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タイムリープ編(完結編)
187 第三王女
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「王女様! 王女様! 宮廷絵師のエリス様がおいでです。出て来てくださいっ」
「いや~っ」
侍女の言葉に、クローゼットの中から声がした。
「もう、王女様、困らせないでください。エリス様が悲しみますよ」
「知らない。絵なんて退屈だもん。外で遊びたい!」
「いけません。成人の儀で肖像画が無くて笑われても宜しいのですか?」
なるほど。成人式でみんなに見せる肖像画なんだ。確かに、近くで見られない人が多いだろうからな。
「うううっ」それは、嫌らしい。
「すぐに終えるように、私からもお願いしますから、出て来てください」
「ううん」
「あ、エリス様がお友達を連れて来てくれたようですよ。きっと、お話してる間に絵が出来てしまいますよ」
俺を見て侍女が不穏なことを言い出した。
お友達って、俺か? しかし、上手いこと言うな。さすが侍女だ。
「本当?」
王女は、なんとか機嫌を直したようだ。
クローゼットから出ると俺の前までやって来た。
「こんにちは」
「こんにちは。初めまして。リュウジと言います」
「えっ、竜神?」また、それかい。竜神大人気だな。
「いえ、竜神ではなくリュウジです」
「まぁ、か弱い乙女を脅かしてはいけません」
全然、か弱くないです。この世界でか弱い女性に会ったことがありません。
「はい、驚きましたか?」
「驚きましたよ、竜神」
「いや、だから……じゃぁ、リュウでもいいですよ」
「んん~っ。怖くないなら竜神がいい!」
さらっと却下されました。嫌いなの? 好きなの?
「怖いかも知れませんよ?」
「怖いんですか?」王女様、ちょっと不安そう。
「お行儀良ければ、怖くありません」
「よかった。なら、私には怖くありません?」その疑問形は、ちょっと心配なのか?
「今日は特別大丈夫にします」
「よかった! 竜神、よろしくね! 私はアリス」
やっぱりか。うん、知ってたよ。これって、やっぱり添い寝の影響か? あれって呪いの儀式だったのか? それにしては、随分可愛くなっちゃって。
「ほう、やはりお主を連れてきて正解だったな。そこで、少し話し相手をしててくれ。わたしは勝手にスケッチする」
「わかりました」
「ふふ。竜神! こっちよ。そこにすわって!」
「だから……まぁいいか」
「まぁいいのよ」
よくないです。言葉遣いが。
それから、俺はアリス少女バージョンのお守役になった。
ああ、そういえば、イリス様を含めて仲良し四人組とか言ってた気がする。あれって、誕生した世界が一緒だったんだな。
* * *
それから、しばらく俺は王女アリスの話し相手になった。
「あはは。竜神はダンス下手なんだ」
「ああ、もう舞踏会は夢でうなされます」
「きゃははは。私もダンスきら~いっ」
あれ? 得意とか言ってなかったか?
「そうなの? でも練習しないと」
「そうなの。でも退屈なのよ」
「練習は、しょうがないよね?」
「竜神が相手してくれたら楽しくなるのに!」
「いやそれは……」
「お、お願いします」
横からさっきの侍女さん、縋るように参戦。何その必死な目。
「えっと」
「お願いします。竜神さんが来てくれたら、王女様もダンスの練習をしてくれます。どうか、お願いします」
いや、リュウさんにお願いしてください。竜神さんじゃなくて。
「いや、俺は仕事があるので」
「ほう、ダンスが出来るのか? なら、いいではないか。当分私は王女様の絵で王城通いだ。ちょっとくらい付き合ってやれ」とエリス様から、いらない突っ込み。
いや、ダンスが下手だって話なんだけど?
「やった~っ。竜神、絶対よ! よろしくね!」
王女様、飛び跳ねて喜ぶ。
それを見て、絵師エリスはスラスラとスケッチする。貴重な表情が見れたのか?
そういえば、成人式だと社交界デビューとかでダンスを踊るんだろうな。
王女アリスが困った顔している姿を想像すると可哀そうになってきた。
ああ、もう断れないし、いいか!
