の警備は教育の一貫なんでしょ?」
「まぁな。でも、力の使い方は練習しとかないと不味い」
「そうね。見た目が弱そうなのに、めっちゃ強いのが問題と言えば問題よね」
「そう。不届き者に、その気を起こさせてしまうからな」
「思いっきり後悔することになるものね」
「生きてたらな。ってか、下手すると国が滅ぶし」
「そうね。あ~それだったら、試し打ちとかを公開しちゃったら?」
「うん、それも考えとくか。動画とか見せられればいいんだけど」
「そうよね。ま、とりあえず力を抑える練習はさせとくわね」
「うん、よろしく」
椎名美鈴は責任重大である。
ま、彼女自身もその危ない人間の一人なのだが。
もちろん侍女隊の訓練は強化訓練ではない。手加減訓練である。
* * *
神魔動車の設計室で、俺はミルルの従弟で魔道具技師のランティスと弟スペルズと話していた。
使節団派遣に合わせて、侍女隊が乗る神魔動アシスト自転車の次期バージョンを開発しようと考えているのだ。
今回俺は自転車の領域を大きく逸脱した二輪車を計画している。改良ではない。新規開発だ。
「空を飛べるようにするんですか?」兄のランティスだ
「そうだ。飛空二輪車だ」
「そうすると重心が高いから、ちょっと工夫が必要ですね」
兄のランティスは最初から重要なポイントを指摘してきた。
新規開発なので彼が担当するようだ。飛行艇や飛行船で実績は十分なので、安心して頼める。
「そこでだ。従来の浮遊装置と違う方式を採用したい」
俺は、新しいエンジンの話を始めた。
「ち、違う方式ですか」
ランティス、何かを感じたのか唾を飲む。
「そうだ。全く違う方式だ」
弟のスペルズも静かに聞いているが手に力が入っている。
「従来、浮遊装置の作用点は機体の重心より高い位置の四点だった」
「はい。そうですね」
「今回は、これを止めて操縦者を含む機体の空間全体を加速する。こうすると操縦者も同時に加速するから、急加速に耐えられるようになる」
俺は基本となる考えを説明した。
「加速を全体に?」とランティス。
いまいちピンと来ていないようだ。
「そうだ。俺達が魔法で飛ぶときは、体の一部を加速している訳じゃない。体全体を加速しているんだ。これは、自動荷車や飛行船の加速とは違うんだ」
「どう違うんです?」
「背もたれに押されないってこと」
「ええええっ? じゃ、どうなるんです」
「感覚的には自分で走ってるのと同じだよ。自分で走る時は押されてないだろ?」
「それはそうですが」
「前に向かって加速すると、前から押される感じがする」
「あ~っ。なるほど。そうなるんですね」
「これだと、急加速しても体に負担がないんだよ。自分で飛んでるのと同じだからコントロールもし易いと思う」
「なるほど。なんか凄いです」
「兄者、是非やってみたい!」
スペルズもその気になったようだ。
俺は、神魔科学の女神と一緒に考えた神魔動外周エンジンを二人に説明した。原理さえ分かれば、あとは任せられるだろう。
説明が終わったとき、二人の技師は震えていた。
「こ、これを俺達が作るんですね?」
「そうだ、まだ設計も出来ていない代物だ。実際に使えるものに出来るかどうかさえ分からない。恐らく、神様たちと一緒に設計してもらう必要がある。やってくれるか?」
「もちろんです」とランティス。
「こんな面白い仕事、断る筈ありません」とスペルズ。
「特に、実機のフォルムを含む物理的な設計は全部二人に頼むことになる」
「わかりました」とランティス。
「どんとこいです」とスペルズ。
「防御フィールドは使うが、過酷な環境での耐久性も求められる。簡単じゃないぞ」と俺も釘を指す。
「そうですね」とランティス。
「やり甲斐があるね。しかも、七人の侍女隊が乗るんでしょ? 間違ってもケガさせられない」とスペルズ。
