100 / 189
南北大陸編
100 南北大陸へ-城塞都市国家モニ-
しおりを挟む
翌日、俺達はマッセム・モニ王子御一行約二十名程と、パルス王国ヒスビス国王と従者約二十名程を伴って飛行船に乗り込んだ。
「まぁ、なんと美しい船でしょう」
飛行船を見たヒスビス王の第一妃、マレインが驚きの声を上げた。
「ほんとうに、高貴な乗り物ですこと」
こちらは第二妃のフィスラーである。
ヒスビス王が比較的若いので二人の妃ともに若かった。
昨日の晩餐会の席で、この飛行船に乗ってモニ国へ行くと話した途端、自分たちも付いて行くと言い出した。当然といえば当然だが、まだ好奇心旺盛な年頃でもあるようだ。
第一妃は第一王子セルビスを連れている。もちろん特別客室に案内した。
また、俺がカフェムを大量に買い付けたいと申し出たので、追加でコーヒーの木を作付けることになったのだが、その農園を上空から見ていこうということになった。
コーヒーの木は地球と同じで高地で栽培されている。パルス王国では青竜山の山腹で育てているとのこと。大陸の端にあった、あの三千メートル級の山がそうらしい。
* * *
「素晴らしい空の旅ですな。こんなに優雅な乗り物とは思いませんでした」
展望席に出て来たヒスビス王が感嘆の声を上げる。
「この最新式になってからです。それまでは、大騒ぎしていたものです」
これは、聖アリステリアス王国のヒュペリオン王だ。
実は彼もカフェムを気に入ったようで、俺と同じくしこたま買い付けて倉庫に積み込んでいた。固い皮つきのパーチメントのままでは直ぐに飲めないので脱穀済みのものにしたのだが、もっと大量に輸入するなら脱穀機も必要だろう。
無害化魔法共生菌を散布しつつ飛行しているので速度はゆっくりなのだが、それはコーヒー農園を見るためでもある。
魔道具による散布は嫁達が順に担当してくれている。
「あの、中腹当たりです」
ヒスビス王が指さす当たりを見ると、確かに整然と等間隔に植えられたコーヒーの木があった。
「あの高さでもう少し幅を広げて作付けする予定です」
「あのくらいの高さでないと育たないのでしょうか?」
これはピステル王だ。彼はカフェムを自国で育てたいとのこと。苗木を何本か貰って部屋に置いている。
「高さと言うより温度ですね。また、温度差も必要なようです」とヒスビス王。
「なるほど。難しそうですね」
「飛行船が行き来するようになれば技術者を派遣できますよ」
「それは、楽しみです」
俺達は青竜山を回った後、モニ国へ向かった。
* * *
パルス王国の南端はゆるい湾になっているが、この海岸伝いに三百キロメートルほど南下してから東に転進し、陸上を二百キロメートル程行ったところにモニ王国はあった。
逆方向にある青竜山を回って遠回りしたので、七百キロメートル程の行程だったのだが一時間程度で到着した。
パルス王国の面々もモニ王国の面々も唖然としていた。
いや、景色がまさに飛ぶように変わっていたので、驚異的な速度なのは分かっていたようだが実際に到着してみて実感したようだ。
「わたくし、何泊かするつもりでおりました。まだ、衣装を解く前で良かったわ」とマレイン妃。
なるほど。確かに女性陣は大変ですよね。
「いや、今日というか、あっと言う間でした」とヒスビス王。
本格的に飛び始めて一時間ですからね。
「地形が良く分かっておもしろいですね」とマッセム王子。
さすがに若いだけあって面白い視点だな。上空から、持っていた地図を修正していたほどだ。こやつ出来るな。
* * *
飛び立ったパルス王国は大陸の西側だが、モニ王国は東側の海沿いにあった。
モニ王国があるのは大陸の幅が一番狭くなっている場所だったのだ。城塞都市国家モニは、その東の海に面した小さい港街だった。
ここは緩い湾なので比較的波が荒く外海に近いようだ。
このため漁業の街というわけでは無く、カフェムの栽培など農業のほうが盛んなようだった。
ただ、モニに到着したのはいいが、ひと悶着あった。
上空から降りて来た飛行船を怪しんだ衛兵たちが高い城壁の上から矢を放ってきたのだ。
これは、ありうると思っていたので問題はないのだが、王子がひどく恐縮してしまいビデオ投影での呼びかけに王子自ら参加してくれた。