けど、途中で未来に帰ったらどうなるんだ?
それにしても、未来からのメッセージ遅いな?
* * *
そんなわけで、俺とエリス様は毎日のように王城に通うことになった。
王城近くにエリス様の豪邸があり、俺はその一室をあてがわれた。
王女アリスは宮廷内に俺の部屋を確保しようとしたが、さすがにそれは無理だった。
いや、助かった。さすがに、一日中遊び相手は無理だ。
まぁ、王城に部屋を確保できずに残念がったのは王女より侍女の方だったのだが。
そんなある日の午後のお茶会。
「ひこうき? ひこうきって何?」
「空を飛ぶ乗り物だよ。え~と」
俺は、エリスの書き損じの紙を折って紙飛行機を作って飛ばして見せた。
「きゃ~っ、何それ? 何? え~っ、鳥みたい」と王女アリス。
「わっ。王女様いけないのだ。あぶない、あぶないのだ」とウリス様。
いや、危ないのは一番走り回ってるウリス様です。
ウリス様は時々遊びに来ていた。
というか、元々アリスの遊び相手だったらしい。預言者じゃ無かったの?
「お前! 魔法使いだったのか?」なんでだよ。実は使徒だけど。
「いや、これは折り紙というものです」
「おりがみ?」
アリス、興味津々。
「はい、王女様にも作れます」
「だから、アリスだってばっ!」
「アリス様にも作れます」
「ホント? 教えて?」
「はい。ここをこう……」
見るとウリス様も覗き込んでいた。
「一緒に作ります?」
「うむ」
さらに、見るとエリス様も覗き込んでた。
「はい、これはエリス様用です」
「ありがとう」
それから、みんなで紙飛行機大会になった。
で、大騒ぎになった。王女アリスが「竜神の紙飛行機」と言ったらなおさら騒ぎが大きくなった。この世界、なんで紙飛行機が無いんだろ?
「面白いな。お主、こんなものどこで覚えたんだ?」エリス様は不思議そうに言った。
うん? そういえば、どこで覚えたんだろう?
* * *
そして、ある日メッセージ誘導が届いた。
「いや~っ」
侍女の言葉に、クローゼットの中から声がした。
「もう、王女様、困らせないでください。エリス様が悲しみますよ」
「知らない。絵なんて退屈だもん。外で遊びたい!」
「いけません。成人の儀で肖像画が無くて笑われても宜しいのですか?」
なるほど。成人式でみんなに見せる肖像画なんだ。確かに、近くで見られない人が多いだろうからな。
「うううっ」それは、嫌らしい。
「すぐに終えるように、私からもお願いしますから、出て来てください」
「ううん」
「あ、エリス様がお友達を連れて来てくれたようですよ。きっと、お話してる間に絵が出来てしまいますよ」
俺を見て侍女が不穏なことを言い出した。
お友達って、俺か? しかし、上手いこと言うな。さすが侍女だ。
「本当?」
王女は、なんとか機嫌を直したようだ。
クローゼットから出ると俺の前までやって来た。
「こんにちは」
「こんにちは。初めまして。リュウジと言います」
「えっ、竜神?」また、それかい。竜神大人気だな。
「いえ、竜神ではなくリュウジです」
「まぁ、か弱い乙女を脅かしてはいけません」
全然、か弱くないです。この世界でか弱い女性に会ったことがありません。
「はい、驚きましたか?」
「驚きましたよ、竜神」
「いや、だから……じゃぁ、リュウでもいいですよ」
「んん~っ。怖くないなら竜神がいい!」
さらっと却下されました。嫌いなの? 好きなの?
「怖いかも知れませんよ?」
「怖いんですか?」王女様、ちょっと不安そう。
「お行儀良ければ、怖くありません」
「よかった。なら、私には怖くありません?」その疑問形は、ちょっと心配なのか?