まぁ、彼女たちなら最悪自分で防御フィールドを張れるけど。
「うん、その通りだね」とランティスもやる気だ。
これ以外に、聖アリステリアス王国の近衛兵用の神魔動車の開発も依頼した。この担当は弟のスペルズだ。
ちなみにスペックはこうなった
・神魔動飛空二輪
侍女隊専用
無害化エナジーモジュール装備
新開発外周エンジン搭載
巡航飛行速度時速四百五十キロメートル
最高飛行速度時速七百五十キロメートル
魔法によるターボ使用時 マッハ一・〇以上
地上走行 制限速度 時速八十キロメートル
装備
防御フィールド装置
小型拘束フィールド装置
ショックビーム
軽エナジービーム砲
・近衛神魔動車
地上制限速度 時速八十キロメートル
装備
防御フィールド装置
Aボタン飛翔装置
調子に乗って、思いついたものを全部入れてしまった。
ちょっと詰め込み過ぎだろうか? 神様が居るから大丈夫だと思うけど。
もちろん、神魔動飛空二輪の攻撃兵器は手加減装置である。
魔法ドリンクを飲んだ彼女たちが直接撃つと被害が拡大してしまうからだ。
大陸連絡評議会は神力フォンの会議を去年の8月から毎月開催している。
その意味で今回は一周年の区切りだった。
今回の大陸連絡評議会のテーマは以下の通り。
・次期評議会代表の選出
・無害化魔法共生菌散布の承認
・他の大陸への拡大
今回の評議会ではまず、次の代表の選出を行った。
ずっと俺がやるわけにもいかない。評議会は俺の支配体制ではない。国際機関を謳う以上、公平に交代しなければならない。
それに、俺には差し迫った問題がある。代表をこのまま続けたら、嫁が大量発生する危険性がある。これは絶対に阻止しなければならない。
厳正なる投票の結果、次期代表はカセーム王国ピステル・カセーム王と決定した。
うん、頑張ってほしい。まぁ、実際は特別な事情がない限り、評議会の代表は参加国間で持ち回りになるだろう。
新たに作成した無害化魔法共生菌については、さすがに勝手に散布するわけにもいかないので各国の承認を貰ってから散布することにした。
慎重な国では散布を遅らせるかもしれない。国の事情により違う。
* * *
そして、今回の最大の課題、『他の大陸への拡大』が話題に上った。
「東の大陸の話はご先祖様から聞いてはいましたが、まさか本当にあるとは思いませんでしたな。出来ることなら交易してみたいものです」
オキ神国のラーセル法王だ。
中央大陸からだと、おそらくオキ神国が玄関口となるだろう。東の大陸への航路が開ければ、オキ神国は辺境の国ではなく文字通り世界の中心になるのだから関心も高い。
「わが国では浜に漂着する人がいたようで、『南北大陸』と言うらしいことは聞いております」アイデス王国のノミナス国王だ。
「ほう、『南北大陸』と。どのくらい離れているんでしょうな」とラーセル法王。
あまり定かではないが、おおよそ二千キロの彼方と伝わっているらしい。漂流した日数からの概算なので、はっきりしないのは当然だ。
俺が神眼で見たところ、約千二百キロといったところだったのでかなり正確だ。
ただ、間に島が無く、波も荒いため航海は難しい。海流の関係で中央大陸へ来るのは可能だが、逆は難しいようだ。
「なんでも、荒い海でなかなか船を出せないそうです」とノミナス国王。
「なるほど。それで今まで交易が出来なかったのですな」
聖アリステリアス王国のヒュペリオン王も納得した様子だ。
他の大陸への拡大については国の事情により対応が違う。
各国が気にするのは、南北大陸が加わることで貿易がどう変化するかだ。
魅力的な商品はあるのか、自国と競合しないのか、あるいは市場としての価値はあるのか、等々。