「衛兵達よ、しばし待て。私だ、マッセム・モニだ。黒青病の特効薬を手に入れた故、パルス王国より急ぎ帰って来た。父上に伝えよ」
王子の後ろに一緒に映っているのがパルス王国のヒスビス王なのも分かり、さすがに納得したようだ。ま、巨大化してる点を除いて。
それでも、いきなり城塞都市上空へ行くのは止め、門外にゆっくりと着地した。
しばらくすると門からモニ王国のイェルメス国王以下、二十名程の代表団が出て来た。
* * *
王子と予め話していたこともあり、話はすんなりと進んだ。
ここでも、黒青病の特効薬の話は大きな驚きとともに感謝された。大陸連絡評議会参加や魔法共生菌防衛体制参加も全く問題は無く、すぐさま承認された。
もちろん同時に特効薬の即時提供を嘆願された。
特効薬は効果が早く、その効果をパルス国でヒスビス王が見ていることもあり直ぐに処方されることになった。マッセム王子が熱望するだけあってモニ国のほうが感染は酷かったようだ。
そんな事情もあり、大陸連絡評議会の参加セレモニーは到着当日に実施された。
到着した時間が早かったこともある。昼食前にはセッティングが完了し、パルス王国と同様のセレモニーが繰り広げられた。
ここでも、大きな驚きとともに七人の侍女隊は大人気となった。
城塞都市内にも無害化魔法共生菌を散布したので、人々は歓喜のうちに通りへと繰り出してその体に無害化魔法共生菌を受けていた。
これで安心というわけである。
* * *
モニ王国でも今はカフェム祭とのことだった。
黒青病のことがあり、いまいち盛り上がれなかったようだが、無害化魔法共生菌を散布後は我慢していた分もあり大騒ぎになった。
俺達の歓迎式典とカフェム祭が一緒になってわけが分からなくなっている。また、時間がたつにつれて患者が回復したとの知らせも入りボルテージは上がりっぱなしだ。
まぁ、もともと南国特有の明るい人たちだったのだろう。これで、元に戻れたというわけだ。
「おい、見たかあの空飛ぶ船。飛行船って言うらしいぜ」
「ああ、天界からの使者らしいじゃねぇか。特効薬を持った女神様のお使いじゃねぇのか?」
「ちげぇねぇ。俺っちが祈ってたかんな。女神様の思し召しってぇこった」
「やっぱ、やさしい女神様にすがるしかねぇよな」
「んだな。おらたちの村じゃ、昔っからあの女神様だぁ」
「そいつぁ、てぇしたもんだ。俺っちも、負けてらんねぇな」
とりあえず、色んな所から人が集まっているようです。
* * *
「なんだか、楽しい街ね。いろんな文化が混じった感じなのは、大陸の中央だからかしら?」
ちょっと街を歩いてみたいと言うので、ニーナ達と夕方の街に繰り出した。
「言葉もいろいろだけど衣装もそれぞれね。面白いわ」
セシルが珍しく食いついている。
「先ほどのカフェムダンスも楽しいし民族衣装も独特ですわね」
アルテミスはやはりダンス関係が気になるようだ。
「わらわは、このイカ焼きが気に入ったのじゃ」
そう、これは俺も驚いた。ほぼあのイカ焼きなのだ。
パルス王国にはないそうなので大陸北部の北洋王国から来た人たちが伝えたものらしい。ただ、醤油らしき味付けは隣の農業国から来たものらしいが。
両国とも、ちょっと楽しみだ。
「ねぇリュウジ」
ニーナがふと思い出したように言った。
「うん?」
「リュウジがカフェムを知ってるのって、自分の……その、故郷で飲んでたんでしょ?」
「ああ、そうだな。中央大陸にはないからな」
「そこでも、流行ってたの?」
「うん、基本はお茶なんだけど、コーヒーも……カフェムのことだけど、かなり飲んでたな。もちろん産地は別の国なんだけど」
「そうなんだ。リュウジ、故郷の事あんまり話さないよね。たまには話してもいんじゃない?」
ニーナはそんなことを言った。
「ん? ああそうか、バレないようにしてたからニーナ達は知らないか。あ、でもアリスがタブレットで見せてるのは全部俺の国だから」
「あ、あれがコーヒーだったんだ! やっと分かったわ!」
アリス、やっと思い当たった模様。そりゃ、出てくるよな。
「そうね。そう言えばコーヒーって言ってたわね!」
イリス様もよく見ておいでですね。
「我は、焼酎という強い酒が所望だが」そう来たか。
「あ、そういえば、焼酎にコーヒー豆を漬け込んだ酒ってのもあったなぁ」