「今日は特別大丈夫にします」
「よかった! 竜神、よろしくね! 私はアリス」
やっぱりか。うん、知ってたよ。これって、やっぱり添い寝の影響か? あれって呪いの儀式だったのか? それにしては、随分可愛くなっちゃって。
「ほう、やはりお主を連れてきて正解だったな。そこで、少し話し相手をしててくれ。わたしは勝手にスケッチする」
「わかりました」
「ふふ。竜神! こっちよ。そこにすわって!」
「だから……まぁいいか」
「まぁいいのよ」
よくないです。言葉遣いが。
それから、俺はアリス少女バージョンのお守役になった。
ああ、そういえば、イリス様を含めて仲良し四人組とか言ってた気がする。あれって、誕生した世界が一緒だったんだな。
* * *
それから、しばらく俺は王女アリスの話し相手になった。
「あはは。竜神はダンス下手なんだ」
「ああ、もう舞踏会は夢でうなされます」
「きゃははは。私もダンスきら~いっ」
あれ? 得意とか言ってなかったか?
「そうなの? でも練習しないと」
「そうなの。でも退屈なのよ」
「練習は、しょうがないよね?」
「竜神が相手してくれたら楽しくなるのに!」
「いやそれは……」
「お、お願いします」
横からさっきの侍女さん、縋るように参戦。何その必死な目。
「えっと」
「お願いします。竜神さんが来てくれたら、王女様もダンスの練習をしてくれます。どうか、お願いします」
いや、リュウさんにお願いしてください。竜神さんじゃなくて。
「いや、俺は仕事があるので」
「ほう、ダンスが出来るのか? なら、いいではないか。当分私は王女様の絵で王城通いだ。ちょっとくらい付き合ってやれ」とエリス様から、いらない突っ込み。
いや、ダンスが下手だって話なんだけど?
「やった~っ。竜神、絶対よ! よろしくね!」
王女様、飛び跳ねて喜ぶ。
それを見て、絵師エリスはスラスラとスケッチする。貴重な表情が見れたのか?
そういえば、成人式だと社交界デビューとかでダンスを踊るんだろうな。
王女アリスが困った顔している姿を想像すると可哀そうになってきた。
ああ、もう断れないし、いいか!
けど、途中で未来に帰ったらどうなるんだ?
それにしても、未来からのメッセージ遅いな?
* * *
そんなわけで、俺とエリス様は毎日のように王城に通うことになった。
王城近くにエリス様の豪邸があり、俺はその一室をあてがわれた。
王女アリスは宮廷内に俺の部屋を確保しようとしたが、さすがにそれは無理だった。
いや、助かった。さすがに、一日中遊び相手は無理だ。
まぁ、王城に部屋を確保できずに残念がったのは王女より侍女の方だったのだが。
そんなある日の午後のお茶会。
「ひこうき? ひこうきって何?」
「空を飛ぶ乗り物だよ。え~と」
俺は、エリスの書き損じの紙を折って紙飛行機を作って飛ばして見せた。
「きゃ~っ、何それ? 何? え~っ、鳥みたい」と王女アリス。
「わっ。王女様いけないのだ。あぶない、あぶないのだ」とウリス様。
いや、危ないのは一番走り回ってるウリス様です。
ウリス様は時々遊びに来ていた。
というか、元々アリスの遊び相手だったらしい。預言者じゃ無かったの?
「お前! 魔法使いだったのか?」なんでだよ。実は使徒だけど。
「いや、これは折り紙というものです」
「おりがみ?」
アリス、興味津々。
「はい、王女様にも作れます」
「だから、アリスだってばっ!」
「アリス様にも作れます」
「ホント? 教えて?」
「はい。ここをこう……」
見るとウリス様も覗き込んでいた。
「一緒に作ります?」
「うむ」
さらに、見るとエリス様も覗き込んでた。
「はい、これはエリス様用です」
「ありがとう」
それから、みんなで紙飛行機大会になった。
で、大騒ぎになった。王女アリスが「竜神の紙飛行機」と言ったらなおさら騒ぎが大きくなった。この世界、なんで紙飛行機が無いんだろ?
「面白いな。お主、こんなものどこで覚えたんだ?」エリス様は不思議そうに言った。
うん? そういえば、どこで覚えたんだろう?
* * *
そして、ある日メッセージ誘導が届いた。
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