遠方ではあるものの、高速神魔動飛行船による定期便が就航すれば大きく世界は変化する。だから他人ごとにはできない。
* * *
このほか評議会の大きなテーマではないが、他の案件についても話し合われた。
「やはり、高速神魔動飛行船の定期便を早期に就航して貰いたい」
ピステル・カセームから要請された。
他の国からも同様な要望が出た。自動荷車があり街道が整備されたとしても、大陸の端の国はアクセスに時間が掛かるからだ。
「現在ある飛行船をもとに汎用の高速神魔動飛行船を計画しています。設計が完了したら直ちに製造を開始する予定で、来年の春の就航を目指しています」と俺は説明した。
「つまり来年、貴国の建国祭には定期便で参加出来るというわけですな」これはナディアス自治区のボーフェンだ。
「はい。そう出来るよう努力しています」
「素晴らしい。そうなれば、各国の建国祭にも互いに参加できるようになりますな。そのようなことが可能になるとは!」
オキ神国のラーセル法王が感慨深げに言う。かつて繁栄していた頃を知っている数少ない王族なのだが、それでもこんなことは無かったということか。
「うむ。誰もが飛行船に乗れる日も待ち遠しいが、いつか乗ってみたいと願うだけでも大違いでしょうな。新たな希望となるでありましょう」とボーフェン。
「左様。今までは、夢想することすら許されなかったこと。いや、不可能だったというべきか」
ラーセル法王は遠い目をして言った。
二人が何を思ったかはともかく、他の大陸への全権使節団は以下のように決まった。
各国とも全く付き合いのない国への対応なので慎重な構えではある。
派遣目的
大陸連絡評議会への参加要請
魔法共生菌防衛体制への勧誘と散布
使節団メンバー
評議会代表 カセーム王国 ピステル・カセーム王
代表代理 神聖アリス教国 リュウジ・アリステリアス王
代表代理 聖アリステリアス王国 ヒュペリオン・アリステリアス王
魔法共生菌防衛体制本部
特効薬、無害化魔法共生菌配布プロジェクト 主任 ネム
なお、これ以外に以下の使節団警備担当が承認された。
警備主任 椎名美鈴
警備 聖アリステリアス王国 近衛神魔動車隊
警備 七人の侍女隊/神魔動飛空二輪
また、これに合わせて以下も公表された。どれも神聖アリス教国の事業である。
無害化菌量産
特効薬量産
派遣飛行船の改修
* * *
後日、俺は椎名美鈴に警備主任と七人の侍女隊の訓練を依頼した。
「こういうわけで、大陸連絡評議会使節団の警備を任せたい」
「分かったわ。まぁ、あなたがいるんだから七人の侍女隊の警備は教育の一貫なんでしょ?」
「まぁな。でも、力の使い方は練習しとかないと不味い」
「そうね。見た目が弱そうなのに、めっちゃ強いのが問題と言えば問題よね」
「そう。不届き者に、その気を起こさせてしまうからな」
「思いっきり後悔することになるものね」
「生きてたらな。ってか、下手すると国が滅ぶし」
「そうね。あ~それだったら、試し打ちとかを公開しちゃったら?」
「うん、それも考えとくか。動画とか見せられればいいんだけど」
「そうよね。ま、とりあえず力を抑える練習はさせとくわね」
「うん、よろしく」
椎名美鈴は責任重大である。
ま、彼女自身もその危ない人間の一人なのだが。
もちろん侍女隊の訓練は強化訓練ではない。手加減訓練である。
* * *
神魔動車の設計室で、俺はミルルの従弟で魔道具技師のランティスと弟スペルズと話していた。
使節団派遣に合わせて、侍女隊が乗る神魔動アシスト自転車の次期バージョンを開発しようと考えているのだ。
今回俺は自転車の領域を大きく逸脱した二輪車を計画している。改良ではない。新規開発だ。
「空を飛べるようにするんですか?」兄のランティスだ
「そうだ。飛空二輪車だ」
「そうすると重心が高いから、ちょっと工夫が必要ですね」