「なに! それは飲んでみたいのぉ。どこかに焼酎はないのか?」とウリス様。
「まだ、見つけてないですね」
「残念である」
「私は、リュウジが見つけた時に何が起こるか心配だけど」
エリス様、期待しすぎです。あれ? 起こせなくもないか。蒸留酒ないもんな。
* * *
帰りにはモニ王国のモニ・カフェムもしこたま仕入れた。
というか、買い付ける前に山積みされた。しかも毎年タダで贈りたいとか言い出したので流石にそれは断り、パルス王国と同様に作付けをお願いした。
こちらは、パルス王国より土地の面積があるらしく期待できそうだ。
一旦、味を知れば中央大陸全土の需要が凄いことになる筈なのでいくらでもお願いしたいところだ。
翌日、パルス王国御一行を送り届けて大陸の北へ旅立とうと計画していたら、ヒスビス王が自分達も一緒に連れて行ってくれと言い出した。
もともと、一週間程度の旅程を考えていたとのことでこのまま同行できるとのこと。この大陸の王族が居るのは助かるので了承した。
パルス王国御一行を送り返すなら大陸の西側を北上する予定だったが、一緒に来ることになったのでモニ王国から大陸の東側を北上することにした。
北には農業国のステル王国がある。南北大陸は背骨のように走るロキー山脈によって東西に分断されていた。
「まぁ、なんと美しい船でしょう」
飛行船を見たヒスビス王の第一妃、マレインが驚きの声を上げた。
「ほんとうに、高貴な乗り物ですこと」
こちらは第二妃のフィスラーである。
ヒスビス王が比較的若いので二人の妃ともに若かった。
昨日の晩餐会の席で、この飛行船に乗ってモニ国へ行くと話した途端、自分たちも付いて行くと言い出した。当然といえば当然だが、まだ好奇心旺盛な年頃でもあるようだ。
第一妃は第一王子セルビスを連れている。もちろん特別客室に案内した。
また、俺がカフェムを大量に買い付けたいと申し出たので、追加でコーヒーの木を作付けることになったのだが、その農園を上空から見ていこうということになった。
コーヒーの木は地球と同じで高地で栽培されている。パルス王国では青竜山の山腹で育てているとのこと。大陸の端にあった、あの三千メートル級の山がそうらしい。
* * *
「素晴らしい空の旅ですな。こんなに優雅な乗り物とは思いませんでした」
展望席に出て来たヒスビス王が感嘆の声を上げる。
「この最新式になってからです。それまでは、大騒ぎしていたものです」
これは、聖アリステリアス王国のヒュペリオン王だ。
実は彼もカフェムを気に入ったようで、俺と同じくしこたま買い付けて倉庫に積み込んでいた。固い皮つきのパーチメントのままでは直ぐに飲めないので脱穀済みのものにしたのだが、もっと大量に輸入するなら脱穀機も必要だろう。
無害化魔法共生菌を散布しつつ飛行しているので速度はゆっくりなのだが、それはコーヒー農園を見るためでもある。
魔道具による散布は嫁達が順に担当してくれている。
「あの、中腹当たりです」
ヒスビス王が指さす当たりを見ると、確かに整然と等間隔に植えられたコーヒーの木があった。
「あの高さでもう少し幅を広げて作付けする予定です」
「あのくらいの高さでないと育たないのでしょうか?」
これはピステル王だ。彼はカフェムを自国で育てたいとのこと。苗木を何本か貰って部屋に置いている。
「高さと言うより温度ですね。また、温度差も必要なようです」とヒスビス王。
「なるほど。難しそうですね」
「飛行船が行き来するようになれば技術者を派遣できますよ」
「それは、楽しみです」
俺達は青竜山を回った後、モニ国へ向かった。
* * *
パルス王国の南端はゆるい湾になっているが、この海岸伝いに三百キロメートルほど南下してから東に転進し、陸上を二百キロメートル程行ったところにモニ王国はあった。
逆方向にある青竜山を回って遠回りしたので、七百キロメートル程の行程だったのだが一時間程度で到着した。
パルス王国の面々もモニ王国の面々も唖然としていた。
いや、景色がまさに飛ぶように変わっていたので、驚異的な速度なのは分かっていたようだが実際に到着してみて実感したようだ。
「わたくし、何泊かするつもりでおりました。まだ、衣装を解く前で良かったわ」とマレイン妃。
なるほど。確かに女性陣は大変ですよね。