兄のランティスは最初から重要なポイントを指摘してきた。
新規開発なので彼が担当するようだ。飛行艇や飛行船で実績は十分なので、安心して頼める。
「そこでだ。従来の浮遊装置と違う方式を採用したい」
俺は、新しいエンジンの話を始めた。
「ち、違う方式ですか」
ランティス、何かを感じたのか唾を飲む。
「そうだ。全く違う方式だ」
弟のスペルズも静かに聞いているが手に力が入っている。
「従来、浮遊装置の作用点は機体の重心より高い位置の四点だった」
「はい。そうですね」
「今回は、これを止めて操縦者を含む機体の空間全体を加速する。こうすると操縦者も同時に加速するから、急加速に耐えられるようになる」
俺は基本となる考えを説明した。
「加速を全体に?」とランティス。
いまいちピンと来ていないようだ。
「そうだ。俺達が魔法で飛ぶときは、体の一部を加速している訳じゃない。体全体を加速しているんだ。これは、自動荷車や飛行船の加速とは違うんだ」
「どう違うんです?」
「背もたれに押されないってこと」
「ええええっ? じゃ、どうなるんです」
「感覚的には自分で走ってるのと同じだよ。自分で走る時は押されてないだろ?」
「それはそうですが」
「前に向かって加速すると、前から押される感じがする」
「あ~っ。なるほど。そうなるんですね」
「これだと、急加速しても体に負担がないんだよ。自分で飛んでるのと同じだからコントロールもし易いと思う」
「なるほど。なんか凄いです」
「兄者、是非やってみたい!」
スペルズもその気になったようだ。
俺は、神魔科学の女神と一緒に考えた神魔動外周エンジンを二人に説明した。原理さえ分かれば、あとは任せられるだろう。
説明が終わったとき、二人の技師は震えていた。
「こ、これを俺達が作るんですね?」
「そうだ、まだ設計も出来ていない代物だ。実際に使えるものに出来るかどうかさえ分からない。恐らく、神様たちと一緒に設計してもらう必要がある。やってくれるか?」
「もちろんです」とランティス。
「こんな面白い仕事、断る筈ありません」とスペルズ。
「特に、実機のフォルムを含む物理的な設計は全部二人に頼むことになる」
「わかりました」とランティス。
「どんとこいです」とスペルズ。
「防御フィールドは使うが、過酷な環境での耐久性も求められる。簡単じゃないぞ」と俺も釘を指す。
「そうですね」とランティス。
「やり甲斐があるね。しかも、七人の侍女隊が乗るんでしょ? 間違ってもケガさせられない」とスペルズ。
まぁ、彼女たちなら最悪自分で防御フィールドを張れるけど。
「うん、その通りだね」とランティスもやる気だ。
これ以外に、聖アリステリアス王国の近衛兵用の神魔動車の開発も依頼した。この担当は弟のスペルズだ。
ちなみにスペックはこうなった
・神魔動飛空二輪
侍女隊専用
無害化エナジーモジュール装備
新開発外周エンジン搭載
巡航飛行速度時速四百五十キロメートル
最高飛行速度時速七百五十キロメートル
魔法によるターボ使用時 マッハ一・〇以上
地上走行 制限速度 時速八十キロメートル
装備
防御フィールド装置
小型拘束フィールド装置
ショックビーム
軽エナジービーム砲
・近衛神魔動車
地上制限速度 時速八十キロメートル
装備
防御フィールド装置
Aボタン飛翔装置
調子に乗って、思いついたものを全部入れてしまった。
ちょっと詰め込み過ぎだろうか? 神様が居るから大丈夫だと思うけど。
もちろん、神魔動飛空二輪の攻撃兵器は手加減装置である。
魔法ドリンクを飲んだ彼女たちが直接撃つと被害が拡大してしまうからだ。
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