「いや、今日というか、あっと言う間でした」とヒスビス王。
本格的に飛び始めて一時間ですからね。
「地形が良く分かっておもしろいですね」とマッセム王子。
さすがに若いだけあって面白い視点だな。上空から、持っていた地図を修正していたほどだ。こやつ出来るな。
* * *
飛び立ったパルス王国は大陸の西側だが、モニ王国は東側の海沿いにあった。
モニ王国があるのは大陸の幅が一番狭くなっている場所だったのだ。城塞都市国家モニは、その東の海に面した小さい港街だった。
ここは緩い湾なので比較的波が荒く外海に近いようだ。
このため漁業の街というわけでは無く、カフェムの栽培など農業のほうが盛んなようだった。
ただ、モニに到着したのはいいが、ひと悶着あった。
上空から降りて来た飛行船を怪しんだ衛兵たちが高い城壁の上から矢を放ってきたのだ。
これは、ありうると思っていたので問題はないのだが、王子がひどく恐縮してしまいビデオ投影での呼びかけに王子自ら参加してくれた。
「衛兵達よ、しばし待て。私だ、マッセム・モニだ。黒青病の特効薬を手に入れた故、パルス王国より急ぎ帰って来た。父上に伝えよ」
王子の後ろに一緒に映っているのがパルス王国のヒスビス王なのも分かり、さすがに納得したようだ。ま、巨大化してる点を除いて。
それでも、いきなり城塞都市上空へ行くのは止め、門外にゆっくりと着地した。
しばらくすると門からモニ王国のイェルメス国王以下、二十名程の代表団が出て来た。
* * *
王子と予め話していたこともあり、話はすんなりと進んだ。
ここでも、黒青病の特効薬の話は大きな驚きとともに感謝された。大陸連絡評議会参加や魔法共生菌防衛体制参加も全く問題は無く、すぐさま承認された。
もちろん同時に特効薬の即時提供を嘆願された。
特効薬は効果が早く、その効果をパルス国でヒスビス王が見ていることもあり直ぐに処方されることになった。マッセム王子が熱望するだけあってモニ国のほうが感染は酷かったようだ。
そんな事情もあり、大陸連絡評議会の参加セレモニーは到着当日に実施された。
到着した時間が早かったこともある。昼食前にはセッティングが完了し、パルス王国と同様のセレモニーが繰り広げられた。
ここでも、大きな驚きとともに七人の侍女隊は大人気となった。
城塞都市内にも無害化魔法共生菌を散布したので、人々は歓喜のうちに通りへと繰り出してその体に無害化魔法共生菌を受けていた。
これで安心というわけである。
* * *
モニ王国でも今はカフェム祭とのことだった。
黒青病のことがあり、いまいち盛り上がれなかったようだが、無害化魔法共生菌を散布後は我慢していた分もあり大騒ぎになった。
俺達の歓迎式典とカフェム祭が一緒になってわけが分からなくなっている。また、時間がたつにつれて患者が回復したとの知らせも入りボルテージは上がりっぱなしだ。
まぁ、もともと南国特有の明るい人たちだったのだろう。これで、元に戻れたというわけだ。
「おい、見たかあの空飛ぶ船。飛行船って言うらしいぜ」
「ああ、天界からの使者らしいじゃねぇか。特効薬を持った女神様のお使いじゃねぇのか?」
「ちげぇねぇ。俺っちが祈ってたかんな。女神様の思し召しってぇこった」
「やっぱ、やさしい女神様にすがるしかねぇよな」
「んだな。おらたちの村じゃ、昔っからあの女神様だぁ」
「そいつぁ、てぇしたもんだ。俺っちも、負けてらんねぇな」
とりあえず、色んな所から人が集まっているようです。
* * *
「なんだか、楽しい街ね。いろんな文化が混じった感じなのは、大陸の中央だからかしら?」
ちょっと街を歩いてみたいと言うので、ニーナ達と夕方の街に繰り出した。
「言葉もいろいろだけど衣装もそれぞれね。面白いわ」
セシルが珍しく食いついている。
「先ほどのカフェムダンスも楽しいし民族衣装も独特ですわね」
アルテミスはやはりダンス関係が気になるようだ。
「わらわは、このイカ焼きが気に入ったのじゃ」
そう、これは俺も驚いた。ほぼあのイカ焼きなのだ。
パルス王国にはないそうなので大陸北部の北洋王国から来た人たちが伝えたものらしい。ただ、醤油らしき味付けは隣の農業国から来たものらしいが。
両国とも、ちょっと楽しみだ。
「ねぇリュウジ」
ニーナがふと思い出したように言った。
「うん?」
「リュウジがカフェムを知ってるのって、自分の……その、故郷で飲んでたんでしょ?」
「ああ、そうだな。中央大陸にはないからな」
「そこでも、流行ってたの?」
「うん、基本はお茶なんだけど、コーヒーも……カフェムのことだけど、かなり飲んでたな。もちろん産地は別の国なんだけど」
「そうなんだ。リュウジ、故郷の事あんまり話さないよね。たまには話してもいんじゃない?」
ニーナはそんなことを言った。
「ん? ああそうか、バレないようにしてたからニーナ達は知らないか。あ、でもアリスがタブレットで見せてるのは全部俺の国だから」
「あ、あれがコーヒーだったんだ! やっと分かったわ!」
アリス、やっと思い当たった模様。そりゃ、出てくるよな。
「そうね。そう言えばコーヒーって言ってたわね!」
イリス様もよく見ておいでですね。
「我は、焼酎という強い酒が所望だが」そう来たか。
「あ、そういえば、焼酎にコーヒー豆を漬け込んだ酒ってのもあったなぁ」
「なに! それは飲んでみたいのぉ。どこかに焼酎はないのか?」とウリス様。
「まだ、見つけてないですね」
「残念である」
「私は、リュウジが見つけた時に何が起こるか心配だけど」
エリス様、期待しすぎです。あれ? 起こせなくもないか。蒸留酒ないもんな。
* * *
帰りにはモニ王国のモニ・カフェムもしこたま仕入れた。
というか、買い付ける前に山積みされた。しかも毎年タダで贈りたいとか言い出したので流石にそれは断り、パルス王国と同様に作付けをお願いした。
こちらは、パルス王国より土地の面積があるらしく期待できそうだ。
一旦、味を知れば中央大陸全土の需要が凄いことになる筈なのでいくらでもお願いしたいところだ。
翌日、パルス王国御一行を送り届けて大陸の北へ旅立とうと計画していたら、ヒスビス王が自分達も一緒に連れて行ってくれと言い出した。
もともと、一週間程度の旅程を考えていたとのことでこのまま同行できるとのこと。この大陸の王族が居るのは助かるので了承した。
パルス王国御一行を送り返すなら大陸の西側を北上する予定だったが、一緒に来ることになったのでモニ王国から大陸の東側を北上することにした。
北には農業国のステル王国がある。南北大陸は背骨のように走るロキー山脈によって東西に分断されていた。
43
あなたにおすすめの小説
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
スキル『レベル1固定』は最強チートだけど、俺はステータスウィンドウで無双する
うーぱー
ファンタジー
アーサーはハズレスキル『レベル1固定』を授かったため、家を追放されてしまう。
そして、ショック死してしまう。
その体に転成した主人公は、とりあえず、目の前にいた弟を腹パンざまぁ。
屋敷を逃げ出すのであった――。
ハズレスキル扱いされるが『レベル1固定』は他人のレベルを1に落とせるから、ツヨツヨだった。
スキルを活かしてアーサーは大活躍する……はず。
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
濡れ衣を着せられ、パーティーを追放されたおっさん、実は最強スキルの持ち主でした。復讐なんてしません。田舎でのんびりスローライフ。
さら
ファンタジー
長年パーティーを支えてきた中年冒険者ガルドは、討伐失敗の責任と横領の濡れ衣を着せられ、仲間から一方的に追放される。弁明も復讐も選ばず、彼が向かったのは人里離れた辺境の小さな村だった。
荒れた空き家を借り、畑を耕し、村人を手伝いながら始めた静かな生活。しかしガルドは、自覚のないまま最強クラスの力を持っていた。魔物の動きを抑え、村の環境そのものを安定させるその存在は、次第に村にとって欠かせないものとなっていく。
一方、彼を追放した元パーティーは崩壊の道を辿り、真実も勝手に明るみに出ていく。だがガルドは振り返らない。求めるのは名誉でもざまぁでもなく、ただ穏やかな日々だけ。
これは、最強でありながら争わず、静かに居場所を見つけたおっさんの、のんびりスローライフ譚。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる